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一口にフルリフォーム(全面リフォーム)といっても、どんな工事をするかで、かかる費用はさまざまです。今回はフルリフォームの費用相場をSUUMOの調査データを基に紹介!築年数やフルリフォームの内容による費用相場の目安、費用を抑えるポイントについて、数多くのリノベーションを手掛ける「リノべる。」に伺いました。
リフォームやリノベーションなど、住まいの改修を表す言葉はいろいろとありますが、「リフォーム」が、不具合の修繕や原状回復のための部分的な改修を指すのに対し、付加価値を与えるような大規模な改修は「リノベーション」としてイメージされることが多いようです。ただし、どちらの表現も法律などで明確に定義されているものではありません。
フルリフォーム(全面リフォーム)の場合は、「リフォーム」とはいえ、全面的な改修になるため、通常、リノベーションのような大掛かりな改修を指します。しかし、一から建物を新築する「建て替え」とは異なり、基礎や柱や梁などの構造(躯体)部分は残して、暮らしに合わせて改修します。
なお、リノベーションの場合は見えない配管についても手を加えることが一般的ですが、フルリフォームといった場合、リフォームの規模についてはケースバイケースで、クロスや建具など、住まい全体の表層的な部分のみ改修を行うケースから、躯体のみの状態(スケルトン)にして、配管などにも手を加えるケースまでさまざまです。
フルリフォーム(全面リフォーム)のメリットは、建て替えよりも短い期間でコストを抑えながら、既存の建物をバリューアップすることができる点です。
「建て替えは基礎、柱、梁などの構造体すべてが新しくなるのが魅力ですが、その分工期もコストもかかります。新築費用だけでなく、取り壊した部材などの廃棄費用も必要になり、建て替えの場合は『暮らし』に影響が大きい内装や家具などにまで、予算をまわしにくいということがあります」(「リノべる。」、以下同)
フルリフォームであれば、建て替えよりも費用を抑えられる分、暮らしへのこだわりをより反映させた住まいづくりが可能になるというのは、魅力的な点だといえます。

また、立地によっては、今建っている建物を解体してしまうと、新たな家を建てられない「再建築不可物件」というケースもあります。既存の家が古くなり、住みにくさを感じているのに建て替えができないという場合でも、フルリフォーム(全面リフォーム)であれば、既存の建物を利用して、住み続けることも可能です。
再建築不可物件とは? 後悔しないために知っておきたい再建築不可物件のメリット・デメリット
「マンションの建て替えのケースでは、既存建物を同規模の新築に建て替えた場合と比較して、リノベーションのほうがCO2排出量を75%と廃棄物排出量を96%削減できるという調査結果※があります。一戸建ての建て替えの場合においても、一定の環境負荷削減の効果が期待できると思います」
※下図参照
建物を解体し、廃棄した上で新たな建物を建てる建て替えに対し、既存の建物を活かすフルリフォーム(全面リフォーム)は、環境に優しい住まい方の選択肢の一つといえます。

マンションの場合、そもそも住戸単位で建て替えることはできませんが、フルリフォーム(全面リフォーム)であれば、間取りや配管なども一新することが可能です。劣化している部分の刷新はもちろん、新築の場合と同じように、自分たちの暮らしに合わせて間取りをつくることができます。

フルリフォーム(全面リフォーム)では、建物の構造によって、間取りの変更に制約がかかることもあります。例えば、構造上撤去しても問題のない間仕切り壁であれば問題ありませんが、建物を支える耐力壁は動かすことはできません。
さらに、マンションの場合は規約でリフォームの範囲などに制限を設けていることもあるため、フルリフォームを計画する際には、管理規約や契約書などをきちんと確認するようにしましょう。
また、一戸建ての場合はマンションよりも制約は少ないですが、技術的に可能でも、コスト的に見合わないというケースもあります。一から間取りをプランニングできる建て替えと比べると、フルリフォームの間取りの自由度は低いといえるでしょう。

フルリフォーム(全面リフォーム)は建て替えに比べれば費用を抑えることができますが、部分的なリフォームと比較すると、大掛かりな工事になるため、費用は高額になります。
また、住んでいる家をスケルトンリフォームする場合などは、工事期間中の仮住まいの費用なども必要です。

フルリフォーム(全面リフォーム)の場合、きちんと事前調査を行っても、工事が始まらないとわからないこともあります。
「構造体の正確な寸法など、解体してみないとわからないこともあります。図面や想定の躯体のサイズが異なり、サイズが特注になることや、工法が変わることなども場合によってはあります。しかしながら、ある程度は竣工図などから予想できることもあるため、しっかりとそのあたりのコストを含んで検討する企業に依頼するのが良いでしょう」

