昨年に引き続きランキング1位に輝いたのは、市が“文教住宅都市”を宣言し、多くの人からの憧れを集める兵庫県西宮市。男女問わず、さらにはシングル、DINKS、ファミリーすべての世代から最も高い支持を集めた。西宮北口、夙川といった「住みたい街」ランキングでも上位に入る人気エリアが点在していることからも、納得の結果といえそうだ。
阪神甲子園球場や西宮神社、門戸厄神、夙川沿いの桜並木、ららぽーと甲子園、阪急西宮ガーデンズといったさまざまなスポットがあり、市外から訪れる人も非常に多いにぎやかなエリアとして知られる西宮市。その歴史は古く、阪神間の憧れの住宅地として大正時代から開発が行われてきた。なかでも西宮七園と呼ばれる「甲東園」「甲子園」「甲陽園」「苦楽園」「香櫨園」「甲風園」「昭和園」は憧れのエリアとして人気が高い。
市街地は南北に長く、東西に阪急、JR、阪神の各路線が貫くかたちとなっている。六甲山の麓に沿うように邸宅街が広がり、海側に向かうにつれて下町情緒が残る街並みに。一方、山を越えた「名塩地区」での住宅開発も行われ、居住エリアが拡大している。また、海岸部では「西宮浜」の埋め立てが行われ、大規模なニュータウンや業務施設に加え、ヨットハーバーの整備も。マリンレジャーの拠点という一面も持ち始めている。
街が劇的に変化する契機となったのは、阪神・淡路大震災。西宮北口周辺を中心として復興と再開発が進められた。最近ではアサヒビール西宮工場跡地の再開発計画が進められており、これからもさらなる発展の余地を残している。
なお、近年は人口増加も続いており、今や西宮市の人口は約48万7128人(2015年3月1日時点)。特にファミリー層が急増していて、その結果「公立学校の不足」という新たな課題も生まれた。市内にある小学校40校の運動場平均面積を見ても、児童一人当たり9.62m2で、全国平均の30.0m2と比べるとかなり狭い。
しかし一方で、待機児童対策には早くから取り組み、平成22年度から「待機児童ゼロ」を目指した取り組みがスタート。結果、平成25年度から2年連続でゼロの目標を達成している。市は子育て環境の一層の充実が政策課題と認識していて、今後もさまざまな対策を打ち出そうとしているようだ。
人を惹きつける魅力を備えているから都市だからこそ、こうした課題も生まれる。これからも市がしっかりと問題に向き合えば、“文教住宅都市”の名はより強固なものになっていくだろう。