1LDKのマンションを購入したい!売却しにくいのは本当?間取りの特徴も解説

公開日 2024年08月09日
1LDKのマンションを購入したい!売却しにくいのは本当?間取りの特徴も解説

少人数の暮らしに適した1LDKのマンション。新築や中古で分譲マンションを購入する、または賃貸を探す場合、事前に実際の広さや間取りのタイプについて知っておいたほうがよいでしょう。

また、住み替えの可能性がある以上、中古で販売する際のリスクを考えておくことも大切です。らくだ不動産の山本直彌さんと村田洋一さんのお話をもとに、売れない1LDKにしないための注意点や、資産価値を高めるポイント、東京と大阪の相場価格などを紹介します。

1LDKのマンションの広さはどれくらい? 何人家族にちょうどいい?

1LDKの平均的な広さ

1LDKとは、リビングルーム(L)、ダイニング(D)、キッチン(K)と、一つの居室で構成された間取りのこと。一般的には、居室部分が寝室として使用されます。

「1LDKのマンションの標準的な広さは35~50m2です。なお、不動産公正取引協議会の基準では、1LDKにおけるLDKの広さは『8畳以上』と定められており、8~10畳ほどのLDKが平均的な広さといえます。なお、LDKが8畳未満の場合は表記が1DKとなります」(山本さん)

1LDKの間取り
1LDKは、LDKと居室で構成されたシンプルな間取り(SUUMO編集部作成)

1~2人暮らしに適している

「1LDKは1~2人暮らしに適した間取りであるため、単身者やお子さんのいない夫婦に人気です。または、夫婦と小さなお子さんが1人という3人家族も1LDKで暮らせますが、この場合はお子さんの成長に伴い将来的には住み替えが必要になってきます。大人の3人暮らしやお子さんが2人以上いる家族は1LDKでは手狭と考えたほうがよいでしょう」(山本さん)

国土交通省策定の「住生活基本計画(全国計画)」には、世帯人数ごとに適した面積の目安が記されています。2人暮らしの最低居住面積水準は30m2、3人の場合は40m2、4人の場合は50m2と定められています。

1LDKのマンションの間取りにはどんなタイプがある?

1LDKは2LDKや3LDKと比較するとシンプルな間取りが特徴です。間取りのタイプは大きく4つのタイプに分類できます。それぞれの特徴を解説していきます。

オーソドックスな「縦並びタイプ」

LDKと居室が縦に並ぶタイプの間取りです。

「団地などに多い間取りで、近年の新築マンションでは珍しくなりました。居室に入るためにはLDKを介さないといけないため、プライバシー性が低いのがデメリットです。一方で、家族のコミュニケーションが増えるというプラスの捉え方もできます」(山本さん)

「昔ながらのレイアウトですが、可変性の高い間取りであることが長所です。LDKと居室の間の壁を取り払って1Rにリフォームすることも可能です」(村田さん)

縦配置の間取り
シンプルな縦並びの間取りは単身者に人気(SUUMO編集部作成)

工夫次第で開放感を演出できる「横並びタイプ」

「LDKと居室が横に並んだ間取りは1LDKの中で最も多いレイアウトです」(山本さん)

LDKと居室の間が引き戸になっている場合、仕切りを開け放して一つの空間としても活用可能です。来客の際は仕切りを閉じてプライベートな空間を隠すことができます。

横配置の間取り
LDKと居室を繋げて使えば、限られた面積であっても開放感を味わえる(SUUMO編集部作成)

生活動線が便利な「回遊タイプ」

「近年、最も人気なのが回遊型の間取りです。玄関、LDK、水まわり、居室が回遊動線で結ばれた配置になっており、従来の1LDKの不自由さを克服している点が特徴です。LDKを介すことなく寝室から水まわりに行けたり、寝室で寝ている人を起こさずに移動できるといったメリットがあります。近年登場した間取りのため、新築マンションを購入する人は選択肢に入れやすいと思います」(山本さん)

「間取りの可変性の高さという観点では縦並び型や横並び型に劣ります。リフォームの際に間取りの変更がしにくいため注意しましょう」(村田さん)

回遊型動線の間取り
1LDKでありながら生活動線も重視できる(SUUMO編集部作成)

上下階に分かれた「メゾネットタイプ」

全体として数は少ないですがメゾネットタイプの1LDKもあります。リビングと居室を分けて生活空間を明確に区切りたい人やプライバシー性を重視したい人、マンションに住みながら一戸建てのような暮らしがしたい人に適しています。

メゾネットタイプの間取り
上下移動が発生するため生活動線が長くなってしまうという弱点も(SUUMO編集部作成)

1LDKのマンションが向いているのはどんな人?

