ベタ基礎・布基礎って何? どっちがいいの? 家の基礎(土台)の事情

公開日 2019年07月17日
ベタ基礎・布基礎って何? どっちがいいの? 家の基礎(土台)の事情

家の基礎(土台)に種類があることをご存じですか? 「ベタ基礎」と「布基礎」の二種類があるのですが、何が違うのでしょう? どっちが安心でおトク? それぞれのメリット・デメリットや事情について家の基礎について一級建築士の佐川さんに話を伺いました。

ベタ基礎の構造やメリット・デメリットとは?

ベタ基礎の構造

ベタ基礎とは、立ち上がっている部分と床一面を、鉄筋を入れたコンクリートで一体化して、大きな面で家の重みを支えます。「面で支えたほうが荷重を分散できるので、(下記で説明する)布基礎より耐震性が高いのが特徴です」と佐川さん。「阪神淡路大震災以降から普及しはじめ、今では多くの住宅で採用されています。私の場合、ここ20年間はほとんどベタ基礎です」

構造のイメージは下記のようになります。

ベタ基礎の構造
ベタ基礎の構造

ベタ基礎のメリット

ベタ基礎は先述の通り、まず耐震性を高めやすくなります。また床下の地面をすべて厚いコンクリートで覆うので、湿気が建物に伝わりにくくなります。そのため湿気による住宅の木材の腐食等の心配も減ります。さらにコンクリートも厚いのでシロアリによる被害も防ぎやすくなります。

ベタ基礎のメリット

・耐震性に優れる
・湿気が建物まで上がらない
・シロアリ被害を防ぎやすい

ベタ基礎のデメリット

一方、デメリットとしては布基礎に比べてコンクリートと鉄筋の使用量が多くなる(布基礎の約2倍)ので、その分のコストがかかります。

ベタ基礎のデメリット

・コストが高くなる

布基礎の構造やメリット・デメリットとは?

布基礎の構造

一見すると布基礎の床もコンクリートで覆われるので、ベタ基礎と同じように思えますが、住宅を支えるのは立ち上がっている部分のみです。鉄筋もここだけに入っていて、ベタ基礎が面で建物を支えるとしたら、布基礎は点で支える構造になります。「立ち上がり部分以外は地面の上に防水シートを敷き、その上にコンクリートを施設します。ただしそのコンクリートの厚さは、ベタ基礎が15cmほどなのに対して、布基礎は5~6cmです」

布基礎の構造
布基礎の構造

布基礎のメリット

布基礎は上記の通り、床部分に鉄筋を使わないのと、コンクリートも薄いのでベタ基礎に比べてコストを抑えることができます。

布基礎のメリット

・コストを抑えやすい

布基礎のデメリット

一方で、布基礎は面で建物を支えるベタ基礎と比べて耐震性では不利です。また床部分のコンクリートが薄いため、ベタ基礎と比べて地面の湿気があがりやすく、シロアリ被害も受ける可能性が高くなります。

布基礎のデメリット

・耐震性はベタ基礎と比べて不利
・ベタ基礎と比べて湿気やシロアリ被害を受けやすい

ベタ基礎vs布基礎、結局どっちがいい?

【コスト】比較して検討することが必要

一般的にコスト面では使用する鉄筋やコンクリート量の少ない布基礎のほうが有利です。また「ベタ基礎があまり普及していないころは、それまで中心だった布基礎より施工費用が高かったのですが、普及が進むにつれ、施工会社もベタ基礎づくりに慣れてきたことで施工費用が下がりました。今では材料費を除いた施工費用だけなら布基礎とあまり変わりません」

コストの目安としては「地域や施工会社によって異なりますが、目安としては1m2当たりでベタ基礎が1万円~1万4000円、布基礎が9000円~1万3000円といったところです」。例えば1m2当たりベタ基礎が1万円、布基礎が9000円とするなら、その差額は1m2当たり1000円、施工面積が100m2(約30坪)なら10万円の違いになります。

このように、場合によっては思ったほど差が出ない場合もあり得ます。見積もり等で比較検討したほうがいいでしょう。

【工期や工程】ほぼ同じ

基礎工事の工程は、ざっと下記のようになります。工期や工程はほぼ同じです。

(1)地盤調査
地盤が弱くてはどんなに基礎に耐震性をもたせても意味がありません。敷地内で実際に家を建てる地面の調査を行い、必要があれば地盤改良を行います。

(2)基礎の範囲を決める
敷地内のどこに建物が建つのかわかるように、縄やロープで印をつけます。

(3)掘削工事
基礎の鉄筋&コークリートを入れるために、重機や手作業で基礎の底辺まで土を掘ります。ベタ基礎は範囲内の全てを、布基礎は立ち上がり部分を掘削します。

(4)砕石を入れる
掘削した部分に(ベタ基礎は全面に、布基礎は立ち上がり部分に)砕石(さいせき)を入れ、地面を固めます。

(5)防湿シートを敷き、捨てコンクリートを流す
砕石を入れた上に防湿シートを敷き、建物を建築する位置が正確にわかるように、コンクリート(捨てコンクリート)を流し、乾いたらそこに印(墨入れ)を入れます。

(6)基礎をつくる
最初に建物の位置に鉄筋を組みます。次いで基礎の外周に枠組を組みコンクリートを流しこんで、コンクリートが固まったら型枠を外します。

(7)完成
不要なコンクリートの除去など仕上げをして完成。

【耐震性】ベタ基礎が有利だが布基礎でも十分高められる

先述の通り、面で建物を支えるベタ基礎のほうが耐震性は優れています。ただし布基礎でも立ち上がり部分の底盤を広くする、地盤を強固にする、建物の構造を強化するなど、耐震性を高める工夫はいろいろとできます。「耐震性は建物+基礎+地盤の3つが重要な要素です。基礎だけにとらわれず、全体で耐震性を高めるように考えるべきです

【湿気・シロアリ対策】どちらも点検口で確認を

ベタ基礎のほうが湿気やシロアリには強いですが、絶対安心というわけではありません。最低でも10年に1回は床下を覗ける点検口から確認したほうがいいでしょう。布基礎の場合は、2~3年に1回見るようにするといいでしょう。

【寒冷地】布基礎のほうが向いている

冬になると頻繁に気温が0度以下になるような寒冷地では、地面が一定の深さまで凍結します。地面が凍結すると膨張して基礎を押し上げてしまうため、寒冷地では行政により「凍結深度」が設けられています。この場合、決められた深度より深いところに基礎を設置しなければなりません。「布基礎と比べてベタ基礎は、掘る面積が広いため、深く掘るほど残土が多くなります。そうなると残土処理の費用も無視できません」。ちなみに1m2当たりの残土の処理費用の目安は3万~5万円。そのためコストパフォーマンスで考えたら布基礎のほうがよいケースもあります。

このようにベタ基礎・布基礎でそれぞれメリット・デメリットがありますが、これまで見てきたように耐震性などベタ基礎のほうが有利な点も、対策次第で布基礎でも高めることができます。予算や地域性、さらには施工会社の得意・不得意も鑑みながらどちらがいいか検討するようにしましょう。

まとめ

予算や地域性に問題がなければベタ基礎がオススメ

凍結深度が設けられているエリアは布基礎で検討を

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取材・文/籠島康弘 イラスト/長岡伸行
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