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床下に湿気がこもると、ひどい場合には土台の腐食やシロアリ被害を引き起こします。それを防ぐために床下換気扇や床下換気口を設けるのですが、具体的にどのような家にこうした対策が必要なのでしょうか。知らないと怖い床下の湿気と、効果的な対策について一級建築士の佐川さんに教えてもらいました。
床下の換気方法には、モーターファンの風で湿気を排出する「床下換気扇」と、木造住宅の基礎部分に設けられている小さな換気口を使って空気の循環をよくする「床下換気口」の2つがあります。では、これらはなぜ必要なのでしょうか。
床下に湿気がこもると、建物やそこで暮らす人の生活や健康に悪影響を及ぼしかねません。具体的には、次のようなことが考えられます。

土台の腐食やシロアリ被害がひどくなれば、地震で家の倒壊を招く危険性も。また、カビやダニは喘息や皮膚炎、アレルギー性鼻炎といったさまざまな病気を引き起こす原因になります。
ただし、上記のような悪影響が出ているからといって、必ずしも床下の湿気が原因とは限りません。例えば、断熱性が低い家の場合、室内と室外の温度差によって窓等に結露が生じ、それが原因でカビが生えることがあります。あるいは部屋の風通しが悪いだけかもしれません。
そこで、本当に床下に湿気がたまっているのか確かめるために、もし床下点検口のある家ならば、床下の湿度がどれだけあるのか、一定期間測ってみることをオススメします。点検口から手が届く場所の床下に市販の湿度計を置いてもいいですが、より正確に知りたいのであれば、点検口から床下に入り、水まわりの床下などに置き、定期的に測るようにしてみましょう。
「床下の湿度は季節や天気によって上下しますが、一年を通して50%以上あるようなら、床下換気扇や床下換気口などについて、リフォーム会社などに相談するといいでしょう」(佐川さん、以下同)

ただし、点検口がないなど、床下に湿度計が置けない場合は、床を剥がさないと湿度計を置くことができません。それでは床下の湿気対策の前に費用がかかってしまいますから、例えば間取り変更など床を剥がすような大がかりなリフォームを行う際に、床下の状況を合わせて見てもらうといいでしょう。そこまで待てないというのであれば、床を剥がして戻すための費用がかかりますが、リフォーム会社に相談して一度床下を見てもらいましょう。
では、どのようなケースで床下の湿気対策が必要になるのでしょうか。湿気対策が必要な家と不要な家の違いを解説します。
湿気対策が必要な家、つまり床下に湿気が生じやすい家には①立地面、②家の基礎、③間取りで次のような特徴があります。
次のような立地条件の場合、湿気対策が必要になります。
床下に人が入れないほど基礎が低い場合、空気が流れにくく、湿気がこもりやすくなります。このほか、換気口の前に荷物やエアコンの室外機等が置かれている場合も要注意。通気性が下がって湿気がこもりやすくなります。
家の中でとくに湿気がたまりやすいのが、キッチンや浴室や洗面所、トイレといった水まわりの下。水まわり部分の基礎は、大きなリビングなどと比べるとどうしても細かく区切られることになり、風が抜けにくくなりがちだからです。そのため、間取りによっては湿気がたまりやすくなります。
「本来は自然の風の力で撹拌して湿気がこもらないようにするのですが、風の向きをうまく計算していないと、湿気がたまりやすくなります」
反対に、どのような家であれば湿気対策が不要なのでしょうか。
例えば、日当たりがよく、周囲の家との距離が離れている家は自然と湿気が排出されやすくなります。このほか、基礎部分の工夫によって床下に空気の通り道を設けているケースも。床下の空気の流れをよくする方法は、ベタ基礎か布基礎かによって異なります。
「ベタ基礎の場合は基礎部分と構造体の間に基礎パッキンを挟んで、布基礎の場合は土台部分に4mに1つ程度の間隔で床下換気口を備えることで床下の空気の通り道をつくっています」
こうした基礎パッキンや換気口へ自然の風が流れこむことで、床下の空気が動いて湿気がたまりにくくなるのです。
ベタ基礎・布基礎について詳しくは
ベタ基礎・布基礎の違いとは? 見分け方は? 断面図や配筋図で詳しく解説


床下の湿気が「一年を通して50%以上」ある状態ではなんらかの対策が必要になります。自然の風の力だけでは解消できない場合、次の3つの方法で対策を試みましょう。
1.床下換気扇(排出型と拡散型)を備える
2.防湿シート+乾燥砂を床下に敷く
3.床下調湿剤を撒く
それぞれの方法について、詳しく解説します。

