共働き夫婦が1Kの部屋を借りて仕事場にリノベしたら、在宅ワークの生産性が上がった話

初めまして、こんにちは。京都在住のイラストレーター、てらいまきと申します。

てらいまきさん夫婦

二人の子どもを育てながら、エンジニアの夫と共働きをしています。以前の私は長らく自宅で働いていたのですが、現在は自宅近くのアパートの一室を借りて仕事場としてリノベーションし、そこで夫婦一緒に働いております!

今回は、私たちがどんな経緯でリノベーションするに至ったのか、また実際にしてみて仕事や生活にどんな変化があったのか、お伝えしたいと思います。

リノベーションした仕事場
こちらがリノベーションした仕事場♪ 手前が私、奥が夫のスペースです

夫婦一緒に、快適に在宅ワークできる仕事場をつくりたかった

きっかけは、2020年に夫から「転職を考えている」と相談されたことでした。

コロナ禍の影響で、フルリモートで就業可能な会社が増えました。夫は通勤圏内の会社だけでなく、東京など、フルリモート可能な遠方の会社も転職先として視野に入れているようでした。

私はコロナ禍に関係なく以前からずっと在宅ワーカーのため、夫がフルリモート環境で転職するとなると「夫婦で在宅ワーク」が必須になります。しかし、今住んでいる賃貸マンションは狭くて、私の仕事スペースだけでもギリッギリ!!!!

そんな状況で夫も家で働くのは不可能に近かったので、まずは「引越そうか」という話になり物件を見てみたのですが……。

「希望のエリアで、仕事部屋が確保でき、食洗機の置けるキッチンがあり、ファミリータイプ」となるとまず物件自体が少なく、家賃も今の家よりかなり上がりそうだったので、すぐにあきらめました。

一方このころ、ちょうど私の実家と弟の家が同時期にリノベーションして、完成した家を見る機会がありました。そこで「目に入るもの全てを自分でカスタマイズできる」ことを目の当たりにしました。間取りや床の素材、棚の取っ手やドアノブや壁の色などの細かい部分まで全部! 実家も弟の家もそれぞれ個人の好みが出ていて面白くて、見せてもらうだけでも楽しかったです! それがとても良かったのでリノベーションしたい欲が夫婦で最高潮に達していたのです。

家についてのイラストエッセイ
当時、リノベーションしたい気持ちが爆発してつくったミニzine表紙。リノベーションでかなえたい願望を書きつづったイラストエッセイです

そこで思いついたのが「家とは別にアパートの一室を借りて、リノベーションして仕事部屋にしたらいいのでは?」というアイデア。夫に提案してみたところ、夫も乗り気でトントン拍子に話が進みました。

勢いで進むって大事ですね!!!!

実際に借りたのが、自宅から自転車で10分もかからない場所にある、築38年のアパート。8畳の1Kでユニットバスがついています。

大家さんからは「退去のときに住める状態に戻してくれるなら何をしてもOK」との許可をいただきました。あまりそういった物件がないなかですごいラッキー!でしたね。

リノベーション費用と月々の家賃を考えると、トータルで見ると引越したほうが安い可能性が高いのですが、今の環境に私も夫もとても満足しているので、リノベーションして良かったと思います。

「やりたいこと」を聞き、予算内でできることを提案してくれる施工会社を選んだ

施工会社を選ぶにあたり、まずは以前からサイトを見て気になっていた関西のリノベーション会社に見積もりを依頼してみたところ……

予算オーバー

オーバーし過ぎ〜!

私がやりたいことってそんなにお金がかかることだったのか……と思い、「素材を変えたり削ったりできる部分ってありますか?」などいろいろ聞いてみましたが、「ちょっと僕にはわからなくて一回上に聞いてみないと……」の繰り返しで、全然打ち合わせが進まず……。

しっくりこなかったのでここはお断りして、実家がお世話になった施工会社を紹介してもらうことに。

そこで見積もりを出してもらったところ、私がしたいことを予算内でしっかり考えてくださったのが伝わってきたので、そこに決めました。(例えば、私はキッチンの床にリノリウムという建材を使いたかったけれど、リノリウムにすると予算オーバーになるとのこと。でもそこで「リノリウムに似た素材があるのでそれを使ってみてはどうか?」など提案が多数あり、とても助かりました)

2社しか検討していないですが、複数で検討することはやはり大事ですね。1社目の勢いに押されて決めなくて本当に良かったです。

工事はサクサク進み、1カ月もかからないくらいで完成しました!

