マンションのWiFi回線でインターネット接続するには？マンションの選び方・WiFi整備・プロバイダー選び完全ガイド

マンションで使えるインターネット回線の種類や特徴

マンションでのインターネット環境は、居住者のニーズや建物の特性によって最適な選択肢が異なります。ここでは、マンションで利用できる主要なインターネット接続方法について解説します。それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルに合った回線を選ぶための参考にしてください。

光回線

光回線は、マンションでの高速インターネット接続の主流です。光ファイバーケーブルを使用し、高速で安定した通信を実現します。通信速度は最大1Gbpsに達し、大容量データの送受信や動画ストリーミング、オンラインゲームに適しています。

マンション向けの光回線プランは、一般的に戸建て向けよりも安いです。ただし、建物の構造や既存設備によっては導入が難しい場合もあります。

多くのプロバイダーがサービスを提供しているので、料金や特典を比較しましょう。固定IPアドレスやセキュリティーサービスなどのオプションも充実しています。長期利用を考えている場合、コストパフォーマンスに優れた選択肢となります。

ホームルーター

ホームルーターは、固定回線とWi-Fiルーターを組み合わせたインターネット接続方法です。光回線やADSLなどの固定回線に接続し、Wi-Fi信号を発信してマンション内の複数デバイスをワイヤレスでインターネットに接続します。

安定した高速通信が可能で、固定回線の速度をそのまま活用できます。複数のデバイスを同時に接続でき、大容量のデータ通信にも適していると言えるでしょう。セキュリティー面でも優れており、暗号化設定やファイアウォール機能を利用可能です。

初期設定をしなければなりませんが、一度設定すれば自動的に接続されます。ただし、固定回線の契約と月額料金が必要で、引越し時には解約や移転手続きが必要です。電波の届く範囲も部屋の広さや壁の構造に左右されるので、注意しましょう。

モバイルルーター

モバイルルーターは、携帯電話網を利用してインターネットに接続する小型のWi-Fi機器です。マンションでの利用に適しており、工事が不要で即日利用できる点が魅力です。

通信速度は契約プランや利用エリアによって異なり、4G LTEや5G対応の機種であれば、十分な速度が期待できます。複数のデバイスを同時に接続でき、持ち運びも可能なため、外出先でも利用できます。

ただし、固定回線と比べると通信速度や安定性でやや劣る場合があります。また、データ通信量に制限があるプランが多く、大容量利用には向いていません。月額料金は固定回線より安い場合が多いですが、使用量が多いと追加料金が発生することもあります。

テザリング

テザリングは、スマートフォンやタブレットの通信機能を利用して、他のデバイスをインターネットに接続する方法です。追加の機器が不要で、すぐに利用開始できるのが最大の特徴です。

マンションでの利用には、スマートフォンのモバイルデータ通信を使用するため、工事や固定回線の契約が不要です。Wi-Fi、Bluetooth、USBケーブルでの接続が可能で、外出先でも利用できる柔軟性があります。

ただし、スマートフォンの電池消耗が激しく、長時間の使用には向いてません。また、通信速度はモバイル回線に依存するため、固定回線ほどの安定性や高速性は期待できないでしょう。データ通信量の制限もあり、大容量のデータ通信や常時接続には不向きです。一時的な利用や、緊急時のバックアップとして考えておくべきです。

マンションの種類別に異なる！事前にインターネット状況を確認しよう

Wi-Fi・インターネットが完備されている物件では、新たに回線会社と契約する必要はありません。しかしそれだけに、インターネット回線の現況を確認することが大切です。

マンションでは、共用部に引かれた1本の光ファイバーケーブルを、各戸に分配しています。そのため、1戸につき1本のケーブルを独占する戸建てに比べて、使用状況によってはインターネットが遅くなる可能性があるのです。

また、共用部までは光回線を利用していても、その先の各部屋までは一般電話回線を使用している場合もあります。

ストレスなくインターネットを利用するために、購入や賃貸の候補物件で、契約前に確認しておいた方がいいのはどんなことでしょう。

All About「LAN・無線LAN」ガイドで、ネットワークについて解説した著書を40冊も手掛けている岡田庄司さんに伺いました（以下コメントは全て岡田さん）。

確認したいのはどのような回線なのか。そして通信速度が重要です。

「インターネット回線が有線なのか、無線なのかをチェックしましょう。

有線の場合、通信速度は最低、実際の速度で300Mbpsは必要です。これだけあれば、動画や一般的なゲームならストレスなく楽しめます。100Mbpsではウェブページがパッと表示されないといったことがあります。