フルリフォーム(全面リフォーム)といっても、スケルトンリフォームのような大規模な改修の場合と、表層の変更や修繕などを行う場合とでは費用は大きく異なります。
2019年4月時点リフォーム実施者調査(SUUMO)によると、「間取り変更・スケルトンを目的としたリフォーム」を行った人の費用の中心価格帯は、一戸建ての場合は1200~1500万円、マンションの場合は600~900万円です。
また、各ケースの費用幅は大きく、工事規模によっても金額は変わるため、相場となると、一戸建ては800~4000万円、マンションの場合は600~3000万円が目安となります。
なお、「リノべる。」によると、首都圏のワンストップサービスにおけるリノベーション価格は、約68mで1570万円程度が平均的な価格だそうです。
| 80~100平米 | 約800万円~2000万円 |
|---|---|
| 100~120平米 | 約1500万円~3000万円 |
| 120~150平米 | 約2000万円~4000万円 |
| 60~70平米 | 約600万円~1000万円 |
|---|---|
| 70~80平米 | 約800万円~2000万円 |
| 80~90平米 | 約1000万円~3000万円 |
持ち家ではなく、中古物件の購入に際してフルリフォーム(全面リフォーム)を行う場合は、スケルトンにして一新することを前提にしているので、物件価格が落ち着いた、築年数がある程度古い物件を選ぶケースが多いようです。築浅の場合は部分リフォームとなることもあるため、築古のほうが築浅のケースよりもリフォーム費用がアップする傾向があります。ただ、築浅は物件価格が上がるため、トータル費用で考えると良いでしょう。
「建物が旧耐震か新耐震※かというのは工事費用に影響します。一戸建てで旧耐震の場合、新耐震基準を満たすレベルまで耐震補強をするとなると、その分費用は高くなります。
また、給排水管の交換が必要かどうかという点も、費用を左右するポイントです。マンションの場合は、築20年程度であれば、樹脂系の給排水管を使っていることが多いので、そのまま交換せずに工事をするケースもありますが、築30年以上の場合、鉄の管を使っていることも多く、錆が発生しているなど交換が必要なことも少なくありません。給排水管の交換の有無については、築20~30年というのが、目安になります」
※1981 年の建築基準法改正以前の基準である「旧耐震基準(旧耐震)」と区別して、それ以降の耐震基準を「新耐震基準(新耐震)」と呼ぶ
「フルリフォーム(全面リフォーム)となると、キッチンは壁付けだったものを、対面キッチンやアイランドキッチンにするなど、設備の交換だけでなく位置の変更などをご希望いただく場合も多いです。浴室の場合も、システムバスを新しいものにするだけでなく、位置変更から行うケースも少なくありません。
また、費用は設備のグレードや仕上げによって大きく左右されますが、特にキッチンや浴室は設備の選び方次第で、100万円以上総費用が変わることもあります」
| リフォームの内容 | リフォーム費用の目安(SUUMO調べ) |
|---|---|
| 位置を変えずにキッチン(システムキッチン)を交換する | 80万円~120万円程度 (I型壁付けキッチン標準グレード、間口255cm程度、内装は変えない場合) |
| 壁付けを対面キッチンに変える | 150万円~280万円程度 (I型対面キッチン標準グレード、腰壁造作、間口255cm程度、内装を一新する場合) |
| もともとの浴室 | リフォーム後の浴室 | リフォーム費用の目安(SUUMO調べ) |
|---|---|---|
| システムバス(ユニットバス) | システムバス(ユニットバス) | 約60万円~約120万円(マンション0.75坪) |
| 在来工法の浴室 | システムバス(ユニットバス) | 約80万円~約160万円(一戸建て1坪) |
| 在来工法の浴室 | 在来工法の浴室 | 約200万円~350万円(一戸建て1坪) |
| システムバス(ユニットバス) | 在来工法の浴室 | 約150万円~約300万円(一戸建て1坪) |

