遠隔でのお部屋探しは、なかなか現地に出向くのも大変ですよね。そんなときに便利なのがオンライン内見です。
とはいえオンライン内見が初めてで、流れややり方がわからない方、欠点を見落としそうで怖いと思う方も多いのではないでしょうか?この記事では、オンライン内見のメリット・デメリットからチェックポイント、更にはIT重説までを不動産会社のミニミニ中央の河内さんに伺いました。
不動産会社の前を通ったときに、「オンライン内見」「オンラインお部屋探し」「Web内見」などと書かれているのぼりを見たことはありませんか? 以前からあるサービスなのですが、さまざまな場面で新型コロナウイルス感染拡大対策がとられるようになった今、注目度がアップしています。
「オンライン内見」とは、不動産会社のスタッフが現地(賃貸物件)へ行き、オンラインを使って映像や音声で物件内の紹介をするサービス。部屋を借りたいユーザーは、ネット環境のある場所なら自宅や会社、学校などどこにいても物件見学をすることができます。
映像と音声でやりとりする際は、オンライン内見用のアプリを使用したり、オンライン会議用のツールを使ったりします。不動産会社によって使用ツールは違いますが、スマホやタブレット、パソコンなどインターネットにつながる端末があればOK。パケット代を気にせず、安定した通信状況で不動産会社の担当者とやりとりするためには、Wi-Fi環境が整った場所からアクセスすることがポイントです。また自分の顔はオフでも問題ないため、気軽に内見が可能です。
オンライン内見を利用する際には事前に申し込みをして、日程を調整します。
電話やメール、不動産会社ホームページのフォームなどからオンライン内見を申し込む。希望エリアや予算、希望の間取りなどの条件を伝える
不動産会社の担当者と内見の日時を調整
不動産会社からオンライン内見専用のURLがメールで送られてくる。スマホやタブレットの場合はアプリのダウンロードが必要なことも
予定の日時にログインをして、内見をスタート
※オンライン内見までの手順は不動産会社によって違います
オンライン内見の当日、物件見学はどのように進められるのでしょう。
「通常は、玄関からスタートし、リビングやキッチン、寝室、浴室・トイレといった水まわりなど、部屋の全体がわかるよう、一通り、映像を見ていただきます。『天窓がついています』『ここに収納があります』といったことをご説明しながら、収納なら扉を開けて中を見ていただくなど、物件の特徴がわかるようにご案内します。実際に現地を訪ねているような感覚で見学をしていただけると思います」(ミニミニ中央・河内さん、以下同)
オンライン内見のメリットは、世界のどこからでも物件探しができること。
「遠方の物件を探している人にメリットが大きなサービスです。転勤や就職、進学などで今住んでいるところから遠く離れた物件を探す場合、オンライン内見を利用すれば、移動の時間や費用をかけずに物件を確認できます。大学を卒業して引越しをするお子さんと、実家にいる親御さんがそれぞれ違う場所から見学することも可能なんです」
遠隔地にある物件を自宅にいながら見学できる
離れた場所にいる家族や友人など一緒に物件を見学できる
現地へ行く時間や交通費がかからない
写真と異なり、見たいポイントを重点的に確認できる
便利なオンライン内見ですが、インターネット回線が不安定な場合、音声が途切れたり、映像が不安定になったりすることがあるのがデメリット。Wi-Fi環境の整った場所からアクセスするようにするといいでしょう。
通信環境によっては映像や音声が不安定になる
Wi-Fiにつながっていない端末の場合、通信費がかさむ
現地に行かなくても物件見学ができるオンライン内見ですが、部屋のニオイや外の騒音など見えない部分は現地に行かなければわかりません。また、収納スペースが足りるかどうかなども気になるところです。
「部屋の湿気やニオイなどは、住人の暮らし方によっても変わってくるため、空き室の状態ではもともと確認しにくいもの。特にニオイの気になる・気にならないは、個人の感覚によるところが大きいため、オンラインでお伝えするのは難しいポイントです。湿気については、風通しが良い2面採光かを確認し、隣家との距離が近すぎないか、茂みや塀などで通風が邪魔されないかを、窓を開けてもらって確認するといいでしょう」
気になることは事前に希望を伝えるのがオススメ。外の音が気になる場合も、窓を開けてもらい、どんな音がどれくらい聞こえてくるかを確認させてもらいましょう。
収納スペースは、不動産会社のスタッフにその場でサイズを測ってもらうこともできます。