1LDKの暮らしが合っているのはどんな人でしょうか? 山本さんと村田さんによると、単純に家族構成だけでは判断できず、ライフスタイルや働き方等も考慮したほうがよいそうです。

少ない人数で生活する人

先述した通り、1LDKは単身者や子どもがいない夫婦、夫婦と小さな子どもの3人家族など、1~3人ほどの少ない人数で暮らすのに適しています。ただし、少ない人数であっても「家族1人ずつ部屋がほしい」とか「寝室の他に個室の書斎やワークスペースが必要」「子ども部屋がほしい」といった希望がある場合、1LDKでは実現が難しくなります。

赤ちゃんのいる夫婦
子どもがいる場合は、寝室で両親と一緒に寝られるくらいの年齢までが1LDKの暮らしに適している(画像/PIXTA)

昼間は家にいない人

「1LDKのマンションは駅近くの生活利便性が高いエリアに多いことから、昼間はオフィスに出勤して夜間に帰宅するといったライフスタイルの人に適しています。日中はほとんど家にいないなら採光条件や眺望等の優先度を下げられるため、その分、選べる物件の選択肢が増えてきます。ただし、共働きの夫婦であっても、2人とも在宅ワークをしている場合は1LDKだとお互いのワークスペースを確保するのが難しくなるため注意しましょう」(山本さん)

マンションに帰宅する女性
1LDKは仕事に注力している単身者や共働きの夫婦に人気(画像/PIXTA)

将来的な住み替えもビジョンに入れている人

結婚、出産、親との同居などライフスタイルの変化に伴い1LDKでは暮らせなくなってしまう可能性があります。子どもの成長や親との同居など将来のことを見越して、1LDKからもっと広い部屋へ、または一戸建てへの引越しをする人は少なくありません。

「1LDKのマンションを購入する場合は、手放すときのことを想定し、損害を最小限に抑える『出口戦略』が重要になります。住み替えのことを視野に入れてマンションを探すことをおすすめします」(山本さん)

引越しの様子
コンパクトな間取りの1LDK。引越しの可能性を視野に入れることが大切(画像/PIXTA)

投資目的で購入する人

家賃収入を得る目的で投資用に1LDKのマンションを購入する人もいます。投資用マンションは空室リスクの少ない単身者向けの間取りが主流で、立地や利便性が重視されます。

投資用マンションのイメージ
単身世帯が増加傾向にある昨今、1LDKの部屋は今後も需要が見込める(画像/PIXTA)

1LDKのマンションの探し方のポイント

ライフスタイルや価値観に合った間取りや設備を選ぶ

「レイアウトのバリエーションが少ない1LDKですが、ライフスタイルや価値観に合った間取りや設備を選ぶことで快適に暮らすことができます。プライバシー性や生活動線の利便性、日当たりの優先度など、重視したい要素をあらかじめ整理しておくと住まい探しがスムーズになります」(山本さん)

投資用マンションのイメージ
住まいに求める条件を明確にすることで、入居後のミスマッチを防げる(イラスト/青山京子)

探しやすい時期は2~3月

「人事異動や進級・進学で引越す人が多い2月と3月は1LDKに限らず物件が探しやすい時期です。特に賃貸であれば、この時期が1年で最も物件が出やすくなります。多くの人が住まい探しをするため、よい条件の物件はすぐになくなってしまう可能性も。なるべく早めに、できれば1月中旬から動き出すのがベストです」

カレンダー
物件が出やすい時期は競争率も高くなるため、早めに動き出すことがポイント(画像/PIXTA)

街の利便性を重視する

「一人暮らしであれば街の治安は気になるポイントかと思います。安心・安全に暮らすために治安は重視したほうがよいでしょう。同時に、街の利便性も無視できません。日中は仕事に注力している人であれば特に、通勤のしやすさや商業施設の充実度をチェックしておくことを推奨します。夜間も営業しているスーパーやコンビニの有無、飲食店の多さなどによって暮らしの快適度は変わってきます。こういった要素は、マンションを売却する際の資産性にも関わってきます」(山本さん)

スーパーで買い物をする夫婦
仕事で帰宅が遅くなる場合、夜間も営業しているスーパーや飲食店が近所にあると便利(画像/PIXTA)

マンションの管理状況にも意識を向ける

「部屋だけでなく、マンション全体の管理状況にも意識を向けましょう。1LDKの間取りが多いタイプのマンションはファミリータイプのマンションとは異なり、全体の戸数が少ない傾向にあります。そういった特性から、大規模修繕のための積立金が不足し、入居後に維持管理費用が大幅に上がってしまうといったリスクも。中古マンションを購入する場合は、管理組合の理事会がどのように行われているか、どんな取り決めがなされてきたのかなどを事前にチェックできると安心です。管理状況が適性かどうかを見定めるためにマンションの掲示板をチェックすることもおすすめです」(村田さん)

マンションの掲示板
マンションの掲示板には、理事会や管理会社が住人に向けて発信する重要な情報が掲示されている(画像/PIXTA)

