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土地を探していると、相場よりも安い「再建築不可物件」という言葉を見かけることがあります。「再建築不可」とは、建て替えができない土地や建物のことです。建て替え不可と聞くと不安に思うかもしれませんが、実は価格が手ごろなどの魅力もあります。一方で、購入する場合には、知っておくべきデメリットや注意点も少なくありません。
この記事では、再建築不可物件に詳しい一級建築士の佐川さんに教えていただきながら分かりやすく解説します。
そもそも、「再建築不可物件」とはどのような物件なのでしょうか。定義や該当する土地の例などから解説します。
再建築不可物件とは、現在家が建っていても、解体して更地にしてしまうと新たな家を建てられない土地のこと。都市計画区域と準都市計画区域内だけにあります。
都市計画区域と準都市計画区域内について詳しくは
→用途地域とは? 用途地域の調べ方や13種類の特徴、建築制限の詳細を一覧で解説!
上記区域内では建築基準法により「接道義務」が設けられています。接道義務とは「幅員4m以上の道路に2m以上接していないといけない」というもので、接していない土地には家を建てることができないと定められています。
なぜこんな義務があるのかというと、消防車や救急車といった緊急車両が入れるようにすることで、消火活動や救助活動をスムーズに行えるようにするため。つまりわかりやすく言えば、消防車や救急車が入れない土地に家を建てないように、ということなのです。
具体的には下記のような土地が再建築不可物件となります。

(1)は道路に接していないため
(2)は道路に接している道の幅が2m未満のため
(3)は接している道路が建築基準法に準じた道路ではないため
再建築が不可となります。
最初から接道義務を課しておけば、接道義務を果たしていない再建築不可物件は発生しないのですが、なぜこうした土地が生まれたのでしょう。実は建築基準法ができたのは昭和25年(1950年)、また都市計画法は昭和43年(1968年)です。そのため昭和25年以前に建てられた家や、都市計画区域などに指定される以前に建てられた家の中には接道義務を果たしていない物件が存在するのです。
例えば、東京23区は都市計画区域に定められていますが、接道義務を果たしていない住宅は全体の約5%あります。
| 東京23区の住宅数 | 592万2100戸 |
|---|---|
| 幅員2m未満の道路に接している住宅数 | 21万300戸(約3.6%) |
| 敷地が道路に接していない住宅数 | 7万4600戸(約1.3%) |
| 再建築不可と疑われる住宅数 | 28万4900戸(約4.8%) |
「再建築不可と疑われる住宅数」の中には、接している道路が「42条2項道路(※)」として認められて建築が可能になっているケースも含まれていますので、すべてが再建築不可であるとは限りませんが、それでも合計約24万戸もそういった可能性のある物件があるのです。
※42条2項道路/特定行政庁(建築申請を受ける地方公共団体のこと)が道路として指定した道路で「みなし道路」と呼ばれる。幅員4m未満でも建築基準法上の道路とみなされ、道路の中心線から2m後退したところに、道路境界線があるとみなされる。42条2項道路に接した敷地に建物を建築・再建築する際には、規定の幅員を確保するため、セットバックが義務付けられている
みなし道路やセットバックについて詳しくは
→セットバックとは?費用は? 土地探しや一戸建て建築で知っておきたいQ&A
再建築不可物件には、価格面などのメリットがあります。詳しく見ていきましょう。
再建築不可物件を買取するメリットは、なんといっても価格が安いことです。
「建て替えができない、増改築ができない、車も入らない土地は買い手がつきにくいですから、周囲と比べてやはり安くなります」。その相場は、周囲の1割~5割程度といったところ。予想相場の幅が広いのは「所有者がどうしても今すぐ手放して資金が欲しいのであれば安く買えるなど、タイミングも大きな要因になるからです」(佐川さん、以下同)
