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土地を所有すると毎年発生する「固定資産税」ですが、計算の仕組みが複雑で「実際いくら払えばいいのか」「税金を安くする方法はないのか」と疑問や不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、不動産コンサルタントの田中歩さんにお話を伺い、土地の固定資産税の基礎知識から、評価額の調べ方、知っておきたい軽減措置までを分かりやすく解説します。
土地や家屋を所有すると、毎年1月1日時点で「固定資産税」の課税があります。固定資産税とは、市町村(東京都23区内は東京都)が課税の主体となる税金(地方税)の一種で、道路の整備や福祉サービスなど、私たちが暮らす街のさまざまな行政サービスを支えるためのものです。
さらに、所有している不動産が都市計画法における「市街化区域」にある場合は、「都市計画税」も併せてかかります。市街化区域とは、住宅や商業施設が密集し市街地を形成している区域や、10年以内に市街地を優先的かつ計画的に市街地を形成していくべきとされる区域です。
固定資産税と都市計画税は、課税される年に届く「納税通知書」にまとめて記載され、指定された期限までに納付しなければなりません。
固定資産税の課税対象は、土地、家屋(住宅だけでなく店舗や事務所などの事業用の建物を含む)、償却資産の3つです。左記3種類のいずれかを所有しているあいだ、固定資産税は原則として毎年発生するランニングコストとなります。
納税の基準日や、一般的な住宅において対象となる資産の範囲について、田中さんは次のように説明しています。
「固定資産税は1月1日の時点で土地や建物を所有している人が納める決まりになっています。なお、固定資産の一つである償却資産は機械や工具などの事業用資産を意味するため、自己居住用の住宅にかかる固定資産税を算出したい場合は関係ありません」(田中さん、以下同)
年の途中で土地や建物を購入した場合でも、その年の固定資産税は1月1日時点の所有者(売主)に納税義務があります。
ただし実務上は、不動産売買の際に売主と買主の間で固定資産税を日割り計算して精算するのが一般的です。なお、課税年度の途中で不動産の売買取引が成立した場合、1月1日から引渡日前日までの日割り分は売主が、引渡日当日から12月31日までの日割り分は買主が負担することが多いです。
固定資産税についてもっと詳しく
→固定資産税とは?計算方法や安くなるコツ(減免措置)、いつ、どのように払う?
固定資産税の税額は、固定資産税評価額、または課税標準額に自治体が定める税率をかけることで算出できます。
固定資産税評価額とは固定資産評価基準に基づき各自治体が個別に決める評価額のこと。土地の固定資産税評価額は、実際の利用目的である「現況地目」に加え、登記簿に記載された広さである「登記地積」を原則考慮するものとして、よく似た土地の直近の取引価格や、国税庁が判断した相続税を課税するときなどの評価額などから総合的に判断されます。建物の固定資産税評価額は、もう一度同じ建物を建設する場合の価格(再建築費用)をもとに判断されます。
一方、課税標準額とは税率をかけて固定資産税を算出するもとになる金額のことを意味します。
通常、固定資産税評価額と課税標準額は同額となりますが、住宅用地の特例などが適用される場合は課税標準額が固定資産税評価額よりも低くなります。その場合は固定資産税評価額の値を使用して固定資産税を算出します。
課税標準額は各市町村から土地や家屋の所有者に届く納税通知書の「価格」欄に記載されています。これから土地を購入して家を建てる場合は、不動産会社の担当者に聞くと課税標準額の目安を教えてもらえる可能性があります。

固定資産税評価額についてもっと詳しく
→固定資産税評価額とは?知っておきたい計算方法や見方、調べ方
固定資産税評価額は3年に一度の周期で全国的に見直しが行われます。この見直しのことを「評価替え」、評価替えをする年度を「基準年度」といいます。
「令和6(2024)年度は評価替えが行われるので、基準年度となります。令和7(2025)年度、令和8(2026)年度は原則として基準年度の価格が据え置きになります」
基準年度でなくても、建物の新築や増築などが発生した場合は評価替えが行われる場合があります。

都市計画税もまた、土地や建物を所有している人に毎年課税される税金です。固定資産税と同じく、固定資産税評価額(課税標準額)に税率をかけて算出されます。都市計画税の税率も市区町村ごとに定められ、上限は0.3%と定められています。
また、都市計画税にも下記の通り住宅用地の特例が適用されます。
例えば、面積が180m2・固定資産税評価額が900万円の住宅用地の場合は以下のように算出します。
1.課税標準額を求める
900万円×1/3=300万円
2.都市計画税の計算式に当てはめる
課税標準額×税率
300万円×0.3%=9000円
都市計画税=9000円
都市計画税についてもっと詳しく
→固定資産税・都市計画税とは。小規模住宅用地や一般住宅用地の軽減措置を解説/住まいのお金・制度のマニュアル#18
土地にかかる固定資産税は、実際の購入価格ではなく、自治体が判断した固定資産の価値である「固定資産税評価額」を基準に計算します。自治体によって税率が異なる場合もありますが、原則はこの式で算出されます。
まずは、計算の基礎となる評価額の仕組みから確認していきましょう。
土地の固定資産税を算出する計算式は以下の通りです。
課税標準額 × 税率
税率は各自治体が自由に決めることができますが、多くの自治体では国の標準税率である1.4%を採用しています。
500万円(課税標準額) × 1.4%(税率)=7万円
固定資産税=7万円
住宅用地のうち、住戸一戸あたり200m2までの部分が小規模住宅用地にあたるため、この土地の場合は土地全体が小規模住宅用地となり、課税標準額が1/6に軽減されます。
約933万円(課税標準額)×1.4%(税率)=約13万円(13.062)
固定資産税=約13万円
この土地は、265m2のうち200m2が小規模住宅用地、65m2が一般住宅用地にあてはまります。両方の課税標準額を合算することで、土地全体の課税標準額が算出できます。