無線の場合、部屋によって受信感度が違います。通信速度をチェックできるアプリやウェブサイトがありますから、不動産会社を通して管理会社に確認をとった上で確かめてみるといいでしょう。また、通信速度はいつも一定ではありません。ですから、そのマンションの居住者の方に、実際にどの程度の速さが出ているのか話を聞ければベストです。

また、無線でWEPという古い暗号化技術を使っているような物件はないとは思いますが、念のためチェックしておきたいポイントです」

マンションでのインターネット回線の比較と選び方

インターネット完備物件以外のマンションでインターネット回線を選ぶときには、重要なステップがあります。適切な回線を選び、契約するまでの流れを詳しく見ていきましょう。これらの手順を丁寧に進めることで、自分に最適なインターネット環境を整えられます。

マンションのインターネット設備を確認

まず、お住まいのマンションの既存のインターネット設備をチェックすることが重要です。多くのマンションでは、建物全体で一括契約している回線や、特定のプロバイダーと提携している場合がありますので入居時にもらった資料で確認してみましょう。

不明な場合は管理会社や不動産会社に問い合わせて、現状の設備について詳しく聞いてみましょう。

中古マンションで築年数が古い物件の場合、光回線の配線が各部屋まで届いているか、VDSL方式やLAN方式などのマンション独自の配線システムがあるか、また建物全体での一括契約サービスの有無なども確認が必要です。さらに、利用できるプロバイダーに制限があるかどうかも重要なポイントです。

これらの情報を把握することで、選択肢を絞り込み、より効率的に回線選びを進められます。また、既存の設備を活用することで、初期費用を抑えられる可能性もあるため、しっかりと確認しておくことをおすすめします。

希望回線が対応可能かどうかを調べる

マンションの設備を確認したら、次は希望する回線が実際に利用可能かどうかを調べる必要があります。各プロバイダーのウェブサイトでお住まいの住所を入力して、サービス提供エリアかどうかをチェック、また、マンション向けの専用プランがあるかもチェックしましょう。多くの場合、マンションタイプの方が戸建てよりも安価になっています。

提供される最大速度も重要なポイントです。建物の構造によっては、理論値通りの速度が出ない場合もあるため、実際の速度について問い合わせてみるのもよいでしょう。工事の必要性とその内容についても確認が必要です。

複数のプロバイダーを比較し、料金プランや特典なども考慮して、最適な選択肢を見つけることが大切です。

また、新築マンションでインターネットを一括契約している場合、世帯ごとに契約解除できない可能性もあります。その場合、月々の利用料は発生しますので事前に管理会社に確認してから検討しましょう。

管理会社などへの連絡、許可を取る

希望する回線が決まったら、次は管理会社への連絡と許可を取る必要があります。管理会社に、インターネット回線の新規契約や工事の希望を伝えましょう。工事が必要な場合は、その内容と範囲を詳しく説明する必要があります。壁に穴を開ける必要がある場合など、建物に変更を加える工事は特に注意が必要です。

また、工事できる日時や、立ち会いの必要性についてもチェックしておきましょう。退去時の原状回復の条件についても、この時点で確認しておくと後々トラブルを避けられます。管理会社との良好な関係を維持するためにも、丁寧な説明と事前の相談は欠かせません。もし許可が下りない場合は、モバイルルーターなど、別の選択肢を検討する必要があります。

回線契約を申し込む

最後に、実際の回線契約の申し込み手続きを行います。多くの場合、オンラインや電話で申し込めますが、複雑な条件がある場合は店頭での相談も検討しましょう。契約期間と解約条件をしっかりチェックすることが重要です。2年縛りなどの条件がある可能性もあるため、注意が必要です。

初期費用（工事費など）と月額料金の内訳も必ず確認しましょう。キャンペーン適用後の料金にも注意が必要です。セキュリティーソフトなどのオプションサービスの有無とその料金も見ておくとよいでしょう。

最後に、工事日を調整します。在宅の必要がある場合は、スケジュールを確保しておく必要があります。申し込み後は、工事や開通までの流れを確認し、必要な準備を整えておくことが大切です。

マンションでのインターネット回線の違い

（画像／PIXTA）

（1）Wi-Fi完備マンション
すでにインターネット回線もWi-Fiルーターも装備されている物件。マンションやアパート全体でプロバイダー契約がされていて、入居後すぐにWi-Fi環境の整った室内でインターネットを利用できます。利用料金は管理費や共益費に含まれているのが一般的です。

（2）インターネット完備マンション
最初からインターネット回線が引き込まれている物件。そのまま有線LANでパソコンを使用できます。Wi-Fi完備マンションと同様、プロバイダー契約がされていて、利用料金は管理費、共益費に含まれるのが一般的です。Wi-Fiルーターを自分で用意することで、プロバイダーとの契約や配線などをせずにパソコンやスマートフォン、テレビなどさまざまなデジタル機器を室内のどこででも使えるようになります。

