浴室を新しいユニットバスにリフォームしたい場合、いくらかかるのか。ネットやチラシで調べてみても金額はバラバラで、しかもよく見ると「工事費込み」と書かれていることが多い。浴室をリフォームする場合の「工事費」とは、どんな費用が含まれているのか? 結局、いくらあればリフォームできるのか? 施工事例とともに浴室リフォームの気になる費用について、リフォーム会社のリビテックスの稲葉さんと木村さんにお話を伺った。
最近のユニットバスは節水性に優れ、かつ半身浴ができるなど、くつろげる形状の浴槽が多い。また床がヒンヤリとせず、撥水性も高いためカビも発生しにくい。冷めにくい高断熱浴槽も各社で用意されているので、リフォームすれば水道光熱費の節約にもつながる。
浴室のリフォーム費用の内訳は主に以下の2つ。
在来工法でつくった浴室など、ユニットバスではない浴室からユニットバスに交換する場合は、設置するための工事費が増える。
壁パネルや水栓のデザイン性、浴槽の防汚技術にこだわるほど価格は上がる。浴室全体の断熱性能を高めるオプションはそれらと比べるとさほど高くはない。
ユニットバスからユニットバスなら、単に入れ替えるだけなので比較的費用はかからない。「タイル張りの浴槽にタイルの床など、在来工法で作られた浴室からユニットバスに交換する場合は、トイレやキッチンと比較するとかなり解体処分費がかかります」(木村さん)
これを踏まえて、リフォーム費用の安い順から見ていこう。
【施工費用例】工事費込み 57万円
設備・建材費:35万円 工事費:22万円
設備・建材費/システムバス(1216サイズ※0.75坪タイプ)
工事費/解体撤去、梁対応工事、給排水工事、設置費など
種別/マンション
設計・施工/リビテックス(以下の事例も、同様)
ユニットバスの組み立て作業と、給排水管の配管や電気工事程度なので、費用はこの程度で済む。
リフォーム期間の目安は2~3日。
【施工費用例】工事費込み 76万3000円
設備・建材費:45万円 工事費:31万3000円
設備・建材費/システムバス(1616サイズ※1坪タイプ)
工事費/解体撤去、土間打ち工事、窓開口工事、給排水工事、設置費など
種別/一戸建て
在来工法の浴室とは、タイル張りの浴槽にタイルの床などユニットバスではない浴室のこと。タイルや下地に使われているモルタルなどの解体にかかる手間だけでなく、廃棄物の量が多くなるので解体処分費が余計にかかる。
また一戸建ての場合、ユニットバスを納めるための大工工事が発生する。建物の構造によっては床に土間を設置しなければならない。元々の浴室に換気扇がなかった場合なら、排気ダクトも新設する必要がある。
リフォーム期間の目安は1週間程度だ。
浴室のリフォームに併せて給湯器を交換する人も多いだろう。最近は省エネなのはもちろん、自動お湯張り機能や追い焚き機能付がほとんどだが、どれくらいの費用で交換できるのか、見てみよう。
【施工費用例】工事費込み 12万円
設備費:10万円 工事費:2万円
設備費/ 16号追い焚き機能付のガス給湯器
工事費/解体撤去、ガス工事、設置費など
上記は16号の追い焚き機能付に変更した施工例。ちなみに16号とは「水温プラス25℃」のお湯を1分間に16L出せるという意味で、家族4人なら24号くらいがオススメだ。
上記は従来から追い焚き機能付の給湯器を使用しているケースだが、もし追い焚き機能がない給湯器から変更する場合は、追い焚き用の配管を新設する必要があり、その分の費用も必要になる。
従来の浴室に浴室換気乾燥暖房機がなかった場合、電気工事費や排気ダクト設置の工事が必要になる。(電気式の浴室換気乾燥暖房機の場合。ガス式はガス工事が必要)
梁や柱が浴室内に出っ張っている場合、その部分を覆う工事が必要になる。
下記のケースに該当する場合、思いどおりにリフォームできなかったり、浴室以外にもリフォームを行う必要がある。事前にリフォーム会社に確認しよう。
「築40年など古い団地の場合、設置スペースが十分に取れないことなどから、ユニットバスを設置できないケースがあります」(稲葉さん)
その場合、間取り変更などが必要になるため、リフォーム会社に相談して決めるようにしよう。
昔のユニットバスと比べて最新のユニットバスは浴槽の設置部材が短いため、排水管の傾斜を付けにくい場合がある。傾斜を付けるために床の高さを上げると今度は浴室の隣の洗面室と床の高さが合わなくなる。「もし床の高さを合わせるなら、浴室と洗面室両方をリフォームする必要があります」(稲葉さん)
追い焚き機能のなかった給湯器から追い焚き機能付に変える場合、専用の配管を新設しなければならないが「マンションは躯体に穴を開けられません。そのため追い焚き機能付の給湯器に変更できない場合があります」(木村さん)
サイズや窓枠はそのままで、1枚ガラスの窓を、2枚ガラスの断熱性能の高い窓へ変更することは可能。しかし「窓のサイズや窓枠まで変える場合は家の外装工事が必要になります」(木村さん)
在来工法でつくった浴室など、ユニットバス以外の浴室からユニットバスにリフォームする場合が最も費用が高くなりがち。またマンションでのリフォームはスペースや床の高さなどの制限次第で必要な工事内容も変わってくる。
紹介しているリフォーム事例の費用はあくまでも目安で、選ぶ機種や設置場所によって金額も変わってくる。自分の家の場合はどんな工事が必要なのか、この記事を参考にして予算の目安を付けてから、リフォーム会社に相談しよう。