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大切な人、ともに暮らす「同棲」。憧れの街で、好きな家具や家電を置いて……と、これからの暮らしに心も踊りますが、それと同時に気になるのが家賃を含めたお金のこと。今回は同棲時の家賃と間取り、負担割合の実態と補助金について解説します。
同棲をすることが決まったら、まっさきに2人で話し合いたいのが家賃です。とはいえ、初めての同棲となればいくらくらい家賃が必要になるのか、目安を知りたくなるもの。そこで、不動産仲介や賃貸管理を手掛ける不動産会社のジェクトの遠藤さんに話を聞いてみました。
「同棲をするときの家賃は、地域性もありますし、2人の考えがはっきりと出るものです。ワンルームで2人暮らしをする人もいらっしゃいますし、広めの住まいでゆったり暮らしたいという2人もいます。大切なのは、2人の価値観をすり合わせること。特にお金まわりのことは、本音ではっきりと話し合いましょうとお伝えしています」と遠藤さん。

最近の部屋探しでは、インターネットやアプリで、下調べをしていて相場観をつかみ、部屋もある程度見当をつけてから行う人が多く、物件見学は最後の確認ということも少なくないそう。
気になる家賃の目安は、首都圏では、2人暮らしの世帯が実際に入居している物件の家賃(管理費除く)の賃料の平均金額は10万6250円というデータが出ています(株式会社リクルート調べ。2022年度の首都圏版賃貸契約者動向調査の結果(2023年6月実施))
実際にSUUMOに掲載されている東京23区内の1LDK/2K/2DK、2LDK/3K/3DKの物件の家賃相場を見てみると、区によっても差がありますが、10万円を下回る区もあります。
| 区名 | 1LDK/2K/2DK | 2LDK/3K/3DK |
|---|---|---|
| 東京都葛飾区 | 8.5万円 | 11.5万円 |
| 東京都足立区 | 8.8万円 | 11.5万円 |
| 東京都江戸川区 | 9.0万円 | 12.0万円 |
| 東京都板橋区 | 10.5万円 | 13.4万円 |
| 東京都練馬区 | 10.7万円 | 12.6万円 |
| 東京都荒川区 | 11.6万円 | 17.5万円 |
| 東京都大田区 | 12.0万円 | 15.4万円 |
| 東京都北区 | 12.0万円 | 16.7万円 |
| 東京都杉並区 | 12.7万円 | 16.2万円 |
| 東京都中野区 | 13.0万円 | 17.3万円 |
東京都内であれば一人暮らしの家賃でも7万円程度はするもの。2人あわせると14万円ということに。となれば、「いっしょに暮らしたほうが安い!」「もうちょっとよい部屋で暮らして貯金をしよう」となると、10万円台前半が一つの目安になるのかもしれません。
「2人暮らしで、家賃と管理費あわせて月10万円~12万円の場合、広さ、駅からの距離、築年数、設備の新しさなど、タイプの異なる物件を比較することができるはず。また、隣り合う駅でも特急停車駅、各駅停車駅などと、一駅違えば相場も違いますので、条件を広げたり、絞ったりしやすいのではないでしょうか」(遠藤さん)。
あわせて、家賃10万円台だと、2人暮らしを想定している物件の数が多く、探しやすいという事情もあるようです。

家賃と並んで気になるのが、同棲するときの間取りです。2人暮らしであれば、リビング・ダイニング・キッチンと寝室を分けたとしても、1LDKで暮らすことが可能です。実際、先ほど紹介した株式会社リクルート住まいカンパニーの賃貸契約者動向調査(首都圏版)では、2人暮らしにもっとも多く選ばれている間取りは1LDKという結果になりました。

グラフを見ていくと1LDKが突出していますが、その後は2LDK、2DKが多く、他にもワンルームから4LDKまで、さまざまなタイプの間取りが選ばれているようです。
「物件をご紹介している印象では、お2人暮らしで選ばれている間取りは、1LDKか2LDK、広さ40~50平米前後の住まいが多いです。ただ、2020年は新型コロナウイルスの影響で、自宅で仕事をするテレワークを導入する企業も増えました。同棲をするうえでも『3畳、4畳と狭くても個室が欲しい』『いざというときに個室として使えるようにしたい』という声は増えてくるかもしれませんね」と遠藤さん。
確かに、今までは住まいはくつろぐ場所でしたが、これに仕事が入ってくるとなると、話は別です。今後、テレワークが当たり前となり、2人ともに自宅で仕事をするとなると、2LDKはもちろん3DK、4DKなどが選ばれるようになるかもしれません。一方で、出勤日数が減るのであれば、駅からの距離、都心からの距離は妥協でき、ゆとりある郊外での暮らしも考えられます。今後の働き方や仕事部屋についても、きちんと話し合っておきたいところです。

