断熱等級とは?4・5・6・7の違いや調べ方、メリット・デメリットを解説

最終更新日 2025年08月27日
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断熱等級4・5・6・7の違いやおすすめの等級、高断熱の家を建てる際の注意点などを解説!

住宅の断熱性能を示す指標が「断熱等級」です。これから家を建てるのであれば、「高断熱の家にしたい」と考える人が多いのではないでしょうか。しかし断熱等級は7段階あり、どの等級を選べばいいのか悩む人もいるようです。そこでこの記事では、断熱等級4、断熱等級5、断熱等級6、断熱等級7を中心に紹介します。そもそも断熱等級とはどのような指標なのか、断熱等級ごとの違いやおすすめの断熱等級、省エネ等級との違いやUA値・ηAC値などを、一級建築士の佐川旭さんに伺い解説します。

断熱等級とは? 最新の断熱等級はいくつ?

断熱等級とは?

断熱等級(断熱等性能等級)とは、2000年に施行された品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で定められた、住宅の断熱性能を示す指標です。

「断熱等級は、数字が大きければ大きいほど熱の出入りが少ない、つまり断熱性能が高いことを意味します。断熱等級は2022年3月までは4が最高等級でしたが、2022年4月に等級5が、同年10月に等級6と7が新設されました。

これはカーボンニュートラルの実現に向け、日本においても環境問題への関心が高まっていることが背景にあります」(佐川さん/以下同)

断熱等級
2023年現在、断熱等級は7が最高等級となっている(イラスト/いぢちひろゆき)

なお2025年以降に新築する住宅では、断熱等級4以上、2030年には等級5以上の義務化が決まっています。【フラット35】を借りるには、断熱等級4以上やエネルギー消費基準をクリアしなければいけないなど、すでに断熱等級は4がスタンダードの扱いとなっているのが現状です。

【フラット35】省エネ基準の制度変更についてもっと詳しく→
【フラット35】はここが変わった!省エネ基準の強化や地域連携型の拡充とは?

UA値・ηAC値とは?

断熱等級では日本を1~8の地域に区分し、それぞれに満たすべきUA値とηAC(イータエーシー)値の基準値が定められています。

UA値
UA値とは、室内・室外間の熱の通りやすさを示す値

ηAC値
ηAC値とは冷房期にどれくらい太陽の日射熱が住宅内に入るかを示す値

いずれも値が小さいほど断熱性が高くなります。

断熱等級の地域区分
断熱等級の地域区分
断熱等級では日本を1~8の地域に分け、等級ごとにクリアすべき指標を定めている(画像引用/国土交通省)

家を建てたい地域がどの区分に属しているのかは、国土交通省の「地域区分新旧表」で確認できます。

省エネ等級との違いは?

断熱等級と似た指標に「省エネ等級」があります。省エネ等級とは、断熱等級だけでなく、一次エネルギー消費量等級(住宅が1年間に消費するエネルギー量を表す基準)もあわせて評価することが特徴です。

省エネルギー住宅についてもっと詳しく→
省エネルギー住宅って何? ZEH(ゼッチ)や補助金についても解説

断熱等級を一覧で紹介! 断熱等級による違いは?

現在1~7まである断熱等級の違いは、以下のようになっています。

断熱等級 内容
断熱等級7 HEAT20 G3レベル
断熱等級6 HEAT20 G2レベル
断熱等級5 ZEH水準
断熱等級4 平成11年 次世代省エネ基準
断熱等級3 平成4年 新省エネ基準
断熱等級2 昭和55年 旧省エネ基準
断熱等級1 昭和55年基準に満たないもの(無断熱)

それぞれの等級が定める地域区分ごとのUA値とηAC値は以下のとおりです。

断熱等級の地域区分
地域区分ごとにクリアすべきUA値とηAC値が定められている(画像/国土交通省の資料を参考に編集部にて作成)

現状、新築住宅では断熱等級4以上がスタンダードとなっていることから、ここでは断熱等級4以上についてどのような内容なのかを解説します。

断熱等級4

断熱等級4は、平成11年(1999年)に施行された次世代省エネ基準に沿ったUA値・ηAC値への適合が求められます。

「次世代省エネ基準では、それまで基準が定められていなかった窓や玄関ドアなど開口部についても断熱を求められるようになりました。2025年以降は、すべての新築住宅に断熱等級4への適合が義務づけられることが決まっており、今後住宅建築時には最低基準となる等級です」

断熱等級5

断熱等級5は、2022年4月に新設されました。等級4の次世代省エネ基準よりも厳しい、ZEH(ゼッチ)の断熱水準を満たすUA値・ηAC値への適合が求められます。2030年以降は、すべての新築住宅に断熱等級5への適合が義務づけられることが決まっています。ZEHについては後ほど解説します。

