暮らしやすさの礎は“Wコン愛”!成熟する湾岸のツインタワー

Wコンフォートタワーズの外観

辰巳の森緑道公園から辰巳運河を挟んで撮影。写真中央のタワーとその左がWコンフォートタワーズ
物件名:
Wコンフォートタワーズ
所在地:
東京都江東区
竣工年:
2004年竣工(EAST)・2005年竣工(WEST)
総戸数:
1149戸

タワマン集積地「東雲キャナルコート」の草分け的存在

2000年前後から、東京の都心で次々に建てられるようになったタワーマンション。特に“密度”の高い場所といえば、港区、渋谷区、千代田区の都心3区や湾岸エリアが挙げられる。湾岸エリアでは、有楽町線豊洲と辰巳の両駅に加えて、りんかい線東雲駅も利用でき、西側を晴海通り、東側を辰巳運河に挟まれた「東雲キャナルコート」も“タワマン集積地”だ。敷地総面積は約16万4000㎡、住戸数は計約6000戸。板状中層の賃貸マンション街区、商業施設、行政の合同庁舎などに加え、5つのタワーマンションが林立し、存在感を放っている。

Wコンフォートタワーズの外観

東雲キャナルコートに林立するタワーマンション群。左から2番目・3番目がWコンフォートタワーズ

有楽町線辰巳駅から接続している辰巳桜橋

有楽町線辰巳駅から接続している辰巳桜橋を渡ると東雲キャナルコートへ

Wコンフォートタワーズの外観

左がWコンフォートタワーズEAST棟、右がWEST棟

WコンフォートタワーズのEAST棟と辰巳運河の間のスペース

EAST棟と辰巳運河の間には散策やジョギングに最適なスペースが

今回取材したWコンフォートタワーズは、東雲キャナルコートのなかでは初期に竣工した“草分け”だ。プロデュースしたのは、三菱地所をはじめとする三菱グループ3社。タワーマンションという当時としてはまだ比較的新しい住居形態に伴う話題性、最多価格帯が3000万円台半ば~、平均的な専有面積は80㎡超という、今では考えられない値ごろ感、銀座、お台場が生活圏といったロケーションなどの好条件がそろい、4期に分けて販売された計1149戸は、いずれも即日完売となった。新築分譲時に購入した住人のAさんが当時を振り返ってくれた。

「買うと決めた最大の理由は、ひと言で言うなら“ひとめぼれ”。結婚、転職したばかりでマンションを買うイメージはなかったのですが、妻が新聞広告で見つけて『ここ素敵じゃない!?』と。そこでマンションギャラリーに行ってみて、衝撃を受けたわけです。当時は東京の多摩方面で暮らしていたので、ギャラリーで触れた環境は本当に別世界でした。湾岸のタワーライフ、銀座も生活圏……!と驚いたんです。入居当時は東雲の24時間営業のイオンも、豊洲のららぽーともまだありませんでしたが、建設されることは確定していたので買い物には困らないだろうと考えていました。事実、この2カ所がオープンしてからは、暮らしに必要なほとんどのモノが近隣でそろえられるので、本当に便利です」

WコンフォートタワーズのEAST棟のエントランスラウンジ

EAST棟の1階にあるエントランスロビー・ホール。「リゾート」のテイストがコンセプト

WコンフォートタワーズのWEST棟のエントランスラウンジ

こちらはWEST棟のエントランスロビー・ホール。「シティ」がコンセプト

Bさんは“おトクさ”が購入の決め手になった。

「以前は都内城北エリアの築12年ほどのマンション住まい。大まかに言って月々の負担があまり変わらないのに、専有面積が約20㎡広がり、なおかつ眺めの良さそうなタワー生活が手に入ることが分かって、即決しました」

そして入居後、想像以上の絶景満喫ライフが始まった。

「南向きでレインボーブリッジがばっちり見える上、冬場にはその向こうに富士山まで! また、ビルや橋などが建設され、少しずつ眺めが変わっていくのも気に入っています。10年くらい前には『恐竜橋』の別名もある東京ゲートブリッジが開通し、好きな眺めのひとつになりました。季節や時間帯によって、空の色味や構造物の見え方が微妙に異なるのも発見でしたね。暮らし始めて20年近く経ちますが、まったく飽きのこない眺望です」

