マンション1階に住んで後悔する理由とは?良かった点も教えて!

最終更新日 2023年09月30日
マンション1階に住んで後悔する理由とは?良かった点も教えて!

マンション1階って、実際に住んでみないと分からないことばかり。そのせいか、「後悔した」「デメリットが多い」といった声もよく耳にします。しかし、2階以上では手に入らないいいところも、マンション1階にはたくさんあるのです。そこで今回は、マンション事情に詳しい不動産コンサルティングマスターの岡本郁雄さんに、マンション1階のありがちな後悔ポイントやメリット・デメリットをひとつずつチェックしてもらうことにしました。

マンション1階の後悔ポイントやデメリット8

「マンション1階といっても、道路に面している場合、隣の敷地に面している場合、駐車場や公園に面している場合など、立地条件によって住み心地は全く変わってきます。また、グラウンドレベル(地盤面の高さ)とフラットなのか、それとも50cm~70cm程度上げているのかによっても大きく変わります。まずはその土地の用途地域を調べて、今後環境がどれだけ変わる可能性があるかをしっかりチェック。現在の周辺環境やグラウンドレベルも把握した上で、マンション1階の部屋をチェックしていきましょう」(岡本さん 以下同)

1、防犯面

マンションの1階が道路からすぐに覗ける状況だったり、すぐに入り込めそうな場所に窓やドアがある場合は防犯性が気になる人も多いようです。実際に、警察庁の調べでも、3階以下の住戸の方が4階以上に比べて約2倍も多く侵入窃盗事件が発生しています。ただし、その過半数が「無施錠」の入り口からの侵入。鍵をきちんとかけるだけで侵入リスクの半分以上は低減できるようです。

「1階に『防犯センサー』がついていない新築マンションはほぼ無いと思います。それ以外にも、高いフェンスや監視カメラなど、防犯リスクを下げる工夫はいろいろとされているはず。中古マンションの場合は、どんな防犯対策が取られているか、監視カメラが共用部分のどこについているかを確認しておきましょう」

3階建て以下の侵入窃盗の過半数が「無施錠」で行われている
侵入窃盗の発生場所別認知件数と侵入手口グラフ(令和3年 警察庁)
共同住宅全体でも、侵入窃盗の発生件数は一戸建ての約3分の1程度(住まいる防犯110番「侵入窃盗の発生場所別認知件数(令和3年 警察庁)」より。SUUMO編集部にて図版作成)
侵入窃盗の発生場所別認知件数と侵入手口グラフ(令和3年 警察庁)
3階建て以下では施錠と防犯センサーが何よりの防犯対策になることが分かる(住まいる防犯110番「侵入窃盗の侵入手口(令和3年 警察庁)」より。SUUMO編集部にて図版作成)

2、周囲の視線

マンション1階は道路に面している場合が多く、「道路から室内が丸見えでは?」「プライバシーが守れるのか」と心配になる人もいるかもしれません。

「1階を駐車場にしたり、店舗にしたり、グラウンドレベルを上げたり、植栽やフェンスで視線が入らないようにしたり、ほとんどのマンションでプライバシー面に配慮されています。一番有効なのが、グラウンドレベルを上げること。50cm~70cmほど高くしているマンションが多いのですが、70cm~1m高くなっているとそれだけでプライバシーはかなり守りやすくなります。反対に、高さ制限の影響で1階を少し掘り下げている場合もあります。物件ごとにグラウンドレベルは異なるので、視線が気になる人はしっかり確認しておきましょう」

マンション1階のグラウンドレベルイメージイラスト
道路から70cm以上上がっているだけで、通行人と目線が合ったり、覗き込まれる心配が少なくなる(イラスト/もり谷ゆみ)

