家の顔ともいうべき玄関まわり。古くなって日に焼けたドアを新しくするだけでも、グッと印象が華やぎます。
そんなドアリフォーム、実は結構気軽にできるのをご存じでしたか?
玄関ドアリフォームがどれくらいの工期で、いくらくらいでできるのか、リフォーム会社のナサホームにお話を伺いました。
住宅設備・建材は、毎日そこにあるのが当たり前。故障や使用時に不具合を感じない限りは、一新しようという気が起きにくいかもしれません。ましてや、玄関は毎日使いつつも長時間留まる場所ではなく、ドアとの絡みは一瞬です。一戸建ては、環境や使い方でも状態に差が出ますし、玄関ドアの素材や形状によっても傷みが出始める時期が異なります。
一般的に替え時といわれるような周期があるわけではありませんが、少し古さを感じた場合には、手軽な交換可能な方法もあるので、ドアのリフォームは一考の価値ありです。印象も住み心地も、ずっとよくなります。
「外壁を塗り直すなど、他のリフォームを考えるタイミングに合わせて検討してみるのも、ひとつの替え時の目安だと思います」(ナサホーム担当者、以下同)
豊富なデザインから、好みのテイストを選ぶことができる玄関ドア。
「玄関ドアを新しくする際には、見栄えがする背が高いドアへの交換も人気です。工法を選びますが、リフォーム前とサイズが違うドアを選ぶことも可能ですよ」
玄関に明るさが不足していると感じたら、自然光が入るタイプのドア、風の通りをよくしたいと思えば通風機能のあるドアなど、デザインと機能を合わせて選ぶことができます。
玄関ドアを交換すると、美観を整えるだけでなく、住み心地の改善も期待できます。開閉のスムーズさはもちろん、特に断熱性能と防犯性能の2点が格段に向上するでしょう。遮音性能の向上も期待できます。ドアの商品選びにより効果の強弱はありますが、ドアの性能基準は昔より厳しくなっていますので、どのドアを選んでも「よくなったな」と実感できると思います。
なんとなく玄関ってじめじめした感じがする、とか、玄関近くは一段と冷える(または暑い)、といった不快さは、断熱性能が低いことが原因で起こるもの。結露しやすいとカビの原因にもなりやすく、健康面でも気になります。新しいドアに替えると、断熱性能が上がり、これらのお悩みの解消が期待できます。また、屋内の冷暖房効率がよくなり、快適に過ごせるだけでなく省エネにつながります。
開錠されにくい鍵やピッキング対策など、ドア自体に施された機能で防犯対策が強化されます。
「最近は、鍵やカードをかざしたり、車のキーレスエントリーのように鍵を身に着けているだけで開錠できる非接触キーも人気です。タイプにより価格がさまざまですが、従来の鍵穴に差し込むタイプの鍵より5~6万円程度の費用アップで検討できるものもあります」
なお、鍵穴に差し込まずに開錠できるタイプを希望する場合、 “一旦従来の鍵穴のドアにしておいて、後から鍵部分だけかざして開くタイプ用に交換しよう”ということはできません。ドアを交換するタイミングが検討のチャンスとなりますので、どんな鍵を採用するかはリフォーム時にしっかり検討することがオススメです。
まず、簡単に玄関ドアの種類をおさらいしておきましょう。
玄関ドアは、大きく分けると「開き戸(片開き、親子、両開きなど)」と「引き戸(スライドドア、2枚または4枚引き違い戸など)」2種類があり、その中でさまざまなタイプに分類できます。
開き戸は、間口があまり広くない片開きタイプでも種類が豊富ですが、荷物の入搬出が多い場合は、親子扉など開口部を広くできるタイプを選ぶとよいでしょう。また、ドアは外に向かって開きますので、ドアのすぐ前が道路の場合は、子どもが飛び出さないよう注意が必要です。
引き戸は、開口部を広く確保でき、開けた状態をキープできるので、ベビーカーや荷物が多い時に重宝します。車いすなど介護のシーンでは、戸の数が多く開口部を広く取れる引き違い戸がオススメです。ただし、防火地域や準防火地域では防火仕様のドアをつけるよう義務付けられています。引き戸は選べないことを知っておきましょう。
「開き戸から引き戸、引き戸から開き戸など、タイプの違うドアへの交換は、木造住宅であれば基本的には可能です。ただし、できない場合もあるので、リフォーム会社が現地確認をする際に聞いてみましょう。一旦要望を伝えてみればよいと思います。」
