「リビング学習」を狭い間取りで実現!メリット・デメリットとレイアウトのひと工夫

公開日 2021年12月23日
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「リビング学習」を狭い間取りで実現!メリット・デメリットとレイアウトのひと工夫

「頭のいい子が育つ」と注目される「リビング学習」。しかし、「リビングが狭いからわが家では無理」と諦める人もいるのでは?まずはリビング学習のメリット・デメリットを知って、「限られたスペースでの採り入れ方」、「収納や照明などの環境の整え方」などについて、シーズ・アーキスタディオの一級建築士、白崎治代さんと一緒に考えていきましょう。

リビング学習のメリットと、個室学習との違いとは?

「リビング学習」とは、子どもが自分専用の部屋ではなく、リビングやダイニングで宿題や勉強をするスタイルのこと。
人間はもともと、まったくの無音環境よりも、適度にざわざわした空間の方が集中力が上がるのだとか。調理の音や家族の会話など、常に何かしらの音が聞こえるリビングやダイニングなら、そういう意味では確かに落ち着くといえるでしょう。

【リビング学習のメリット】
●ひとりが淋しい年齢の子どもでも、安心して勉強できる
●親子間のコミュニケーションの機会が増える
●家事をしながら子どもの勉強を見守れる
●子どもの質問にすぐに答えてあげられる
●子どもの学習の進み具合や得意・不得意がわかる
●親の視線の中で、程よい緊張感を保つことができる
●同じ部屋で過ごすので、光熱費が節約できる

などがあります。

一級建築士の白崎さんも「私自身、用意された子ども部屋よりも、リビングで勉強することを好む子どもでした。家族がお茶を飲んでくつろいでいる中で勉強していたのは、『楽しそうな空間に自分もいたかったから』。ひとりで淋しい思いもせず、気になるテレビ番組を見ることもできたせいか、楽しく過ごしていたと思います」とのこと。

家族がわいわいと団らんしている時間に一人個室で過ごすのは、確かに「修行」のようなものかもしれません。まだまだ甘えたい年ごろの子どもたちにとって「勉強=孤独」となると、気が進まなくなっても仕方ないかもしれませんね。

家事をする母に見守られながら、リビングで宿題をする子ども
家事をしながら子どもの学習を見守ることができるのが、親にとっても大きなメリット(画像提供/PIXTA)

リビング学習のデメリットはある?

メリットばかりのように思えるリビング学習ですが、もちろん以下のようなデメリットも考えられます。

【リビング学習のデメリット】
●子どもの性格や部屋の状況次第では、勉強に集中しにくいこともある
●教科書や文房具が広がることで、リビングが雑然としやすい
●親が子どもを叱る機会が増えがち
●親に勉強を頼り過ぎるようになる可能性がある
●勉強専用の環境ではないため、姿勢や視力を害する心配がある

「リビングで勉強すれば誰でも成績が上がる」わけではなく、「個室でひとり勉強するよりも、リビングで勉強した方がいい場合もある」ということ。リビング学習のいいところだけを採り入れるには、例えば勉強中は何気なくテレビをつけない、叱るよりも褒める、といった配慮と工夫が必要なようです。

「ただし、『子どもが勉強しているから、テレビは我慢する』のはどうかと思います。リビングは本来、だんらんの場所。勉強する子どもに気を使って、ピリピリとした緊張感が漂う空間になってしまっては本末転倒です。子どもの勉強を優先させようと、親やほかのきょうだいが我慢をするのではなく、テレビやキッチンから程よい距離感が取れる場所に勉強スペースを用意してあげるようにしたいですね。

また、どうしてもリビング学習では集中できないタイプのお子さんもいらっしゃいます。『ここで勉強しなさい』とスペースを押し付けるのではなく、『ここでも勉強できる』というスペースをつくってあげることが大切。無理強いしないであげてくださいね」(白崎さん)

両親に見守られながらダイニングテーブルで宿題をする子ども
リビング学習なら、子どもの勉強時間を家族のコミュニケーションタイムにすることもできる(画像提供/PIXTA)

兄弟姉妹がいる場合のリビング学習の採り入れ方

兄妹姉妹がいることでリビングがにぎやかになり、それでかえって集中できる子もいれば、集中できずに遊んでしまう子もいます。「勉強は嫌なもの」と感じてしまえば、下の子たちが遊んでいる中でひとり勉強に取り組むのはとてもストレスのかかることになってしまいます。

「就学してから急に『はい、ここで勉強して』というスペースを与えるのではなく、就学前から、親が仕事や勉強をしたり、子どもが絵本を読んだりする場所をつくってあげるのはどうでしょうか。

本が好きな方から『ファミリーライブラリー』、つまり、家中の本をまとめて収納し、読書スペースを備えた空間をつくるよう依頼されることがあります。家族の本を共有することで、子どもが親の本に関心をもったり、小さいころから読書に親しむきっかけをつくったり、子どもの好奇心を刺激する、という良さもあります。

