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マンションなどの集合住宅で生活をしていると、周囲の騒音がストレスになることがあります。
なかでも、隣接する上下階や左右の住戸から聞こえてくる生活音は、騒音トラブルの原因になりやすく、日常生活に支障を来たすこともあるため、頻繁に起こる場合は対処が必要です。
そこで本記事では、「上の階がうるさい」という騒音トラブルについて、やるべきことや、やってはいけないこと、解決までの手順と具体的な対処法を解説します。
さくら事務所のマンション管理組合向けコンサルタント兼らくだ不動産の不動産仲介エージェント、佐藤健斗さんと、さくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)田村啓さんの知見やアドバイスを交えながら紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

騒音トラブルといってもその内容は多岐にわたります。マンション居住者は、具体的にどのような音に悩まされているのでしょうか。
全国のマンションで暮らす男女300人を対象に、SUUMO編集部が独自に行った「マンションの騒音に関するアンケート」では、「上の階の足音や落下音」が40%と圧倒的に多く、隣人の生活音(話し声、テレビ、ゲームの音など)の29%と合わせると、隣接する住戸からの騒音が約7割を占めました。

また、時間帯では、夜(19時~0時)に騒音を感じるケースが最も多く、ストレスや睡眠不足を感じる割合が多く、生活に大きな影響を及ぼしていることもわかりました。


また、騒音問題を解決するためにやったこととしては、「テレビ・音楽で紛らわした」が33%、「管理組合や管理会社に相談をした」が22%、「耳栓やイヤホンをした」が18%でした。騒音を気にしないような対策をしつつも、管理組合や管理会社に相談をしている方がいることがアンケートからわかります。


では、「上の階がうるさい」という騒音トラブルに巻き込まれた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
「感情論や根拠のない決めつけは、騒音トラブルの解決を妨げます。まず行うべきは、事実を把握して発生原因を探ることです」(田村さん)
事実関係を確認し騒音の原因を探るために、具体的な方法をご紹介します。
まず、上の階がうるさいときにやるべきことは、騒音が発生した日時や音量、人の声や音楽、足音といった音の種類など、事実を記録することです。
音量については、聞こえ方や感じ方が人によって異なるため、騒音計やスマートフォンの騒音計アプリなどを使い「dB(デシベル)」で測定しましょう。
騒音の大きさは、環境省が示している下記の環境基準が目安になります。
| 地域の類型 | 昼間 6時~22時 |
夜間 22時~翌6時 |
|---|---|---|
| 療養施設や社会福祉施設など、特に静穏を要する地域 | 50デシベル以下 | 40デシベル以下 |
| 住宅地として使われている地域 | 55デシベル以下 | 45デシベル以下 |
| 住居だけでなく、商業や工業用地としても使われている地域 | 60デシベル以下 | 50デシベル以下 |
参照:環境省「騒音に係る環境基準について」
騒音の大きさの具体例は、下記を参考にしましょう。

騒音が発生している事実を把握するには、ICレコーダーでの録音やカメラでの撮影も考えられます。その場合、どこまでの精度で記録を残しておくのが良いのでしょうか。
「音声や映像を記録しておくのは、裁判の証拠として重要になります。しかし、あまり過敏になって記録を取ることに固執しても、疲弊してしまいます。
騒音トラブルの解決に向けた自己防衛の材料として、日時や音量、音の種類などをメモしておけば十分だと思います」(佐藤さん)
騒音を記録するのは、あくまで客観的なデータを集めるためで、音の大きさや発生頻度、音が発生している箇所などを把握し、冷静な判断や行動をするのがおもな目的と考えましょう。
同じマンションに暮らす人たちに騒音に関する相談をして、意見を聞くのも有効な手段です。
客観的な考えや感想を集めることは冷静な判断につながり、同じフロアの居住者から「私の家も上から音がする」と回答があれば、騒音の発生場所がわかるかもしれません。
ただし、あまり表立って行うと、騒音とは別のトラブルになる可能性もあるため、管理組合や管理会社と一緒に動くとよいでしょう。
マンション内でトラブルが発生したら、管理組合や管理会社や大家に相談することを思いつくかもしれません。
相談すること自体に問題はありませんが、覚えておきたい大事なポイントがあります。
「そもそも騒音トラブルは当事者間の問題であり、管理組合とマンションの管理会社が締結する管理業務委託契約において、騒音を含めた居住者間のトラブルへの対処は業務として含まれていない場合がほとんどです。
ただし、管理会社は業務の延長としてサポートはしてくれることがあるので、記録した情報を根拠に、解決に向けて相談することが大切です」(佐藤さん)
管理組合・管理会社や大家に相談することで、何かしらの対処の協力をしてくれる場合もあるため、まずは相談してみるとよいでしょう。
SUUMO編集部が独自に行ったアンケートでは、管理組合や管理会社に相談をしたことで、8割以上の方が、「改善された」もしくは「多少改善された」と回答しています。