内装については、間取り変更をしない場合も、クロスやフローリングの張り替え、建具交換などを行うことで見た目は一新されます。
「クロスや床の張り替えは、それほど大きく価格に差がでる部分ではありませんが、建具は意外とコストアップしがちな部分です。例えば、収納をたくさんつくりたいという要望がある場合、収納のすべてに扉をつけると予算が大幅にアップすることもあるので、そのような場合は扉を使用せず、ファブリックなどを使う仕切り方や、オープンの収納にして、既製品の収納ボックスを組み合わせる方法を提案することもあります」
| 内装(スタンダード) | リフォーム費用の目安(SUUMO調べ) |
|---|---|
| 壁・天井ビニールクロス張り替え | 約10万円~15万円 |
| 床の上張り(複合フローリング) | 約15万円~20万円 |
| 内装(ハイグレード) | リフォーム費用の目安(SUUMO調べ) |
|---|---|
| 壁・天井ビニールクロスを珪藻土に | 約30万円~40万円 (15畳程度のリビング・ダイニング) |
| 床の張り替え | 約40万円~80万円 (15畳程度のリビング・ダイニング) |
| 収納(スタンダード) | リフォーム費用の目安(SUUMO調べ) |
|---|---|
| 壁面収納(造作) | 約15万円~35万円 (間口2~3m程度、天井いっぱいのサイズ) |
| 収納(ハイグレード) | リフォーム費用の目安(SUUMO調べ) |
|---|---|
| 壁面収納ユニット | 約30万円~100万円 |

一戸建ての場合は外壁・外装・屋根の工事が発生することもあり、その分、マンションの場合よりも、リフォーム費用の相場は高くなる傾向です。
「屋根や外壁、外装の工事をするには足場を組む必要がありますが、足場工事代を含めると外壁・外装・屋根の工事費用だけで数百万円になることもあります」
| リフォームの方法 | リフォーム費用の目安(SUUMO調べ) |
|---|---|
| 塗り替え | 約60万円~100万円 |
| 重ね張り | 約150万円~300万円 |
| 張り替え | 約200万円~500万円 |
| リフォームの方法 | リフォーム費用の目安(SUUMO調べ) |
|---|---|
| 塗り替え | 約50万円~60万円 |
| 重ね葺き | 約100万円~200万円 |
| 葺き替え | 約150万円~300万円 |
今住んでいる家のフルリフォーム(全面リフォーム)を検討するのなら、最初の一歩は見積もりの依頼です。見積もりはトータルコストの高い安いだけでなく、工事内容や提案力なども加味して比較しましょう。契約の後、予算に合わせて詳細のプランニングを行い、工事がスタートします。工事内容や規模にもよりますが、例えばマンションのスケルトンリフォームの場合、工事開始から引き渡しまでは3カ月程度かかるのが一般的です。
なお、中古物件を購入してフルリフォームを考えている場合は、物件探しの期間も必要になります。物件探しには、自分で探す場合と、プロに物件探しから依頼をするワンストップサービスがあります。いずれの場合にも、入居したい日が決まっている場合は、物件探しの期間も考慮した上で、余裕をもって計画的に進めるようにしましょう。
リフォームの場合、解体をしてみないとわからないこともあると前述しましたが、解体後に追加工事が必要となるケースもあります。そのような場合は、追加工事の必要性について十分に確認をした上で、きちんと見積もりを出してもらうようにしましょう。
また、追加の補修以外にも、フルリフォーム(全面リフォーム)で追加工事が発生するケースとしては、施主側の要望追加によるものも少なくないそうです。
「工事着工前にすべてのプランをフィックスさせるのが理想ですが、それでも工事が進むうちに追加の要望が出てきてしまうこともあります。そういった場合、できるだけ余計なコストがかからないようにするためにも、早いタイミングで相談をすることが重要です。
例えば、すべての木工事が終わった後に、棚を増やしたいとなると、その追加工事のためだけに、木工事の職人さんを呼ぶことになり、工事単価はアップせざるをえないということになります」

