根抵当権とは?抵当権との違いや抹消方法、費用をわかりやすく解説

最終更新日 2024年03月31日
根抵当権とは?抵当権との違いや抹消方法、費用をわかりやすく解説

「根抵当権」は抵当権と似ているようで性質が異なる。根抵当権とはどのような権利なのかや、抵当権との違い、設定するメリットやデメリット、根抵当権の抹消手続きの流れについてわかりやすく解説する。
根抵当権は、一般的にはあまりなじみがない言葉かもしれない。しかし近年注目されつつあるリバースモーゲージでは、根抵当権が設定されることもあるので、参考にしてみてほしい。

根抵当権とは何?どういう時に使う?

根抵当権の読み方は「ねていとうけん」。抵当権と同じ担保権の一種ではあるが、通常の抵当権とはまた別の性質を持つ。ではどのようなものなのか、千代田法務会計事務所・代表司法書士の清水歩さんに教えてもらった。

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「根抵当権とは、何度もお金を借りたり返済したり、または複数の借り入れをおこしたい時など金融機関との継続的な取引を可能にするため、不動産の担保価値を算出し、事前に債権の範囲と貸し出せる上限(極度額)を定めて一連の取引に関する債権を極度額の範囲内でまとめて担保できるという性質のものです。借りたお金を返して借金がゼロになっても、根抵当権は消滅せず、新たに借り入れれば、その債権も担保されるため原則的に当事者の合意がない限り根抵当権は消滅しません」(清水さん。以下同)

この根抵当権は、企業が事業資金などの融資を受ける際に、企業や経営者が所有する不動産などに設定するケースが多い。企業が必要に応じて銀行からお金を借りるときに、いちいち借り入れの度に登記しなくてよいので、継続的に取引を行いたい金融機関と企業にとって使い勝手がいい仕組みとなっている。

消費者が根抵当権を設定するケースには、あまり多くないものの注文住宅を建てる際に借りる住宅ローンや、近年取り扱う銀行が増えてきたリバースモーゲージなどがある。詳しくは「住宅ローンを借りる人には関係ない? 一般消費者が「根抵当権」を設定されるケースとは」で紹介しよう。

根抵当権と抵当権の違い

抵当権は、住宅ローンなどを借りる際に土地や建物に設定する権利だ。もし何らかの事情で住宅ローンの返済が滞ってしまったら、銀行が担保となっている土地や建物を差し押さえ、競売にかけることができるというものだ。

抵当権は債権が特定されていて、返済額や返済時期が決まっており、元本を完済すれば債権は消滅と同時に抵当権も消滅する(ただし、その際は別途抵当権抹消の登記手続きが必要となる)。連帯債務者を立てることも可能だ。

一方、根抵当権は、債務者と根抵当権者(債権者)のあいだで債権の範囲を決められる。当初設定された貸し出せる上限(極度額)の範囲内であれば、借り入れや返済を繰り返し行えるのが抵当権との大きな違いだ。そのため、元本を完済しても合意がない限りは消滅しない。また、何度も借り入れでき債権は不明瞭であることから、連帯債務者の設定はできない。

根抵当権のメリット

設定登記費用が節約できる

根抵当権は設定が最初の1回だけで済む分、設定登記費用が節約できる。登記の際の登録免許税や、手続きを代行する司法書士への報酬が一度しかかからないからだ。ちなみに登録免許税は借入額の0.4%、司法書士への報酬は1回につき極度額により異なるが5万円~12万円程度が目安となる。

具体的に設定費用がどのくらい違うのだろうか。借入額は1000万円、2000万円、1500万円の3回とした場合、抵当権の場合は3回設定しなければならないため、合計の費用は40万円程度かかる。一方、根抵当権の場合は最初の1回のみで設定が済むため、費用は20万円程度となる計算だ。

範囲内で住宅ローンの借り入れが何度もできる

先に述べたように、抵当権は1回限りの融資に利用され、新たに融資を受けたい場合はあらためて住宅ローンの契約を締結しなければならない。また、担保設定(抵当権設定)もその都度必要だ。
一方、根抵当権では極度額の範囲内なら繰り返し借り入れが可能だ。設定された債権の範囲において借り入れの担保にもなる。

根抵当権のデメリット

根抵当権は一見、手間をかけずに何度も借り入れできるため利便性が高いように思えるかもしれない。しかし、根抵当権が設定されることにはデメリットもある。ここでは主な注意点を紹介しよう。