また、騒音の発生場所が特定されていれば、管理会社が当事者に注意を促してくれる場合もありますが、この発生場所の特定はとても難しいのが実情です。
「例えば、足音や物を床に落としたときの振動や音は、マンションの構造躯体を通って広がるので、どこから伝わってきたのかを突き止めるのは容易ではありません。
上からの音だと思ったら下から、右側からの音だと思ったら実は左側からということも考えられます」(田村さん)
そこで、発生源の特定が難しい理由でもある、2種類の音の伝わり方について見ていきましょう。

本記事では、騒音トラブルをわかりやすく理解してもらうために「上の階がうるさい」と表記していますが、騒音の発生場所が上の階とは限らない場合もあるので注意が必要です。

騒音トラブルが発生した際に、絶対にやってはいけない行動もあるので確認しておきましょう。
騒音トラブルは当事者間の問題ですが、騒音を記録した情報はあくまでも事実を把握するための材料で、相手を攻撃するものではありません。
そもそも、上の階から騒音が聞こえてきたとしても、どこから伝わってきた音や振動なのかはわからないので、決めつけや思い込みで行動に移すことは避けるべきです。
「騒音を出していると思われる上の階の居住者は、自分が騒音の発生源だと認識していない場合もあります。
いきなり記録した情報を示してクレームを入れても、相手も感情的になってしまう可能性が高く、建設的な話し合いができるとは考えられません」(佐藤さん)
当事者間の話し合いは感情的になりやすく、騒音トラブル以上の問題に発展することもあるので、絶対に避けましょう。
叩いた本人はストレスを発散できるかもしれませんが、騒音トラブルの解決にはつながりません。
「騒音を出し合うのは、お互いの感情をヒートアップさせる可能性が高いので、やめるべきです」(佐藤さん)
「マンションの構造駆体にもよりますが、天井を叩いても上の階の人には伝わらないことが多く、逆にほかの住戸に騒音を発生させる場合もあるのでやめましょう」(田村さん)
やり返したことで天井や壁を傷つけてしまうと、修繕費は自己負担になります。
無駄に支出を増やすだけなので、冷静な対処が大切です。

