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冬寒く、夏暑い家。その原因は「窓」にあるかも。では、外の寒さや暑さの影響を受けにくい断熱性の高い窓にする方法は?自分でできるDIYやプロに頼むリフォームを紹介しましょう。断熱リフォームについてはLIXILサッシ・ドア事業部 窓リフォーム商品開発室の鷹野俊郎さんに話を聞きました。
部屋の中を快適な室温にするため、ストーブやエアコンを使いますが、建物の断熱性や気密性が低いと冬はせっかくあたためた熱が外へ逃げ、夏は外の熱が室内に影響します。熱の出入りの原因は換気のほか、屋根や床、壁、窓などが熱を伝えるため。特に割合が大きいのが「窓」です。
下図のように、夏期の熱は約7割が開口部(窓)から入ってきます。また、冬期、暖房で温めた屋内の熱のうち、約半分が窓から逃げてしまうのです。窓の断熱性能に基準が設けられたのは1999年で、それ以前に建築された住宅は、窓からの暑気や冷気に悩まされることが特に多いようです。

冬寒く夏は暑い室内は快適とはいえません。特に寒さは健康にも悪影響。例えば、国土交通省のサイト「省エネ住宅でかなう健康&快適生活」では、室温が12~18℃、12℃未満の住宅に住む人は、18℃以上の住宅に住む人に比べて心電図の異常所見のある人や総コレステロール値が基準範囲を超える人が多いという調査結果などが紹介されています。
窓からの熱の出入りを抑え、冬あたたかい家にすることは快適なだけでなく、健康を守るためにも大切なポイントとなるのです。
できるだけコストや時間をかけずに、少しでも窓の断熱性をアップさせるなら、ホームセンターで手に入るものを使った簡単DIYを試してみるのもいいでしょう。まずは、1カ所当たり1000円台から数千円でできる方法を紹介します。
・カーテンを買い替える
今使っているカーテンが薄いものなら、厚手のカーテンに架け替えるだけでも断熱効果は上がります。床に届くくらいの長めのものならすきま風にも効果が期待できます。夏の熱を防ぐには遮熱カーテンがオススメ。ただし、カーテンを閉めている間限定の効果です。
・プラダンを立て掛ける
ホームセンターへ行くと、白っぽい半透明のプラスチックの板が売られています。これがプラスチック段ボール(通称プラダン)。ホームセンターで窓のサイズよりも少し大きめにカットしてもらい、窓の室内側に立て掛けます。外の景色が見えるように、窓の下半分を覆うだけでも効果はあります。とても手軽な方法ですが、窓の開閉がしにくいデメリットも。
・断熱シートを貼る
断熱効果のある窓用のシートがホームセンターやネット通販で売られています。窓枠にマスキングテープや両面テープで貼り付けるタイプならはがしやすく、貼り直しもラク。

窓ガラスは1枚よりも2枚のほうが、ガラスにはさまれた空気層のおかげで断熱効果があります。DIYで取り付けられる簡易内窓キットが数千円から2万円程度で売られていますから、DIYでチャレンジしてみる方法も。ただし、不器用な場合、隙間ができてしまってあまり効果がないことも。また、簡易内窓キットは面材がガラスではなくポリカーボネート製のものが多いため、ガラス窓で二重にする場合に比べて断熱効果は劣ります。

DIYもいいけれど、断熱リフォームは施工の良し悪しが効果を左右します。また、仕上がりの美しさも考えればコストはかかってもプロのリフォームを検討したいもの。リフォーム会社などに頼んだ場合は、どんな窓断熱リフォームがあるのでしょう。
効果が高いのは室内側に追加する内窓。ガラスが単板のもの、複層ガラスのもの、どちらでも断熱効果は高められるそう。費用は材料と工賃を含めて窓1カ所当たり約5万~20万円程度(参考価格。施工会社や窓の大きさ、ガラスの種類、施工カ所数などで金額は違います)。施工時間は1カ所につき1時間程度が目安です。
「内窓を設けることで冬の暖房だけでなく夏の冷房も効きやすくなります。また防音にも効果的。交通量の多い道路が近いなど外の音が気になる方のほか、楽器の音や子どもの声など家の中で出す音で近所に気兼ねをしたくない方などが防音のために設置されることも多いですね。ただし、古い家で、既存の窓枠と建物に隙間があると効果は落ちてしまいます。その場合は、窓ごと交換してしまったほうが効果が期待できます」(鷹野さん、以下同)

窓のサッシやガラスの交換は20~30年が目安とされています。それ以前でも、窓やサッシからの冷気が気になるようなら、断熱リフォームのタイミングだといえます。窓の交換費用は、サイズやガラスやサッシの材質や工法によって異なりますが、断熱性・気密性の高い窓に交換する場合は1枚当たり10~20万円程度。所要時間は1棟当たり半日程度が目安です。

なお、注意したいのはマンションの場合。大規模修繕で全住戸の窓を交換するケースはありますが、原則的に窓ごと交換ができるのは一戸建てのみ。内窓を付ける場合も、念のため管理組合に確認したほうがいいでしょう。
サッシはそのままでガラスを単板から複層ガラスに入れ替える方法もあります。ただし、熱伝導率が高く外の気温を室内に伝えやすいアルミ製サッシの場合は、内窓の設置や窓ごと交換よりも断熱性能は劣るとか。また、防火ガラスが必要な地域は、網入りガラスにしなければならないなどの制限も。マンションの場合は管理組合に確認し許可を得たうえでリフォームをしましょう。

簡易内窓のキットや断熱シートを購入して、仕上がりがキレイになるようプロの職人さんに施工してもらう、という方法はどうなのでしょう? 内窓のキットや断熱シートの価格が安い分、コストを下げた断熱リフォームができる気もしますが、実は、職人さんに施工を依頼すると一人当たり1日数万円かかるのが一般的。費用の総額や断熱効果、施工後の保証などを考えると、リフォーム会社に依頼して内窓を付けたり、窓ごと交換をしたほうが安心です。
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国では、窓の断熱改修を対象とした補助金制度「先進的窓リノベ事業」を設けています。対象となるのは、窓ガラスや外窓の交換、内窓設置など開口部の断熱改修(リフォーム)で、一戸当たりの上限額は200万円です(2025年度の申請は2025年12月31日まで)。
補助金を受けるためには、先進的窓リノベ事業に登録している施工会社に工事を依頼する必要があり、補助金は施工会社に支払われ、その分工事費が値引きされる形になっています。
このほか、一定要件を満たすリフォームをする場合に所得税の一部が控除される「リフォーム促進税制」などが受けられるケースもあります。
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DIYとプロのリフォームのどちらを選ぶかは、コストと断熱性能のバランスがポイント。賃貸住宅の場合は、そもそも借りている人がリフォームするのは難しく、大家さんのOKが出たとしても、いずれ退去するのであればコストをかけるのはもったいないかもしれません。壁やサッシに影響がないDIYで断熱効果を上げるか、長く住む予定であれば大家さんに相談してリフォームを検討してもらうのもいいでしょう。
持ち家の場合も、築年数が古く建て替えも視野に入れているのであれば、数年間はDIYでしのぎ、建て替えの際に断熱性能の高い窓を導入するのがコスト的に良さそうです。
窓の断熱性は快適な暮らしの重要ポイント。賃貸でも持ち家でも、断熱性能をアップさせる方法はいろいろあります。あとどれくらい住むのか、近々リフォーム予定はないかなどコストと居住予定のバランスを考えてベストな選択をしましょう
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