京都市の中心部を占める中京区。昨年はランク外の12位だったが、今回は9位とTOP10入りを果たした。世代別の内訳をみると、シングルで8位、DINKSで10位、ファミリーでは21位となっている。近年、京都では京町家をリノベーションすることによって住居や店舗、シェアハウスに再生させる動きが20代・30代を中心に注目されている。「京都暮らし」を始めてみたい、という若年層が増えていることがランクアップの背景にあるのかもしれない。
なお、人口は10万8795人(2015年2月1日時点)、京都市全体の人口は減少傾向にあるが、中京区だけではここ数年増加基調にある。京都中心部での暮らしに、特別な価値を見いだす人が増えているということだろう。
市域全体に目を向けると、北は丸太町通、東は鴨川、南は四条通、西は西小路通あたりが他区との境界となる。鉄道路線は市営地下鉄東西線が中央を横切るほか、阪急京都線も中京区をかすめるようにして終点河原町まで延びている。京都市役所や「田の字地区」と呼ばれる市の中心部ゾーンも同区に位置し、観光客でにぎわう繁華街もある。それでいて、一本小路に入ると町屋や昔ながらの商店、さらに、低層のマンションが居並ぶ独特の街並みが広がっているのが中京区の特徴だ。
そうした、美しく調和のとれた街並みが保たれているのには理由がある。実は、京都市は景観保全のため建築物の高さが厳しく制限されていて、高層マンションなどを建てることが難しい。また、細い路地が縦横に張り巡らされているため、まとまった土地を入手して大型マンション建設を行うこともハードルが高いのだ。
特に御池、五条、河原町、堀川の各通に囲まれた「田の字地区」で分譲されるマンションには希少性があり、1億円を超える高額物件となるのだが、こうした億ションも最近は好調に売れている。京都に憧れを抱く内外の富裕層が、別荘的な利用を前提にして購入しているケースも多いそうだ。定住層ではなく、セカンドハウス層が増えることは都市にとっては必ずしも望ましいことではないだろうが、街の活性化や経済的な波及効果は期待でき、さらに求心力を高めることにつながるだろう。
町屋のシェアハウスから億ションでの優雅な暮らしまで、京都でしかできない暮らしを求めるのなら、じっくりと腰をすえて物件探しをしてみると面白いエリアだ。