土地にかかる固定資産税について知りたい!計算方法や評価額の調べ方を解説

公開日 2024年09月30日

土地にかかる固定資産税について知りたい!計算方法や評価額の調べ方を解説

土地や住宅を所有すると「固定資産税」が発生します。家を建てる土地を探す際には、土地の価格だけでなく固定資産税についても知っておいたほうがよいでしょう。不動産コンサルタントの田中歩さんにお話を伺い、土地の固定資産税の計算方法や調べ方、建物を建てず土地のみを保有する場合の注意点など、役立つ情報を紹介します。これから土地を購入して家を建てようとしている人はぜひ参考にしてください。

固定資産税とは?

固定資産税とは、土地や家屋、償却資産などの固定資産にかかる税金のことです。この記事では、土地にかかる固定資産税について解説していきます。

「固定資産税は1月1日の時点で土地や建物を所有している人が納める決まりになっています。なお、固定資産の一つである償却資産は機械や工具などの事業用資産を意味するため、自己居住用の住宅にかかる固定資産税を算出したい場合は関係ありません」(田中さん、以下同)

固定資産税評価額と課税標準額

固定資産税の税額は、固定資産税評価額、または課税標準額に自治体が定める税率をかけることで算出できます。

固定資産税評価額とは固定資産評価基準に基づき各自治体が個別に決める評価額のこと。不動産登記法によって定められた現況の土地の用途、地目(ちもく)に応じて評価されます。
一方、課税標準額とは税率をかけて固定資産税を算出するもとになる金額のことを意味します。
通常、固定資産税評価額と課税標準額は同額となりますが、住宅用地の特例などが適用される場合は課税標準額が固定資産税評価額よりも低くなります。その場合は固定資産税評価額の値を使用して固定資産税を算出します。

課税標準額は各市町村から土地や家屋の所有者に届く納税通知書の「価格」欄に記載されています。これから土地を購入して家を建てる場合は、不動産会社の担当者に聞くと課税標準額の目安を教えてもらえる可能性があります。

更地と住宅用地
土地に家屋が立っていることで固定資産税が軽減される(イラスト/つぼいひろき)

固定資産税評価額についてもっと詳しく
固定資産税評価額とは?知っておきたい計算方法や見方、調べ方

土地の固定資産税を軽減する住宅用地の特例

土地の固定資産税の金額を把握するうえで、住宅用地の特例についても把握しておいたほうがよいでしょう。

一戸建てやマンションなど、人が居住するための家屋の敷地として利用される土地を「住宅用地」といいます。(※)住宅用地には「住宅用地の特例」という措置が適用され、固定資産税が軽減されます。

土地に住宅用地の特例が適用される場合、課税標準額は以下の通り減額されます。

  • 小規模住宅用地(200m2以下の部分):固定資産税評価額の1/6
  • 一般住宅用地(200m2を超える部分):固定資産税評価額の1/3

「住宅の建設予定地であったとしても、1月1日の時点で家屋が完成しておらず、登記も完了していない土地は住宅用地として認められず、特例措置の対象外となるため注意が必要です。
ただし、住宅の建て替えのために家屋が建築中である土地に関しては、一定の要件を満たせば住宅用地として認められる場合もあります。詳しくは土地のある市区町村の担当窓口に確認してみましょう」

※東京都では、その土地の上に存する建物面積の10倍までの土地とされています。また併用住宅の場合にはいくつかの要件があります。

住宅用地のイメージ
1月1日の時点で人が居住する家屋が立っていれば住宅用地として認められ、固定資産税の減免措置を受けられる(画像/PIXTA)

都市計画税

都市計画税もまた、土地や建物を所有している人に毎年課税される税金です。固定資産税と同じく、固定資産税評価額(課税標準額)に税率をかけて算出されます。都市計画税の税率も市区町村ごとに定められ、上限は0.3%と定められています。
また、都市計画税にも下記の通り住宅用地の特例が適用されます。