フルリフォームを計画する際、多くの人が思い描く理想の住まいを実現できると期待します。しかし、実際には建物の構造や建ぺい率や容積率、土地の状況によってリフォームの内容が制限されることがあり、必ずしも自由に設計できるとは限りません。
特にマンションの場合は、管理規約によって次のような制限があります。まず、共用部にあたる玄関ドアや窓といった建具は変更できません。そして、特に注意が必要なのは、ガスや電気まわりの工事、キッチン全体やシンクの移動、そして床材です。
マンションの場合、専有部分であっても電気まわりは管理組合に工事の許可が必要です。穴を開けたりコンセントを設置する場合等も、まずは管理組合へ確認するようにしましょう。
また、IHヒーターへの変更やレンジフードの移動は、マンション全体の電力供給量や給気、排気ダクトの構造に制限を受けることがあります。
特に、マンションの場合は排水管がコンクリート構造体に埋め込まれており、共用部分に属することが多いため、水まわりの位置を変更することが難しい場合があります。特に1980年代前半以前のマンションでは構造的に制限が多い傾向です。
さらに、マンションの床は上下階への騒音伝播を防ぐ重要な役割を果たしています。床材を変更する際は、防音性能を維持または向上させる必要があり、管理規約で指定された遮音等級を満たす床材を使用しなければなりません。(参考 国土交通省「マンション標準管理規約)
これらの制限は、建物の構造や他の住人への配慮から設けられています。リフォームを検討する際は、早い段階で管理組合や専門のリフォーム会社に相談し、実現可能な範囲を確認することが重要です。
制限を理解し、その上で工夫を凝らせば、理想の住まいに近づけるチャンスが広がります。事前の十分な調査と計画が、満足度の高いリフォームにつながるでしょう。
大規模なリフォームとなると、あれもこれもと要望が出てきて費用がかさむものですが、リフォームでかなえたい暮らしをしっかりとイメージして、優先順位を明確にしておくと、リフォーム費用を抑えることができます。
「例えば、キッチンで過ごす時間が長いなら、その分お風呂はシンプルにしたり、素材も、職人の作業量が増えるものは避け、タイルではなくフロアシート、塗装ではなく躯体現しにするなどもおすすめです。既存の建具や設備を再利用するのも手です。
何を実現したくてリフォームを行うのかということを明確にしておくと、譲れない部分と、コストダウンできる部分が見えてきます。費用を抑えたい場合は、優先順位の低いポイントについてはグレードの見直しや、予算に見合った価格のもので対応できる場合もあります。
無理だと思っていても、メリハリをつければ予算の範囲で実現できることはあると思うので、まずは優先順位をしっかりとつけて、施工会社などに相談をしてみるといいと思います」

省エネ、バリアフリー、耐震といった目的のリフォームの場合、国や自治体の補助金などを活用できるケースもあります。
「いろいろな補助金や制度がありますが、それぞれ申請のタイミングや条件などが異なります。自分のケースで活用できる制度などがないか、早めに情報収集をしておくのがおすすめです。最近では、補助金の助けもあり、リノベるでは二重窓の採用戸数が3年で3.4倍に増加しました。」
工事着工前の申請が必要な場合もあるので、余裕をもって情報収集を行い、早めに施工会社などに相談をすると安心です。
フルリフォームの費用を抑えるコツの一つは、工事をまとめて行い、その内容に適した施工業者に依頼することです。断続的に小規模なリフォームを繰り返すよりも、一度にまとめて行うことで、足場の設置費用や現場管理費、職人の手間賃を大幅に削減できます。
例えば、屋根と外壁の塗り替えを同時に行えば、足場の設置は1回で済み、コストが抑えられます。
また、施工業者選びも重要です。建築関連の会社には外壁や屋根など専門分野を持つ会社や複合的にリフォーム全般を施工する会社があります。フルリフォームの場合にはリフォーム全般を施工する会社に依頼したほうが効率的です。
リフォーム会社の実例や施工実績の確認やリフォームの内容を十分に検討し、それに適した施工業者を選ぶことが、コストダウンと高品質な仕上がりの両立につながるでしょう。
フルリフォームの費用を抑えるための重要な方法の一つは、適切なローンを選択することです。リフォームの規模や個人の家計の状況を考慮し、最適なローンを選ぶことで、長期的な費用負担を軽減できる可能性があります。
リフォームローンには主に無担保型リフォームローンと有担保型リフォームローンの二つがあります。無担保型リフォームローンは、1000万円未満の小・中規模のリノベーションに適しており、担保不要で借入が可能です。審査も比較的通りやすいですが、金利はやや高めの設定です。
一方、有担保型リフォームローンは、1,000万円以上の大規模なリノベーションに適しています。担保が必要ですが、金利が低く、最大35年の長期ローンを組むことができます。
また、中古物件の購入と同時にリフォームする場合は、【フラット35】リノベを活用することが賢明です。住宅ローンは借入額上限が1億円程度と大きく、返済期間も最長35年まで設定可能で、金利も低いことが特徴です。
金融機関で住宅ローンを組む場合は、中古住宅は10年、新築物件は13年、住宅ローンの年末残高の0.7%に該当する金額が所得税や住民税から減額されるため、住宅ローン控除の活用も検討すると良いでしょう。
これにより、月々の返済額を抑えつつ、大規模なリフォームを実現できます。
ローンを選ぶ際は、単に金利の低さだけではなく、返済期間や借入限度額、審査の難易度などを総合的に考慮することが重要です。また、自治体や公的機関が提供する低金利ローンやローン減税、補助金制度も併せて検討し、自分の状況に合ったプランを選択しましょう。
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ここからは実際にフルリフォームの実例を見てみましょう。
※紹介している費用は概算。また、施工当時の価格のため、現在の価格とは異なる場合があります
※実例の画像はすべて「リノべる。」提供
結婚を機に中古物件を購入して、フルリフォームを行ったNさん夫妻。お気に入り家具が映えるような床材を選択し、壁も家具とのバランスを考えた色合いにしました。また、料理が好きということで、洗面室や浴室などの水まわりはコンパクトにまとめ、キッチンの広さを確保。さらに、このフルリフォームでは夢だったアトリエも実現し、仕事場として集中できる環境も手に入れることができたそうです。
フルリフォームの場合、大きく間取り変更をすることは少なくありませんが、Nさん夫妻は基本的に既存の間取りを踏襲しつつ、ポイントを押さえて使いやすく改善。玄関から寝室に直接アクセスできるようにしたり、キッチンを少しだけ広くして冷蔵庫や収納の場所を確保したり、洗面スペースを少し小さくして浴室を広くしたりと、自分たちの生活スタイルに合わせて変更したそうです。



