一人暮らしを始めるのはワクワクするもの。でも一方で、家族と離れるのが寂しい、一人で部屋にいるのが怖い、ちゃんとやっていけるか不安……などという声も。そこで、一人暮らしのメリット・デメリットを知り、不安を解消するための方法を一人暮らしアドバイザー・河野真希さんに教えてもらった。
一人暮らしをするにもメリット・デメリットがあり、事前に知っておくことで、さまざまな不安に対処できることもある。まずはどんなメリット・デメリットがあるのかを河野さんに教えてもらった。
好きな時間に寝て、起きて、好きなことをして過ごし、好きなものを食べて暮らせる
最低限の家事の仕方や大変さがわかり、親のありがたみがわかる
収入(仕送りを含む)の予算内でやりくりするための節約術が身につく
自分自身と向き合い、自分の性格や好みを改めて知るきっかけになる
何事も自分で決めなければならないので、判断力が身につき、精神的に自立できる など
話し相手がすぐ近くにいなくて寂しい、孤独に感じる
お金や時間の使い方がルーズになる。見ている人がいないので、生活全般がだらしなくなる
好きな時間に好きなものを食べても注意する人がいないので、栄養が偏り、体調を崩すことも
熱を出したり、けがをしたりして動けないとき、看病してくれる人がいない
防犯上の不安。何かトラブルに巻き込まれたときにすぐに助けてくれる人がいない
主なメリット・デメリットは上記のとおりだが、デメリットに挙げられた「不安」の要素は工夫によって解消できるものもあるので、次の章で解説していこう。
一人暮らしのデメリットに挙げられた「不安」の要素は「暮らしていく上での工夫や、物件の選び方などによって解消できるものもあります」と河野さん。不安の要因ごとに、それぞれの解消法を教えてもらった。
近所に友人が住んでいると心強いが、そうでなくても、SNSなどを上手に活用して、何かあったときに声をかけてもらえるだけで落ち着くということもある。定期的に投稿していると、投稿がなくなったときに声をかけてくれるなどのケースも。一方でSNSはトラブルの原因になることもあるので、注意が必要だ。
また、友達でなくても、近所のお店の店員さんなど、顔見知りになっておくと安心。
お金が足りなくならないかどうか、わからないから不安になるもの。不安解消のためには、まず自分の収入・支出の金額を把握することが大事。家計簿を毎月つけるのは大変だけれど、1カ月だけつけたり、使いすぎが気になる出費だけつけてみよう。
また、予備のお金を持っておくことも大切。緊急事態や本当に困ったとき以外、このお金には絶対手をつけないと決めて持っておく(または銀行に預けておく)と安心。
一人暮らしの節約方法についてもっと詳しく
一人暮らしの「お金がない!」を解決する食費や光熱費の節約&貯蓄(貯金)のアイデア
物件の周辺をチェック。どこに何科の病院があるのか、事前に情報を集めておくことで安心感につながる。また、救急箱はもちろん、急に熱が出て外に行けなくなっても最低限の栄養がとれるよう、レトルトやフリーズドライのおかゆ、ゼリー飲料などを常備しておくことも大切。これらは防災の備えにもなる。
体調不良を防ぐためには、日ごろからあまり食べすぎ・飲みすぎ・寝不足などの不摂生をせず、規則正しい生活を心がけることも重要。また、何かあったとき、ヘルプに来てもらえるような知人をつくっておくと安心。
セキュリティのしっかりした物件を選ぶのはもちろん、窓をロックする、防犯ライトなど自分で用意できる防犯グッズを追加すると安心感がアップする。
また、建物内で会った人にはあいさつをするよう心がけることが大事。親しくしていなくても、顔を知られているというだけで、トラブル時に助けてもらえる確率がぐんと高まる。声がけにより、不審者が入りづらくなるというメリットもある。
一人暮らしの防犯についてもっと詳しく
女性の一人暮らしはオートロックが安全?安心の賃貸選びと防犯対策を伝授!
