農地転用とは? 農地から宅地等に転用するために 必要な許可や費用、手続きの流れを解説!

最終更新日 2025年05月08日
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農地転用とは? 農地から宅地等に転用するには? 必要な許可や手続きの流れを解説!

農地を売りたい、畑だったところに家を建てたいときはどうすればいいのでしょうか?農地は自由に売買や用途変更が可能なのでしょうか? 土地や建物の登記などに詳しい、札幌土地家屋調査士会広報部理事の荒木崇行さんに話を聞きました。

農地転用とは

あまり聞き慣れない「農地転用」という言葉。まずは、そもそもの意味や対象となるケースを見ていきましょう。

農地転用の基本概念

言葉のとおり、農地を別の用途で使用することを「農地転用」といいます。農地転用には許可が必要となり、自分の土地であっても簡単に売買や転用ができないので注意しましょう。

「農地は、食糧を生産する農業を守るための大切な基盤です。そのため権利の移動や農地以外への転用については、農地法による制限があります。売買や貸借、転用を行う場合には農業委員会や都道府県知事の許可が必要です」(荒木さん、以下同)

つまり、農業振興のため、また、周辺の農地への悪影響を防ぐため、「相続したけど自分は農家を継がないから売ってしまいたい」「農業をやめて、使っていた農地でコンビニを始めたい」などの売買や転用が勝手にはできず、生産性の高い優良農地の場合は申請しても許可を得られない場合もあるのです。

農地転用の具体的な事例

農地から一般住宅や商業施設、工場、道路などに変更するケースはもちろん、駐車場利用やソーラーパネルの設置(太陽光発電)など、形状はそのままで農作以外に使用する場合も農地転用となります。農地転用が必要なケースは多岐にわたりますが、例えば以下のようなケースが対象です。

農地転用の主な対象となるケース

  • 農地内に農業用施設を建設する
  • 畑をならして、建設残土の捨て場にする
  • 農地に自分の家を建てる
  • 畑の一部を青空駐車場にする
  • 農地を別の農家へ売却する

農地転用をすれば、農家の人が自分の農地に家を建てることは可能になります。

なお、この場合の農地には稲作に使用している水田や、野菜などを育てている畑のほか、酪農家が牧草を栽培している土地、果樹園なども含まれます。

農地転用に関する法律

農地転用の手続きには、農地法上の区分が大きく関係します。3つのポイントについて、事例を交えながら解説します。

農地法の第3条、第4条、第5条がポイント

農地の売買や転用の制限については、農地法の第二章「権利移転及び転用の制限等(第3条~第15条)」に詳しく書かれています。以下はポイントとなる第3条、第4条、第5条の一部を抜粋したものです。

農地法第3条

農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない

農地法第4条

農地を農地以外のものにする者は、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可(中略)を受けなければならない

農地法第5条

農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(中略)にするため、これらの土地について第3条第1項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可(中略)を受けなければならない

法律の条文は少し難しいので、どんな場合にどの条文がかかわるのかを解説しましょう。

農地を農地のまま売る場合<農地法第3条>

「例えば、農業を営んでいる実家の農地を相続したけれど、実家には戻れないし農業を継ぐ意志もない、という人が、近隣の農家や新たに農業を始めたいという人に農地を売る場合は第3条が関係します。農業委員会に申請して許可を得る必要があります」

農地を農地のまま売却するのであれば、すんなり許可が下りそうなものですが、実はケースバイケース。

「専業農家から専業農家への農地の売却は比較的ハードルが低いのですが、専業農家から兼業農家への売却の場合は許可が下りないこともあります。将来的に農地としての利用が継続しない可能性が高いからです。また、原則、農家でない人が農地を取得することもできません。売買が可能かどうかは農業委員会が現地で状況を調査し判断するため、一概にはいえません」

イラスト

農地を他の利用目的に転用する場合<農地法第4条>

所有している農地に家やアパートを建てる、資材置場や駐車場にするなど、農地の所有者が自ら土地の用途変更をしようとする場合は、第4条がかかわってきます。農地は一度転用されると、農地に戻すことが困難になります。また、無計画な転用は乱開発につながり地域の農業に影響することも。そのため、転用には下記のような届出や許可が必要です。

◎4ha以下の市街化調整区域内の農地の転用→都道府県知事の許可が必要
◎4ha超の市街化調整区域内の農地の転用→国との協議のうえ都道府県知事の許可が必要
◎市街化区域内にある農地の転用→農業委員会に届出

市街化調整区域は自然環境や農業などを守るための土地利用を図るため、その地域の条件や状況によっては許可が下りない場合もあります。市街化区域内にある農地の場合は、農業委員会への届出のみで転用が可能ですが、自治体の条例などで転用ができないケースも。転用可能かどうかはケースバイケースですから、地元の農業委員会に相談するのが先決です。