Wコンフォートタワーズの眺望

レインボーブリッジ越しの富士山。冬季にはこんな希少な眺望が楽しめる(画像/住人提供)

Wコンフォートタワーズの眺望

こちらは『恐竜橋』の別名もある東京ゲートブリッジ方向の眺め(画像/住人提供)

開発で進化する街だからこそ“ワクワク感”が体験できる

プライベートの暮らしと周囲の開発が同時進行する、大規模再開発エリアの“ライブ感”に魅せられたのはCさん。

「マンションギャラリー見学当時、この一帯はまったくの更地でした。しかしパンフレットに載っている計画が、これから着々と進んでいくのだと思うと、何とも言えないワクワク感がありましたね。Wコンフォートタワーズが最初にできて、その後、ほかのタワマンが波状的に建っていったのを鮮明に覚えています。入居当時、3~4歳だった子どもたちはもう社会人に。この街、マンションとともに成長した感覚ですね」

Wコンフォートタワーズは、スケールを活かした多彩な共用施設も特徴だ。その魅力を語るのはDさん。

「ゲストルームが6種類もあり、2~3回両親を泊めたことがあります。また、WESTとEASTの高層階、それぞれにバンケットルームがあり、会社の同僚を招いて絶景を見ながらパーティーをしたことも。同僚からも大好評で楽しい時間を過ごしました」

Wコンフォートタワーズのゲストルーム

ゲストルームは計6室。ここはEAST棟53階のお台場、レインボーブリッジ方面も望めるゲストルーム

Wコンフォートタワーズのゲストルーム

こちらはWEST棟3階のゲストルーム

Wコンフォートタワーズのリゾートバンケット

EAST棟53階のリゾートバンケット。2層吹抜けの開放的なスペース

Wコンフォートタワーズのシティバンケット

WEST棟36階のシティバンケット。シックなインテリアでこちらも根強い人気がある

ちなみに、共用施設は毎月利用実績と収支報告をまとめて利用料金を検討する、利便性向上のための使用時間変更、リフォームでラウンジをゲストルームに用途変更するなど、常にアップデートをはかっているそうだ。

Wコンフォートタワーズのゴルフレンジ

EAST棟1階のゴルフレンジは2面。30分100円~と格安

Wコンフォートタワーズのフィットネスルーム

WEST棟2階のフィットネスルーム。世界的なハイクラスホテルにも多数導入されているTechnogym社製のマシンが置かれている

Wコンフォートタワーズのキッズルーム

EAST棟2階のキッズルームは荒天や梅雨時に活躍

Wコンフォートタワーズのライブラリールーム

WEST棟2階のライブラリールームは、テレワーク、勉強などに最適

Eさんは、ニュータウンにつくられた大規模マンションに、多くの人たちが一斉に住み始めたことで醸成される“愛着”や“同志感”が良いと話す。

「白紙の状態から立ち上がったマンションに、縁あって同じタイミングで暮らし始めたため、そこはかとなく“一緒に良いマンションにしていこう”みたいな空気感が生まれ、今もそれが続いていると感じます。基本的なことですけど、エレベーターに乗り合わせたら“こんにちは”とあいさつし、降りるときは“失礼します”と言ってくださる人が多いのも、その証拠じゃないかな。理事になって理事会の方々と話をする機会が増えてから、マンションへの愛着を持っている人が多いことを実感しましたね。私は“Wコン愛”と呼んでいるんですよ(笑)」

約130人で編成される災害協力隊の存在も強みに

その“Wコン愛”が、特に発揮されているのが防災対策だ。2009年に立ち上げた「災害協力隊」がWコンフォートタワーズの防災力を引き上げている。

「災害協力隊は地元の江東区が主導する自主防災組織。住民の共助で少しでも被害を少なくしようという観点で創設されたものです。我々も申請して、当初は住人約100名の有志が集まりました。主導した方が熱心で友達に声掛けなどをしてだんだん大きくなってきて、今では130名以上に。熱心な方だと何年も継続して務めてくださっています」(Fさん)

130名。かなり大きな組織といえる。

「情報、物資、救護などの各班で構成されていて、例えば物資班は日頃から防災備品を管理し、災害発生時にはそれを持ち出す役目。情報班は各戸の玄関ドアに張られるマグネットシートの『安全です』『要救護です』の情報を集めてまとめ、1階エントランスに設置した防災本部に知らせることが仕事に。ほかにも初期消火などいろいろな役割分担があります。男女比は男性の方が多めですが、若い方からシニアの方まで年代は多様ですね」(Fさん)