特に古い家をリフォームして住みたいという人は、安く手に入れてその分をリフォーム費用にかけやすくなります。
一方、隣地を持っている人や隣地に住んでいる人からしてみれば、自分の土地を広げられるチャンスですから多少お金を出しても購入することが考えられます。そのため相場の6割~7割程度になることもあります。「そういった場合は、所有者との普段の関係が良好かどうかでも価格は左右されがちです」
また再建築不可物件は課税評価額が低くなります。そのため固定資産税や都市計画税が安いというメリットもあります。
先述のとおり、再建築不可物件は税金の負担が軽くなるというメリットも考えられます。その理由は、税金を計算する基準となる「課税評価額」が、一般的な物件よりも低く設定されているためです。
課税評価額とは、お住まいの市区町村などがその土地や建物の価値を評価した金額を指します。この評価額は、原則として路線価や再建築価格などの客観的な基準に基づいて算定されますが、再建築不可物件の場合、利用制限があることが個別的要因として考慮され、評価額が低くなる場合があります。
ただし、これは自動的に適用される軽減措置ではなく、物件の状況によって異なる点には注意が必要です。また、将来この物件を売却する際には、市場価格が一般的な物件より低いため、購入時との差額(譲渡所得)が小さくなり、譲渡所得税の負担が抑えられる可能性もあります。
さらに、相続時にも再建築不可という制約が評価額の算定で考慮される場合があり、相続税の負担が軽減される可能性も期待できるでしょう。
価格が安いという魅力がある一方で、再建築不可物件には購入前に知っておきたいデメリットがあります。十分に検討するためにも、詳しく見ていきましょう。
一方で再建築不可物件を買取するデメリットは、なんといっても建て替え・増改築ができないことです。リフォームはできますが、たいてい建物が老朽化していますから修繕だけでも費用がかかります。加えて耐震性・断熱性工事も必要でしょうから、どうしても費用がかかりがちです。また、いわゆる広い道に接していないため、部材や機材の搬入も大変になるので、その分の工事費用も膨らみます。
「さらに再建築不可物件は土地が狭いことが多いですから、むき出しの地面がおそらく少ないでしょう。そうなると場合によっては地質調査ができないため、耐震リフォームをする際などに注意が必要になります」
そのほか、購入してリフォームするために住宅ローンを利用することを考える人もいるでしょうが、再建築不可物件は担保としての価値が低いため、多くの場合住宅ローンが組めません。これもデメリットの1つです。
さらには、購入後のリスクも。建て替えができない以上、例えば台風による倒壊や火災による焼失などが起こった場合はもうそこで暮らすことができません。そうした覚悟も必要です。
再建築不可物件は、リフォームをしようと考えたときに資金の面で注意する必要があります。その1つのポイントが、多くの方が家の購入やリフォームで利用する「住宅ローン」を組むのが難しい点です。金融機関がお金を貸すとき、万が一返済が滞った場合に備えて、その家を「担保」として価値を評価します。
しかし、再建築不可物件は建て替えができないため、一般的な不動産と比べて売却しにくく、資産としての価値が低いと判断される場合が少なくありません。そのため、担保としての力が弱いとみなされ、多くの金融機関で住宅ローンの審査が通りにくかったり、借りられる金額が希望よりも少なくなったりします。
再建築不可物件を選ぶ上で、知っておくべき重要なリスクがあります。それは、万が一の災害で家が失われた場合、同じ場所で生活を再建できなくなる可能性がある点です。例えば、大きな地震や台風によって建物が完全に壊れてしまったり、火事で燃えてなくなってしまった場合でも、建物を新たに建てることはできません。
再建築不可物件は、更地になると新しく家を建てる許可が下りないためです。
再建築不可物件は、将来的に住み替えなどで手放そうと考えたとき、次の買い手を見つけるのが難しいという側面もあります。建て替えができないため、自分の好きなように家を設計したいと考える多くの方の選択肢から外れてしまうためです。
