再建築不可物件とは? リフォームはできる? ローンは組める? 後悔しないための活用方法

最終更新日 2024年12月09日

再建築不可物件とは? リフォームはできる? ローンは組める? 後悔しないための活用方法

土地を探しているときに、相場より安い「再建築不可物件」を目にすることがあります。この「再建築不可」とはどのような意味なのでしょうか。また、購入するメリットやデメリット、注意点は? 再建築不可物件に詳しい一級建築士の佐川さんに教えてもらいました。

再建築不可物件とは?

そもそも、「再建築不可物件」とはどのような物件なのでしょうか。定義や該当する土地の例などから解説します。

再建築不可物件の定義

再建築不可物件とは、現在家が建っていても、解体して更地にしてしまうと新たな家を建てられない土地のこと。都市計画区域と準都市計画区域内だけにあります。

都市計画区域と準都市計画区域内について詳しくは
用途地域とは? 用途地域の調べ方や13種類の特徴、建築制限の詳細を一覧で解説!

上記区域内では建築基準法により「接道義務」が設けられています。接道義務とは「幅員4m以上の道路に2m以上接していないといけない」というもので、接していない土地には家を建てることができないと定められています。

なぜこんな義務があるのかというと、消防車や救急車といった緊急車両が入れるようにすることで、消火活動や救助活動をスムーズに行えるようにするため。つまりわかりやすく言えば、消防車や救急車が入れない土地に家を建てないように、ということなのです。

再建築不可の土地の例

具体的には下記のような土地が再建築不可物件となります。

再建築不可の土地の例
再建築不可の土地の例

(1)は道路に接していないため
(2)は道路に接している道の幅が2m未満のため
(3)は接している道路が建築基準法に準じた道路ではないため
再建築が不可となります。

再建築不可物件はなぜあるのか?

最初から接道義務を課しておけば、接道義務を果たしていない再建築不可物件は発生しないのですが、なぜこうした土地が生まれたのでしょう。実は建築基準法ができたのは昭和25年(1950年)、また都市計画法は昭和43年(1968年)です。そのため昭和25年以前に建てられた家や、都市計画区域等に指定される以前に建てられた家の中には接道義務を果たしていない物件が存在するのです。

例えば、東京23区は都市計画区域に定められていますが、接道義務を果たしていない住宅は全体の約5%あります。

東京23区の住宅数 490万1200戸
幅員2m未満の道路に接している住宅数 18万2700戸(約3.7%)
敷地が道路に接していない住宅数 5万9900戸(約1.2%)
再建築不可と疑われる住宅数 24万2600戸(約4.9%)
総務省による平成30年住宅・土地統計調査より

「再建築不可と疑われる住宅数」の中には、接している道路が「42条2項道路(※)」として認められて建築が可能になっているケースも含まれていますので、すべてが再建築不可であるとは限りませんが、それでも合計約24万戸もそういった可能性のある物件があるのです。

※42条2項道路/特定行政庁(建築申請を受ける地方公共団体のこと)が道路として指定した道路で「みなし道路」と呼ばれる。幅員4m未満でも建築基準法上の道路とみなされ、道路の中心線から2m後退したところに、道路境界線があるとみなされる。42条2項道路に接した敷地に建物を建築・再建築する際には、規定の幅員を確保するため、セットバックが義務付けられている

再建築を可能にする方法とは

再建築不可物件を建築可能にするには、接道義務を果たす土地にすることです。先ほどの図で再び見てみましょう。

再建築を可能にする土地購入の例
再建築を可能にする土地購入の例

例えば、
(1)の場合、(A)(B)(C)のいずれかの土地を購入
(2)の場合(C)(D)(E)の土地を購入して合わせることで、接道義務を果たせる
(3)の場合、(C)や(F)購入して合わせるか、(F)(G)(H)の土地所有者にお願いして、一緒にセットバックすることで目の前の通路を42条2項道路に申請する

上記の流れで、再構築が認められる可能性があります。ただし、申請したからといって必ずしも認められるわけではありませんので、行政に確認してから申請をしましょう。

再建築不可物件を買取するメリット

再建築不可物件を買取するメリットは、なんといっても価格が安いことです。

「建て替えができない、増改築ができない、車も入らない土地は買い手がつきにくいですから、周囲と比べてやはり安くなります」。その相場は、周囲の1割~5割程度といったところ。予想相場の幅が広いのは「所有者がどうしても今すぐ手放して資金が欲しいのであれば安く買えるなど、タイミングも大きな要因になるからです」(佐川さん、以下同)

特に古い家をリフォームして住みたいという人は、安く手に入れてその分をリフォーム費用にかけやすくなります。

一方、隣地を持っている人や隣地に住んでいる人からしてみれば、自分の土地を広げられるチャンスですから多少お金を出しても購入することが考えられます。そのため相場の6割~7割程度になることもあります。「そういった場合は、所有者との普段の関係が良好かどうかでも価格は左右されがちです」

また再建築不可物件は課税評価額が低くなります。そのため固定資産税や都市計画税が安いというメリットもあります。

再建築不可物件を買取するデメリット

一方で再建築不可物件を買取するデメリットは、なんといっても建て替え・増改築ができないことです。リフォームはできますが、たいてい建物が老朽化していますから修繕だけでも費用がかかります。加えて耐震性・断熱性工事も必要でしょうから、どうしても費用がかかりがちです。また、いわゆる広い道に接していないため、部材や機材の搬入も大変になるので、その分の工事費用も膨らみます。