「収納の大きさを気にされる方は多いですね。『クロゼットは両手を広げられるくらいの幅』など、体の感覚でつかんでいただくのもわかりやすいようです。気になるポイントは事前に伝えていただければ、当日の映像と会話で、できるだけ現地の状況が伝わるようにしています」
通常の内見も並行して検討している方はこちらもチェック
内見とは?持ち物や当日の流れ、確認することなど、不動産物件を見る前に知っておきたいポイントを紹介
不動産の売買や賃貸借の契約を結ぶ際に、必ず必要になるのが重要事項説明です。これは、契約前の段階で契約上重要な事柄を、重要事項説明書を交付したうえで説明することで、宅地建物取引業法で義務づけられています。
以前は宅地建物取引士と対面で説明を受けなければなりませんでした。
その流れが変わったのはここ数年。2015年8月31日から2017年1月31日にかけて、テレビ会議やビデオ通話などを使用した国土交通省によるIT重説の社会実験が行われ、2017年10月から「賃貸借契約における借主への重要事項説明」は、インターネットを活用して映像と音声を双方向でやりとりできる「IT重説」の運用が開始(※)されました。
つまり、オンライン内見同様、現地の不動産会社まで足を運ばなくても重要事項説明を受けることができるようになったのです。
※2021年3月30日より、不動産売買取引に関わるIT重説も運用が開始されました
オンライン内見と同様、パソコンやスマホ、タブレットなどの端末を使い、不動産会社の担当者と対面・会話ができる環境で行われるのがIT重説です。日程を決め、オンラインでやりとりをする環境を用意し、事前に重要事項説明書や賃貸借契約書などの契約関係書類を送付してもらいます。
借りたい物件が決まったら、IT重説を利用したい旨を不動産会社の担当者に伝える
不動産会社の担当者と重要事項説明を受ける日時を調整
不動産会社から「重要事項説明書」が郵送やメールで送付される。オンライン内見と同様にパソコンやスマホ、タブレットを用意。アプリのダウンロードが必要なことも
予定の日時にログインをして、重要事項説明を受ける
※IT重説を受けるために必要なパソコン環境やアプリなどは不動産会社によって違っています
「IT重説のメリットは、重要事項説明のために現地の不動産会社に足を運ぶ移動時間と交通費が不要になることです」
オンライン内見と同様、インターネット環境があれば、小さな子どもを連れての移動が大変な人や高齢者、体の不自由な人も自宅で重要事項説明を受けられます。また、移動時間が不要ですから仕事や学校で忙しい人も、時間をつくりやすいといえるでしょう。
現地へ行く時間や交通費がかからない
一方でデメリットもあります。
「通信環境が不安定な場所では映像や音声のやりとりにストレスを感じてしまうのはオンライン内見と同じです。重要事項説明の場合、書類に書かれている項目や文章が多いため、今、どの部分の説明がされているのかがわからなくなることも。これについては、不動産会社の担当者がわかりやすく説明することでカバーしていきます」
通信環境によっては映像や音声が不安定になる
Wi-Fiにつながっていない端末の場合、通信費がかさむ
書類のどこの説明なのかが対面の場合よりもわかりにくくなることがある
現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止の影響もあり、移動や人との接触を避けられるオンライン内見やIT重説は普及の方向にあります。
しかし、すべての不動産会社や物件が対応しているわけではありませんから、「オンライン相談」「オンライン内見」「IT重説」に対応している不動産会社かをホームページなどで確認しましょう。賃貸物件の検索サイトで探す場合も「IT重説対応」「オンライン内見可」などのキーワードをチェックするといいでしょう。
オンライン内見では、不動産会社の担当者との事前のやりとりがポイント。どんな部屋がいいのか、どんな暮らしがしたいのかなど希望を伝えておくことが、理想の部屋との出合いにつながります。
「料理が好き、ベランダを活用したいなど、お部屋への希望を事前に教えていただければ、キッチンやベランダを重点的に映像をご覧いただく等、お客様に合わせた説明をするなどの対応ができます」
効率よく部屋探し・賃貸契約をしたい人は、オンライン内見、IT重説を利用してみるのがオススメです。
インターネットを使い、現地へ行かなくても物件見学ができるのがオンライン内見
賃貸契約の場合は、オンラインで重要事項説明を行うIT重説が利用できる
どちらも現地へ足を運ぶ必要がなく、時間や交通費が節約できる