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自分の家でも構造や建築基準法、条例などがリフォームの自由度を左右する。一戸建てのリフォームの制約を解説しよう。
壁に向いたキッチンを対面式にしたり、二世帯住宅にするためにトイレや浴室、キッチンを増やしたりなど、水まわりの移動や増設を希望する人も多いだろう。一戸建てでの水まわりリフォームは、マンションに比べると制約が少ないといえる。
ガスコンロからIHクッキングヒーターへの変更も、一戸建ての場合は特に制約はない。ただし、分電盤が200Vにも対応したものかどうかで費用が違ってくる。築年数が古く200Vに対応していない場合は別途費用が発生する。200V対応かどうかは電気メーターを確認してみよう。
最近は、携帯電話の充電器、パソコンと周辺機器、キッチン家電など、電気が必要なものが増えている。そのため、コンセントが足りない!という家も多い。コンセントの増設や移動は比較的容易にできる。ただし、電力使用量が増えると、電力会社との契約を見直す必要が出てくるので注意したい。
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・コンセント増設のリフォームの費用。おすすめのコンセント増設場所
窓の数を増やしたり、窓を大きくするリフォームは、増改築などの大規模なリフォームと併せて行うのが現実的だ。窓のサイズアップや増設をすると壁の量が減り開口部が増える。このため、建物の断熱性や耐震性に影響が出ないよう、十分な耐震性、省エネ性が確保できる設計をしたうえで行う必要があるからだ。
一方、窓のサッシ交換などは、一般的なものであれば1か所半日程度で可能。複層ガラスや樹脂サッシの製品を採用することで断熱性を高め結露も防止できる。「浴室の窓から冷気が入って寒い」といった不満がある場合、ヒートショックなどを防ぐためにも検討したいリフォームだ。
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・窓やサッシリフォームともらえる補助金
| 建ぺい率 | 敷地面積に対する建築面積の割合。1階部分を増築する際は、建築後の建築面積が建ぺい率の範囲に納まることが必要。 |
|---|---|
| 容積率 | 敷地面積に対する建物の延床面積の割合。増築する際は、建築後の延床面積が容積率の範囲に納まることが必要。 |
まず知っておきたいのは、住宅の建築面積の上限は、敷地ごとに決められた建ぺい率と容積率によって制限を受けるということ。例えば、100m2の敷地で建ぺい率60%、容積率120%なら、増築後の家の建築面積は60m2、総床面積は120m2が限度だ。
また、平屋から2階建てに増築する場合は、柱や壁を補強するなどの方法で可能なケースが多い。しかし、2階建てを3階建てにするのは、基礎部分のつくり方の違いで難しいケースが多い。
建築基準法等の改正により2025年4月から、2階建て以上の木造一戸建てで増改築や大規模なリフォームを行う場合には「建築確認手続き」が必要となった。さらに、延べ面積が100m2を超える住宅の大規模リフォームは、建築確認手続きと合わせ、建築士による設計・工事監理も義務付けられた。
「大規模なリフォーム」とは、壁・柱・床・はり・屋根など建物の主要構造部に行う一定以上の改修等を指すため、増改築する場合はほぼ該当するといえる。そして、増改築を行う部分については、新築住宅と同レベルの「省エネ基準」への適合が必要となる。
なお、「キッチンやトイレ、浴室等の水まわりのリフォーム」「クロスの張り替え、構造に影響しない床の張り替えなどの内装工事」「屋根や外壁の塗り替え」など建物の主要構造部に影響のないリフォームは、大規模リフォームには含まれない。
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・2025年4月から。大規模リフォームに関する建築基準法改正を解説
増改築と併せて、窓や躯体の断熱改修など所定の省エネリフォームを行うと補助金の対象になることも。また、断熱性能の高い内窓や高効率給湯器への交換リフォームを対象とした補助制度もある(住宅省エネキャンペーン2025)。
税制の優遇制度は、所得税の控除が受けられる「リフォーム促進税制(リフォーム減税)」と「住宅ローン控除」のどちらかを選択して利用できる。
「リフォーム促進税制」は、「耐震・省エネ・バリアフリー・同居対応・子育て対応・長期優良住宅化」のいずれかの条件に合うリフォームを行う場合に利用できる。所得税の控除のほか、固定資産税の軽減措置も受けられる。
住宅ローン控除は、住宅ローンを借りてリフォームを行うと、所定の額が10年間所得税から控除される。返済期間10年以上のローンを組んでリフォームする場合、リフォーム促進税制と住宅ローン控除それぞれの控除額を、リフォーム会社等に試算してもらって決めるといいだろう。
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・【2025年版】リフォームで使える補助金と減税制度
1981年以前に建てられた住宅は、現在の耐震基準より耐震性能が低い可能性が高いため、増改築と併せて、耐震診断・耐震改修の検討をお勧めしたい。国や自治体では、住宅の耐震化を進めるため、1981年以前建築の住宅対象に、耐震診断や耐震改修費用の一部を補助する制度を設けている。詳しくは住まいのある自治体に相談してみよう。
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・地震に強い家をつくる。耐震性の高い住宅にする際の補助金・減税制度
一戸建ての間取り変更の自由度は、建物の構造によって違ってくる。柱と梁で建物を支えている木造軸組工法(在来工法)などの場合は、間仕切りをとって部屋を広くしたりといった変更もしやすい。
窓の増設や移動も、建物の構造が関係する。建物の強度に影響のない外壁なら、窓の増設・移動は可能だが、建物を支えている耐力壁に新たに開口部を設けることは難しい。
構造や工法で異なる間取り変更の自由度については、下の表を参考にしよう。
| 工法・構造 | 間取り変更の自由度 |
|---|---|
木造軸組工法(在来工法)![]() |
建物の重さを柱と梁で支え、横からかかる力には斜めに渡した筋交いで抵抗する木造住宅。間取り変更の自由度はかなり高い。建物を支える柱の移動はできないが、間仕切りになる壁は移動しやすいので、大胆な間取り変更も可能。 |
プレハブ工法![]() |
工場生産された床、壁、天井などを現場で組み立てる工法。間取り変更は、柱や梁で建物を支える「鉄骨系」の場合は木造軸組工法同様、自由度が高い。壁で建物を支える木質系、コンクリート系は制限が出る。 |
2×4工法(枠組壁工法)![]() |
パネル状の床、壁、天井が建物全体を支える。「面」で支えているため窓やドアの増設は困難。また、建物を支える間仕切りは抜くことができない。 |
| 鉄骨造 | 鉄骨の柱と梁で建物を支える。重量鉄骨造は間取り変更の自由度は高い。軽量鉄骨造は建物を支える耐力壁の移動ができない制約がある。 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 鉄筋とコンクリートで造る工法。柱と梁で建物を支えるラーメン構造は、間仕切りの壁をはずせるので間取り変更の自由度は高い。壁と床で支える壁式構造は、耐力壁の移動に制約がある。 |