防火地域などエリアの条件で商品が選べない場合のほか、木造住宅以外(耐震強度の関係で壁を削ることが難しいコンクリート造など)も、同じサイズでのドア交換が基本となります。
玄関ドアの交換には、2つの方法があります。
気軽にできる玄関ドアの交換方法です。もともとあったドア枠に新しい枠をはめてドアを交換します。ドアまわりの壁を壊さず、工事の種類がシンプルなため、短時間・低コストでできるのが魅力です。朝始めたドア交換の工事が、夕方までには終わるというスピード感がうれしいですね。
注意点としては、カバー工法は従来の間口よりも数センチ程度狭くなることです。また、開口部のサイズを変える場合や、カバーを固定できない木造住宅以外では採用できません。ただし、サイズを変える場合でも、もともとドアの上に欄間などがあり、枠自体のサイズが同じ場合はドアのサイズ変更は可能です。また、防火地域や準防火地域でも採用できない工法なので、気をつけましょう。
カバー工法についてもっと詳しく
→1日で玄関ドアリフォームが終わる「カバー工法」とは
間口のサイズを変更するなど、ドアのまわりの壁の工事も含む工法です。大工工事、左官工事、塗装工事、内装工事など、カバー工法に比べて工事の規模が大きくなります。
「住みながらリフォームできるよう、夜には施錠できるような工事の仕方で進めます。規模にもよりますが、工期は大体4~5日程度です」
なお、工事の日数は、あくまでもドアの交換工事部分だけで説明しました。ドアは全て受注生産となりますので、現地でドアを採寸してから発注となります。
「ドアの生産に10日~2週間程度は必要となりますので、現地で採寸してから工事完了までは、カバー工法では3週間、従来の工法では3~4週間程度かかります」
では、玄関ドアリフォームをするにあたっての費用はどれくらいかかるのでしょうか。
「もっとも手軽にできるカバー工法で交換するとドアの商品代+15~18万円程度、従来の工法では、ドアの商品代+20万円程度です。従来の工法のほうが割高になるのは、工事の種類が多く、関わる作業員が多くなるからです。ドア自体の価格は、防火仕様のものや、非接触キーをつける場合は割高になります」
ドアの交換だけでなく、一緒に玄関まわり全体のリフォームを考えることも多いでしょう。SUUMOのリフォーム調査では、玄関リフォームを実施した人の価格分布は、40~60万円がボリュームゾーンでした。
リフォーム費用を抑えるには、どんな工夫があるでしょうか。ドア交換だけであれば、商品代を抑えたり、カバー工法を採用したり、が現実的です。また、相見積もりをとって比較検討してみるのもひとつの方法でしょう。
「おすすめなのは、他の部分のリフォームと組み合わせて行うことです。ドアだけでなく玄関まわり全体でリフォームしたり、外壁を塗り直すタイミングやエクステリアの整備、水まわり設備の交換に合わせるなど、リフォームの部位はどこでも構いません。もちろん、家全体のリフォームの一環で行うのもよいでしょう。工事は、バラバラに行うよりまとめたほうが、人の配置など無駄なく工程が組めるため、トータルでは割安になります」
なお、どこかのリフォームのタイミングで、家全体をチェックしてもらうことは、とても大切です。いつ頃にどのあたりの修繕をしたらよいのか目途が付けば、予算に合わせてリフォームする場所の組み合わせを検討するなど、費用をコントロールしながら修繕計画を立てられるからです。例えば、ドアとともに外観の印象を担う外壁のリフォーム時期は、10~15年程度のサイクルで検討時期が来ます。あわせて、「ドアや玄関も外壁と一緒にリフォームしたほうがいいのかな?」とドアや玄関の状態を確認するタイミングとして気に留めておくのもオススメです。
リフォームに対して、補助金の制度が使えることがあるので、ぜひ事前に調べてみましょう。国家予算とともに見直されるので、利用条件や申請時期などは年度ごとに決められることが多いです。例年、制度には予算の上限が設けられており、上限を超えると利用できないので、申請前にまだ利用できるか確認する必要があります。現在は、「こどもみらい住宅支援事業」という制度が運用されています。また、住んでいる自治体が独自に補助金を設けている場合もありますので、役所やWEBサイトなどで確認しておくとよいでしょう。
