ワクワクする初めての部屋探し。ところが、多くの人が進学や就職で部屋を探す時期は、不動産会社もオンシーズンとなり、人気の物件はタッチの差でなくなってしまうことも。気に入った物件を逃さず、スムーズに入居するため、審査や入居~引っ越しまでの賃貸契約の流れや期間を押さえよう!
まずは、賃貸契約の一般的な流れと、それぞれにかかる期間の目安をチェック。賃貸物件の管理運営を手がけるハウスメイトマネジメントの伊部尚子さんに聞いてみた。
物件の検索から入居まで、早ければ下図のとおり1~2週間ほどで進むケースもあるそうだが、それはすべてがスムーズに運んだ場合の最短の目安。気に入る物件がすぐ見つからなかったり、入居審査がなかなか通らなかったりして、数週間かかるケースも少なくないようだ。
その点も考慮に入れると、「3月末までの入居を目指すなら、2月くらいから不動産会社に行っても早すぎることはないでしょう。オンシーズンだからと早めに不動産会社に行っても4月入居の予約はできないため、契約後に家賃が発生します。物件によってはフリーレントで2月末に契約して、4月から家賃が発生するケースもありますので不動産会社に相談してみてください。
また、新築物件は早めに動くことが大事。不動産探しサイトなどで物件を検索して、予算内でどんな部屋に住めるのかイメージをもっておくと不動産会社との話がスムーズですよ」(伊部さん)
部屋探しにかかる期間はさまざまな要因によって変わるが、「4.申し込み」までの各ステップに10日くらいずつかかると仮定すると、4月入居を目指すスケジュールは下図のようなイメージに。
気になる物件について不動産会社に問い合わせをした後、その物件に決めた場合は3~4のステップはさらに短縮でき、決めずに内見を繰り返した場合はさらに日数がかかる。あくまで目安ととらえよう。
上の図の1~7それぞれのステップでどんなことをするのかを詳しく解説。また、スムーズに進めるための「時短のコツ」についても教えてもらったので参考にしよう。
まずは自分が住みたい部屋をイメージして、インターネットの不動産探しサイトなどで希望の条件を入力し、自分の予算でどんな部屋が借りられるのかをチェック。予算内で見つからなければ、駅から遠い、狭い、築年数が古いなど、妥協できるポイントを見つけて選択肢を広げてみよう。それでも難しければエリアを変えることも検討を。少なくともエリアを決定し、次のステップに進もう。
住みたいエリアが決まったら、そのエリアの物件情報が多い不動産会社、気になる物件を持っている不動産会社をリストアップし、事前に予約をして行ってみよう。このとき、自分の予算でどんな部屋を借りられるのか、相場が分かっていると話がスムーズに進む。
希望条件に近い物件情報があり、内見ができる状態なら、物件見学へ。ここで「この物件がいい」「もう少し探してみよう」という判断ができるかどうかは、1のステップ次第。予算内で住める部屋の相場をしっかり把握できていれば、後悔のない判断ができそうだ。
住みたい物件が見つかったら、即申し込みを。特に進学・就職の時期など賃貸のオンシーズンは、迷っている間に他の人に先を越されることも多いので注意。入居申込書に、入居希望者と親など連帯保証人になる人の住所・氏名・連絡先、勤務先、年収、勤続年数などを記入するので、事前に調べておこう。
貸主(不動産会社または大家さん)が入居希望者の書類の内容に基づいて審査。主に家賃の支払い能力があるかどうかを見るため、収入を確認することが多い。進学する人は合格証明書、就職する人は内定通知書など、入手できる書類は入手しておくとスムーズだ。
入居審査が終わると、契約内容や物件に関する確認をして契約。
必要書類は次のものをそろえておこう。
3カ月以内に発行された住民票や印鑑証明書の提出を求められることが一般的であるため、契約日に有効であることも確認を。
郵送のやりとりを含め、入居審査には1週間ほどかかる。これも先回りして書類を用意しておくとスムーズに進む。
特に、現在の居住地と部屋を借りるエリアが離れている人は、必要な書類をそろえるのに時間がかかるケースもあるので、早め早めの準備が鉄則だ!
鍵の引き渡しは、契約が終われば即日OKのことも。実際の入居日に合わせて設定する。
初めて一人暮らしをする人など、慣れていない部屋探しをスムーズに成功させるためのポイントは「頼りになる不動産会社の担当者に出会うこと」と伊部さん。
「物件情報を検索すると、住みたいエリアに情報をたくさん持っている会社、物件の紹介が丁寧な会社など、不動産会社の特徴が分かってくると思います。良さそうな会社だなと思ったら、問い合わせをして、希望の物件が見られなくても、不動産会社に行って要望を伝えてみましょう。例えば『この部屋は申し込みが入って契約待ちですが、同じタイプの部屋が、ご希望の時期に空きますよ』などと、インターネットにまだ出ていない情報を教えてもらえることもありますよ」
部屋探しに慣れていないからこそ、頼れる不動産会社を味方につけて部屋探しを成功させよう。
気に入った物件が見つかると、申し込みから契約、入居まではさまざまな準備に追われて忙しくなるもの。部屋探しと並行して考えておきたいこともあるので、こちらの記事もチェックしよう。
部屋探しのとき、家賃や敷金・礼金のことは気にするけれど、それ以外にもかかる費用がある。「初期費用」にはどんな項目があり、どのくらいかかるのかを考えながら部屋探しをしよう。
初期費用についての詳細は
賃貸契約に必要な初期費用の相場はどのくらい? 安くする方法は?引越し費用は?
ベッドやテーブル、冷蔵庫、洗濯機など、自分にとって必要な家具・家電をリストアップ。入居してすぐに必要なもの、後からゆっくり探してもいいものに分け、急ぐものは早めに準備を始めよう。
家具家電についての詳細は
一人暮らしに必要なもの「家具」「家電」はこれ! 一人暮らしを始める前に要チェック
狭くてもどうにかなる!と思って部屋を決めたものの、入居してみたら必要な家具や家電を置けなかった……ということも。部屋探しは家具家電のレイアウト(配置)を考えながら進めよう。
部屋のレイアウトについての詳細は
一人暮らしの部屋の上手なレイアウトとは 家電や家具配置の工夫で狭くても快適に暮らす
地方から進学する人の場合など、親が子どもに代わって部屋探しをするケースも。
このとき「親が気に入った物件でも、子どもが気に入らないということがよくあります」と伊部さん。「予算が決まっていても、その中での選択肢は豊富にあるので、よく話し合いを。親子の意見がまとまらないまま不動産会社に行っても、スムーズに進みません」
合格が決まってから入居日までに余裕がない場合は、「物件の問い合わせをしながら、親切にしてくれそうな不動産会社を絞っておくのもおすすめ。希望の物件がなくなったとしても、不動産会社とのつながりができていれば、スムーズに次の物件探しに進めます」
進学・就職での部屋探しは、入居者も不動産会社もドタバタ。そんななかで満足できる物件を見つけ、契約、入居までをスムーズに進めるには「不動産会社にとってやりとりしやすい相手」になることが重要なポイントのようだ。不動産会社に行く前に希望条件を決め、相場をつかみ、事前に用意できる情報や資料は先回りして取り寄せ、効率よく進めよう。