また、先述のとおり住宅ローンを組むのが難しく、購入できる人は現金でまとまったお金を用意できる方に限られてしまいます。
前述のとおり、再建築不可物件では建て替えや増改築が認められません。一方、以下のようなリフォームなら、建築確認申請が必要のない範囲内なので、既存の物件を活かすかたちでリフォームできます。
リフォームは可能ですが、主要構造部(壁、柱など)の過半(1/2超)に及ぶ大規模な修繕や模様替え、小規模であっても防火地域ならびに準防火地域は増築を行う際には、建築確認申請が必要となり、原則として再建築不可の制限を受けるため、工事の範囲に注意が必要です。
2025年の建築基準法の改正でルールが変わり、これまで届け出が不要だった旧4号特例に該当する木造2階建ての家でも、大規模なリフォームには建築確認申請が必要になりました。しかし「新3号建築物」と呼ばれる、平屋建てで床面積の合計が200m2以下の建物であれば、主要構造部の半分以上を修繕・模様替えをする大規模なリフォームでも建築確認申請が不要です。
一方で、木造2階建てや延べ床面積200m2超の平屋で大規模なリフォームをする場合には建築確認申請が必要となり、再建築不可物件では接道義務などを満たしていないため申請が通らない可能性があります。この場合、主要構造部の工事を「半分未満」に抑えることで「大規模」に該当せず、建築確認申請不要とする方法もあります。
しかし、どこまでが「半分」の工事とみなされるのか、また自身の家がどの条件に当てはまるのかといった判断は、専門的な知識がないと難しいといえます。
そのため、リフォームを計画するときはまず建築会社などの専門家へ相談し、工事が可能な範囲をしっかり確認してもらうことが重要です。
「再建築不可」の難点は建て替えができないことですが、方法によっては建て替えが可能になるケースがあります。具体的な方法を詳しく見ていきましょう。
再建築を可能にするための分かりやすい方法の1つが、隣の土地の一部を譲ってもらい、自身の土地と合わせる方法です。多くの再建築不可物件は、先述のとおり、敷地が道路に接している部分の幅、いわゆる「間口」が2mに満たないことが原因です。
そこで、隣の土地の一部を購入させてもらい、自身の土地とあわせることで、この「間口2m以上」という法律上の条件をクリアします。
例えば、間口が1.9mしかない場合でも、隣から10cm分の土地を購入できれば、条件を満たして建て替えが可能になります。しかし、土地の購入費用がかかり、さらに隣の方が必ずしも売却に応じてくれるとは限りません。お金の話も絡むため、自身で直接交渉するのではなく、不動産会社など専門家を間に挟んで円満に進めていくことが大切です。

家の前の道路幅が4m未満の場合、再建築できないケースがあります。このような場合に建て替えを可能にする方法が「セットバック」です。セットバックとは、道路の幅を確保するために自身の敷地を少し後退させることをいいます。将来的に、近隣の家も同様に土地を後退させることで、最終的に道幅を4mに広げる考え方に基づいています。
例えば、目の前の道路幅が3mなら、道路の中心から2mのラインまで、自身の敷地の境界線を後ろに下げることとなるでしょう。後退させた部分は、自身の土地ではあるものの、道路の一部とみなされるため、そこに塀を立てたり建物を建てることはできません。
セットバックすることで建て替えが可能になりますが、家を建てられる敷地が少し狭くなる点は理解しておきましょう。

自身の土地が比較的広く、その敷地の一部を通路として使っている場合に検討できるのが「位置指定道路」を申請する方法です。これは、自身の土地の一部を「私道」として役所に申請して「建築基準法で定められた道路」として正式に認めてもらう手続きをいいます。
この認可された私道に敷地が2m以上接していれば、接道義務を果たしたことになり、建て替えが可能になります。