Wコンフォートタワーズのオリジナルの防災マップ

災害協力隊員、理事会のメンバーなどが自ら周囲を歩き、地域の防災情報などを集約したオリジナルの防災マップを作成。全戸に配布している(画像/SUUMO編集部)

2011年3月の東日本大震災発生時には、災害協力隊を含む多くの住人が共助にあたったという。

「仕事で外に出ていた方はすぐには帰ってこられませんでしたが、あの時間にちょうど在宅されていた方は、ロビーに避難してきた多くの住人に、備蓄庫から出した水や毛布を配っていただくなどサポート役にまわっていただきました。ただ、災害協力隊の隊員さんでもシニアの方で高層階に住んでいる方だと、在宅していても1階まで階段で下りてくるのは容易なことではありません。30~40代の現役世代の住人にも加わっていただくようにするのが課題ですね」(Fさん)

また、コロナ禍で防災訓練は中止していたが、コロナ前は防災イベントと同時開催で毎年秋に実施していたそうだ。

「起震車での地震体験や水消火器による消火訓練、AED使用訓練、日赤の方に来ていただいて三角巾のつくり方を学ぶワークショップなども行いました。2022年から災害協力隊員向けの防災訓練は再開していて、住人向け訓練も今年の秋から、3年ぶりに開催する方針です」(Fさん)

住人交流イベントも再開、さらに暮らしやすいマンションへ

Wコンフォートタワーズの開発時のコンセプトは「都市とリゾートの融合」。理事会はリゾートを感じさせる重要なファクター・植栽の維持管理にも配慮している。

「敷地面積2万㎡超で、WEST棟とEAST棟の間を中心に樹木や草花、水景も配したランドスケープが設計されていて、樹木は約1150本に及んでいます。竣工から20年近く経過して、大きく成長し過ぎたり、枯れてしまったりする植栽も出始めているので、移植や伐採をしてもらうなど、業者さんに頼みながらできるだけきれいな状態を維持するように努力しています。東雲キャナルコートはもともと埋立地で、大地震発生の際、液状化が起きるリスクが指摘されていた場所なのですが、その対策がしっかり行われて開発されたことで、2011年も地盤のトラブルは一切起きませんでした。それは非常に心強いのですが、半面、植物にとっては少し根が張りづらく、成長には不利な環境なのだそうです。にもかかわらず、さほど深刻なトラブルもなくここまで継続してくれていますので、今後もメンテナンスに力を入れていきたいと思っています」(Aさん)

Wコンフォートタワーズのシティフォレスト

EAST棟とWEST棟の間をつなぐシティフォレスト。メタセコイヤの木立をはじめ多様な樹木、草花が楽しめる

Wコンフォートタワーズの植栽

シティフォレストから階段を上った場所にも豊富な植栽が

また、約2万㎡の敷地を活かした重要な施設に駐車場がある。設置台数は914台で、総戸数1149戸に対して約79.5%。そのうち約85%は契約されており、管理組合の“財源”として十分に機能している。近年、大型車が増加したことで、そのサイズに対応できる駐車区画の設置を検討しているとのこと。改善がうまく進めば、管理組合の財務体質は一層強化されるだろう。財務体質強化については、2022年に長期修繕計画を見直し、30年間は修繕積立金を増額しない均等積み立て方式に変更。安定徴収をはかっていることも心強い材料だ。

2023年3月には、コロナが5類に移行することに先駆けて、久しぶりにWEST、EAST両棟のロビーで住人向けの生活マルシェを開催。産直野菜販売、包丁研ぎ、ブランド品出張買取、健康食品定期販売受付、靴やカバンなどの修理、家庭用ビールサーバーのレンタルの出店業者など、多彩なショップが集まり、大盛況だったという。

およそ3年ぶりの住人参加型イベントで、きっとWコン愛の確認もできたのでは……?
今後もあふれる“Wコン愛”で、暮らしやすさを維持しながら年月とともに少しずつ成熟していくことだろう。

Wコンフォートタワーズの外観

約3000人が暮らすというWコンフォートタワーズ。住人有志も加わり、20年近く植栽維持管理を担っているグリーンクラブや、警察と協働した月1回の夜警も行われている

構成・取材・文/保倉勝巳 撮影/上條泰山

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