建売住宅vs注文住宅どっちを選ぶ? 価格差と特徴 違いを徹底比較

最終更新日 2023年06月21日
建売住宅vs注文住宅どっちを選ぶ? 価格差と特徴 違いを徹底比較

建売住宅と注文住宅 フローチャートで診断し、それぞれの特徴を知ろう

建売・注文などどんな住宅が向くか診断

建売住宅

建売住宅とは?

■土地と住宅をセット購入
建売住宅とは、土地と住宅をセットで販売する新築分譲住宅のこと。一般的には、まとまった土地をいくつかの区画に分けて、同じ仕様の住宅を何棟か建てて販売する。住宅が完成してから販売する場合もあれば、設計プランは決まっているが建築中の段階で販売する場合もある。
ニュータウンといわれるような大規模な開発で分譲する場合は、不動産会社が売主となって直接販売することが多いが、数棟程度の小規模な分譲の場合は、仲介する不動産会社が販売を担当することが多い。

■規模によって街並みが変わる!
不動産会社が大規模に開発する建売住宅なら、住宅の外観などが統一され、道路計画や植栽を含め美しい街並みが形成されることが多い。一方、小規模な建売住宅は、市場に出回る流通量が多くバリエーションも多いのが特徴だが、美しい街並みまで期待することは難しい傾向に。

建売住宅のメリット

建売住宅では、購入価格が明示され、住宅の間取りや設備・仕様もあらかじめ決まっている。そのため仕上がりイメージもわきやすく、分かりやすいのが最大のポイント。完成していれば、実物もチェックできる。
コスト面では、同じ住宅を注文住宅で建てた場合より割安になる。また、土地と住宅を一括購入するので、1工程で短期間にマイホームを取得できるため、時間や手間をかけたくない人にはメリットになる。
さらに、小規模なら数棟レベルで、大規模なら何十、何百棟レベルで、外観の統一や街並みの調和などが期待できる側面もある。

建売住宅のデメリット

あくまで完成した住宅を購入するので、自由度は期待できない。ただし、最近の建売住宅は消費者ニーズを分析して、間取りや設備、仕様なども多くの人に好まれるものを提供していることが多い。
一方、完成している場合は建築過程を見ることができないので、材料や工事方法などのチェックは難しい。

注文住宅

注文住宅とは?

■自由度が高い
注文住宅とは、建築士やハウスメーカーに設計を依頼し、施工会社に建築してもらう住宅のこと。ハウスメーカーや工務店に設計と施工をまとめて依頼する方法もあれば、建築事務所に設計と施工監理を依頼し、工務店に施工を依頼する方法もある。
注文住宅の最大の特徴は、法律の規制内などの条件をクリアすれば、基本的には、間取りや工法、設備、内装・外装などを自由に選べることだ。選んでいくプロセスを楽しみながら、希望通りの住宅に仕上げることができる一方で、難しい判断を求められることもある。(ただし、ハウスメーカーの規格化された住宅の場合などでは、自由度において多少制約があることも)

■土地の有無でプロセスに違いも
全体のプロセスに大きな違いが出るのが、土地の有無。既に土地があれば住宅を注文するだけになるが、土地がないけれど注文住宅を建てたい場合は、まず土地を買うことから始めなければならない。また、購入した土地の形状やそのエリアの法規制などによっては、思い通りの住宅を建てられないこともあるので注意が必要だ。建築士に土地選びについても相談したり、ハウスメーカーに土地探しからサポートしてもらうなども検討したい。

注文住宅のメリット

注文住宅は、自由度が高いのが最大のメリット。間取りや設備はもちろん、壁紙やドアまで好みのものを選ぶことができる。(規格型の住宅などでは、選べる設計や仕様・設備が限られる場合もある)また、設計してから建築するので、建築過程を細かくチェックできるのも見逃せないポイントだ。
コスト面については、自分の判断で、ローコストに抑えることもグレードを上げることも選択できるのがメリットとなる。ただし、予算を立てていても、設計や施工の段階でより良いものを追加・変更してしまい、当初予算を超えてしまう人も多い点に注意。

注文住宅のデメリット

図面やサンプルなどで設計を決めていくので、一般の人には仕上がりイメージがつきにくく、建ってからイメージと違うといったことも起こりうる。
また、土地探しから始める場合は、土地の購入と注文住宅の建築の2工程になるため、その都度、異なる相手と契約を結んだり、費用を支払ったりと工程が複雑で時間も多くかかる。特に、入居時期が決まっていたり、マイホームに手間をかけられない人にはデメリットになる。

建築条件付き土地とは?

