ガラスが割れたり、鍵が壊れたりというきっかけがないとなかなか考えることの少ない「窓まわりのリフォーム」。でも実は、快適に過ごせる部屋をつくるためには重要なポイント。今回は、窓関連の商品を多く手がけている株式会社LIXILサッシ事業部の柴田さん・鷹野さんに、窓まわりのリフォームでどんな風に生活が変わるのか、お話を伺いました。
家の“熱”の半分以上は窓や出入口から……
リフォームというと、つい、キッチンやお風呂などに意識がいきがち。でも、柴田さんいわく「窓を上手にリフォームすると、お部屋の心地よさがぐんと変わりますよ」とのこと。
その理由は「住宅で熱の出入りが一番大きいのが、開口部＝窓・出入口です。例えば、夏は外から室内へ熱が入ってきますが、その73％が開口部から入ってくるんです。一方、冬は室内から外へ熱が逃げていきますが、やはりその58％は開口部から逃げていきます。窓のそばが“冬は寒く、夏は暑い”となりがちなのはこのせいです。そこで、断熱や日射よけを考えて開口部をリフォームすれば、“冬は暖かく、夏は涼しい”部屋により近づくというわけなんです」（柴田さん）
【画像1】LIXILの「スタイルシェード」は、日射熱を約83％もカットできる。スマートなデザインも魅力的（画像提供：株式会社LIXIL）
実は、熱は一度家の中に入れてしまうとなかなか下がらないんだとか。
「日差しは窓の外で遮るほうが断然効果的です。そこでオススメなのが“洋風すだれ”とも言われる『シェード』。外付けできるところもリフォーム向きですね。真っ直ぐ下げるだけでなく、ベランダの手すりや、ウッドデッキにいろいろな角度で固定できます。すだれやよしずと違い、窓の上のボックスに巻き上げて収納するので、しまう場所もいらないんです」（鷹野さん）。
1枚当たり2万円台前半～大きいものでも4万円弱とお手ごろなものもあり、リフォームの展示会でも人気なのだそう。
冬の寒さには“手軽につけられる”リフォーム専用窓も
一昔前の窓は、アルミのフレームにガラスも1枚だけの「単板ガラス」が一般的だったものの、現在は2枚のガラスに中空層を設けた「複層ガラス」が主流。フレームも樹脂やアルミ樹脂複合が増えています。窓自体の断熱性能が向上しているので、窓を入れ替えるだけでも、お部屋は暖かくなるのだそう。
さらに、リフォーム専用の便利な製品も。
「短時間で設置できてオススメなのが『今ある窓の室内側に樹脂製の内窓をつけ、二重窓にする』方法です。暖かくなるのはもちろん、結露も減って、防音性も上がりますよ」（柴田さん）。
窓自体を交換する場合も、既存のサッシの窓枠を外さずに取り付けるカバーモール工法なら、壁に手を入れずに済みます。
「窓のサイズをキープしたいなら、外壁をカットして新しいサッシを取り付け、カットした外壁の部分にモールをかぶせる工法もあります。それでも左官工事や塗装工事が要らないので、1日で仕上がりますよ」（柴田さん）
【画像２】YKKの樹脂製内窓「プラマードU」。ガラスはもちろん、樹脂のパーツも断熱効果を高めてくれる（画像提供：YKK AP株式会社）
【画像3】LIXILの樹脂製内窓「インプラス」シリーズには“和紙調ガラス”を取り入れた和モダンなデザインも（撮影協力：株式会社LIXIL）
【画像4】LIXILのリフォーム専用窓「リフレムⅡ」。大型のサッシも壁を壊さずに入れ替えることができる（画像提供：株式会社LIXIL）
窓のあるお風呂を暖かくするには窓リフォームがオススメ
また、お風呂をリフォームするときは窓も一緒にするのがオススメとのこと。実際に、「お風呂場が寒くて、ヒートショックが心配だから」という理由でリフォームされる方は多いそう。
「ただ、天井や床の素材は気に留めても、窓ってつい忘れてしまうんですよね。そこで、断熱効果の高い窓にリフォームすると効果抜群なんですよ」（鷹野さん）。
窓ガラスやサッシの性能は日々向上中。そこで「西側の窓には西日をカットする窓ガラスを使う」といった風に、同じ家の中でも窓まわりの製品を使い分けることによって、より快適に過ごせるそうです。
「窓まわりのご相談のときは、窓の位置や方角、そして“長時間いる部屋はどこか”や、“家で過ごす時に何が一番気になっているか”もぜひ伝えてみてください。より使い勝手のいいご提案をしてもらえるはずです」（鷹野さん）
まとめ
冬は暖かく、夏は涼しい部屋があれば、快適なのはもちろん、冷暖房費も節約できてエコな暮らしに！1カ所ずつでも簡単にリフォームできるのもうれしいですよね。まずは気になるあの窓から、リフォームで心地よい暮らしを手に入れてみませんか？
●取材協力：株式会社LIXIL
●画像提供：YKK AP株式会社
