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相続や不動産投資を行うなかで「底地(そこち)」という言葉を見聞きした人もいるのではないでしょうか。「底地」とはどんな土地でしょうか。「借地」と何が違うのでしょう。司法書士の清水さんと、不動産コンサルタントの長谷川さんに教えてもらいました。
「底地(そこち)」とは、借地権(下記を参照)が設定されている土地のことをいいます。「貸地(かしち)」とも呼ばれます。底地の所有者が地主、土地を借りている(借地権を持っている)人を借地人(しゃくちにん)といいます。
底地を所有する地主には、借地人に土地を貸すことで地代(賃料)を受け取れる権利や、契約更新などの際に借地人から一定のお金をもらえる権利があります。また、借地人がほかの人に借地権を売買する際は地主の承諾が必要となります。この承諾に際して、実務上、地主は借地人に対して承諾料を求めることがあります。承諾料については明確な法的根拠はありませんが、一般的に借地権価格の10%程度とされることが多く、具体的な金額は借地契約書に定められることが一般的です。
底地=ほかの人に貸すことで何らかの利益を得ている土地ということもできます。
「借地(しゃくち)」とは、他人から借りている土地のことです。借地には「借地権」という権利があります。これは土地を借りた人(借地人)が、そこに自分の建物を建てるなど土地を利用する権利のことです。
つまり底地と借地は、物理的には同じ土地です。土地を貸している地主から見れば底地であり、土地を借りている借地人から見れば借地ということです。

固定資産税や都市計画税は、土地と建物の所有者にそれぞれ課税される仕組みになっています。具体的には、土地の所有者である地主(借地権設定者・底地人)が固定資産税と都市計画税を支払う義務を負い、一方で借地上に建てられた建物の所有者である借地権者(借地人)は、その建物に対して同様の税金を支払うことになります。
このため、借地人は土地に関する固定資産税や都市計画税を直接支払うことはありませんが、地主がこれらの税金を負担することで、間接的に地代に影響を及ぼすことがあります。多くの場合、借地の地代は土地にかかる固定資産税や都市計画税の合計(公租公課)を基準に設定されることが一般的です。例えば、住宅用の場合は公租公課の3~5倍、商業用の場合は5~8倍が地代の目安とされます。
このように、固定資産税や都市計画税は底地(土地)の所有者と借地上の建物の所有者にそれぞれ課税されますが、借地人は地代を通じて間接的にこれらの税金を負担する可能性があることを理解しておくことが大切です。
地主から見て、一度借地人に貸した土地(借地)は、正当な事由がない限り取り戻すことは難しいでしょう。それは借地人を保護するという観点で明治時代に「建物保護ニ関スル法律」、大正時代に「借地法」「借家法」が定められたためです。これらの法律は一般的に「旧借地法」と呼ばれています。
旧借地法では当時の世情を反映し、立場の弱い借地人を保護する観点から制定されました。なにしろ江戸時代から他人の土地を借りて家を建てる、あるいは農業をするといったことが当たり前のようにありました。経済的に余裕のある地主が、経済的に不利な土地のない人に土地を貸す、という構図です。
そのため、一応借地権では契約期間が20年や30年という期間が設けられているのですが、先述のように立場の弱いと思われる借地人を守るため、正当事由がない限り期限が来ても契約は更新されることになっています。また、底地を所有する地主は、借家人から地代や契約更新料を受け取る権利があるといいましたが、その金額は一度決められたら金額を上げることがほとんどできません。地主から見れば一度貸してしまったら二度と帰ってこないし、貸すことで利益を上げようにもままならないというわけです。
しかし、時代が進むにつれ、地主が必ずしも経済的に余裕があるというわけでもなくなってくると、いわゆる旧借地法が実態にそぐわなくなってきました。そこで契約期間をしっかりと定めた「借地借家法」(一般的に「改正借地借家法」と呼ばれています)が1992年(平成4年)8月に施行されました。このなかで、「定期借地権」という文字のとおり、あらかじめ定められた期間が満了したら、更新せず土地を所有者に返還する制度が設けられました。