■建築条件とは?
建築条件付き土地とは、あらかじめ施工会社が指定されている宅地のこと。土地の売主か売主が指定する施工会社に建築を発注する、というのが条件なのだ。土地だけを買うのとは違い、土地の購入と住宅の建築をまとめて取引することになる。その分、土地の売主と施工会社の関係性が深いので、責任の所在があいまいにならないよう、厳しくチェックする必要がある。

■注意すべき点は?
土地の売主が参考となる住宅の設計プランを用意している場合もあるが、あくまで設計は注文住宅と同様に自由。ただし、指定された施工会社によっては、手掛けている工法(在来工法など)が限られていて、自由に選べない場合もある。
また、土地の売買契約が成立した後、一定期間内に設計プランを固められずに施工会社と建築条件が成立しない場合は、土地の契約自体が白紙になる。

期間は?価格は?比較してみよう

入居までの期間はどのくらい違う?

土地付き住宅である建売住宅を買うのと、工法や間取り・設備などを自分で選んで注文住宅が完成するのと、入居までの期間の違いは以下のとおり。入居したい時期を考慮した上で検討してみよう。

建売・注文住宅の入居までの期間やステップ
※参考:建売住宅は、リクルート「2007年首都圏新築一戸建て契約者の動向調査」より
注文住宅は、リクルート「注文住宅と住宅設備に関する動向調査 2009年」より

価格はどのくらい違う?

建売住宅と土地を取得し注文住宅を建てた平均額と住宅面積をもとに100m2の取得金額を試算したところ、以下のような金額になった。
エリアによって開きがあり、約460万円~約870万円違うという結果になった。建売住宅と土地+注文住宅の差額は首都圏の場合は570.2万円、近畿圏は652.8万円、東海圏は866.5万円、全国では458.4万円となった。予算に合わせてどの形態の住宅を購入するか検討してみよう。

建売住宅と土地付き注文住宅の平均費用と平均面積
建売住宅 土地+注文住宅 差額
全国 3541.2万 3999.6万 458.4万
首都圏 4217.7万 4787.9万 570.2万
近畿圏 3480.7万 4133.5万 652.8万
東海圏 2958.2万 3824.6万 866.5万
※100m2当たりの取得金額、2021年度【フラット35】利用者調査より

建売住宅と注文住宅の割合は?

新築の戸建住宅を手に入れる人のうち、新築一戸建て、建築条件付きの土地を購入した一戸建て、注文住宅は、それぞれどのぐらいの割合なのだろうか。

【フラット35】を取り扱う住宅金融支援機構が公表している『2021年度 フラット35利用者調査』では、2021年4月から2022年3月までに機構が買取りまたは保険付保の承認を行った件数は、下記の通りだ。

建売住宅 15,574件(35.2%)
注文住宅 8,200件(18.6%)
建築条件付きの土地を購入した一戸建て 20,429件(46.2%)

間取りや設備選びの自由度が高い注文住宅と、ある程度選択できる建築条件付き土地を購入した一戸建てを合計した割合が64.8%だった。この結果を見ると、せっかく新築でマイホームを手に入れるなら、間取りや設備にこだわり、自分好みのインテリアにまとめた家を建てたいという人が多いことがうかがえる。