リフォーム費用 約1300万円(2020年当時)
面積 62.03m2
間取り 2LDK→2LDK
建物 中古マンション
構造 鉄骨鉄筋コンクリート造
完工時築年数 築36年
新婚旅行で行ったバルセロナのホテルから得た着想に、お気に入りのショップのイメージもかけ合わせてコーディネートした室内。無機質なモルタルと白壁のシンプルな空間に木の温かみがプラスされ、上品な雰囲気にまとめられています。フルリフォームでは細部まで自由に決められるということで、トイレの鍵やブラケット照明など、さまざまなこだわりのアイテムを自分たちで手配。小さな所にも愛着がもて、ものを長く大事に扱おうと思えるようになったそうです。
また、フルリフォームの最大の利点は、生活スタイルや趣味に合わせて住空間をつくることができる点と話す夫妻は、間取りも大胆に変更。LDKの中心にはダイニングと一体化したアイランドキッチンを据え、友人を招いてホームパーティーもできる空間にしました。さらに、リビングには手前に引き出す収納と、畳を外して使う2種類の床下収納を備えた小上がりを設置。家族が増えてからの暮らしもイメージした、暮らしやすい住まいになりました。



リフォーム費用 1000万円台(2019年当時)
面積 63.0m2
間取り 2LDK→2LDK+WIC
建物 中古マンション
構造 鉄骨鉄筋コンクリート造
完工時築年数 築50年
新築するよりも費用面で無理がないという点に加え、まだ使える家は修復して活用したいという思いが重なり、フルリフォームを選択したTさん。コストが抑えられた分、デザイン性も機能性も妥協せずに部屋づくりができたそうです。現在、フルリフォームした一戸建てはゲストハウスとして活用しています。
ゲストが団らんを楽しむ場所となる1階は、日本家屋ならではの味は残しつつ、開放的な空間にするため、筋交い(すじかい)という補強材を残して壁を撤去。2階は休息とくつろぎの場所としてプランニングし、くつろぎ感のある和モダンな空間に仕上げました。随所に築47年の日本家屋ならではのレトロな雰囲気も残しつつ、機能は刷新。工事費用は1000万円(2019年当時)以下で、こだわりの詰まったおもてなしの空間へと生まれ変わりました。



面積 56.28m2
間取り 3LDK→2LDK
建物 戸建て
構造 木造在来軸組工法
完工時築年数 築47年
既存の建物を上手く活用すれば、建て替えをしなくても、予算に合わせて希望の住まいをつくることは可能です。これからのサステナブルな住まい方の選択肢の一つとして、フルリフォーム(全面リフォーム)を検討してみるのはいかがでしょうか。
フルリフォーム(全面リフォーム)とは基礎部分は残し、全面的に改修などを行うこと。建て替えよりも費用や工期を抑えられる
一戸建てのほうがマンションよりもリフォーム費用は高くなる傾向。また、築年数や、リフォーム箇所によっても費用は大きく異なる
省エネ・バリアフリー・耐震などに関わるリフォームなら、補助金や減税制度を活用して費用を抑えることもできる