3、眺望や日当たり

マンションの1階だと「高層階のような眺望が望めない」「日当たりが悪い」イメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、マンションでも眺望を得ようとするとある程度の階数が必要で、3階~4階の場合は窓の前に電柱・電線がごちゃごちゃ見えてしまう可能性もあります。また、高層階でも、すぐ近くにタワーマンションが並んでしまうと眺望は損なわれます。

「一般的には1階で眺望が抜けることはなかなかありません。しかし、南側が公園や並木道、比較的新しいマンションの駐車場等や、第1種低層住居専用地域であれば、それなりに眺望や日当たりは担保されます。採光や見晴らしがいいかどうかは立地次第。商業地域や準商業地域の場合は、今は眺望が抜けていても今後どう変わっていくか分かりません。ビルやマンションが建ったりすれば、1階はすぐに影響を受けてしまいます。周辺の用途地域と環境を確認し、今後どう変わる可能性があるかを調べておきましょう」

マンション1階からの眺望イメージ写真
マンション1階の日当たりや開放感は立地条件や周辺の環境次第。地面から一段高かったり、大きな道路や街路樹があれば、1階でも十分な採光と開放感が得られる(画像提供/PIXTA)

4、結露やカビ

空気の性質として、暖かい空気は室内の上部に行き、冷たい空気は下に溜まりがち。高層階よりも1階の方が寒いのはある程度当然だと言えるでしょう。また地面に近いので、冬は冷気が床を通して伝わってきたり、地面の湿気を取り込みやすく、結露やカビが発生しやすいイメージがあります。

「新築マンションで『1階だから寒い』ということはほぼありません。1階だからこそ断熱はしっかりやっているはずです。ただし、古いマンションの場合は断熱性が低いものもあるので、どの程度寒いか、カビの原因になる結露があるかなど、ぜひ現地で確認しておきましょう」

5、虫

マンション1階には、アリのような飛べない虫はもちろん、羽があっても高くは飛べない虫、たとえば蚊やハエ、ハチ、クモ、ゴキブリといった虫が侵入しやすい、ということはありそうです。

「1階に限らず、2階でも3階でも虫は飛んできます。周辺に公園や雑木林があるなど自然環境にも影響されます。自然が身近にあれば、昆虫が多く生息しているはず。高層階でも飛んでくる可能性はあります」

飛べない虫でもエレベーターや荷物を介して高層階に侵入する可能性は十分にあります。山や野原、飲食店等との距離によっても、虫と出合う確率は変わります。どうしても虫が苦手ならやはり1階や、自然豊かな立地環境は避けた方が無難かもしれませんね。

マンション1階で自然に親しむ子どものイメージイラスト
地面に近い=自然に親しみやすい点は、子育て世帯にとって大きな魅力にもなる(イラスト/もり谷ゆみ)

6、騒音

道路との距離が近い分、「通行人の話し声や車の排気音がうるさいのでは」と心配になる人も多いようです。

「もちろん、道路に近いほど音はよく聞こえます。しかし、1階ではなくても、すぐ前の道路の話し声や車の音は聞こえるものです。そもそも、交通量が多い道路に面しているなど、騒音が気になるような立地であれば、二重サッシが使われているはず。気になる人はサッシの防音性能などを確認しておくといいでしょうね」

マンション1階周辺の音の伝わり方イメージイラスト
音の伝わり方は繊細で、障害物によって反射したり反響したり、半減したり。防音フェンスや生垣、街路樹などがあれば、上階よりも騒音がカットされることもある(イラスト/もり谷ゆみ)

7、地震や浸水被害

近年は大きな台風や大雨の被害が増え、マンションでも浸水被害を受けるケースが増えてきました。一般的には地面から50cm以上浸水すると「床上浸水」となり、家具や電気製品、内装材に被害が出てしまいます。また、1階の場合はトイレの排水が逆流する可能性もあります。水をくみ上げているポンプの電気設備が1階に設置されていれば、電気設備がショートし、被害はマンション全体に及びます。