ただし、借地借家法が施行される以前に契約が結ばれた借地権には、旧借家法が引き続き適用されるので、相続や売買の際は注意が必要です。
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底地かどうかを問わず、土地を相続する際の相続税は相続税評価額が基準となります。相続税評価額は国税庁が公表している「路線価」をもとに算出されますが、路線価が設定されていない地域の場合、「倍率方式」で算出されます。倍率方式は固定資産税評価額をもとに算出されます。
さて、底地の相続税評価額はどのようになるのでしょうか。ここではわかりやすいように路線価で見てみましょう。

上記図で、道路上に記載されている「510C」や「490C」といった表記の数字部分が路線価です。数字の後ろのアルファベット(A~Gの7種類)は借地権割合を示し、A=90%、B=80%、C=70%……G=30%となります。
「510C」と表記されている道路に面している土地は、1m2あたり510千円、つまり51万円という意味です。底地でない場合は1m2あたり51万円ですから、例えば100m2の土地なら相続税評価額は5,100万円ということになります。
しかし、底地である場合、510Cなら70%が借地権ですから、5,100万円×(100%-70%)=1,530万円、ということになります。
このように底地の相続税は、一般的な土地よりも低く、また底地よりも借地権のほうが高く評価されます。なお借地権割合は国税庁が定めていて、土地の利用価値が高い地域ほど借地権割合が高くなります。
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ここまで見てきたように、地主から見れば底地はなかなか返してもらえず、途中で地代を上げることが難しい土地です。金融機関も底地を担保にお金を貸してくれることはまずありません。そのため底地を売却するのは難しいでしょう。
ただし、底地の固定資産税を地代で十分まかなえて、ある程度利益が出ている場合は、その利益に応じて借地人以外の第三者に売れる可能性もあります。その底地がどれだけの利益を上げるのか、いわゆる「利回り」次第で売却価格も変わります。
では底地に住んでいる借地人なら、底地を買うかといえば、実はそうとも限りません。売買価格にもよりますが、地代のほうが安いと思えば、わざわざ土地を買わなくても今の暮らしを維持できるからです。
ただし、借地の場合は底地同様、金融機関から担保設定してもらいにくいため、住宅ローンを組んで建て替えることが難しくなります。家を建て替えるなら底地を買って土地も建物も自分のものにすれば(借地権を外せば)、土地を担保に住宅ローンを組めるようになるので、借地人が底地を買いたいと考えるかもしれません。
いずれにせよ底地を買い取るのは、底地を買ったほうが住宅ローンを借りられるなどメリットがあると感じた借地人か、底地の売買を得意とするプロの不動産会社になるでしょう。
底地の買取相場は、売却先や底地の条件によって大きく異なります。一般的に、底地を借地人に売却する場合の買取相場は、更地価格の50%程度とされています。これは、借地人が底地を買い取ることで、土地の利用権を完全に手に入れられるため、その価値が高く評価されるからです。
一方、第三者に売却する場合の底地の買取相場は、更地価格の10%から15%程度となることが多いです。第三者が購入しても、借地権が存在するために土地を自由に利用できないことが、この低い評価の理由です。
さらに、底地の買取相場は、土地の接道状況や地主の共有状態、期待される利回りなどの条件によっても変動します。これらの要因を考慮に入れることで、より正確な買取価格を見積もることが可能です。
底地の売却を検討する際は、専門の不動産会社に査定を依頼し、具体的な売却価格を把握することが欠かせません。専門家の意見を参考にしながら、最適な売却方法を選択するようにしましょう。
底地を購入するメリット・デメリットも確認しておきましょう。
底地を購入するメリットは次のとおりです。
底地を長期間所有することで、借地人から地代や更新手数料を受け取ることができます。また、底地の管理は基本的に借地人が行うため、所有者は管理の手間が最小限で済むでしょう。
一方で、次のようなデメリットがある点に注意が必要です。
底地に建物が建っている場合、土地の利用権は建物の所有者が持ちます。そのため、底地の所有者は自由に売却ができません。もし売却できたとしても、流通性が低いこともあり、価値が低くなります。権利関係も複雑になるため、底地が担保として認められる可能性も低いといえるでしょう。
また、借地人とは長期契約となるため、賃貸料の値上げが難しく、ほかの不動産投資と比較しても収益性が低くなりがちです。
底地とは「借地権が設定されている土地」のこと
底地は、借地権を所有する借地人から見れば「借地」となる
底地は相続税が低くなる
底地や借地を担保にして金融機関からお金を借りることは難しい
底地は売却しにくく、売却価格もあまり期待できない