（3）インターネット対応マンション
共用部までインターネット回線が引き込まれている物件です。各部屋までは回線が引かれていないため、インターネット利用を開始するためには、部屋に回線を引き込むための工事をする必要が生じます。

（4）インターネット環境がないマンション
Wi-Fi完備やインターネット完備のマンションと違い、回線会社やプロバイダーとの契約が必要な物件もあります。手間はかかりますが、回線会社やプロバイダーを自分で選ぶ選択肢が多い点はメリットといえるでしょう。Wi-Fiルーターは回線会社からレンタルできるケースが多くなっています。

マンションでWi-Fiを使えるようにするには？

（画像作成／SUUMO編集部）

Wi-Fi・インターネット完備のマンション物件で契約前にチェックすること

Wi-Fi・インターネット完備の物件では、新たに回線会社と契約する必要はありません。しかし、それだけにインターネット回線の現況を確認することが大切です。

マンションでは、共用部に引かれた1本の光ファイバーケーブルを、各戸に分配しています。そのため、1戸につき1本のケーブルを独占する戸建てに比べて、使用状況によってはインターネットが遅くなる可能性があるのです。

また、共用部までは光回線を利用していても、その先の各部屋までは一般電話回線を使用している場合もあります。

マンションに自分で新たに設置する場合、固定回線とモバイルルーター、どっちがいいの？

固定回線のメリット・デメリット

光回線をマンションに引き込む固定回線と、各地にある基地局から無線で接続するモバイルルーター。これから新たに回線を選ぶなら、どちらがいいのでしょうか？

固定回線のメリットとデメリットを見ていきましょう。

固定回線のメリット

• 回線速度が速く、安定している

固定回線のデメリット

• 引き込み工事が必要な場合、設置に時間がかかる
• 賃貸の場合、壁に穴を開ける必要があるので大家さんの許可が得られないケースがある

「固定回線の場合は、購入や賃貸を予定しているマンションやエリアで利用できるかどうかを確認しておく必要があります」

（画像／PIXTA）

モバイルルーターのメリット・デメリット

では、モバイルルーターの場合はどうでしょうか。

モバイルルーターのメリット

• ルーターを購入して自分で設定するだけ。工事が不要で手軽に利用を開始できる

モバイルルーターのデメリット

• 回線の速度や品質（安定性）に問題がある場合がある

それぞれにメリット、デメリットがありますが、選ぶ際のポイントは何でしょうか？

「固定回線の方が、利用料などの面でメリットがありますが、2、3年間などの契約期間内で引越す場合は違約金が発生します。ですから、マンションを購入する場合や、しばらくは引越しの予定がない人は固定回線、頻繁に引越ししそうな人はモバイルルーターがよいでしょう」

（画像／PIXTA）

光回線の契約とメリット

光回線は高速で安定したインターネット接続を提供し、マンションでの利用に適しています。ここでは、光回線の速度や導入について詳しく説明します。

光回線の速度について

光回線の最大の特徴は、その高速性です。一般的な光回線サービスでは、下り速度が1Gbps、上り速度が数百Mbpsという高速通信が可能です。この速度があれば、大容量のファイルのダウンロードや高画質の動画ストリーミング、オンラインゲームなどを快適に楽しめるでしょう。

ただし、実際の通信速度はさまざまな要因により変動します。主な要因は、マンション内の配線状況や、同時に利用している世帯数、使用する機器の性能などです。

特にマンションタイプの光回線では、建物内での帯域の共有により、一戸建てほどの速度が出ない場合もあります。それでも、多くの一般的な利用には十分な速度を提供しており、複数の端末を同時に使用する家庭でも快適に利用できます。

光回線の導入と工事

中古マンションへの光回線の導入は、新築マンションとは異なる注意点があります。まず、建物内の既存の配線設備の確認が必要です。多くの中古マンションでは、すでに光ファイバーケーブルが引き込まれている場合が多いですが、古い建物では新たに配線工事が必要になることもあります。

工事の範囲は建物の状況によって異なり、最小限の工事で済む場合もあれば、壁や床に穴を開けなければいけないケースもあるでしょう。そのため、管理組合や管理会社との事前相談が不可欠です。工事の許可を得るだけではなく、共用部分の利用や工事時間の制限などについてもチェックしておいてください。

プロバイダーの比較とおすすめの選び方｜プラン名や速度、月額

インターネットを利用するには回線会社とプロバイダーの両方と契約することになりますが、プロバイダーにもさまざまな会社があります。

回線会社やプロバイダーの選び方によっては、電話代や携帯代が安くなる割引やキャンペーン、キャッシュバックなどお得な特典が受けられます。まずは利用している携帯電話回線や電気・ガス会社のプランを調べてみるのがおすすめです。