家事の基本となる情報(本やインターネットなど)に一度目を通しておくのがオススメ。家事のやり方は人それぞれだが、基本的な知識なく時短や節約などを目指しても、かえって時間や労力、お金を無駄にしてしまうことがある。また、慣れた方法がスムーズなことも多いので、困ったときには実家に聞いてみるのもいいだろう。まずは一通りの家事をこなしてみてから、自分のやりやすい方法にアレンジを加えていってみよう。
さまざまな不安は、事前に情報を調べ、備えておくことで解消できることも多いといえそう。特に自炊をして栄養バランスの良い食事をとることで、お金への不安・病気への不安の解消につながりそうだ。
特に初めての一人暮らしでは「こんなときどうする?」という困りごとが降りかかってくるもの。状況別に対処法をまとめたので、困ったときは確認してみよう。
A.基本的には郵便物は転送届を出しているはず。誤配である旨を記載してポストに投函するか、郵便局に連絡を。
A.ゴミの出し方には、地域と建物で2つのルールがある。地域のルールは自治体のホームページ、建物のルールは管理会社か大家さんに確認を。
A.騒音のクレームは直接言ってはダメ。壁をたたくなどもトラブルの元。必ず管理会社や大家さんを通して言ってもらおう。管理会社や大家さんに連絡が取れない時間帯の大騒音は警察へ。
A.気がついた時点で早めに管理会社か大家さんに連絡を。すぐに来てくれない場合、自分で写真を撮影しておくこと。退去時の敷金の精算にかかわるのですぐに対応を。
A.居留守を使えばOK。一人暮らしの部屋に何の連絡もなく人が来ることは普通ないはず。宅配便は時間指定にするなどの対応を。
A.基本的には自分でがんばって対処する。こまめに忌避剤を置いておくと、出る頻度は減るはず。また、建物ではなく自分の生活が呼び込んでいるかもしれないので注意。通販などで届く段ボールには倉庫の害虫がくっついてくることもあるようなので、早めに処分を。
A.換気が不十分だったり、湿度が高い部屋はニオイが強く感じられる。十分な換気を行ったり、イヤなニオイが染みつかないように水まわりや部屋のカーペットやカーテンなど面積の大きい布製品や床はこまめに掃除を。また、入居したての場合は排水溝のトラップ部分に溜まってフタの役割をする水が蒸発して下水のようなニオイが上がってきていることも。これが原因の場合は水を流せば解決できる。
気になる部屋のニオイの解消法についてもっと詳しく
部屋の匂いで後悔しない!におわない賃貸物件探しのコツと臭いの消し方
不安を解消して最高の一人暮らしを楽しむためには「まず、自分が何をして過ごすのが好きかを知っておくこと。部屋で楽しめることがあると、寂しさや不安を解消でき、楽しく暮らせるでしょう」と河野さん。「例えば友達を呼んで楽しく過ごすのが好きなら防音性の高いマンション、料理が好きならキッチンが広めの部屋など、自分が何をして過ごすのが好きかを考えて部屋探しをしましょう」
また、賃貸住宅でも家具や小物で好みのインテリアにして楽しみたいもの。好きな家具や小物を無計画に集めていくより、インテリアスタイルを決めてその範囲の中でアイテムを選ぶことにより、インテリアに統一感が生まれる。ピンときたインテリアの写真を集めて、自分にぴったりなスタイルを選び、部屋づくりをしよう。
一人暮らしの部屋のインテリアについてもっと詳しく
一人暮らしのインテリア おしゃれな部屋をつくるポイント大公開
一人暮らしへの不安は生活の工夫と部屋探しで解消できることもある
一人暮らしの部屋で困ったことは基本的に管理会社か大家さんに連絡
最高の一人暮らしを楽しむために、自分が楽しいと思える部屋を選ぶ