  • 小規模住宅用地(200m2以下の部分)…評価額を1/3に減額
  • 一般住宅用地(200m2超の部分)…評価額を2/3に減額

例えば、面積が180m2・固定資産税評価額が900万円の住宅用地の場合は以下のように算出します。

1.課税標準額を求める
900万円×1/3=300万円

2.都市計画税の計算式に当てはめる
課税標準額×税率
300万円×0.3%=9000円

都市計画税=9000円

3年に一度の評価替え

固定資産税評価額は3年に一度の周期で全国的に見直しが行われます。この見直しのことを「評価替え」、評価替えをする年度を「基準年度」といいます。

「令和6(2024)年度は評価替えが行われるので、基準年度となります。令和7(2025)年度、令和8(2026)年度は原則として基準年度の価格が据え置きになります」

基準年度でなくても、建物の新築や増築などが発生した場合は評価替えが行われる場合があります。

評価替えのイメージ
固定資産税の税額はずっと同じではなく変わる可能性がある(画像/PIXTA)

土地の固定資産税の計算方法

計算式

土地の固定資産税を算出する計算式は以下の通りです。

課税標準額 × 税率

税率は各自治体が自由に決めることができますが、多くの自治体では国の標準税率である1.4%を採用しています。

土地の固定資産税をシミュレーション

165m2(約50坪)/固定資産税評価額3000万円の土地

  • 固定資産税評価額:3000万円
  • 課税標準額:3000万円(固定資産税評価額) × 1/6(小規模住宅用地の特例)= 500万円

500万円(課税標準額) × 1.4%(税率)=7万円
固定資産税=7万円

住宅用地のうち、住戸一戸あたり200m2までの部分が小規模住宅用地にあたるため、この土地の場合は土地全体が小規模住宅用地となり、課税標準額が1/6に軽減されます。

265m2(約80坪)/固定資産税評価額4500万円の土地

  • 固定資産税評価額:4500万円
  • 小規模住宅用地の課税標準額:4500万円(固定資産税評価額) ×(200m2÷265m2)× 1/6(小規模住宅用地の特例)= 約566万円
  • 一般住宅用地の課税標準額:4500万円(固定資産税評価額)×(65m2÷265m2)× 1/3(一般住宅用地の特例)= 約367万円
  • 課税標準額:約566万円(小規模住宅用地)+約367万円(一般住宅用地)=約933万円

約933万円(課税標準額)×1.4%(税率)=約13万円(13.062)
固定資産税=約13万円

この土地は、265m2のうち200m2が小規模住宅用地、65m2が一般住宅用地にあてはまります。両方の課税標準額を合算することで、土地全体の課税標準額が算出できます。

土地の固定資産税を計算するイメージ
土地の広さによって計算方法が変わる。200m2を超える面積の場合、課税標準額の求め方が複雑になるため注意(画像/PIXTA)

土地の固定資産税を調べる方法は?

土地の購入前と購入後では固定資産税の調べ方が異なります。

購入前

土地の購入前は正確な固定資産税評価額を調べることはできません。しかし、不動産会社の担当者に聞くと目安となる金額を教えてくれる可能性があります。

「土地購入前にそのエリアの固定資産税の目安を知りたい場合は、一般財団法人資産評価システム研究センターの『全国地価マップ』を利用することをおすすめします。このサイトでは、全国の固定資産税路線価を調べることができます。固定資産税路線価とは、各自治体が道路ごとに算定した、公示地価の約70%の価格のことです。固定資産税路線価は評価替えの年度の6月頃に発表されるため、1~5月頃に調べると前年の固定資産税路線価が出てくるため注意しましょう」

全国地価マップのイメージ
「全国地価マップ」はスマホやパソコンから閲覧可能。手軽に固定資産税の目安を知ることができる(画像/PIXTA)

購入後

すでに土地を所有している場合は、以下の書類を確認することで固定資産税評価額を調べることができます。

固定資産評価証明書

固定資産の評価額を証明する書類です。所有者の住所、氏名、土地の所在地や面積、そして評価額が記載されています。市区町村の担当窓口(市民税課など)に申請することで取得可能です。所有者本人以外が申請する場合は、委任状が必要です。

公課証明書(固定資産課税台帳登録事項証明書)

固定資産評価証明書に記載された内容に加えて、課税標準額と税相当額が記載されています。記載内容は課税明細書とほぼ同じです。市区町村の担当窓口(市民税課など)に申請することで取得可能です。所有者本人以外が申請する場合は、委任状が必要です。

固定資産税課税明細書

毎年4月頃に納税通知書とともに送付されてくる書類です。課税明細書には固定資産税が課税される土地や家屋の所在、地番などが記載されています。固定資産税評価額は「価格」の欄に記されています。

課税明細書
納税通知書が届いたら、課税明細書も要チェック。「価格」欄を見ると、土地や家屋の固定資産税評価額が分かる(画像制作/SUUMO編集部)

固定資産税の調べ方についてもっと詳しく
固定資産税評価額とは?知っておきたい計算方法や見方、調べ方

土地の固定資産税を軽減する方法は?