参考 住宅金融支援機構
フラット35利用者調査

建売住宅と注文住宅の比較

建売住宅 注文住宅
自由度 △:既に決められたものを買うので、自由度は期待できない。 ◎:工法に始まり間取りや設備、仕様などの細部に至るまで自由度が高い。
仕上がりイメージ ◎:通常は、設計プランに沿って建築している途中、または完成済みであるので、仕上がりイメージがつきやすい。 △:図面や部材サンプルなどで設計プランを決めるので、全体の仕上がりイメージがつきづらい。
工程チェック △:完成している場合は、建築過程は見ることができない。 ◎:建築過程を見ることができる。
コスト ◎:設備や部材をまとめて購入できたり、建築工程の合理化・効率化が図れるので、同じものを注文住宅で建てるよりコストが抑えられる。 ○:コストをかけるところ、かけないところを選択できる。
プロセス ○:土地と住宅を一括購入するので、短期間で入居できる。 ○:土地の購入が先行される。その後、注文住宅の設計プランを決めて、建築に着手するので、関係者も多く、時間もかなりかかる。
契約内容 ○:建売住宅の売主と「売買契約」を結ぶ。 ○:土地の売主と「売買契約」、注文住宅の施工会社と「工事請負契約」を結ぶ。(建築士に設計のみを依頼する場合、別途、設計契約を結ぶ)
資金計画 ◎:土地と住宅を一括購入するので、資金計画が立てやすい。 △:最初に、土地の購入代金を支払って取得する必要がある。注文住宅の工事費用も、着工時、上棟時、竣工時に分割して支払うことが多いため、資金計画は複雑になる。

建売住宅と注文住宅を選ぶときの判断基準

建売住宅と注文住宅のメリット・デメリットや、比較ポイントを紹介したが、どちらか迷っている場合の判断基準について紹介しよう。

判断基準1:自分の希望通りの家を建てたいか、そこまでこだわらないか

注文住宅の最大のメリットは、法律の規制内などの条件をクリアすれば、間取りや設備、内装・外装などを自由に選べ、希望通りの家を建てられること。家にこだわりたいなら注文住宅をすすめるが、その分手間や時間はかかり、予算内に収めるために難しい判断を求められることもある。

もし、そこまで設備やインテリアなどにはこだわらず、希望は家の広さや部屋数というなら建売住宅のほうがよいだろう。

判断基準2:マイホーム取得に手間や時間をかけられるか、かけられないか

判断基準1でも説明したように、注文住宅は詳細まで自分たちで決めるため、手間や時間がかかる。それらを惜しまず、家づくりのプロセスも楽しめるなら注文住宅でも大丈夫。

一方、社宅の退去期限が迫っている、子どもの入学までに引っ越したいなど、新居への入居時期が決まっている場合には、建売住宅のほうが安心。また、共働きや子育て中で家づくりに手間をかけたくない人も建売住宅のほうがよいかもしれない。

建売住宅は、建築前に販売されているケースもあるが、建築中や完成した物件が販売されているケースが多い。その場合、住宅の間取りや設備・仕様もあらかじめ決まっている。そのため仕上がりのイメージもわきやすく、分かりやすいのが最大のポイント。完成していれば、実物もチェックできる。

判断基準3:土地を持っているか、持っていないか

既に土地を購入している、相続などで先々に持てることが決まっているなら、注文住宅を選択することになる。

土地を持っていない場合、希望エリアに土地の販売が多くて入手しやすいなら、判断基準の2や3を参考にしてどちらかを選択しよう。

土地を持っていなくて、希望エリアでは販売が少ないなど、土地取得に時間や手間がかかりそうで、入居期限が決められているなら、建売住宅をメインに検討するほうがよいだろう。

<こんな人は建売住宅>

  • 自分の希望通りの家を建てることに、そこまでこだわらない
  • マイホーム取得に手間や時間をかけられない
  • 土地を持っていない

<こんな人は注文住宅>

  • 自分の希望通りの家を建てたい
  • マイホーム取得に手間や時間をかけられる
  • 土地を持っている
あなたには、どれが向く?

どれが向くのかは、住宅へのこだわりが強く自由度を追求するのか、標準的なものを時間や手間をかけずに買うのか、が大きな分かれ目になるだろう。
自由度の高い注文住宅を選べば、自分の判断で多くの選択肢の中から決めていく責任と作業が発生するのは当然のこと。適切に判断できるだけの知識も必要となる。
一方、建売住宅では自由度は期待できないが、時間や手間をそれほどかけずにマイホームを手にすることができる。自分が最も重視するのはどの点かをよく考えたうえで、結論を出すようにしよう。

まとめ

建売住宅は土地と住宅をセット購入するため、価格が明示され仕上がりイメージもわきやすい

注文住宅は家づくりの自由度が高いが、予想以上に手間がかかったり予算が上回ることも

理想の家へのこだわりや予算や土地など、何を最も重視するか決めよう

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構成・文/山本久美子(住宅ジャーナリスト)、SUUMO編集部、イラスト/谷口シロウ デザイン/コントロールプラス
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