親が子どもの前で仕事や読書をする姿や、上のきょうだいが勉強する姿を小さなころから見ているうちに、『カッコいい』『楽しそう』『自分もそこに座って一緒に何かしたい』と思うのではないでしょうか。大人の真似をしたがる子どもの気持ちを、勉強の入口にしてみてはいかがですか?」(白崎さん)

兄や姉が褒められている姿は、下の子どもたちにとって憧れの対象になるはず。勉強する場所を用意するだけではなく、「学問は楽しくカッコいいもの」と思わせたり、学問に親しめる雰囲気をつくるというのも、リビング学習を採り入れる上で大切なポイントかもしれませんね。

親ときょうだい2人が並んで仕事や勉強をする様子
仕事をする親の姿や、上のきょうだいが勉強する姿を見ることが、仕事や勉強に関心をもつきっかけに(イラスト/もり谷ゆみ)

狭くてもできる!リビング学習しやすい「間取りづくり」のコツ

「うちはリビングが狭いからそんなスペースは取れない」「リビングをできるだけ広くしたいから、余計なスペースはつくりたくない」という場合でも、少し工夫することでリビング学習できるスペースを確保することはできます。実例と一緒に空間づくりのコツをご紹介します。

これから建てるならどんな間取りにしておけばいい?

自由に間取りをつくれる場合は、どのようにリビング学習のためのスペースをつくればいいでしょうか?

「子どもの成長はあっという間です。幼児と中高生では、学習スペースの使われ方は違いますし、自立してその空間が要らなくなることもあります。そうなったときにどうするか、を考えておきましょう。例えば、リビングに小さなカウンターをつくっておけば、小さいころはそこでお絵描きをしたり、大きくなったら勉強をしたりでき、子どもたちが使わなくなったら100%親のスペースとして使えます。成長過程で使い方を変えられる間取りにしておくことをおすすめします」(白崎さん)

すっきりとした住まいの一部に、家族共有のワークスペースが用意された事例

そもそもリビング学習は、ダイニングテーブルの片隅でもできること。しかし、あらかじめスペースを用意したり、ほんの少し配慮しておくことで、子どもの勉強道具がリビングに散乱したり、ダイニングテーブルが汚れたりすることが防げるかもしれません。

下の写真は、リビングのカウンターをワークスペースにした例。カウンターがそのまま小上がりまで続いているので、子どもが小さい間はそちらでくつろぎながらお絵描きしたり絵本を読んだりすることができます。

ダイニングと小上がりの和室にまたがるカウンター
(画像提供/シーズ・アーキスタディオ)

狭小住宅に、家族のためのワークスペースを用意した事例

廊下や階段ホールのような通行のための空間も、カウンターを設置するだけでワークスペースに変身。下の事例では、ワークスペースの奥に引き戸でつながる子ども部屋を配置しています。

子どもが小さい間は引き戸を全開してリビングと子ども部屋を一体化。キッチンから目が届く範囲で遊んだり勉強できるようになっています。子どもが自立すれば、フロア全体をリビング・ダイニングにすることも可能な、年齢とともにフレキシブルに活用できるプランです。

通路となる空間にカウンターを置き、ワークスペースに
間取り図
(画像提供/シーズ・アーキスタディオ)

今のリビングが狭くても、上手に採り入れる方法はある?

今住んでいる家にリビング学習のスペースをつくりたい場合はどうすればいいでしょうか?

「学習机はダイニングテーブルで十分。ただ、そこで勉強するとなると、周辺に教科書やノートが散乱したり、鉛筆削りを置いたりして、リビングやダイニングが雑然としがちになります。
学習専用の机を用意するよりも、それらを仕舞えるスペースを用意したいですね。例えば、リビングやダイニングの収納棚の一段だけを『ここはあなたのもの』と提供してあげましょう。片付ける習慣付けもできますよ」(白崎さん)
対面式キッチンの場合は、カウンター前に奥行きの浅い机を設置することで、親の目の間で勉強できるようになります。食事の時間になっても勉強を中断せずに済み、リビング学習しない年ごろになったら撤去も簡単。すぐ横に収納スペースを用意しておけば、ランドセルや文具、書籍なども片付けられて便利です。

対面式キッチンの前でリビング学習する子ども
対面式キッチンもリビング学習の空間として活用できる(イラスト/もり谷ゆみ)

「リビング学習」するための机・家具・照明はどう選べばいい?

勉強しやすい環境づくりも大切

食事やくつろぎのための場所で勉強している子どもの姿を見ると、より集中できる環境をつくってあげたいと思うもの。どんな点に配慮すればいいでしょうか?

