根抵当権とは ~抵当権との違いは? 抹消できないって本当?~

根抵当権とは ~抵当権との違いは? 抹消できないって本当?~

根抵当権という言葉はあまり聞きなれないかもしれないが、住宅ローンを借りるときに金融機関が設定する抵当権とは似て非なるものでもある。どんな権利なのか、みていこう。

根抵当権って何?

抵当権というのは住宅ローンなどを借りるときに土地や建物に設定する権利で、もし住宅ローンを返済できなくなってしまったら、銀行が土地や建物を差し押さえて競売にかけることができるというものだ。

では、根抵当権とは何か。千代田法務会計事務所・代表司法書士の清水歩さんに教えてもらった。

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「根抵当権とは、不動産の担保価値を算出し、貸し出せる上限(極度額)を定めて、その範囲内で何度もお金を借りたり返済したりすることができる性質のものです。借りたお金を返して借金がゼロになっても、また借りる可能性があるので、当事者の合意がない限り根抵当権は消滅しません」(清水さん)

この根抵当権は、企業が事業資金などの融資を受けるときに、企業や経営者が所有する不動産などに設定するケースが多い。企業が必要に応じて銀行からお金を借りるときに、いちいち借り入れの度に登記をしなくてよいので使い勝手がいい仕組みなのだ。

消費者が根抵当権を設定するケースには、ごくまれだが注文住宅を建てる際に借りる住宅ローンや近年取り扱う銀行が増えてきたリバースモーゲージなどがある。詳しくは第3章「住宅ローンを借りる人には関係ない? 一般消費者が「根抵当権」を設定されるケースとは」で紹介しよう。

根抵当権はどんなメリットがある? 抹消できないって本当?

抵当権が付いている不動産であっても相続の対象となり、相続税が課税される点は通常の不動産と変わりはない。「抵当権が設定されているからといって不動産の相続税評価額が下がるわけではありません。ただし、借金についてはマイナスの財産なので、財産の総額から差し引いて相続税が計算されます」(清水さん)

根抵当権は設定が最初の1回だけで済む分、設定登記費用が節約できる。登記の際の登録免許税や、手続きを代行する司法書士への報酬が一度しかかからないからだ。ちなみに登録免許税は借入額の0.4%、司法書士への報酬は1回につき10万円程度が目安となる。

具体的に設定費用がどのくらい違うのか、試算したのが下の表だ。借入額は1000万円、2000万円、1500万円の3回とし、根抵当権の場合の極度額は3000万円とする。それぞれの借入額は返済とともに元金が減るので、合計額の4500万円より低い極度額とすることも可能だ。

抵当権の場合は3回の設定が必要なので、合計の費用は40万円。これに対し、根抵当権の場合は最初の1回で設定が済むので、費用は22万円となり、抵当権の場合の2分の1強となる計算だ。

抵当権と根抵当権の登記費用の比較
借入額:1回目1000万円、2回目2000万円、3回目1500万円
根抵当権の極度額:3000万円(1回目に設定)
登録免許税:設定ごとに借入額の0.4%
司法書士報酬:10万円(抵当権の2回目以降は6万円)

抵当権の場合
1回目 登録免許税:1000万円×0.4%=4万円
司法書士報酬:10万円
計:14万円
2回目 登録免許税:2000万円×0.4%=8万円
司法書士報酬:6万円
計:14万円
3回目 登録免許税:1500万円×0.4%=6万円
司法書士報酬:6万円
計:12万円
合計 40万円
根抵当権の場合
1回目 登録免許税:3000万円×0.4%=12万円
司法書士報酬:10万円
計:22万円
2回目 0円
3回目 0円
合計 22万円

「根抵当権で登記されるのは極度額なので、登記簿を見ても実際にいくら借りているかは分かりません。借金を完済し、根抵当権の設定が不要になった場合は、当事者の合意により抹消することも可能です。その際は土地・建物それぞれ1個当たり1000円の登録免許税と司法書士への報酬が1万円前後かかります」(清水さん)

住宅ローンを借りる人には関係ない? 一般消費者が「根抵当権」を設定されるケースとは

冒頭の根抵当権の説明を読むと、「住宅ローンとは関係ないのでは?」と思った人もいるだろう。実際のところ、住宅ローンで設定されるのは「抵当権」が一般的で、根抵当権が設定されるケースは多くない。

だが、例外的に注文住宅を建てるときに利用される場合があるという。

「注文住宅では工事が進む段階に応じて着手金や中間金、完成時などと工事費を分けて支払うケースが多く、住宅ローンも分割して融資する場合があります。そうしたケースでは性質上根抵当権のほうが使い勝手がいいのですが、実際にはこの場合も通常の抵当権で対応する銀行が多いと思います」(清水さん)

自宅を担保に資金を借り入れできる「リバースモーゲージ」って?

このところ取り扱う銀行が増えている「リバースモーゲージ」では、根抵当権を設定するケースが一般的だ。

リバースモーゲージとはシニア世代が自宅を担保に必要な資金を銀行からその都度借り入れ、最終的に死亡時に自宅を遺族が売却することにより返済する仕組みのこと。最初に貸越極度額を根抵当権で設定し、その範囲内で利用可能額を段階的に引き上げていき、借入額と利息が利用可能額内に収まるように資金を借りていく仕組みが典型的だ。

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(画像/PIXTA)

ちなみに根抵当権の付いた不動産も相続することができるが、その場合は一定の手続きが必要になる。

「根抵当権を相続する場合、銀行と協議のうえ被相続人の死亡から6カ月以内に1.相続による債務者の変更の登記及び2.『指定債務者』の合意の登記をしないと、元本が確定してしまい相続人はさらに融資を受けることができません。ただし、この手続きは個人事業用の融資などが対象で、リバースモーゲージの場合は利用者の死亡時に根抵当権が抹消されるケースがほとんどです」(清水さん)

このように根抵当権は普通に住宅ローンを借りる人にはあまり関係ないが、リバースモーゲージなどで設定されるケースがあるので覚えておこう。

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文/大森広司、イラスト/杉崎アチャ
公開日 2018年11月30日
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