土地の広さを抑える

土地に住宅を建てる場合は、住宅用地の特例が適用されます。上述した通り、小規模住宅用地の特例と一般住宅用地の特例があり、土地面積によって特例率が変わります。200m2以下の部分は固定資産税評価額を1/6に抑えることができるため、土地を購入する際は面積が200m2を超えるかどうかを確認してみましょう。

測量のイメージ
家を建てるために土地を購入する場合は、住宅用地の特例の内容を正しく把握しておきたい(画像/PIXTA)

更地のままにしない

土地のみ所有している人は注意が必要です。

「土地が更地のままになっていると住宅用地の特例が適用されず、高い固定資産税を払うことになってしまいます。1月1日の時点でその土地上に建築した建物の登記が完了していれば住宅用地とみなされます。土地を購入したら、できれば年内に建物の登記まで済ませておくと、翌年の固定資産税が安くなります」

空き地のイメージ
住宅を建てることで土地にかかる固定資産税を節税することができる。そのため税金対策で建物を建てる人もいる(画像/PIXTA)

自治体の減免措置をチェック

住宅用地の特例以外にも、自治体ごとに固定資産税の減免措置が設けられている場合があります。例えば東京都では、災害などによる被害を受けた場合や生活保護を受けている場合などは、一定の要件を満たすことで固定資産税の減免措置を受けることができます。

詳しくは自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

市役所のイメージ
固定資産税について不明点がある場合や、減免措置について知りたい場合は市区町村の窓口で対応してもらえる(画像/PIXTA)

土地の固定資産税の支払い方法は?

支払う時期

「固定資産税の税額は、毎年4月頃に送付されてくる納税通知書を見ると分かります。納付回数は一括または分割(4回)を選択できます。納付書に記されている期限までに納付しましょう。納付期限を過ぎた場合、自治体から延滞金を請求される可能性もあります」

支払う方法

固定資産税は、納税通知書に同封されている納付書を使ってコンビニや金融機関で支払うのが一般的です。自治体によってはクレジットカードで納付することも可能です。コンビニや金融機関まで足を運ぶ手間は省けますが、手数料がかかる可能性もあります。

また、手続きをすることで口座振替も利用できます。口座から自動的に固定資産税が引き落とされるため、納付忘れを防げるというメリットがあります。

固定資産税納付書のイメージ
納付書が届いたら納付期限内に支払いを済ませる。一括払いか分割払いか、支払い回数は選択可能(画像/PIXTA)

土地の固定資産税のことで悩んだら専門家を頼ろう

家を建てる前に、固定資産税の計算方法や調べ方、納付の仕方について把握しておくと安心です。

「家を建てると土地と建物の両方に固定資産税が発生します。不動産を所有している人であれば、固定資産税について正しく知っておいたほうがよいでしょう。分からないことがあれば、不動産会社の担当者をはじめ、税理士やファイナンシャルプランナー、不動産コンサルタントといった専門家を頼る方法もあります。自治体の窓口に問い合わせてみるのもよいでしょう。この記事で紹介した内容を参考にして、固定資産税について正しい知識を深めてください」

まとめ

土地や家屋などの不動産を所有している人は、固定資産税を納付する義務がある

住宅用の土地であれば「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が軽減される

固定資産税の不明点は自治体の窓口や専門家に相談するとよい

土地を探す
注文住宅の会社を探す
新築一戸建てを探す
中古一戸建てを探す
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
売却査定する
賃貸物件を探す
引越し見積もりをする
中古マンションを探す
新築マンションを探す
リフォーム会社を探す
取材・文/佐藤愛美(りんかく) イラスト/つぼいひろき
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る