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省スペースだから引き違い窓がつけられない壁にも備えられて、デザインのポイントにもなる縦すべり出し窓。開閉できないFIX窓と違って通風や換気もできて便利そうだけど、気をつけるところは? 網戸やカーテンはつけられる? サイズや種類はどれくらいあるの? そんな縦すべり出し窓についてYKK APの南雲さんに教えてもらいました。
まずは、縦すべり出し窓の特徴や形状から見ていきましょう。
縦すべり出し窓とは下記のように、縦方向を回転軸に、窓枠の上下に設けられた溝に沿って、室外側へすべり出しながら開く窓を指します。

引き違い窓やFIX窓などと比較して、縦すべり出し窓にはどのような違いやメリットがあるのでしょうか。
引き違い窓と大きく違うのは、窓が室外側へ90度まで開くので、風を取り込みやすいというメリットがある点です。また、開くと窓の回転軸側にも隙間ができるので、室内から窓の外側も手で拭くことができます。

さらに引き違い窓と比べて、省スペースでも取り入れやすい点もメリットです。
「当社のAPW 330シリーズの場合、引き違い窓は規格サイズで幅(内法:窓の内側のサイズ)600mmが最も狭いサイズになりますが、縦すべり出し窓は260mmからとなります。特に260mmなら、人の頭が入らないので防犯面でも有利です」(南雲さん、以下同)
この他、縦すべり出し窓を2つ3つと並べて室内のアクセントにするなど、デザインのポイントとしても活用できます。

省スペースながら風を取り込みやすく、防犯性やデザイン性にも優れている縦すべり出し窓。しかし、次のデメリットには注意が必要です。
一方、デメリットとしては風をキャッチする分、開けておくと強風であおられる心配があることが挙げられます。「当社の場合、半開位置でストップするハーフロックがついていますので、風が強い日はこうしたロック機能をうまく活用するといいでしょう」
また他の窓でも同様ですが、大きく開くため、窓の大きさによっては子どもが乗り出す危険もあるので、子どもがいる家では注意が必要です。この場合も子どもが乗り出せないようハーフロックをうまく使ったり、窓の取り付け位置を高くしたりする(掃き出し窓ではなく腰高の窓にする)とよいでしょう。
「隣の家と近い都心部などでは、外側に大きく開いた際に、隣の家との境界を越境しないように注意が必要です」
その他、開けている間に雨が降ると、窓の内側も濡れてしまうので、雨が降ってから窓を閉める際に、窓を拭く手間が増えます。
ひとくちに縦すべり出し窓といっても、サイズや種類はさまざま。どのようなバリエーションがあるのでしょうか。
商品のシリーズによってバリエーションは異なるものの、縦すべり出し窓は引き違い窓と同様に人気のある窓のため、サイズは比較的そろっているそう。
「例えばAPW 330の場合、1枚の幅(内法)は260mm~740mm、高さは700mm~2200mmまであります」


またLow-E複層ガラスやトリプルガラスを使った高断熱窓もあります。フレーム部分の外側がアルミ+内側が樹脂の複合タイプや、さらに断熱性能の高い外側・内側とも樹脂製のタイプがあります。その他、防火窓も用意されています。
縦すべり出し窓の開閉ハンドルには、主に2つの方式があります。1つはすべり出し窓の縦フレーム側に備えられる、いわゆる取っ手タイプ。もう1つは窓のフレームの下に備えられたハンドルを回すことで窓を開閉するハンドルタイプです。
「取っ手タイプの場合、取っ手を押し出して窓を開けるので、窓の手前に家具などがあると手が届かなくなることがありますが、ハンドルタイプなら手が届きやすくて便利です」
またハンドルタイプはハンドルを止めた位置で窓が止まるため、風であおられる心配も減ります。

では、縦すべり出し窓は家のどこに設置するのがよいのでしょうか。オススメの設置場所と活用法を解説します。
縦すべり出し窓の設置場所を考えるとき、ヒントになるのが「風を取り込みやすい」というメリット。空気やニオイがこもりやすい場所や湿気がたまりやすい場所など、積極的に換気をしたい部屋に設けると効果的でしょう。
「換気には風の入口だけでなく、出口も必要です。例えば下記のような窓と窓をつなげる連窓であれば、同じサイズに引き違い窓を1つ備えるよりも、換気がしやすくなってオススメです」

具体的には、縦すべり出し窓は以下の場所に適しています。
省スペースで換気できるという利点を活かし、外からの視線をさえぎることのできるくもりガラスにして浴室やトイレに備えるのもオススメです。
「防犯性の高さから、都心部では幅の狭い縦すべり出し窓を並べて、玄関ホールや廊下の一部といった1階部分に取り入れられるケースも多いですね」
窓には必須ともいえる、網戸とカーテン。縦すべり出し窓には、どのようなタイプが適しているのでしょうか。
縦すべり出し窓は外側に開くため、網戸は窓の内側に備えます。そのため、網戸を閉めたまま開閉できる引き違い窓と違い、取っ手タイプの場合は窓を開けてから網戸を閉める、あるいは網戸を開けてから窓を閉める必要があり、その間に虫が入ってしまう可能性があります。
網戸の種類やサイズはメーカーや商品によって違いがありますが、「当社の取っ手タイプ用の網戸は、上下に上げ下げするタイプと、左右にスライドさせるタイプがあります。いずれも巻き取り式で、カバーを開くと室内から網戸の外側も拭けるので便利です」

一方で、ハンドルタイプは固定式の網戸が内側にある状態で窓を開閉できます。虫が気になる人はハンドルタイプがオススメです。
防犯面やプライバシーのために、縦すべり出し窓にカーテンをつけたいと思う人も多いでしょう。ただし、先述したとおり縦すべり出し窓では網戸が内側についているため、通常のカーテンの取り付けができません。
縦すべり出し窓にカーテンを取り付けたい場合は、カーテンレールを天井や壁に直接設置する「天井付け」や「正面付け」、突っ張り棒などを設置してカーテンを横に逃がせるようにするなどの工夫が必要です。なお、 必要に応じて収納できる「上げ下げロール網戸」や「横引きロール網戸」などを選ぶと、より自由度が広がるでしょう。
通風性や防犯性などでメリットのある縦すべり出し窓。外に窓が出ることで注意すべき点もありますが、うまく活用することで、暮らしの質が高まります。最近は人気も高いようなので、これから家を建てる、あるいはリフォームする場合にぜひ検討してみてください。
縦すべり出し窓は外に開く形状で、風を室内に取り込みやすい
人気の窓なので、サイズや高断熱といった機能のバリエーションも豊富
網戸は内側に備えるが、ハンドル式なら内側に網戸があっても窓を開閉できる