プロバイダーを選ぶ際の注意点

プロバイダーは「通信速度が速くて料金もお得なところを選べばいい」と考えがちです。しかし、それでは後悔することになる場合もあるでしょう。

「料金が安いプロバイダーは、最初は満足できても、契約者が増えて通信速度が徐々に遅くなる傾向があります。逆に、料金が高いからといって速度と品質が保証されるとは限りません。また、同じプロバイダーでも、地域によって安定性が異なることがあるでしょう。

ウェブサイトで評判を確認するのもいいですが、おすすめなのは勤務先などでの情報収集。どのプロバイダーを使っているのか、使いやすさはどうかなどを10人くらいに尋ねてみると、プロバイダー選びの参考になる情報が得られるのではと思います」

その他にもチェックしておきたいのは、トラブル時やセキュリティーに対するサービスなどです。

「利用料金が多少高くても、セキュリティー対策がしっかりしていたり、トラブル時に駆けつけてくれたりするサービスがあれば安心でしょう。特にセキュリティーはウイルスチェックだけでなく、フィッシングサイトの警告などが含まれているかを確認してください。

プロバイダー側で提供するセキュリティーサービスはパソコンに負荷がかからず常にアップデートされます。このサービスがない場合は、自分でウイルス対策のソフトを導入し、自身でアップデートする手間もかかるため、面倒でしょう」

Wi-Fiルーターを準備しよう！最新規格のWi-Fi6は必要？

プロバイダーからのレンタルや自分で購入

Wi-Fiルーターは無料で貸し出しているプロバイダーが多いため、購入しなくても自宅をWi-Fi環境にすることができます。ただし、プロバイダーが提供するルーターは速度が不十分な場合もあるそうです。

購入する場合は、無線の規格を確認しましょう。「IEEE802.11ac」対応であれば、1Gbpsの光回線でストレスなく使えます。そして現在は、次世代の高速無線LAN規格「Wi-Fi6（IEEE802.11ax）」が登場しています。

「Wi-Fi6（IEEE802.11ax）に対応するルーターは2万～3万円程度で購入できます（2020年6月現在）。1万円弱の1世代前のルーター（11ac）に比べると性能がよいのは確かです。ただ、10Gbpsの有線回線+Wi-Fi6（11ax）と1Gの有線回線＋11acを比較しても、画面の出る速さや動画を見るときの快適性など体感では分からないため、現状では無理に高額なルーターを買う必要はなさそうです」

Wi-Fiを導入することで、自宅での暮らしや在宅ワークがより快適になります。まずは、自分の住んでいるマンションや、購入・賃貸予定のマンションのネット環境をチェックし、環境整備に向けて何をすればいいのかをリストアップしておいてください。

マンションのインターネット回線は遅い!?トラブル時の対策と解決方法

マンションでのインターネット利用において、速度低下や接続の不安定さを経験することがあります。これらの問題は、建物の構造や他の入居者との回線共有など、マンション特有の要因が関係していることもあります。ここでは、そうした問題が発生した際の対策と解決方法を見ていきましょう。

速度が遅い場合の対策

マンションでインターネットの速度が遅い場合、まずは速度測定サイトで実際の速度を確認してください。測定結果が契約速度を大きく下回る場合、いくつかの対策を試すことができます。

まず、ルーターの設定を確認し、最新のファームウェアにアップデートすることで改善される場合があります。また、電子レンジなどの電化製品からの干渉を避けるため、ルーターの設置場所を変更してみるのも効果的です。

建物内の配線に問題がある可能性もあるため、管理会社に相談し、共用部分の配線チェックを依頼することも検討しましょう。それでも改善しない場合は、プロバイダーのサポートに連絡し、技術的なアドバイスを求めることをおすすめします。

インターネット接続が不安定な場合の対策方法

インターネット接続が頻繁に切れたり、不安定になったりする場合は、まずケーブルの接続状態を確認してみてください。緩んでいたり、損傷していたりする場合は交換が必要です。

次に、ルーターの再起動を試します。これだけで接続問題が解決することがあるでしょう。マンションの場合、隣接する部屋のWi-Fiとの干渉も考えられ、この場合は5GHz帯の利用や、Wi-Fiの出力を調整することで改善できることがあります。

それでも問題が解決しない場合は、プロバイダーのサポートに連絡し、回線状態の確認を依頼してください。建物全体の問題の可能性もあるため、同じ症状が他の入居者にもあるか、管理会社に確認することも有効な手段です。