子育て世帯や若者夫婦世帯による、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修などに対して使える補助金。リフォームの場合は、子育て世帯や若者夫婦世帯に限らず利用可能。実施する補助対象工事および発注者の属性等に応じて5万円から60万円を助成。申請期間は2023年3月末までだが、予算が上限に達した時点で締め切りとなる。
費用を抑える手段として、自分でドアを付け替えることはできるでしょうか。
「玄関ドアをまるごと取り替えるときには、リフォーム会社に依頼してください。玄関まわりは構造に関わる部分なので、素人が自分の判断でリフォームするのは難しいです」
ドアは防犯の要でもありますから、プロに依頼するのが安心です。
玄関ドアや玄関まわりをすてきにリフォームした実例と費用を参考にしてみましょう。
※施工実例は全てナサホーム提供
もともとは引き戸だったが、従来の工法でデザインが気に入った親子ドアへ交換。玄関収納や土間たたきのタイルなどにこだわり、スタイリッシュに玄関をリフォームしました。
施工日数 | ドアの設置1日+外壁左官、外壁塗装、内装工事=計4日 ※全面改修のうちの一部 |
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金額 | 約48万円 ※外壁補修、土間タイル代別途 |
全面改修の一環として、玄関ドアの交換と録画機能付きインターホンとポストを備えた門柱を設置しました。機能門柱は、見知らぬ訪問者がドアの近くまで来ない境界にもなる人気のアイテム。玄関の工事と一緒にまとめれば、余計な工事費をかけずにリフォームすることができます。
施工日数 | ドアの設置1日+外壁左官、外壁塗装、内装工事=計4日 ※全面改修のうちの一部 |
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金額 | (玄関)約40万円+(機能門柱)約25万円 |
高セキュリティーと利便性を兼ねたスマートコントロールキーシステムのある引き違い戸を採用。スマートコントロールキーは、キーをかざす、顔認証、携帯電話からの施錠など、さまざまなタイプが選べます。ドアの交換だけでも、インターフェイスユニットを設置する電気工事が発生することは念頭に置いておきましょう。
施工日数 | ドアの設置1日+外壁左官、外壁塗装、内装工事=計4日 ※全面改修のうちの一部 |
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金額 | 約70万円 ※全面改装なため 本体・設置・電気工事のみの価格、外壁、土間タイル別途 |
玄関ドアリフォームと併せて、玄関の収納不足を解消するため、玄関にシューズインクローゼットを設置しました。シューズインクローゼットを通って玄関ホールに入る2WAY動線で、玄関土間たたきは常にスッキリした状態に。来客時に帰宅しても、スッと家の中に入れます。
施工日数 | 大工工事・内装工事・内部造作・棚板造作工事・ドア取付工事など=計4~6日 ※全面改修の内の一部 |
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金額 | 約150万円 |
全面改修の際、車いすでも玄関でも出入りしやすいよう、エクステリアも含めてバリアフリーリフォーム。玄関までの段差は手すりのある緩やかなスロープを採用し、ドアは横に引いて開けたままにしておける引き戸を採用しました。
施工日数 | ドアの設置1日+外壁左官1日+外壁塗装(玄関まわり)1日+内装工事(クロスとフローリング)2日+スロープ4日=計9日 ※全面改修のうちの一部 |
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金額 | (玄関)約40万円+(スロープ・手すり)約60万円 ※外壁補修・土間タイル別途 |
玄関ドアリフォームは、1日で気軽にできる工法もある
玄関まわりのリフォーム費用は40~60万円程度が中心。ドア交換だけなら商品代+15~20万円程度で検討できる
リフォーム費用は、他の部分のリフォームとまとめて行ったほうが総額を抑えられえる