また、そもそもですが、間取りにはそれぞれ特徴があります。ワンルームや1LDKの間取りは、食事や睡眠時間がズレない2人であれば、コンパクトで生活しやすいのが最大の魅力です。ただ、生活時間が異なるのであれば、一方は眠っているのに一方は食事していて、音が気になる……など、存分にくつろげないこともあるでしょう。
一方、2DK以上の間取りであれば、リビング・ダイニングといった共有のスペースのほかに、それぞれの部屋が確保できるので、自宅で仕事をしたり趣味に没頭することも可能です。一方で、居室の面積が狭い、広々とした2LDK以上だと駅から遠い、家賃が高いといったデメリットも考えられます。
「間取りは、2人の生活スタイルにあっていないと双方にストレスとなってしまいます。それまで別々の暮らしをしていたわけですから、食事の時間やスタイル、睡眠、休日と過ごし方などが異なります。暮らしてからギクシャクすることのないよう、しっかり話し合ってくださいね」(遠藤さん)
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家賃と間取りの次に気になるのが、家計に占める家賃の割合です。たとえ希望とする住まいを見つけても、家計に無理があれば、住み続けるのは難しくなるもの。専門家によると、家賃の負担割合は、2人の収入を合算した家計のうち、3割程度が目安だといいます。例えば、2人の収入合計が40万円だった場合、家賃と管理費が10万円~12万円程度という結果に。もちろん、これはひとつの目安で、仕事が忙しいので家賃の家計に占める割合が5割になっても、会社の近くに住みたい、家賃は家計の2割に抑えて貯金がしたいという人もいることでしょう。
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もうひとつ考えておきたいのが家賃以外の出費です。
「家賃だけでなく、2人で共通にかかるお金、電気ガス水道などの、水道光熱費、インターネット代はもちろん、定期的な支出となる奨学金や保険の有無も含めて考えましょう、とお話しています」(遠藤さん)
遠藤さんが指摘する通り、家賃、光熱費、携帯代、ネット代、保険料など、毎月、一定額を支払うお金のことを「固定費」といいます。同棲をするうえではこの「固定費」を把握して、負担割合を考えることがとても重要になってきます。
「不動産会社の担当者なので、『家賃と光熱費をあわせて折半している人が多い』『男性が家賃を負担している』などの個別の事情までは存じ上げません。また、一律に『コレが一番』と言い切るのは難しいと思います。ただ、繰り返しになりますが、大切なのは隠しごとをしないこと、ではないでしょうか。お互いの手取り収入、貯金、返済が必要な奨学金の有無など、きちんと書き出して、納得するまで話し合う以外の近道はないと思います」と遠藤さん。
インターネットなどには同棲の家計負担割合がたくさん出ていますが、それらはあくまで「参考値」。まずは手取りの収入と預貯金などをしっかりと話し合って、「自分たちにはコレがベスト!」といえる負担割合を出したいものです。