これが私のスペースです!(これは冬バージョン)


私の仕事スペース

夫スペース


↑こちらは夫スペース。

夫も無事に東京の会社に転職成功し、完全フルリモートで仕事しています。東京の会社に転職できたのも、この仕事場のおかげじゃ〜!!!!!!

夫婦で仕事するにあたり「お互いの存在を感じない」ことを最優先に

私たち夫婦がリノベーションにあたって一番大事にしたのはズバリ……

お互いの存在を感じない部屋

二人で仕事をしていても、お互いの存在を感じない部屋にすること! これが一番重要でした。

私は誰かが部屋にいると全く集中できない人間であり、仕事中でも隣にいる人にずっと話しかけてしまうんですよね……。今までは夫が通勤していたから必然的に一人で仕事できていましたが、同室となるとそうもいきません。

一方で夫は「とにかく話しかけないでほしい。俺は存在していないと思ってほしい」と言っていたので、お互いにとって最大の優先事項でした。

ただそれを実現する方法として、パーテーションはしっくりくるデザインのものがなく、カーテンなどの布で仕切るというのも、私的にはしたくありませんでした。

そこで思いついたのが、

「部屋のど真ん中に造作(ぞうさく)で壁をつくってもらえばいいのでは!?」というアイデア。

もう絶対これしかない! と思って、イメージイラストを描いて工務店の方に見ていただきました。以前からリノベーションしたい欲が高まっていた私は、InstagramやPinterestで「将来こんな家に住みたい……」と家に関するいろいろな画像を保存していたので、こういうイメージで……と、保存していた画像も一緒に送りました。

工務店の方に送ったイラスト
工務店の方に送ったイラスト

「どんなものを求めているのか非常にわかりやすいです!」と言っていただけたので、イラストを描いて良かったです。打ち合わせもスムーズでした。

壁の色はとあるリノベーション会社のサイトに載っていたものがすごく素敵で、「このような色にしてください」と、これも画像を見せてお願いしました。

仕事のモチベーションも効率もアップ! リノベーションでやって良かったこと


完成した仕事場

ほかにも、リノベーションでやって良かった! と思うことを挙げてみます。

1.あらかじめ「コンセント」を増設した

リノベーション先駆者の弟から「コンセントは工事後に増設するのが大変で、先に考えておかないと大変なことになるぞ」と聞いていました。

なので、事前に家電の配置場所やデスク回りの環境などを検討して「どの場所にいくつコンセントが必要か」を考えておいたのは非常に良かったです。結果、コンセントは4箇所増設してもらいました。

まずは間仕切り壁の両側に1箇所ずつ。これは私と夫のPC用の電源確保のためです。

キッチンスペースにはエスプレッソマシンと電子レンジを置きたかったので、それ用のコンセントを1箇所。

そして棚の中に1箇所増設したんですが、これは本当にやって良かったです!!

スキャナ・プリンターやスティック掃除機、その充電器などなど……部屋に出しておきたくないものを常にしまっておけるので、本当に便利。これらを出しっぱなしにしないだけで、部屋の印象はだいぶ変わってくるな〜と思います!

棚の中のコンセント
これが棚の中の奥に設置したコンセント。絶対必要!

2.間仕切り壁に「室内窓」をつくった

このリノベ最大の特徴である、部屋を分けるために取り入れた、間仕切りするための壁。その「間仕切り壁」には「室内窓」をつくりました。

いろいろなリノベーション会社のInstagramやPinterestでも、室内窓がよく出てくるんですよね。「おしゃれだな〜いいな〜」と思っていたので、「間仕切り壁」につくってもらえるようお願いしました。窓枠と壁のデザインや色は自分の好きなようにできたので、自由度は高かったです!

8畳の部屋のど真ん中に間仕切り壁があるので、圧迫感があるかなと少し心配でしたが、室内窓のおかげで圧迫感がかなり軽減されてとても良かったです。

間仕切り壁
向こう側まで見通せるのっていい!

ただ想定していなかったデメリットとしては、ダウンライトが窓ガラスに反射してチカチカすること……。そのため、反射する部分にポストカードやスワッグを飾っています。

ポストカードやスワッグを飾っている様子

3.部屋の一角に「アクセントクロス」を取り入れた

部屋の一角にアクセントクロスを張って、濃い緑色にしました! 濃い緑色に絵を飾ったらすごく映えそう〜! と思って試してみたのですが、思っていたとおりとても映えます!