1LDKのマンションは売れない? 売却を視野に入れて購入するときの注意点

ライフスタイルが変わると住み替えが必要になる1LDKだからこそ、売却を視野に入れて購入することが重要です。注意点をまとめました。

間取りと面積の相関性は重要

「売却時には間取りと面積の相関性が重要になります。1LDKのマンションは35~50m2の部屋が大半ですが、中には60m2や30m2といった平均的な面積から外れた物件も存在します。
マンションを探す多くの人は検索サイトなどを活用するため、平均的な規格から外れるほどニーズから離れてしまう可能性があります。

例えば、60m2ほどの部屋を探している人は2LDKの間取りを、30m2ほどの部屋を探している人は1Rの間取りを求めている可能性が高く、1LDKを求めている人が設定する条件にあてはまりにくいのです。こういったミスマッチを避けるため、面積に合った間取りにリフォームをして売却しやすくするという手法もあります」(山本さん)

マンションの部屋探しをする人のイメージ
間取りと面積の組み合わせによって、ターゲットへの情報の届きやすさが変わる(画像/PIXTA)

駅徒歩10分圏内の物件は売却しやすい

「資産性を考える上で、駅からの距離は特に大切な要素です。子どもがいるファミリー層は住環境を優先して郊外で暮らすこともありますが、単身者や子どものいない夫婦の場合は通学・通勤の利便性を重視する傾向にあります。そのため、できれば最寄駅から徒歩7分以内、遠くても10分以内の好立地であれば売却しやすくなります」(山本さん)

電車通勤をする人
1LDKで暮らす人々は、交通利便性を重視する傾向にある(画像/PIXTA)

同じ条件の物件が少ないエリアや時期を選ぶ

人気エリアで売却したほうが買い手が付きやすくなるという考え方がある一方、人気エリアでない場合は同じ条件の物件が多すぎると売れにくくなる傾向もあります。

「同じ条件の1LDKが多いエリアだと、比較される物件が必然的に多くなってしまうため希望の価格では売れない可能性があります。そのため、同じ条件の物件が少ないエリアを選んで購入するのも戦略の一つ。また、最も物件が市場に出回る2~3月を避けて売却することで買い手が付きやすくなることもあります」(山本さん)

ホームステージングをする

「中古物件として売りに出す前に、ハウスクリーニングや設備のリフォームをして部屋を綺麗にすることで売れやすくなります。また、室内に家具やインテリアを設置してモデルルームのようにしつらえるホームステージングもおすすめです。家具などを設置することにより、暮らしのイメージや空間の使い方を購入希望者に伝えることができます」(山本さん)

内見をする夫婦
ホームステージングで暮らしのイメージを伝えることで売れやすくなる(画像/PIXTA)

【東京・大阪】1LDKのマンションの相場は?

賃貸の家賃相場

以下は東京都および大阪府の人気エリアにおける、1LDK、2K、2DKのマンションの家賃相場になります。
※SUUMO賃貸家賃相場 2024年7月時点の情報です。

東京の家賃相場

港区 20.5万円
千代田区 18.0万円
中央区 17.2万円
新宿区 15.8万円
目黒区 15.5万円
文京区 15.2万円
品川区 15.0万円
台東区 14.4万円
墨田区 13.5万円
江東区 12.5万円

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大阪の家賃相場

大阪市西区 10.3万円
大阪市福島区 9.8万円
大阪市浪速区 9.2万円
大阪市天王寺区 8.9万円
大阪市都島区 8.4万円
大阪市西淀川区 7.4万円
大阪市港区 7.0万円
大阪市東淀川区 6.6万円
大阪市此花区 6.3万円
大阪市大正区 6.0万円

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中古マンションの価格相場

以下は東京都および大阪府の、占有面積が40~60m2にあたる中古マンションの価格相場になります。

最も価格相場が高い駅 最も価格相場が低い駅
東京都 神谷町駅 1億1980万円 青梅駅 994万円
大阪府 大阪駅 6030万円 御殿山駅 755万円
※SUUMO中古マンション価格相場 2024年7月時点の情報です。

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大阪府のSUUMO掲載の中古マンション価格相場情報

住み替えの可能性を視野に入れて住まい選びをしよう

最後に、1LDKのマンションを探すときに最も大切にすべきことについて伺いました。

「1LDKのマンションを購入する場合は、住み替えの可能性を視野に入れて対策を行うことが重要です。自分のライフスタイルや価値観に合っている住まいかどうかだけではなく、売却時のニーズが高い物件であるかどうかも検討要素に入れてみてください」(山本さん)

ライフスタイルや家族構成が変化すると手狭になりやすいのは1LDKならでは。1LDKのマンションの特性や、資産性を落とさないポイントを把握した上で住まい探しをしましょう。

まとめ

1LDKの標準的な面積は35~50m2。1~2人暮らしに向いている

生活動線が便利な回遊型の間取りが人気

中古販売を視野に入れた計画が重要

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取材・文/佐藤愛美(りんかく) イラスト/青山京子
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