「断熱等級を4から5に上げたときに、約20%の省エネにつながるレベルとされています」

断熱等級6

断熱等級6は、2022年10月に新設された、HEAT20のG2レベルの基準を満たす断熱性能を示します。HEAT20とは「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称で、より快適に暮らすための断熱性能の基準値(主にUA値)のグレードをG1~G3として定めています。G2は、1、2地域で冬の室温がおおむね15度、その他の地域でおおむね13度を下回らない基準です。

「断熱等級を4から6に上げたときに、約30%の省エネにつながるレベルとされています」

断熱等級7

断熱等級7は、断熱等級6とあわせて2022年10月に新設された、HEAT20のグレードがさらに高いG3レベルの基準を満たす断熱性能を示します。G3では、1、2、7地域で冬の室温がおおむね16度、その他の地域でおおむね15度を下回らないことが求められ、G2よりもより断熱性を高める工夫が必要になります。

「断熱等級を4から7に上げたときに、約40%の省エネにつながるレベルとされています」

断熱等級を上げることによる省エネ効果
断熱等級を上げれば上げるほど高い省エネ効果を得られる(イラスト/いぢちひろゆき)

断熱等級を高くするメリットは?

断熱等級を高くすることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

快適な室温を保ちやすくなる

「断熱等級は、高くすればするほど熱の出入りが少なくなります。家全体が魔法瓶のようになり屋内の温度変化が小さくなるので、一度快適で健康的な室温にすると維持しやすくなるのがメリットです」

ヒートショックリスクを低減する

「ヒートショックとは、急激な温度変化で血圧が大きく上下し、心筋梗塞や脳卒中などが起こることを指します。例えば温かいリビングから暖房されていない寒いトイレや浴室に移動したときなどに、ヒートショックが起こるリスクがあり、とくに血管の収縮が弱くなる高齢者には危険です。家の断熱性能を高めると、家の中の温度変化が小さくなるため、ヒートショックリスクを低減しストレスの軽減にもつながります」

光熱費を抑えられる

「断熱性能が高まると、一度快適な温度になればそこから変化しにくくなります。そのため暖房の温度を高くしたり、冷房の温度を低くしたりしなくても部屋の温度を快適に保ちやすくなり、結果的に光熱費を抑えられるのもメリットです」

例えば断熱等級を4から5に上げた場合、約20%の省エネ効果が得られるとされています。断熱等級4の家で年間の光熱費を24万円とした場合、断熱等級5にすることで年間光熱費はおおむね4.8万円下がる計算です。

補助金、ローン金利やローン控除の優遇がある

「国が住宅の省エネに力を入れている昨今、断熱等級5以上で一次エネルギー消費量の水準も高い「ZEH基準」を満たした住宅や「長期優良住宅」などの購入・新築には、さまざまな優遇制度が用意されています。 それらを利用することで、費用を抑えて高断熱の家を建てることが可能です」

例えば、全期間固定型住宅ローンの【フラット35】には、断熱等級5以上の住宅に対して、当初5年の金利を0.25~0.75%引き下げる「【フラット35】S」というローンがあります。また、住宅ローン控除は「ZEH水準省エネ住宅」の控除額を一般の省エネ住宅より優遇しています。

ZEH基準等を満たす住宅の新築や購入には、補助金制度も多数あります。詳しくは後述します。

断熱等級を上げることで得られるメリット
断熱等級を高めるとローン金利や住宅ローン控除の優遇措置を受けられる可能性がある(イラスト/いぢちひろゆき)

断熱等級を高くするデメリットは?

断熱等級を高くすることには、デメリットもあるのでしょうか?

建築費用が高くなる

断熱性を高くするためには、高性能の断熱材を使う、ガラスを単板ガラスから複層ガラスにする、インナーサッシにするといった対応が必要になります。そうすることで、必然的に建築コストが高くなってしまうのはデメリットです。

「1軒あたりの目安としては、断熱等級4を等級5に上げるのに10万円、等級4を等級6に上げるのに60万円。等級4を等級7に上げるのには250~300万円程度の追加費用がかかるとされています。

ただしこれはあくまで目安です。断熱等級を上げることで実際どのくらい費用が高くなるのかは、家の広さやどの地域区分に属するのか、家を建てるエリアが防火地域などに区分されているのかによっても違います。さらに選ぶ断熱材や窓・サッシの種類(アルミ・樹脂など)によっても違ってきます」

断熱等級を上げるデメリット
断熱等級は高くすればするほど資材や施工に費用がかかる(イラスト/いぢちひろゆき)

これから家を建てるときにおすすめの断熱等級は?

「断熱等級に関しては、2025年には等級4が義務化されました。また、2030年には等級5がすべての新築住宅について義務化されることが決まっています。その流れからいくと、いずれは等級6が義務化されると考えるのが自然です。

そのためこれから家を建てるのであれば、最低でも等級5、できれば等級6を目指すのがよいと考えます」

断熱等級が高い家を建てる際のポイントや注意点は?