農地を他の用途のために売却する場合<農地法第5条>

住宅地や駐車場、資材置場など、農地以外のものに転用するために売却する場合は第5条の制限を受けます。この場合は、農地の売主、買主の両者が下記のような許可を受ける、または届出を出すことが必要です。

◎4ha以下の市街化調整区域内の農地の転用→都道府県知事の許可が必要
◎4ha超の市街化調整区域内の農地の転用→国との協議のうえ都道府県知事の許可が必要
◎市街化区域内にある農地の転用→農業委員会に届出

なお、農地を相続したものの、自分は遠隔地に住んでいて農業を継ぐこともできず、農地をどうしていいか分からないという場合は、農業委員会に売却や農園としての貸し出しができるかなど、相談に乗ってもらいましょう。地域によって制限や条件が違いますから、農地のある地元の農業委員会に問い合わせることが大切です。

道路整備が必要な場合もある

農地を宅地に転用する場合、農地法をクリアするだけでなく、建築基準法も満たす必要があります。建築基準法では、建物を建てるには敷地が建築基準法で認められた道路に面していることが条件(接道義務)。農地に囲まれていて、道路と接していない土地では家を建てることはできません。道路と接するように宅地を設定するか、道路整備が必要な場合があります。

農地の多いエリアの場合、農地転用での住宅建築の実績が多い会社、知識の豊富な営業担当者がいる会社があるかもしれません。スムーズに売買や地目変更、建築を進めるために、農家の方や農業委員会などから、地元の建築会社の情報を集めてみるのもいいでしょう。

農地に家を建てたいと思ったら? 知っておきたいポイント

使っていない土地の有効活用にもつながる農地転用。では、農地に家を建てたいときにはまずなにから始めればいいのでしょう。

まずは地元の農業委員会に相談

自分が所有している農地に、自分が住むための家を建てることは不可能ではありません。ただし、農地のまま無断で建ててしまうのはNG。農地転用の際には、各都道府県知事から許可を受けなければなりません。このとき、直接都道府県知事に申請するのではなく、農業委員会への申請が必要です。具体的なステップと必要な書類を見てみましょう。

都道府県知事の許可

必要書類を提出し、転用が認められれば「都道府県知事許可」を受けられます。許可される基準としては「立地基準」と「一般基準」の2つがあり、立地基準は農地区分によって許可方針が異なります。一方、一般基準は転用計画の確実性や周辺農地への支障の有無などで判断されます。

農業委員会への届出

都道府県知事への許可申請(届出)は、転用する農地が所在する市町村の農業委員会を介して行われます。農業委員会は各市町村に設置されている行政委員会で、農地に関するさまざまな事務作業を執行しています。

つまり農地に家を建てようと思ったら、まずは地元の農業委員会や市町村役場の建築指導課へ。そのほか、土地の名義や区画の変更を行う場合、登記や測量については土地家屋調査士に相談するといいでしょう。

提出先と必要書類

申請書に、次の書類も添付しましょう。必要に応じて、戸籍謄本や印鑑証明などの追加書類を求められるケースもあります。

  • 法人にあっては、定款もしくは寄付行為の写しまたは法人の登記事項証明書(3カ月以内に発行されたもの)
  • 土地の位置を示す地図および土地の登記事項証明書(全部事項証明書に限る)(3カ月以内に発行されたもの)
  • 申請に係る土地に設置しようとする建物その他の施設およびこれらの施設を利用するため必要な道路、 用排水施設その他の施設の位置を明らかにした図面
  • 資金計画に基づいて事業を実施するために必要な資力および信用があることを証する書面
  • 申請に係る農地を転用する行為の妨げとなる権利を有する者がある場合には、その合意があったことを証する書面
  • 申請土地が土地改良区の地区内にある場合には、その土地改良区の意見書
  • その他参考となる書類

なお、申請書の送付から都道府県知事許可が下りるまでは数カ月かかるため、早めに準備・手続きを進めましょう。

農地を安く買って、地目変更をして家を建てられる?

自分が所有している農地ではなく、他の人から農地を買って宅地に地目変更をし、家を建てることは可能でしょうか?実は、農家ではない人が、農地を買うことは難しいのが現実です。
「特に、農業を保護していくために指定されている農業振興地域の場合、専業農家が買主でなければ農地の売買は難しいケースが多いといえます」

農業ではなく、住宅建築が目的で農地を買うのであれば、所有者に宅地への転用をしてもらってから購入する、という方法が考えられますが、可能かどうかは立地や地域の状況、条例になどによって違ってきます。農地の所有者に協力してもらい、地元の農業委員会に相談するのがいいでしょう。

イラスト
まとめ

農地転用は、農地を耕作以外の用途で使えるようにすること

農地転用には都道府県知事の許可が必要。許可申請の窓口は各自治体の農業委員会

農家の人は農地転用で家を建てられるが、農家以外の人が農地を買って家を建てることは難しい

農地の相続や売買、用途変更をしたいときは、まずは地元の農業委員会に相談を

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取材・文/田方みき、SUUMO編集部 イラスト/竹村おひたし
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