「最近のマンションでは、1階だけが地震に弱いということはありません。ただし、水害リスクは階が下になるほど上がります。1階に住みたいのであればある程度の災害は想定をして、保険でカバーするなどの対策をしておくべきでしょう。グラウンドレベルが高い方が安心と言っても、70cm程度であればゲリラ豪雨等での一時的な浸水に効果がある程度。洪水となると、場所によっては5mとか10mも浸水する可能性があり、そうなると1階どころか2階以上でも被害に遭ってしまいます。まずはハザードマップで浸水リスクの確認を」

浸水イメージ写真
床の高さを超えて水が入ると、内装や家具などの被害は甚大に。その土地の浸水リスクを把握しておこう(画像提供/PIXTA)

8、賃貸や売却に不利なのか

自分がどんなに気に入って住んでいても、なにかの事情で貸したり売ったりすることになった時に借り手や買い手が見つからなければ「1階を買うんじゃなかった」と後悔してしまうかも?実際にはどうなのでしょうか。

「どんな1階か、によります。広い専用庭があったり、テラスやシェードでアウトドアリビングとして使える提案がされているような1階マンションなどは新築でもすごく人気があって、2階の同室より200~300万円も価格が高く設定されていたりします。1階の魅力をしっかり訴求しているようなマンションであれば、ほかの階よりも需要があるはず。
そうでなくても、子育て世帯や高齢者世帯、フラットな生活を送りたい人たちから1階マンションは一定のニーズがあります。売れるまでに時間がかかることはあるかもしれませんが、マーケットは確実に存在しますよ」

緑豊かなマンション周辺環境イメージ写真
窓から街路樹や公園の借景が見えるといった1階ならではの魅力があれば、さらに需要が高まる(画像提供/PIXTA)

マンション1階のメリット

不安な点ばかり見てきましたが、マンション1階には1階でしか得られないメリットがたくさんあります。デメリットだけではなくメリットも確認しておきましょう。

階下への気兼ねが不要

マンション住まいで気になるのが「音のトラブル」。しかし、1階なら小さな子どもが毎日元気よくパタパタ走り回っても、階下に迷惑をかける心配をせず暮らせます。子どもがバルコニーから転落する、といったリスクもないので、子育て中の安心感は高いはず。ただし、あまりにドタバタすると音や振動が隣や上階、時には斜め隣の部屋にも伝わるので、その点は注意が必要です。

階下への騒音を気にせずに暮らすイメージイラスト
飛んだり跳ねたり、積み木を崩したり、子どもの遊びには予想外の騒音が発生しがち。1階なら元気いっぱいの子どもたちをゆったりした気持ちで見守れる(イラスト/もり谷ゆみ)

専用庭や駐車場がある物件が多い

1階マンションの最大の魅力のひとつに「庭があること」が挙げられます。マンションで暮らしながら本格的なガーデニングや家庭菜園を楽しんだり、お日様の下でプール遊びをしたり。もちろんすべての1階マンションに広い庭が付いているわけではありませんが、テラスがあったり、中には専用駐車場が付いていて一戸建て感覚で暮らせる物件もあります。

「駐車場が付いている部屋なら、道路まで少なくとも奥行きが5m以上あり、それだけあれば開放感もたっぷり。自宅からすぐに使える駐車場があれば荷物の出し入れが便利なだけでなく、車好きの人にとっては何よりの設備ということになります。庭のある暮らしを満喫するために、スロップシンクや水栓がついているか、なども確認しておきましょう」

専用駐車場と専用庭のある1階マンションでの暮らし
専用駐車場があれば公道から直接自宅に入れて便利(イラスト/もり谷ゆみ)

バリアフリーに近い暮らしができる!