「さらに再建築不可物件は土地が狭いことが多いですから、むき出しの地面がおそらく少ないでしょう。そうなると場合によっては地質調査ができないため、耐震リフォームをする際などに注意が必要になります」

そのほか、購入してリフォームするために住宅ローンを利用することを考える人もいるでしょうが、再建築不可物件は担保としての価値が低いため、多くの場合住宅ローンが組めません。これもデメリットの1つです。

さらには、購入後のリスクも。建て替えができない以上、例えば台風による倒壊や火災による焼失などが起こった場合はもうそこで暮らすことができません。そうした覚悟も必要です。

再建築不可物件のリフォーム

建て替えや増改築は認められない再建築不可物件ですが、一部の物件においてはリフォームが認められる可能性があります。リフォームの範囲と制限、そしてリフォームする際に重視すべき2つのポイントについてチェックしていきましょう。

リフォームの範囲と制限

前述のとおり、再建築不可物件では建て替えや増改築が認められません。これはオーナーが変わっても同様ですが、建築確認申請が必要のない範囲であれば、既存の物件を活かすかたちでリフォームできます。

<認められる範囲>
  • 壁、柱、床、梁、屋根、階段部分といった建物主要構造部の1/2以下の修繕
  • 防火・準防火地域外における10m2以下の増改築または移転

見方を変えれば、主要構造部を1/2以上修繕する場合や、小規模であっても防火地域ならびに準防火地域での増改築は認められないのです。また、上記のリフォームに関しても、次の条件を満たした「4号建築物」でなければ実施できません。

<4号建築物の条件>
  • 木造住宅の場合:2階建て以下、延べ面積500m2以下、高さ13m・軒高9m以下
  • 非木造住宅の場合:平屋、延べ面積200m2以下

接道義務を果たしていない物件は、たいてい土地の面積も大きくありませんから、この4号建築物に該当する場合がほとんどだと考えられます。逆に4号建築物以外であれば、例えば屋根の半分以上を葺き替える場合や、外壁を補修する場合に建築申請が必要になりますから、結局思うように葺き替えや補修ができません。なお、何をもって「半分」とするかは確認する審査機関にあらかじめ相談するようにしましょう。

上記のように4号建築物なら耐震性・断熱性を高めるリフォームもできます。また木造軸組工法の家であれば、構造上可能であれば間取り変更もできます。逆にRC工法であれば、昔のコンクリートの寿命は約50年といわれていましたから、コンクリートの劣化具合に注意が必要です。2×4工法の場合は間取り変更がしにくいですが、そもそも1950年以前に2×4工法は日本にほとんど入っていませんから、かなりのレアケースとなります。

耐震性・断熱性の向上

認められる改修工事に制限がある再建築不可物件では、耐震性や断熱性の向上を目的としたリフォームの実施が一般的。建て替えができないという特性上、万が一の災害にも耐えうる耐震性がマストです。また、再建築不可物件は1950年以前に建てられた物件であるため、断熱性も低め。夏や冬を快適に過ごせるよう、断熱改修を求める家主も多いです。

再建築不可物件を買取する際のチェックポイント

「建て替えができない」「住宅ローンが組めない」などといったデメリットはありますが、確かに安いのが魅力の再建築不可物件。仮に購入を検討する場合には、どんなところに注意すればよいでしょうか。

インフラ状況をきちんと確認

電気ガス水道は通っていると思いますが、四方をほかの土地に囲まれている場合、それらがどこを通っているのかは確認が必要です。工事にも影響するポイントなので、特に今後リフォームを予定している場合は、しっかり見ておきましょう。

雨水の排水はどうなっているか

雨水が雨樋から地面にただ流しているだけの場合、基礎に悪影響を与えることも考えられます。雨水の排水はどう下水口等に流れていくのか確認しましょう。

風通しや日当たりはどうか

広い道路に接していない再建築不可物件では、周囲を家で囲まれていることも多いもの。そうなると風通しや日当たりが悪く、湿気が溜まりやすくなります。外壁が雨で濡れても乾きにくく、その分のメンテナンス費用もかさみがちです。

再建築不可物件は、一般的な物件よりも細かくチェックすべき項目が多くなります。購入後の予期せぬトラブルを避けるためにも、専門家と一緒に物件を確認することをオススメします。

「特に、再建築不可物件を手がけたことのある建築家や施工会社とチェックしたほうがいいでしょう。経験のある専門家であれば、予期せぬ不都合が出てきても、その解決法を導きやすいはずです」

建て替えができない再建築不可物件ですが、安く手に入るのは大きな魅力です。一方で住宅ローンが組めないことや、倒壊してしまうと住めなくなってしまうなどデメリットもあります。購入は後悔のないように慎重に、専門家と一緒に検討していきましょう。

まとめ

再建築不可物件の最大のメリットは相場よりも安く手に入ること

建て替えできない、住宅ローンが組めないなどデメリットや制限は多い

再建築不可物件であっても、4号建築物であれば建築確認申請が必要ない範囲でリフォームが可能

経験のある専門家に相談して購入を検討しよう

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取材・文/籠島康弘、SUUMO編集部
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