融資先の変更やほかの銀行からの借り入れが難しくなる

根抵当権が設定されている場合、融資先を変更するには元の融資先(債権者)の許可をもらわなくてはならない。しかし、元の融資先にしてみれば根抵当権を設定している人は繰り返し借り入れをしてくれる優良顧客なので、手放したくない。そのため許可を得るための交渉は難航になりがちだ。

また、根抵当権の場合、複数回の借り入れも想定されることから、極度額が大きくなるケースが多い。極度額まで借り入れが行われる可能性があり、後順位の担保権者になっても担保価値が残らないかもしれない。そのような不動産に融資する銀行は少ないため、ほかの銀行からの借り入れは厳しくなる可能性がある。

住宅ローンを借りる人には関係ない? 一般消費者が「根抵当権」を設定されるケースとは

冒頭の根抵当権の説明を読むと、「住宅ローンとは関係ないのでは?」と思った人もいるだろう。実際のところ、住宅ローンで設定されるのは「抵当権」が一般的で、根抵当権が設定されるケースは多くない。

だが、例外的に注文住宅を建てる時に利用される場合があるという。

「注文住宅では工事が進む段階に応じて着手金や中間金、完成時などと工事費を分けて支払うケースが多く、ローンを分割して融資する場合があります。そうしたケースでは性質上根抵当権のほうが使い勝手がよく採用する銀行はありますが、実際にはこの場合も通常の抵当権で対応する銀行が多いと思います」(清水さん)

自宅を担保に資金を借り入れできる「リバースモーゲージ」とは

このところ取り扱う銀行が増えている「リバースモーゲージ」では、根抵当権を設定するケースが一般的だ。

リバースモーゲージとはシニア世代が自宅を担保に必要な資金を銀行からその都度借り入れ、最終的に死亡後に自宅を遺族が売却することにより返済する仕組みのこと。最初に貸越極度額を根抵当権で設定し、その範囲内で利用可能額を段階的に原則として引き上げていき、借入額と利息が利用可能額内に収まるように資金を借りていく仕組みが典型的だ。

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(画像/PIXTA)

ちなみに根抵当権のついた不動産も相続できるが、その場合は一定の手続きが必要になる。

一般に、根抵当権がついた物件を相続する場合、銀行と協議のうえ被相続人の死亡から6カ月以内に1.相続による債務者の変更の登記及び2.『指定債務者』の合意の登記をしないと、元本が確定してしまい相続人はさらに融資を受けることができない。ただし、リバースモーゲージの場合は利用者の死亡後に自宅を売却して、残りの債務を一括返済に充てることから指定債務者を指定せず根抵当権が抹消されるケースが多いようだ。

このように根抵当権は普通に住宅ローンを借りる人にはあまり関係ないが、リバースモーゲージなどで設定されるケースがあるので覚えておこう。

根抵当権を外してもらうためには?【抹消手順】

デメリットを回避するため、根抵当権を外してもらいたいと考える人は少なくない。ここでは、実際にどのようなステップを踏めばよいのかを解説しよう。

1. 金融機関と抹消交渉を行う

まず、債権者である金融機関と、根抵当権の抹消について話し合いが必要だ。金融機関側は抹消の交渉には慎重になることが多いが、不動産の売却金額がローンの残債を上回る場合、手続きに応じてもらえる可能性は高い。確認したうえで、金融機関と交渉しよう。

一方、もし元本がまだ多く残っていて、ローンの完済が難しいと判断された場合は応じてもらえないおそれが大きい。そうしたケースでは、金融機関から同意を得て売却する、「任意売却」と呼ばれる方法を検討するのも一案だ。

2. 元本を確定させる

根抵当権の性質上、毎回契約せずとも何度も融資を受けられるため、元本は確定していない。
根抵当権の抹消手続きを行いたい場合は、金融機関との話し合いで元本を確定しよう。元本の確定とは、極度額内における追加の借り入れをやめ、その時点での残債を明確にすることだ。それにより、抵当権とほぼ同じ状態になる。

3. 法務局で抹消手続きを行う

元本が確定し残債を完済すると、金融機関から根抵当権の抹消手続きに必要な書類を受け取れる。それらに記入した後、不動産を管轄している法務局へ出向き、抹消登記申請を行う。最終的に法務局から書類一式が返却されると、根抵当権の抹消手続きは完了したことになる。

まとめ

根抵当権とは貸し出せる上限(極度額)を決め、その範囲内で何度もお金を借りたり返済したりできる権利

根抵当権は設定が最初の1回だけで済む分、設定登記費用が節約できる

近年増えてきているリバースモーゲージで根抵当権が設定されることもある

根抵当権がついたままの場合、売却や融資先の変更などが困難になるおそれがある

根抵当権の抹消手続きは、金融機関と交渉し元本を確定させることから

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