上の階から聞こえてくる騒音には、複数の原因が考えられます。
ここでは、原因となるおもな音の発生源と、下の階に音が伝わる仕組み、騒音を出さない予防策について解説します。
本人の意識にかかわらず、下の階に音を響かせている代表例が足音です。
特に、子どもはかかと歩きをする傾向があり、騒音トラブルの大きな原因になっています。
建物の構造によって床から伝わる音の大きさは異なりますが、音を出さない対策としては、防音・防振マットや、厚手のカーペットを床に敷くなどが考えられます。また、クッション性の高いスリッパを履くと足音を和らげることが可能です。
日常生活で、下の階に響く場合がある生活音はいくつもあります。
例えば、使用中の洗濯機が揺れている振動、床に掃除機をかけている音、椅子を引く音、引き戸の戸車の音などは、床に力が加わったことで振動や音が発生し、下の階に騒音として伝わる可能性があります。
しかし、洗濯や掃除などは日常生活に欠かせないため、なるべく昼間の時間帯に行い、引き戸などは音や振動が出ないように慎重に扱いましょう。
「築年数の新しいマンションは気密性が高く、外からの音が入りにくい構造になっているので、建物内から聞こえてくる音のほうが気になる傾向があります。
その意味では日常の生活音が騒音になる場合もあるので、隣人に対する配慮は欠かせません」(田村さん)
エアロバイクやランニングマシン、腹筋ローラーなどは、振動や音が下の階に聞こえる場合があるので注意が必要です。
また、ダンベルなどの器具を床に置くときや、エクササイズやダンスなどで体を動かすときは、衝撃や振動が騒音の原因になります。
昼間の時間帯でも長時間のトレーニングは避け、部屋全体に振動や衝撃を吸収するフロアマットを敷き詰めるなどの対策を行いましょう。
テレビや音楽、会話の音は、空気を通じて下の階に音が漏れるほか、スピーカーの振動は床から建物内に広がります。
「映画やゲームで爆発音や銃撃音が鳴り響くシーンがありますが、こうした重低音は振動として伝わることがあるので、音量と合わせて注意が必要です」(田村さん)
音を漏らさず響かせないための対策としては、音量に注意を払いながら、深夜や早朝はイヤホンやヘッドホンを使用する、壁からテレビなどを離すことがおすすめです。
また、オンラインゲームでボイスチャットをしながらプレイする場合も、イヤホンやヘッドホンを装着し、壁などに防音材を設置するほか、自分が発する声の大きさにも気を付けましょう。
マンションの構造や設備の配置にもよりますが、エレベーターや排水設備の振動・音が、構造躯体を通じて聞こえることがあります。
しかし、マンション設備に個人が手を加えることはできないため、継続してうるさい場合は管理会社に相談することをおすすめします。
床や壁から、ピアノやギターなどの楽器の音が下の階に伝わる場合があります。
例えば、ピアノの打鍵やペダルを踏むときの振動、ギターアンプが響く重低音や振動です。
音漏れや振動を防ぐには、楽器を演奏する時間帯や音量を考慮するほか、防音・防振性能の高いカーペットや防音室の設置などの対策が有効です。
特にピアノの場合は、空気伝搬音だけでなく固体伝搬音も伝わりやすいため、床に専用の防音マットや防振マットを敷くとよいでしょう。
電子楽器の場合は、イヤホンやヘッドホンを装着して音漏れを防ぐのがおすすめです。

「上の階がうるさい」という騒音トラブルを解決するためには、長い時間が必要です。そこで、上の階から聞こえる騒音を、少しでも早く軽減するための防音対策について紹介します。
天井や壁を透過して伝わる空気伝搬音を遮るには、防音材や吸音材を設置することで一定の効果が得られます。
ただし、振動による固定伝搬音の場合は、上の階の床や下の階の壁と天井に、振動が伝わらないように防音材などを設置する必要があり、効果は限定的です。
「二重床・二重天井など、一定程度、固定伝搬音を防ぐ効果が期待できる構造のマンションもあります。一方で、天井に防音材などを張ったとしても、固定伝搬音の軽減は大きくは期待できません」(佐藤さん)
空気伝搬音が発生する場合は、壁ぎわに背の高い家具を配置することで、多少改善する場合があります。
しかし、天井から騒音が聞こえる場合は対処が難しく、効果はあまり期待できません
耳栓は、外耳道を塞ぐことで外部の音を物理的に遮断するので、空気伝搬音を軽減できます。特に、就寝時に騒音が気になる方におすすめです。
ただし、固体伝搬音については、振動量を低減させないと防音効果が得られないため、外耳道を塞ぐだけだと効果は一定程度しかありません。
また、ノイズキャンセリング機能のあるイヤホン・ヘッドホンも、一定の周波数の騒音を軽減できます。
根本的な解決にはなりませんが、テレビや音楽をイヤホン・ヘッドホンで聴くことで、上の階からの足音や生活音をある程度シャットアウトできるでしょう。