「まず、床下換気扇を備えるという方法が考えられます。風の通り道を計算して、必要な場所に床下の湿気を排出するタイプの床下換気扇を備えます」
ただし、換気扇の羽は大きくありません。それだけでうまく風の通り道をつくることは難しいので、基礎の真ん中などに空気を拡散する拡散型の床下換気扇を備えるといいそうです。

●床下換気扇設置の目安
【設置台数】
30坪の家なら2~4台
【費用(目安)】
床下換気扇:約10万~30万円/台 ※家の面積により、床下換気扇の容量が異なる
月々の電気代:100円程度
ただし、メーカーによって価格が異なり、間取りによって備える排出型の床下換気扇や拡散型の床下換気扇の数も変わりますから、必ず見積もりで確認するようにしましょう。床下換気扇の耐久性は10年~15年ですが、各メーカーに確認を。その上で、取り付けた後は定期的に床下換気扇が動いているか確認しましょう。
「新築で布基礎を施工する場合、地面に防湿シートを敷き、その上に乾燥砂を敷きつめ、地面から湿気が立ち上がるのを防ぎます」
ただし、ベタ基礎の場合は厚いコンクリートで地面をすべて覆うことで湿気の立ち上がりを遮断するので、この方法を用いることはほとんどありません。
「布基礎の家に後から防湿シート+乾燥砂を敷きたい場合、床下に人が入れる高さがあれば施工できますが、床下が低くて人が入れない場合は床を剥ぐ必要があります。間取り変更など、大がかりなリフォームの際に一緒に施工するといいでしょう」
防湿シートはその名の通り、地面から湿気が立ち上がるのを防ぐものです。乾燥砂は湿気を吸ったり吐いたりする働きがあります。なかには、乾燥砂の代わりに炭や下記の床下調湿材を利用する方法もあるそう。

床下に人が入れる高さがあれば、床下調湿剤を撒く方法もあります。布基礎は防湿シートを敷いてその上に、ベタ基礎の場合はコンクリートの上に撒きましょう。素材は布団が湿らないよう押入れなどに入れる調湿剤と同じようなものです。
「ホームセンターなどで簡単に手に入るため、自分で撒くこともできます。まずは調湿剤で試してみて、それでも床下の湿気が減らないようなら床下換気扇を検討するという順番がよいでしょう」
家の寿命を延ばすためにも、床下の湿気対策は必須。では、実際にリフォームを考えるときには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
前述の通り、床下換気扇の設置費用の目安は1台につき約10万~30万円で、現地調査費用や配線工事、養生費用などもかかります。さらに家の状態によっては点検口をつくる必要があるほか、家の広さや間取りによって設置台数も変わってきます。メーカー間の価格差も大きいため、必ず見積もりを比較して検討しましょう。部屋の湿気の原因が本当に床下であるのかも含め、床下の湿気対策はどうすればいいかを複数のリフォーム会社に相談してみてください。
このとき注意したいのが、価格の比較のために複数社に見積もりを依頼するわけではないということです。
床下換気扇は、単にたくさん備えれば大丈夫というわけではありません。きちんと周辺の風向きを考えて、効率良く換気できるように設置する必要があります。「この家は細長い間取りで、水まわりがここだから、こういう風に床下換気扇を設置すれば」とか「隣地より○センチ低いから湿気がたまりやすい。風の向きはこうだから」など、リフォーム会社がきちんと調査して、その対策を説明してくれるかどうか。こうした“プロとしての提案”をしているかどうかを、複数社に依頼することで判断しやすくなるからです。ときには、この過程で床下以外の原因が見つかるかもしれません。
普段はあまり見ることのない床下ですが、湿気がたまったままだと建物や住んでいる人に悪影響を及ぼします。まずは家の床下の湿度がどれくらいあるのか、調べることから始めてみましょう。
床下点検口がある場合、床下の湿度がどれくらいあるのか、まずは測ってみる。常に50%以上であれば対策が必要
防湿シート+乾燥砂or床下調湿材→床下換気扇の順番で対策してみるといい
床下の湿気対策をリフォーム会社に依頼する場合、複数社に見積もりをお願いするのがオススメ
リフォーム会社を比較するときは価格だけでなく、プロとしての提案力や調査力までチェックしよう