同棲するときに決めておきたいのが、家賃と生活費の負担割合です。どのように取り決めておくとムリがないのでしょうか。折半、割合で負担する、項目ごとなど、よくある負担方法をご紹介します。
住居費と光熱費を合算して、半分ずつ負担します。収入がほぼ同じ、収入差があまりない場合だとこの方法を採用している人が多いようです。一方で、2人の収入に差があったり、どちらかが不安定だったりする場合は不公平感が生じることもあるでしょう。
2人の収入に差があるのであれば、収入額に応じて、負担割合を決める方法も有効です。例えば収入が24万円と16万円であわせて40万円なら、家賃や光熱費も3:2の割合といったぐあいで割り出すため、ムリがありません。現金や生活費用の口座をつくり管理することになりますが、家賃や光熱費のために現金の受け渡し・口座への振込など、一定の手間が発生します。
家賃や光熱費など、支払い金額と内容にあわせて担当を決めておく方法もあります。一方が家賃や光熱費などを支払い、一方が食費や雑費、被服費などを払うという方法です。金額の差が大きいと不満になりやすいので、「家計を記録・見える化」しておき、不満がたまる前に共有できるようにしておくとよいでしょう。
同棲するときには家賃以外にも食費、電気・ガスなどの光熱費、水道代、スマホ代などの通信費、日用品代、衣類や娯楽交際費などが発生します。2人で暮らすことで折半でき、節約できるものもあれば、単純に2人分となり2倍になることもあるでしょう。以下のような二人暮らしの生活費、内訳や平均を参考にしつつ、不満があれば抱えこまずにきちんと話し合うことが大切になります。
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平均10万円~12万円程度という同棲の家賃でしたが、なるべく安く抑えるにはどうしたらよいのでしょうか。
まず、考えたいのが、会社の家賃補助や住宅手当の有無です。自分の会社にはなくとも、相手の会社には手当があることも。また、昨今、都市部では保育士などの職種に限って、住居手当がでることもあります。同棲でも条件を満たしていれば、こうした家賃補助や手当が受けられるので、まずは会社の就業規則を確認してみるのがよいでしょう。
こうした家賃補助などがない場合、安く抑えるにはどうしたらよいのでしょうか。
「家賃を抑えるために、30平米程度で1K、1Rで2人暮らし可の物件を探すこともあります。キッチンも小さく、居室は8畳~9畳という間取りですが、夢を追いかけている、目標があるという2人であれば、『2年限定』と決め住むのは賢い方法だと思います」(遠藤さん)
ここで注意したいのは、ワンルームや1Kなどのコンパクトの物件では、単身のみとしていることが多い点です。もし家賃を抑えて同棲したいのであれば、遠藤さんの指摘する通り、「2人入居可のワンルーム・1K」を重点的に探すのも一つの方法といえるでしょう。
また、ワンルーム・1Kではなくても、「期間限定・家賃最優先」というように2人の間で譲れない条件を決め、それ以外はなるべく妥協する(駅や都心から離れていても部屋の広さは欲しい、物件の築年数は問わない)のも1つの手です。
特に昨今は、テレワークが普及したことで、郊外の住まいも選択肢として考えられるようになっています。家賃は利便性と比例するため、どうしても駅から近いほど高くなります。もし、駅からの距離を妥協できるのであれば、ぐっと予算を抑えることができるでしょう。

ほかにも、初期費用を抑える方法として、家具家電は手持ちのものを有効活用する、敷金と礼金のかからないゼロゼロ物件を選ぶ、フリーレントの物件を選ぶという手もあります。
「基本的に家賃を下げる交渉はなかなか成立しないものです。もし家賃を抑えたいのであれば、フリーレントをつけてもらう、敷金・礼金などでうまく交渉するとよいと思います」(遠藤さん)
こうしたフリーレントやゼロゼロ物件の場合、詳細の条件が書かれた「付帯事項」に目を通し、退去時の予告や清掃代などをしっかりと理解しておきましょう。
・会社の家賃補助や住宅手当があれば活用する
・家賃を抑え、小さめの部屋から同棲をはじめる(2人暮らしができる物件を選択しよう)
・駅から離れた物件も検討してみる
・フリーレント物件を活用する
・敷金・礼金がかからないゼロゼロ物件を探す
・家具や家電はお互いの手持ちの物を使用する など
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同棲をはじめる方々を案内するときには、本音を話し合いましょうとアドバイスしているという遠藤さん。その理由を聞くと、同棲をはじめる2人にはまだまだよそよそしい雰囲気があるからだといいます。
「もし、結婚されていて、何年もともに暮らしているお2人であれば、私からなにか申し上げることはありません。ただ、同棲を始めるときだと、『ここまで言っていいのかな……』『嫌われたくないな……』という微妙な遠慮があることが多いもの。ただ、それだと入居後、こんなはずじゃなかった…! ということになりがちです。そのため、できるだけ本音で話し合うことをオススメしています」と背景を解説してくれました。
ただ、相手が物件を気に入って舞い上がっているのに自分はそうでもないときなど、なかなか本音を言い出しにくいもの。そんなときには、「私はちょっと気になるな~」「部屋探しって難しいですね」などというのがよいそう。きつい印象はなくとも、やんわりと思いを伝えることができます。また話し合いのときには、自分の意見を言うだけでなく、相手の意見や本音も聞きましょう。しっかりと本音を話し合ったうえで、わだかまりがなく2人の生活をはじめるのが理想ですよね。

ひとり暮らしと同棲で、入居時の審査などで異なる点はあるのでしょうか。
「入居審査では、シングルと同棲での違いはありません。また、同棲をする場合、入居申込書の入居者に『続柄』を記入します。以前は婚約者などと記入することが多かったですが、最近ではそのまま友人・同棲と記入することが多いように思います」(遠藤さん)
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同棲を始めるときは本音ではっきりと話し合い、2人の価値観をすり合わせて2人でともに気持ちよく暮らせるようにすることが大切です。決めるべきところはきちんと決め、楽しい同棲生活を送りましょう。
同棲するときの家賃は首都圏では10万~12万円がひとつの目安に
同棲の間取りは1LDKを中心にワンルームから4LDKまで幅広く選ばれている
家賃の家計に占める割合は3割。どのように負担するかきちんと話し合おう