スロップシンク(SKシンク)とは? おしゃれな施工例を紹介!後悔しないために把握したいメリット・デメリットも

最終更新日 2025年08月06日

スロップシンク(skシンク)とは? おしゃれな施工例を紹介!後悔しないために把握したいメリット・デメリットも

泥んこの子どもの靴を、お気に入りの洗面台やお風呂で洗うのは、少し抵抗がありますよね。そのようなときに便利なのがスロップシンクなのですが、そもそもスロップシンクって何でしょう?メリットやデメリットは?など、一級建築士の中川由紀子さんに教えてもらいました。うちにも備えたいな、という方、必見です!

スロップシンクとは?

スロップシンクとは「汚れ物にも対応できる底の深い流し」

スロップシンクとは、マンションのバルコニーなどで見られる、底の深い流しのことを指します。スロップ=slopとは英語で汚水の意味で、一般的に掃除道具や靴など、キッチンや洗面台のシンクで洗うことに抵抗があるものを洗う流しとして使われています。

間取図には「SK」と記載されていることもよくあります。これはTOTOのスロップシンクの型番が「SK」であることや、キッチンや洗面台とは別の「シンク(sink)」を意味するものとして「SK」と表記されています。また、マルチシンクと呼んでいるメーカーもあります。ここでは「汚れ物にも対応できる底の深い流し=スロップシンク」として話を進めていきます。

普通のシンクで洗いづらいものを洗えるスロップシンク
(画像/PIXTA)

スロップシンクの用途や設置する場所

底が深い流しですから、さまざまなモノを洗うことができますが「何のために備えたいか、つまり用途によって、備える場所が変わります」と中川さん。スロップシンクを設置するには、新築でもリフォームでも、給排水管を配管するための費用や、設置するためのスペースが必要になります。ですから用途を十分に考えて設置することが重要なのです。

では具体的にどんな用途なら、どこに備えると便利でしょうか。ここでは「備える場所」から考えられる用途を列記してみます。自分ならどこに設置するのがいいか考える際の参考にしてみてください。

庭や玄関の近くの屋外に設置する場合
  • 小さなお子さんが外遊びをよくするので、家に入る前に手足を洗える
  • 家庭菜園などで収穫した野菜を洗える
  • 散歩帰りのペットの足を洗える
玄関の中に設置する場合
  • 家に上がる前に子どもの手洗いができる
  • スニーカーや子どもの泥汚れの服などを洗える
洗面所内やその近くに設置する場合
  • 洗濯物のつけ置きができる
マンションのバルコニーに設置されている場合
  • バルコニーの床を水で流したり、植物に水をあげたりしやすい
  • ※マンションのバルコニーは共用部分なので、後から設置することはできません

例えば屋外に設置する場合「屋外~手洗い~家の中へ」という動線が生まれます。このように生活動線を考えて配置位置を検討するようにしましょう。

スロップシンクで暮らしを便利に おしゃれな施工例を見てみよう

先述の通り、スロップシンクは用途を考え、生活動線を考慮して設置することが大切なのですが、さらに具体的に、スロップシンクを設置したことで暮らしを快適にした施工例を見てみましょう。

【施工例1】キッチン横のパントリー近く

キッチン横に備えられたスロップシンク
底の深いスロップシンクのため、靴なども洗いやすい
(画像提供/一級建築士事務所 みゆう設計室)

キッチンの横にパントリーと勝手口を設置。そこにスロップシンクを備えた事例です。床を土間にしたので、泥のついた野菜を置いておけます。また底の深いスロップシンクのため、子どもが学校で使った絵の具の道具や、靴などを洗うこともできます。

【施工例2】玄関の広い土間

広い土間にスロップシンクを備えた例
普段は扉で隠すこともできる
(画像提供/一級建築士事務所 みゆう設計室)

3階建ての家で、浴室や洗面所は2階にあるため、子どもが外遊びから帰ってきても、手を洗ってから家に上がれるように玄関に広い土間を設け、そこにスロップシンクを備えた施工例。シンクは普段は扉で隠せるので、汚れた衣類や靴をつけ置きしている間は扉を閉じて隠しておくことも可能です。

【施工例3】シューズクロゼット内

シューズクローゼットの中に設置したスロップシンク
動線を考えて設置した例
(画像提供/一級建築士事務所 みゆう設計室)

玄関~シューズクロゼット~手洗い~パントリーという動線をつくり、シューズクロゼットの中にスロップシンクを設置した例。汚れた靴や手を洗ってから室内に入れるほか、シューズクロゼットにはコート掛けも用意されているので、花粉の時期には室内に花粉を持ち込みにくくなります。

実は、【施工例2】や【施工例3】は、人気のTOTOの「病院用流し」を利用しています。幅760mm×奥行き470mm×深さ140mmあり、同社の一般的な洗面化粧台のボウルよりも大きなサイズです。