マンションの建築構造は、大きく分けて、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)で、防音性能が高いのは、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造です。
鉄骨鉄筋コンクリート造と鉄筋コンクリート造は壁の密度が高いため、優れた防音性能を発揮しますが、鉄骨造は隙間ができやすい構造のため、防音性能は劣ります。
また、賃貸のマンションや集合住宅の場合、分譲タイプだと音を外部に漏らさない構造を採用している可能性が高いのでおすすめです。
「賃貸では、鉄筋コンクリート造でなくても、音の伝わりにくさなどに気を使っている大手ハウスメーカーの物件もあるので、選択肢の一つとして覚えておきたいですね」(佐藤さん)
なお、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造であっても、ペットの飼育や楽器の使用が可能な物件は、ペットの鳴き声や演奏などに悩まされる可能性があるため、慎重に検討しましょう。
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騒音トラブルを避ける観点だけでいえば、マンションの最上階にある角部屋を選ぶのがおすすめです。
上の階からの騒音に悩まされることがなく、隣接する住戸も少ないため、生活音を気にせず暮らせます。
ただし温度が高く(低く)なりやすいためエアコンなどで調整が必要な点や、断熱材・二重窓の設置などをしないと温熱環境が悪い可能性があるので注意が必要です。
「エレベーターの近くは昇降音や人通りがあるので避ける、壁や天井の音の響き方を内見で確認する、隣接する住戸との間に、音が聞こえにくいように収納スペースなどがあるか確認するなど、いろいろな視点で物件をチェックすることが大事です」(田村さん)
また、間取りは左右や上下階と同じ場合が多いので、生活音が聞こえにくい位置の部屋を寝室にするなど、生活の仕方を考えてみるのも騒音トラブルを避けるコツです。
騒音は建物内だけでなく外部からも発生するので、周辺環境の確認は欠かせません。
例えば、幹線道路や商店街、学校、公園など、車や人の流れが多い場所が近くにあると、時間帯によってはうるさく感じる可能性があります。
また、ファミリーや子どもが多いエリアであれば、同じマンション内にも子育てファミリーが住んでいることもあるでしょう。
子どもたちが遊ぶ声や生活音が気になる場合もあるので、内見時に近隣住民の様子を確認することも重要です。
マンションで騒音トラブルが起こっているのか知りたい場合は、共用スペースの掲示板やエレベーター内に、騒音トラブルの発生や注意を喚起する張り紙があるかどうかを、内見時に確認しましょう。
もしこのような張り紙があれば、騒音トラブルが発生している可能性が高いです。
ほかにも、内見時には、隣接する住戸から聞こえる生活音や、駐車場からの騒音などのチェックも併せて行うとよいでしょう。
騒音問題は、実際に住んでみないと分からないことも多いですが、事前に周辺環境を確認する、マンションの造りを確認する、最上階にするなどで対策をすることもできます。
それでも解決しない点については、マンションの管理組合・管理会社や大家のサポートも借りながら、住人同士で解決を目指すことが大切です。
上の階がうるさい場合は、騒音の発生日時や音量、音の種類を記録するなど、事実を把握して冷静な対応を行う
騒音トラブルは当事者間の問題だが、記録した内容を根拠に、管理会社にサポートを仰ぐことで解決に近づく
騒音には空気伝搬音と固体伝搬音の2つがある。足音などの振動が建物内に伝わる固体伝搬音は発生源の特定が難しいので、思い込みでクレームを入れることはやめるべき
上の階から聞こえる空気伝搬音は、防音材や家具の配置などで抑えることができるが、固定伝搬音の対策は難しい
騒音に悩まされないマンション選びは、鉄筋コンクリート造で最上階の角部屋がおすすめ。内見では注意喚起の張り紙や、住戸内、周辺環境を確認して検討すべき
「マンションの騒音に関するアンケート」調査概要
[調査実施時期]2024年8月16日(金)~2024年8月19日(月)
[調査対象者]現在お住まいのマンションで、騒音に悩まされている人/過去、マンションの騒音に悩まされていた人
[調査方法]インターネット
[有効回収数]300
(Q.1)(Q.4)(Q.5)単数回答式、(Q.2)(Q.3)複数回答式
※無断転用禁止。引用の際はSUUMO(スーモ)編集部までご一報ください
●取材協力
佐藤健斗さん
さくら事務所のマンション管理組合向けコンサルタントとして、マンションの管理組合を総合的にサポート。兼任するらくだ不動産では、不動産仲介エージェントとして数多くの不動産取引の実績を誇る。
田村啓さん
さくら事務所のプロホームインスペクター(住宅診断士)。幅広い知見をメディアやYouTubeなどで発信し、NHKドラマ『正直不動産』ではインスペクション部分を監修した。