ほとんどのマンションでは、ポストやゴミ置き場、集合エントランスといった共有設備が1階に用意されています。1階住戸ならエレベーターを使わずにそれらをすぐに利用でき、敷地外へのアクセスもスムーズ。ベビーカーや車椅子が使いやすく、エレベーター停止時にも困ることなく、万一の地震の際も避難しやすいのは、1階ならではの大きなメリットです。

「高齢化社会が進んでいくこともあって、バリアフリーで暮らせる1階マンションには一定のニーズがあるんです。高齢者でなくても、エレベーターを使わずに暮らせるメリットはとても大きい。点検等の停止時に困らないし、エレベーター待ちをしなくてもいい。せっかちな人にとっては特に魅力的だと思いますよ」

アプローチがスロープになっているバリアフリーマンションのイメージ写真
アプローチがスロープになっていれば、車椅子でもベビーカーでも、道路から部屋まで段差なくスムーズに移動できる(画像提供/PIXTA)

マンション1階を選んでも後悔しない方法はこれ!

「1階っていいな」と思っていても、マイナス点ばかり聞いていると「実際に住んだら後悔しないだろうか」と心配になるかもしれません。物件選びの際に注意すべきポイントはあるでしょうか。

マンション1階のメリットにどれだけ魅力を感じるか確認を

たとえば「のびのび子育てしたいから、階下に気がねなく暮らせる1階がいい」「これから20年先のことを考えると1階が安心」といったように、自分たちのライフスタイルにとって1階の暮らしがどれだけ魅力的かを今一度チェックしてみましょう。

「『戸建て感覚が欲しいけど、鍵一本で出かけられるマンションの気軽さも欲しい』という人にとっては、1階マンションって本当に魅力的だと思います。また、最近は広い専用庭があったり、離れがあったり、シェードが付けられるようになっていたり、1階の良さを積極的に活かした魅力的なマンションもたくさん登場しています。また、戸建とマンションを一体開発している大きな分譲地の1階マンションなんておすすめです。分譲地の南側には一戸建て、北側にはマンションが並んでいて、街づくりも一緒に行うので景観やプライバシーにも配慮されています。そういった1階マンションなら、一戸建てとマンションの両方の良さが手に入ると思いますよ」

マンションと一戸建てを一体開発している分譲地のイメージ写真
周辺環境や、どんな街に建っているかで、マンション1階の住み心地は大きく変わる(画像提供/PIXTA)

ハザードマップや防犯性を確認しておこう

浸水の心配があるかどうかは、立地によって大きく変わります。国土交通省の「重ねるハザードマップ」を見れば、洪水だけでなく土砂災害や高潮、津波などのリスクや、土地の成り立ちも簡単に確認できます。

防犯性は、警視庁や各都道府県警の犯罪発生マップで確認を。地域別の犯罪発生状況が紹介されているので、どのような事件がどの程度起こっている地域なのかを知ることができます。1階からの侵入が気になる人は特に詳しくチェックしておきたいですね。

ハザードマップとスマホの情報を活用するイメージ写真
公的な情報ツールを活用すれば、自分たちでも災害リスクをある程度把握できる(画像提供/PIXTA)

マンション1階には、他の階にはない特性がいっぱい。それだけに分からないことが多く不安になりがちですが、防犯性や寒さや浸水しやすさなどはそもそもの立地によって変わるもの。もしも1階に魅力を感じるのなら「1階は後悔しそうだから」と除外するのではなく、それぞれの物件そのものをしっかり吟味してみてはいかがでしょうか。

まとめ

マンション1階の防犯性は、防犯センサーや防犯カメラで格段に高まる

1階の眺望・日当たり・騒音・売却のしやすさなどは立地次第

子育て世帯や高齢者世帯にとって1階はバリアフリーで暮らせる魅力大

新築マンションを探す
中古マンションを探す
新築一戸建てを探す
中古一戸建てを探す
賃貸物件を探す
土地を探す
注文住宅の会社を探す
売却査定する
リフォーム会社を探す
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
引越し見積もりをする
取材・文/伊東美佳 イラスト/もり谷ゆみ
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る