アクセントクロスを取り入れた様子

白い壁にするよりも雰囲気が出て、とても気に入っています。

間仕切り壁の色が薄いグレーがかった水色なので、何色も一部屋に使って大丈夫かな? と少し心配でしたが、全然大丈夫でした。壁の色は割と冒険できるようです。

壁の色
天井の少し明度を抑えた白・壁の濃い緑・水色・壁付照明の灰色の計4色が一同に介している部分だけど、全然なじんでいる

ただ誤算だったのが、この緑色の壁がコンクリート面で、絵を飾るのが大変だったこと。普通は電動ドリルを使って穴を開けてからくぎを打ち込んで……と非常にめんどくさい工程を経てフックをつけるようですが、電動ドリルなしで壁に設置できるフックがあったので、それを使用しました。

思ったより簡単でしたが、それでも石こうに比べたら断然固くて、気軽に絵を飾れるかといわれるとちょっと躊躇(ちゅうちょ)する感じです。押しピンでひょいっと絵を飾りまくりたかったな。

もしまたリノベーションする機会があれば、インテリアスタイリストの石井佳苗さんが紹介していた「くぎをどこにでも打つことのできる1枚の壁を下地の段階でつくる方法」を実践してみようと思っています。

4.フローリングに無垢材を取り入れた


無垢材のフローリング

これも憧れていたものの一つ! 京都にある無垢材フローリングの専門店まで夫婦で行き、たくさんあるなかから選びました。

3枚ほどサンプルをもらって見比べて、1週間くらい悩みましたが落ち着いた色味と木の模様がバラエティーに富んでいて素敵だと思い、「ホワイトウォールナット」に決めました! 床を見ているだけで楽しい。趣があるわ〜。

5.玄関にアウターを掛けるためのバーを設置


玄関に設置したバー

自宅の玄関にはアウターを掛ける用のバーが元から設置されていてすごく便利なのですが、仕事場にはアウターを掛けるスペースが皆無だったので、自宅と同じように玄関にバーを設置しました。やはり便利です!!!

6.玄関近くの壁に構造用合板を張ってもらった


構造用合板

これもよくInstagramやPinterestで見て気になっていたもの。いざやってみたら玄関の雰囲気がガラッと変わりました。

以前はただの白い壁だったので何か変化がほしかったのですが、予算も結構ギリギリだったのでどうしようかなーと思っていました。そこで構造用合板はどうかとデザイナーさんに相談してみたら、お値段的にも安価だったので気軽に取り入れられました! 値段を抑えつつ雰囲気を変えたい方にオススメです。

玄関の扉側は木目が縦になるように張ってもらい、冷蔵庫側は横向きに張ってもらいました。見る側によって微妙に雰囲気を変えられるのが面白いかなと思って……。

息子の絵
こっちが木目が縦になるよう張ってもらった方。息子の絵が映えるわ〜

木の温もりも感じられるし、安いし、やって良かった!

仕事や夫婦関係にこんなメリットが。仕事場が完成して変化したこと

完成した仕事場で働くようになって、家で働いていたころに比べてたくさんの変化がありました!

1.仕事の集中力がアップ

以前は家のリビングの一角で仕事をしていたので仕事とプライベートを切り離すことが非常に難しく、仕事の合間に家事をしてしまったりして、なかなか集中できませんでした。今の環境ではすごく集中できるようになり、仕事の効率もアップ!

子どものものなど仕事と無関係のものが視界に入らなくなったので、気が散ることがなくなりました。

そして自分の好きなものに囲まれているので、テンションが上がります。

座っている位置から見える景色
座っている位置から見える景色。イラストに癒やされる〜

あと間仕切り壁のおかげで、確かにお互いの存在を感じないですね。

ただ、あの「間仕切り壁」の中には遮音シートを仕込んでもらったのですが、夫の会議中なんかは普通に声が聞こえてくるので、効果はいまいち不明。

そこで絶対欠かせないアイテムが、ノイズキャンセリング機能つきのイヤホン(Appleの「AirPods Pro」)です。

夫はほぼ毎日ミーティングがあるので、その間私はノイズキャンセリング機能をオンにして、YouTubeで雨の音や川の音など聞いています。そうすると全然気にはなりません。

一方、私もたまに打ち合わせで人と話すことがあるのですが、声が結構大きくなってしまって夫のマイクに拾われてしまうことがあったそうなので、夫は高性能のヘッドセット(Jabraの「Evolve2 75」)を導入しました。周りの音がマイクに入らない仕様でノイズキャンセリング機能もついているので、快適に仕事できているようです。

2.昼寝をしなくなった

昼寝って……とドン引きされるかもしれないですが、以前の環境では視界にベッドがあり、仕事で一息つくとそのまま寝てしまう……ということが多々ありました。

今は寝るスペースがないので、どれだけ眠くなっても耐えております!!!!