断熱等級が高い家を建てるときのポイントや、注意すべき点を伺いました。

通風計画をあわせて検討する

「断熱等級が高くなればなるほど、住宅の気密性も高くなっていきます。屋内に熱や湿気を閉じ込めることになるので、カビやダニが発生したり、結露しやすくなったりする可能性があります。そのため断熱性が高い家を建てるときには、あわせてきちんと通風計画を検討することが非常に重要になるでしょう。

なお通風計画は機械で空気の流れをコントロールする換気と違い、屋根裏や基礎パッキンから入る自然の風の動きを計算することを指します。季節によって違う風の動きを考慮して部屋の位置を決めたり、窓の大きさや位置、開閉方法を考えるといった工夫が求められます」

窓の影響をよく考える

「日本の家づくりでは『南側信仰』が根強く、南側に大きな窓を設けて日差しを入れたいと考える人が少なくありません。しかし窓は住宅においては熱の出入りがもっとも多い場所になります。そのため断熱性能を高めたいなら、窓の大きさとガラスの種類への配慮も欠かせません。

住宅の断熱性能を考えるときには、断熱材の厚さや品質にばかり目がいきがちです。しかしコストを抑えて断熱性の高い家を建てたいと考えるのであれば、窓の数を少なくしたり、できるだけ空気の流出入を抑えるためにはめ殺しの窓を選んだり。日当たりよりも窓が室温に与える影響を重視した家づくりを考えることが大切です」

窓の大きさと断熱性能
窓の大きさや配置も断熱性能には大きく影響を与える(イラスト/いぢちひろゆき)

高断熱・高気密の家づくりは経験値のある建築会社に依頼する

「断熱性能を高めるためには、気密性を高めて熱の出入りをできるだけ少なくしなければなりません。いくら高性能の断熱材を使っても、ダウンライトやコンセントを取り付けたときに空けた穴や、サッシのすき間風が入るようでは効果が落ちてしまうためです。

高断熱の家にするには家の気密性を高める高い技術が必要で、それは施工業者の職人の腕によるところが大きいものです。そういった意味でも、C値とよばれる気密性を示す値を測定してくれるなど、断熱性だけでなく、気密性をも重視した家づくりの経験が豊富な建築会社に相談・依頼する必要があるでしょう」

ZEH基準を満たし補助金制度を活用する

現在国はZEH住宅(ゼッチじゅうたく)の普及に力を入れており、さまざまな補助金制度を用意しています。

ZEHとはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、太陽光発電などを用いて生活するうえで必要とするのと同等、もしくはそれ以上のエネルギーを自ら生み出す住宅のことです。

ZEH住宅と同程度の水準の性能に認定されることで適用される補助金制度には、以下のようなものがあります。

下表のZEH支援事業から次世代HEMS実証事業までは、対象となる住宅の省エネ性能や再生可能エネルギー性能などの要件が異なり、それに応じた補助額が設定されています。

一方、子育てグリーン住宅支援事業は、ZEH水準の省エネ性能を満たす住宅購入・新築する子育て世帯や若者夫婦世帯が対象の制度です。両者の併用はできませんが、自治体の補助制度とは併用できるケースもあります。

補助金制度 補助額(上限額)
ZEH支援事業(2025年度) 55万円/戸~
ZEH+支援事業(2025年度) 90万円/戸~
子育てグリーン住宅支援事業(2025年度) 40万円/戸~
長期優良住宅化リフォーム推進事業(2025年度) 80万円/戸

上表の制度は、年ごとに予算や制度内容が見直されるため、毎年一定の時期に申請が締め切られます。 なお、締切前でも予算額に到達する見込みとなった時点で申請を終了する可能性があります。

また、断熱等級に関しては、等級5の要件を満たすとZEH水準に達しますが、それぞれの補助金制度の適用を受けるには、断熱等級以外にもさまざまな要件があります。詳しくは建築会社に相談するとよいでしょう。

断熱性能を高めるには、気密性や通風も重視した家づくりをおこなおう

最後にあらためて佐川さんに、断熱等級の高い家づくりを検討したい人に向けてアドバイスをいただきました。

「日本では季節を感じる家づくりが主流であったため、これまで家を建てるときには、日当たりを中心に間取りや窓の配置などを考えることがほとんどでした。しかし心地よい健康的な暮らしを実現する断熱性の高い家づくりをしたいのであれば、空気の流れや気密性の高さも重視する必要があります。

そういった家づくりは高度な技術が必要で、経験値に大きく左右されます。対象エリアで高断熱・高気密の家づくりの実績が豊富で、ノウハウのある建築会社を探し相談するようにしてください」

まとめ

断熱等級とは家の断熱性能を示す指標で、数字が大きいほど断熱性能が高い

これから家を建てるのであれば、最低でも等級5、できれば等級6を目指すのがおすすめ

断熱性の高い家を建てるときには、通風や窓の大きさ・配置もあわせて検討する

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取材・文/SUUMO編集部 イラスト/いぢちひろゆき
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