断熱リフォームのあれこれ【工法・素材編】

断熱リフォームのあれこれ【工法・素材編】

 

快適に過ごせる家を実現する「断熱リフォーム」。その施工方法や素材には、さまざまな種類があります。ここでは断熱リフォームの代表的な工法と素材、メリット・デメリットについて見ていきましょう。

家具や家電で応急処置ではなく、断熱リフォームという手も

寒すぎる・暑すぎる家には断熱リフォームがオススメ

「冬、浴室が寒くてヒートショック(※)が気になる」
「夏、家の中でも日差しがきつく、夜も涼しくならず寝苦しい……」
「部屋の冷暖房が効きにくい」
「窓や壁が結露する・カビが生える……」

そんな家なら、我慢しないで、家の熱の出入りをコントロールする「断熱リフォーム」を考えたほうがいいかもしれません。外壁や内装、水まわりをリフォームするついでに“断熱”もプラスすれば、それぞれリフォームするより手間もかからず、費用も抑えられておトクなんです。

※ヒートショック…寒い脱衣場から浴室へ入り急に熱いお湯につかる、暖房の効いた室内と同じ服装で外へ出るなど、体が急な温度差にさらされることで、瞬間的に血圧が大きく変動する現象。血管に負担がかかるので、心筋梗塞や脳梗塞の原因となることも

 

断熱リフォームの工法・素材は?

断熱リフォームの工法には、大きく分けて次の2つがあります。

 

充填(じゅうてん)断熱工法

木造住宅で壁や柱、床の内側、空間になっている部分に断熱材を詰めて断熱する方法です。主な断熱材に、ボード状になっているグラスウール、ロックウール、セルロースファイバーなどがあります。鉄筋コンクリート造の場合、充填断熱工法のように断熱材が壁や柱の内側になる断熱方法は「内断熱」と呼ばれます。

 

外張断熱工法

木造住宅で、壁や屋根の外側に断熱材を張って断熱する方法です。 主な断熱材には、ボード状になっているポリスチレンフォームや、ボード状になっていたり、空間に断熱材を吹き付けて施工したりする硬質ウレタンフォーム、木の繊維をボード状に成形した木毛繊維断熱材などがあります。鉄筋コンクリート造の場合、外張断熱工法のように断熱材が壁や柱の外側になる断熱方法は「外断熱」と呼ばれます。

続いて、充填断熱・外張断熱それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

充填断熱・外張断熱、どっちがいいの?

充填断熱工法のメリット・デメリット

充填断熱工法の場合、メリット・デメリットには次のようなことが挙げられます。

 

充填断熱工法のメリット

・比較的簡単に、低予算で断熱できる

・外壁の厚みを変えずに断熱できる

・空調などで適温になるまでの時間が短縮できる

・外張断熱工法が施せない場合でも、充填断熱工法であれば施せることがある

 

充填断熱工法のデメリット

・外張断熱工法よりも気密性が低い

・施工の仕方によっては隙間ができて、冬に結露しやすくなる

 

外張断熱工法のメリット・デメリット

外張断熱工法の場合、メリット・デメリットには次のようなことが挙げられます。

 

外張断熱工法のメリット

・充填断熱工法よりも気密性が高く、断熱効果も高い

・家全体を包む形になるので部屋ごとの温度差が生じにくい

・隙間ができにくいので、冬でも結露しにくい

・コンクリート打ち放し仕上げもできるなど、内装の自由度が高くなる

 

外張断熱工法のデメリット

・充填断熱工法よりも手間や費用がかかる

・外壁の厚みが増すので、スペースの余裕が必要になる

・気密性が高い分、換気に注意が必要になる

どちらの工法にもメリット・デメリットがあります。

 

こんなことも! 壁以外にもポイントあり

日本断熱住宅技術協会理事長の田中辰明さんに伺ったところ、断熱リフォームは壁以外にもいくつかポイントがあるのだそう。

「外壁、屋根、床の断熱のみならず、同時に開口部も複層ガラスにするなど断熱化するとよいでしょう。断熱が強化されると夏にガラス窓を通して日差しが室内に入った場合、熱が逃げにくく、過熱状態になることがあります。これを避けるために開口部には外ブラインドなど日射遮蔽装置をつけることをオススメします。建物の断熱と同時に隙間風の侵入を防ぐ気密化も必要です。隙間風侵入を防ぐテープなども用意されています」(田中さん)

 

まとめ

ひとことで「断熱リフォーム」と言っても、その工法や素材はさまざま。まずはプロに相談しながら、自分たちの家にぴったりの断熱リフォーム計画を立てて、快適な家を手に入れてくださいね。

 

●関連リンク:実は家の温度に影響大! 窓を見直して快適生活

●監修:(一社)日本断熱住宅技術協会 田中 辰明さん(お茶の水女子大学名誉教授)