「何をするにも環境が大事」って勝間和代さんが言っていたけれど、本当にそうだったんだ……と実感中です。

3.自宅での朝家事を早く終えられるようになった

わが家の朝家事のルーティンは、

落ちているおもちゃをすべて拾う

洗濯機を回す(乾燥機付きドラム式洗濯機)

皿洗い(食洗機)

掃除機をかける

朝のルーティン

上記を大体20分ほどで終わらせて、仕事場まで行きます。便利家電って最高〜! そして早く仕事場に行きたいので、体も早く動くように!

以前は昼くらいまでに終わらせられればいいか〜とぐだぐだやっていたので、非常に時間がかかっていました。

家と仕事場がはっきり分かれていると、生活にもメリハリが出ますね!

4.夫婦の会話が増えた

ちょっと相談したいことがあるときに、すぐ話せる相手がいるのは頼もしいです。

それに、お昼ごはんを食べながら録画しておいたお笑い番組を夫婦で見るのが毎日の楽しみになりました!

ちなみにお昼ごはんのメニューは、考える手間を省きたいので完全に固定化しており、

  • 卵焼き(1人2.5個)
  • 無印良品のフリーズドライスープ(何種類も買っておいてそこから選びます)

以上です。

無印良品のフリーズドライスープ
お気に入りの味は豚肉とチンゲン菜の胡麻味噌坦々スープ。

夫はこれでは足りないので、納豆と自宅から持ってきた冷凍ご飯を追加しています。私はお腹が減ってきたらプロテインを飲んでいます。ほぼ毎日このメニューを食べていますが、お取り寄せギョーザを常備しておいて時々それを食べたり、パン屋さんでサンドイッチを買ったり、近くのイタリアンにランチ行ったり、飽きないように工夫中です。

5.なぜか健康意識が高まった

夫婦二人とも毎月漢方クリニックに通っているんですが、そこでもらったアドバイスを、お昼ごはんに反映させるようになりました(亜麻仁油を取る、みそ汁にのりを足す、タンパク質を意識するなど)。「漢方クリニックどうだった〜? 先生なんて言ってた〜?」と、健康についての会話が増えたので、自然とそうなったのかもしれません。

仕事場が完成してから1年以上たつのですが、私が産後からずっと気にしていた血糖値が少しずつ下がってきているのも良かった!

今はおやつも置いていないし、間食は食べるとしてもフルーツにしているので、どんどん健康になりそうです〜。

エバーフレッシュとゴムの木
エバーフレッシュ(左)とゴムの木(右)。自宅には観葉植物を置くスペースがないので仕事場で楽しんでいます

原状回復について

私たちがリノベーションするにあたって、大家さんから「退去するときは普通に住めるように戻してほしい」という話がありました。具体的には、間仕切り壁を撤去して、その空いた部分にほかと同じフローリング材をはめ込んでフラットにすれば、ほかの私たちが手を加えた部分はそのままでいいという話でした。

余ったフローリング
工事中の1枚。このまとめられているのが余ったフローリング。場所を取るけれどちゃんと保管しています

しかし現在、大家さんから「このままの状態でオフィスとして貸せるかもしれない」という話が出ているので、退去することになったら、その交渉を頑張る予定です。

一部屋だけなら、リノベーションのハードルは意外と低い

家を1軒まるごとリノベーションすると費用がかなりかかってしまいますが、一部屋だけのリノベーションなら値段もかなり下がるので、意外と実践しやすいのではないかと思います。

今回やってみて、正直良いことしかなかったので、思い切ってリノベーションして正解でした!

いつかは、中古マンションを購入してリノベーションしたいと思っています。そのときはたとえフルリノベーションができなくても、「仕事脳」に切り替えられるように仕事部屋だけは絶対にリノベーションしよう、そのときも間仕切り壁はオーダーしよう! と思っています。

その夢をかなえるために、これからも仕事を頑張るぞ〜!

著者:てらいまき

てらいまき

食べ物イラストが得意な京都在住イラストレーター。著書『北欧フィンランド 食べて♪旅して♪お洒落して♪』『アイスランド★TRIP』『まんぷく京都」』『子育てがぐっとラクになる「言葉がけ」のコツ』絶賛発売中!

Twitter:@maaki888maaki / ブログ:京都在住イラストレーター てらいまきのブログ

編集:はてな編集部