もともとは、1つの大きな土地を分割して家を建てる際に、奥まった土地が公道に接しなくなる問題を解決するために用いられる方法です。ただし、道路として認めてもらうには、複数の厳しい条件を満たした上で、自治体の許可を得る必要があります。手続きが複雑で専門的な知識も必要になるため、必ず建築士など専門家に相談して進めましょう。

これまでに紹介した方法が難しい場合でも、建て替えを可能にするための「救済措置」ともいえる制度が用意されています。それが「建築基準法第43条第2項第2号但し書き」に基づく許可申請です。
これは、敷地が法律上の道路に接していなくても「周りの環境から見て、交通や安全、防火の面で特に問題がない」と行政が特別に認めたときに、例外的に建築を許可してくれる制度です。
例えば、家のすぐ隣に広い公園や広場があり、万が一のときの避難や消防活動に支障がないと判断されるケースです。ただし、これはあくまで例外的な許可であり、申請すれば誰でも認められるわけではありません。
「建築審査会」という専門機関による厳しい審査があり、許可が下りない場合もあります。また、申請から許可まで1ガ月以上かかることに加え 、許可が下りても住宅ローンの審査が厳しくなり、希望した融資額まで借りられなかったり、融資そのものを断られる場合もあります。 さらに、建築のたびに許可を得なければならず、将来再建築できなくなるケースもあることを理解しておく必要があります。
手続きは専門的で複雑なため、この方法を検討するときは、申請に詳しい建築士などの専門家に、許可が得られる可能性があるのか相談しましょう。
「建て替えができない」「住宅ローンが組めない」などといったデメリットはありますが、確かに安いのが魅力の再建築不可物件。仮に購入を検討する場合には、どんなところに注意すればよいでしょうか。
電気ガス水道は通っていると思いますが、四方をほかの土地に囲まれている場合、それらがどこを通っているのかは確認が必要です。水道管やガス管、電気の引き込み線が隣地を通っている場合、将来的にトラブルになるリスクがあるため、隣地所有者との承諾の有無まで確認が必要です。特に今後リフォームを予定している場合は、しっかり見ておきましょう。
雨水が雨樋から地面にただ流しているだけの場合、基礎に悪影響を与えることも考えられます。雨水の排水はどう下水口などに流れていくのか確認しましょう。
広い道路に接していない再建築不可物件では、周囲を家で囲まれていることも多いもの。そうなると風通しや日当たりが悪く、湿気が溜まりやすくなります。外壁が雨で濡れても乾きにくく、その分のメンテナンス費用もかさみがちです。
再建築不可物件は、一般的な物件よりも細かくチェックすべき項目が多くなります。購入後の予期せぬトラブルを避けるためにも、専門家と一緒に物件を確認することをオススメします。
「特に、再建築不可物件を手がけたことのある建築家や施工会社とチェックしたほうがいいでしょう。経験のある専門家であれば、予期せぬ不都合が出てきても、その解決法を導きやすいはずです」
建て替えができない再建築不可物件ですが、安く手に入るのは大きな魅力です。一方で住宅ローンが組めないことや、倒壊してしまうと住めなくなってしまうなどデメリットもあります。購入は後悔のないように慎重に、専門家と一緒に検討していきましょう。
再建築不可物件は、今ある建物をリフォームしながら長く住み続けるのが基本となるでしょう。だからこそ、購入を決める前に、家の骨組みである「構造体」がしっかりしているかどうかを確かめることが大切です。構造体とは、家を支える基礎や柱、梁といった部分のことです。たとえ内装がきれいでも、骨組みが傷んでいては安心して暮らすのは難しくなります。
具体的には、シロアリによる被害の跡はないか、柱や床に傾きはないか、建物の土台となる基礎に大きなひび割れがないかといった点の確認が重要です。ただし、構造体は専門家でなければ判断が難しい部分といえます。購入前には、建築士などの専門家に調査してもらうことが重要です。
再建築不可物件のリフォームは条件付きで可能
建て替えできない、住宅ローンが組めないなどデメリットや制限は多い
再建築不可物件のリフォームと住宅ローンの不安は専門家へ相談しよう