建物と土地を合わせた固定資産税についてもっと詳しく
→一軒家の固定資産税をシミュレーションしたい!計算方法や注意点は?
土地の維持費として毎年支払いが発生する固定資産税は、長く払い続けるものだからこそ、事前に目安を把握しておくことが大切です。税額を調べる方法は、その土地を「これから購入する場合」と、すでに「所有している場合」でアプローチが異なります。
ここでは、それぞれの状況に合わせた確認方法や、計算に必要な情報の集め方について解説します。
土地の購入前は正確な固定資産税評価額を調べることはできません。しかし、不動産会社の担当者に聞くと目安となる金額を教えてくれる可能性があります。
「土地購入前にそのエリアの固定資産税の目安を知りたい場合は、一般財団法人資産評価システム研究センターの『全国地価マップ』を利用することをおすすめします。このサイトでは、全国の固定資産税路線価を調べることができます。固定資産税路線価とは、各自治体が道路ごとに算定した、公示地価の約70%の価格のことです。固定資産税路線価は評価替えの年度の6月頃に発表されるため、1~5月頃に調べると前年の固定資産税路線価が出てくるため注意しましょう」

すでに土地を所有している場合は、以下の書類を確認することで固定資産税評価額を調べることができます。
固定資産の評価額を証明する書類です。所有者の住所、氏名、土地の所在地や面積、そして評価額が記載されています。市区町村の担当窓口(市民税課など)に申請することで取得可能です。所有者本人以外が申請する場合は、委任状が必要です。
固定資産評価証明書に記載された内容に加えて、課税標準額と税相当額が記載されています。記載内容は課税明細書とほぼ同じです。市区町村の担当窓口(市民税課など)に申請することで取得可能です。所有者本人以外が申請する場合は、委任状が必要です。
毎年4月頃に納税通知書とともに送付されてくる書類です。課税明細書には固定資産税が課税される土地や家屋の所在、地番などが記載されています。固定資産税評価額は「価格」の欄に記されています。

固定資産税の調べ方についてもっと詳しく
→固定資産税評価額とは?知っておきたい計算方法や見方、調べ方
土地の固定資産税は、更地のままだと高額になりがちですが、工夫次第で負担を抑えることが可能です。国が定めた「住宅用地の特例」という制度を活用すれば、課税標準額が下がり、税額の大幅な軽減が期待できます。
ここでは、土地活用によって税金を安くするための仕組みや条件について解説します。
土地の固定資産税の金額を把握するうえで、住宅用地の特例についても把握しておいたほうがよいでしょう。
一戸建てやマンションなど、人が居住するための家屋の敷地として利用される土地を「住宅用地」といいます。(※)住宅用地には「住宅用地の特例」という措置が適用され、固定資産税が軽減されます。
土地に住宅用地の特例が適用される場合、課税標準額は以下の通り減額されます。
「住宅の建設予定地であったとしても、1月1日の時点で家屋が完成しておらず、登記も完了していない土地は住宅用地として認められず、特例措置の対象外となるため注意が必要です。
ただし、住宅の建て替えのために家屋が建築中である土地に関しては、一定の要件を満たせば住宅用地として認められる場合もあります。詳しくは土地のある市区町村の担当窓口に確認してみましょう」
※東京都では、その土地の上に存する建物面積の10倍までの土地とされています。また併用住宅の場合にはいくつかの要件があります。

小規模住宅用地・一般住宅用地についてもっと詳しく
→固定資産税・都市計画税とは。小規模住宅用地や一般住宅用地の軽減措置を解説/住まいのお金・制度のマニュアル#18
土地に住宅を建てる場合は、住宅用地の特例が適用されます。上述した通り、小規模住宅用地の特例と一般住宅用地の特例があり、土地面積によって特例率が変わります。200m2以下の部分は固定資産税評価額を1/6に抑えることができるため、土地を購入する際は面積が200m2を超えるかどうかを確認してみましょう。

土地のみ所有している人は注意が必要です。
「土地が更地のままになっていると住宅用地の特例が適用されず、高い固定資産税を払うことになってしまいます。1月1日の時点でその土地上に建築した建物の登記が完了していれば住宅用地とみなされます。土地を購入したら、できれば年内に建物の登記まで済ませておくと、翌年の固定資産税が安くなります」