「親がテレビを我慢する必要はありませんが、画面が目に入りにくい、音が聞こえにくいレイアウトにしてあげる、くらいの配慮はしてあげたいもの。ほどほどの距離感を確保してあげたいですね。

前述したように、学問に親しみやすい環境づくりも大切です。本棚は奥行きが20~30cmもあればよいので、通路や階段などのちょっとしたスペースにもつくれます。ダイニングテーブルを使う場合は、調味料などを出しっぱなしにしないように気を付けて。

また、食事の度に勉強を中断させずに済むように、勉強道具をそのまま置いておけるようなスペースの余裕を確保してあげたいもの。『ここまでやりたい』と取り組んでいる途中で一度片付けてしまうと、再開しにくくなってしまうからです。

家族の気配の中で勉強したい子どものために、下のようなプランもおすすめです。日ごろは引き戸を開けたまま、集中したいときは閉めて使えるスタディコーナーです。もともとは奥様のワークスペースとして用意されたものですが、住んでみるとお子様が気に入って使うようになったそうです」(白崎さん)

リビングの隣に引き戸で開閉できるスタディコーナーを用意した事例
リビングの一角にスタディコーナーを用意した実例
間取り図
蔵書でいっぱいのファミリーライブラリーを兼ねた空間には、勉強に向きあいやすい雰囲気が漂う(画像提供/シーズ・アーキスタディオ)

リビングの隣にある和室を利用するときは?

リビングの隣に和室がある家がよく見られますが、ここをリビング学習の場にしたいときは、どんな点に注意すればいいでしょうか。

「まだ椅子でじっと座ることが苦手な小さな子どもたちにとって、和室はとても居心地のいい場所。座ったり、歩いたり、寝転んだり、好きなように遊んだりくつろいだりして過ごすことができます。

例えばここに絵本を並べられる小さな棚をつくってあげるだけで、読書が身近な存在に。後は小さな座卓を用意してあげればお絵描きもできますよ」(白崎さん)

子どもが小さい間はおむつ替えやお昼寝のためのスペースとして使えるリビング続きの和室。キッチンから目が届く位置につくられることが多いので、小学生になったときには『親が見守れる』リビング学習の場所として活躍しそうですね。

小上がりの和室を「リビング学習」の場にした例
リビング続きの和室をリビング学習の場所にした例
リビング続きの和室に棚をつくって絵本をディスプレイしておけば、子どもが読書に親しみやすくなり、子どもが自立すればおしゃれな飾り棚として使える(イラスト/もり谷ゆみ)

デスクライトはどうする?

自分の手で手元を暗くしてしまわないように、どこで勉強するにしても手元灯を用意して、子どもの視力を守ってあげたいもの。

「最近はLEDのデスクスタンドが手軽に入手できるのでおすすめです。USB充電タイプならコードを気にせず使えてさらに便利。ダイニングテーブルにはテーブル面を照らす照明が用意されている場合がほとんどですが、問題は色合いです。食事やくつろぎ用には電球色などの暖色系の明かりが使われることが多く、勉強には白色系が適しているといわれています。

最近は、光の色や明るさを変えられる調光型の照明器具が増えているので、それを使って『食事時はリラックスできる暖色系、勉強時は集中できる白色系』に切り替えるのもいいですね」(白崎さん)

デスクスタンドの明かりが灯ると、「ここは勉強する場所」という雰囲気も高まります。ぜひ用意してあげたいですね。

LEDスタンドの使用例
子どもが夢中になると、自分の手や頭で手元を暗がりにしてしまいがち。コンセントがない場所でも、充電式のLEDスタンドなら手軽に使える(画像提供/PIXTA)

本、文房具などはどう収納する?

リビングやダイニングにはどうしてもごちゃごちゃした物が集まりがち。子どもの学習用品が増えればさらに雑然としそうです。

すべてのものに『居場所』をつくってあげること。家族が使う薬や文房具などもすべて使う場所の近くに置き場所をつくり、そこに入れるルールを決めておくのです。子どもの勉強道具は、ダイニングの近くの1マスを子どもに与えて、『ここはあなたが使ってもいい場所。でもここからはみださせないように』と片付けさせるようにします。オープン収納でも、居場所が決まればすっきりさせることができますよ」(白崎さん)

ダイニングの子どもの席の横に、小さなワゴンや、できれば高さが同じ収納棚をそろえてあげれば、ダイニングテーブルが大きな学習机に変身。勉強道具やランドセルをすっきり収納でき、食事時はワゴンをさっと横にずらすだけで片付けることができます。

リビング学習しない年齢になったら、ワゴンや棚を撤収するだけ。片付けられない子どもの増加が最近問題視されていますが、この方法なら、リビング学習を採り入れながら『お片付けのしつけ』もできそうですね。

ダイニングテーブルに収納と作業スペースも拡大した例
ダイニングテーブルとワゴンで快適な勉強場所をつくった例
ダイニングテーブルも少しの工夫で快適な勉強場所に(イラスト/もり谷ゆみ)

リビングで勉強したからといって、必ず成績が上がるとはいえませんが、親子のコミュニケーションの機会が増えることは確かなようです。「一人じゃないと集中できない」「個室がなければ勉強できない」といった固定観念の枠を取り払うことで、新たな可能性も広がるかも。それぞれの家庭に合ったやり方を見つけてみてはいかがでしょうか?

まとめ

リビング学習にはメリットとデメリットがあり、子どもによっても「合う・合わない」がある

「勉強への入口」「学問に親しめる空間」としてのスペースと環境を用意してあげたい

机だけでなく文房具などを収納できるスペースを用意して、片付ける習慣付けをサポート

子どもの成長に合わせて変えていきながら、いずれは大人のスペースにできるようにしておく

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取材・文/伊東美佳 イラスト/もり谷ゆみ
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