【施工例4】サンルームの外

屋外にスロップシンクを設置した例
流しがタイルで作られたスロップシンク
(画像提供/一級建築士事務所 みゆう設計室)

リビングの隣に、庭に面したサンルームがあり、サンルームの外にスロップシンクを設けた施工例。シンクの流しはタイルでつくられています。庭仕事の後での手洗いや、愛犬の足やグッズを洗えます。

【施工例5】シューズクロゼットとパントリーとトイレの間

帰宅時もトイレの後も便利なスロップシンク
シンクが大きくて深いため水跳ねしにくい
(画像提供/一級建築士事務所 みゆう設計室)

シューズクロゼットとパントリーとトイレの間に設けられた施工例。トイレ内に設ける手洗いはほとんどが小さいボウルですが、これなら大きくて深いため水跳ねしにくく、しっかり洗えます。また帰宅時にも手を洗えるほか、シューズクロゼットとパントリーの扉をしめれば来客時にも使ってもらいやすくなります。

スロップシンクのメリット

広いスペースで作業ができる

スロップシンクは通常、深くて広いデザインが特徴です。そのため、大きな鍋や器具を洗ったり、汚れた衣類をつけ置きしたりする際に非常に役立つでしょう。広いスペースを確保できることで、作業がしやすく、他の作業と同時に行うことも可能です。

家事の効率が上がる

スロップシンクを設置することで、家事の効率が大幅に向上します。例えば、食器や調理器具を洗う際に、通常のシンクでは手狭に感じる場合であっても、スロップシンクであれば余裕を持って作業できます。また、洗濯物の前処理やペットの洗浄など、さまざまな用途に活用できることで家事時間の短縮につながるほか、ストレスも軽減できるでしょう。

スロップシンクのデメリット

設置スペースが必要

スロップシンクは比較的大きなサイズであることから、設置には一定のスペースが必要となります。特に、屋内にスロップシンクを設置しようと考えている場合、狭い住宅やアパートでは設置が難しいことがあるので注意しましょう。

配管工事が必要

スロップシンクを導入する際には、給排水の配管工事と本体取り付け工事が必要です。これらの工事にはそれぞれ所定の費用が生じるほか、設置場所の状況によっては水道管の延長工事が追加される恐れがあります。スロップシンクの設置を検討する際は、事前に業者に現地調査をしてもらったうえで、詳細な見積もりを取ることをオススメします。

種類が少ない

スロップシンクは、洗面台やキッチンシンクと比べて種類が少なく、デザインの選択肢が限られています。そのため、インテリアに合わせたものを見つけるのが難しい場合があります。特に、特定のスタイルや色を求める場合、オーダーメイドも選択肢の1つに入れたうえで検討する必要があるかもしれません。

スロップシンクを備える際の注意点

使用目的を明確にする

スロップシンクを選ぶ際は、「何のために備えたいか」をはっきりさせることが重要です。例えば、洗濯機に入れる前の付け置き洗いが目的なら、タライなどが置けるサイズを選ぶ必要があります。また、靴を洗う場合は深さのあるものが便利でしょう。使用目的に合わせて形やサイズや設置場所を選ぶことで、より効率的にスロップシンクを活用できます。

水跳ね対策

スロップシンクを使用する際は、水跳ねによる床や壁の汚れに対して適切な対策を講じることが大切です。例えば「【施工例1】では、土のついた野菜や絵の具の道具を洗った際に水が跳ねて壁が汚れないように、スロップシンクの周りの壁をステンレスで仕上げました。また、床は野菜の泥が落ちても水が跳ねても気にならないように土間にしています」

床や壁の水跳ね対策用の素材としてステンレスやホーローなど、水や汚れに強い素材が挙げられるほか、シンクとのコーディネートを意識しながら、水に強いタイルを張ってみるのもよいでしょう。

給湯配管の設置

コスト削減のために給湯配管を省略する方もいますが、「寒い冬場はお湯で手を洗ったほうが快適ですし、汚れ物を洗うにもお湯のほうが汚れは落ちるので、後悔しないためにも備えることをオススメします」

初期投資は増えてしまうかもしれませんが、使用時の快適さと実用性を考えると、給湯配管の設置は後悔しない選択となるでしょう。長期的な視点で考えれば、日々の使用における満足度が大きく変わってきます。

凍結対策

冬季に氷点下まで気温が下がる地域では、凍結による排水管の破裂が心配です。そのため、少しでも不安があれば、施工会社に適切な凍結対策を依頼するとよいでしょう。家庭内の他の配管と同レベルの対策を行うことで、安心して使用できるようになります。

まとめ

スロップシンクとは汚れ物にも対応できる底の深い流しのこと

設置スペースや費用が必要になるので、用途をきちんと考えて設置するように

生活動線を考えて備えると、暮らしが快適になる

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取材・文/籠島康弘、SUUMO編集部
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