空き家を「とりあえず建物が建っていれば税金対策になるから」と放置しておくのもオススメできません。
管理が行き届かず、倒壊の危険性があったり、草木が伸び放題で衛生面や防犯面の問題が生じたりすると、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、市区町村から「特定空家」と判断されることがあります。
特定空家に指定されると、住宅用地の特例による固定資産税の軽減が受けられなくなり、更地と同じような評価で課税されてしまう場合があるため注意が必要です。
空き家を所有している場合は、維持・管理を途切れなく行い、手に負えない場合は管理会社への委託や売却を検討しましょう。
もし広い土地を所有しているなら、「分筆」という手続きで固定資産税を抑えられる可能性があります。分筆とは、登記の上で1つの土地を、2つ以上に分ける手続きのことです。
道路に面した使いやすい部分と、奥まった少し不便な部分が一緒になった土地の場合、全体がひとまとめに評価され、税額が割高になっているケースが少なくありません。そこで分筆し、それぞれの土地の使い勝手に見合った評価に見直してもらうと、全体の評価額が下がり、税金が安くなる可能性があります。
ただし、分筆には土地家屋調査士のような専門家による測量や登記が必要で、費用もかかります。土地の状態によっては税額が変わらないことや、まれに高くなることも考えられるでしょう。
手元に届く固定資産税の納税通知書に書かれている土地の面積が、実際の広さと合っていないこともあります。特に、代々受け継いできた土地や、ずいぶん前に測量された土地の場合、当時の技術的な事情で登記簿の面積と実際の広さにズレがあることも珍しくありません。
もし、実際の土地よりも登記簿の面積の方が広く登録されていると、必要以上に固定資産税を払い続けている可能性があります。このようなときは、土地家屋調査士といった専門家に正確な測量を依頼して「地積更正登記」という手続きで登記簿の面積を正しく修正すれば、税額も本来の金額に見直されるでしょう。
固定資産は用途しだいで非課税となることがあります。土地が用途非課税となるのは「公共性が高い」と認められる場合です。一例ですが、次のような用途が挙げられます。
公共性の高い土地を対象とする固定資産税の用途非課税の制度は、適用するにあたり、自身で「この土地は公共のために使っています」と市役所などに申請する必要があります。このことを知らずに、本来なら安くなるはずの税金を払い続けている方もいるため、一度、自身の土地がどのように使われているかを確認してみましょう。
なお、用途非課税の申請を行うケースが多いのは、道路として利用されている私有地(私道)です。注意したいのは、私道ならすべて非課税になるわけではなく、あくまでも「公共の用に供されている」と認められたときしか用途非課税の対象にはならないということです。
なお、公共の用に供されていると判断されるのは、次のような条件をすべて満たした場合です。
住宅用地の特例以外にも、自治体ごとに固定資産税の減免措置が設けられている場合があります。例えば東京都では、災害などによる被害を受けた場合や生活保護を受けている場合などは、一定の要件を満たすことで固定資産税の減免措置を受けることができます。
詳しくは自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

固定資産税は、毎年4~6月ごろに自治体から届く「納税通知書」を使って納付します。
これまでは銀行や郵便局の窓口払いが主流でしたが、現在は自治体によってコンビニエンスストアでの支払いや口座振替、クレジットカード、スマートフォンでのQR決済など、納付方法の選択肢が広がっています。自身のライフスタイルに合わせ、忘れずに納税できる方法を選びましょう。
「固定資産税の税額は、毎年4月頃に送付されてくる納税通知書を見ると分かります。納付回数は一括または分割(4回)を選択できます。納付書に記されている期限までに納付しましょう。納付期限を過ぎた場合、自治体から延滞金を請求される可能性もあります」
固定資産税は、納税通知書に同封されている納付書を使ってコンビニや金融機関で支払うのが一般的です。自治体によってはクレジットカードで納付することも可能です。コンビニや金融機関まで足を運ぶ手間は省けますが、手数料がかかる可能性もあります。
また、手続きをすることで口座振替も利用できます。口座から自動的に固定資産税が引き落とされるため、納付忘れを防げるというメリットがあります。

家を建てる前に、固定資産税の計算方法や調べ方、納付の仕方について把握しておくと安心です。
「家を建てると土地と建物の両方に固定資産税が発生します。不動産を所有している人であれば、固定資産税について正しく知っておいたほうがよいでしょう。分からないことがあれば、不動産会社の担当者をはじめ、税理士やファイナンシャルプランナー、不動産コンサルタントといった専門家を頼る方法もあります。自治体の窓口に問い合わせてみるのもよいでしょう。この記事で紹介した内容を参考にして、固定資産税について正しい知識を深めてください」
土地の固定資産税は、課税標準額に標準税率1.4%をかけて算出される
土地の固定資産税評価額は、3年に一度見直され公示価格の7割が目安となる
住宅用地の特例を活用すれば、土地の固定資産税を軽減する効果が期待できる