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独身の人のなかには、「一生家賃を払い続けるのはもったいない」「けれどもマンションを購入してやっていけるだろうか」と悩む人は少なくありません。「買って後悔した」という声を耳にし、不安に感じている人も多いのではないでしょうか。この記事では、独身男女がマンションを購入したときにありがちな後悔の内容とその回避ポイントなどを、ライフヴェーラの鈴木さや子さんに伺い解説します。後悔しないための具体的な対策を知るため、何より自分にあう理想のマンションを選ぶために、ぜひ参考にしてください。
SUUMOの「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、2024年に新築マンションを購入した人のうち、17.6%がシングル(独身)世帯でした。内訳を見ると、女性が10%、男性が7.6%となっており、シングルの女性が多い結果となっています。2014年の9.8%(女性4.6%、男性5.2%)と比較すると大幅に増加しており、特に女性の増加が目立ちます。
| 年度 | シングル(独身) 世帯全体 |
女性 | 男性 |
|---|---|---|---|
| 2024年 | 17.6% | 10.0% | 7.6% |
| 2014年 | 9.8% | 4.6% | 5.2% |
「マンションを購入する独身者が増えているのは、そもそも未婚率が高くなっていることが影響していると考えられます。また、2018年以降は女性の購入者割合が男性の購入者割合を上回っていますが、これは女性の就業率が上昇し、安定した収入を得られる単身女性が増えたことが理由でしょう。実際、女性の就業者数は2024年に過去最多を記録しています」(鈴木さん/以下同)

同調査によると、マンションを購入した独身者の平均年齢は、男性が40.2歳、女性が42.0歳となっています。男女ともに40歳前後で購入を決断する人が多いことがわかります。
「40歳でマンション購入に踏み切るのには、2つの理由が考えられます。一つ目は、40歳で住宅ローンを35年で組んだ場合、完済時期が75歳となることです。一般的に健康年齢を考慮すると、75歳までには返済を終えたいと考える傾向があります。
二つ目は推察になりますが、男女ともに平均初婚年齢が30歳前後であることを考慮すると、40歳を一つの人生の節目として、『このまま独身で生きていくなら住まいを確保したい』と考える人が一定数いる可能性があることです」(鈴木さん)
同じくSUUMOの調査によると、マンションを購入したシングル(独身)の平均年収は以下のとおりです。
年収別の内訳を見ると、独身女性の場合、600万円台から800万円未満がもっとも多く19.3%、次いで400万円台から600万円未満が18.1%となっています。対して独身男性は、1200万円以上の高収入層が14.6%を占める一方、400万円台から600万円未満も11.4%いるなど、女性に比べて年収のばらつきが大きいことがわかります。
「重要なのは、年収に対して住宅ローンの返済が占める割合を高くし過ぎないことです。一般的には、手取り年収の25%程度を住宅ローン返済の上限目安とするのが安全とされています。
しかし独身者は、価値観に合わせて住居に回す割合を増やしたいという人もいるかもしれません。ファミリー世帯と比較して、子どもの教育費などがかからないので25%以上の割合に増やせる人もいると思います。ただし、自分一人の収入次第では返済できなくなるリスクもあるため、無理のない返済計画を立てることが重要です」
このように、マンションを購入する独身者が増えている一方、「独身でマンションを購入して後悔した」という声を聞くこともあります。どのような内容が多いのか、次章で詳しく見ていきましょう。
仕事や家族構成の変化は、購入後の住まいに影響を及ぼします。独身で購入した後、転勤や転職、結婚、親との同居といった変化によって暮らしが不便になり、後悔することも少なくありません。
転勤や転職は、既婚者・独身者に限らず発生しますが、独身の場合は残って住み続ける家族がいないため、売却を考えるリスクが高くなります。急な異動では、その負担が大きく感じられてしまいます。
結婚や親との同居は、想定外のタイミングで訪れることも少なくありません。購入時は十分と感じた間取りでも、家族が増えれば手狭になる可能性があります。
「一番多いのは、シングルのときに都内などで手狭な物件を買った方が、その後共に住む人が増えた場合の対応ができなくなったというケースです。両親と同居する、連れ子のいるパートナーと結婚もしくは同居するなど、家族が2人以上増える場合もあるので、そんなときにコンパクトな住まいではどうにもならなくなってしまいます」
独身の場合、共働き世帯と異なり収入源が限られるため、収入減少時のリスクが高くなります。思いがけない病気やリストラなどで収入が減った際に、返済が困難になるケースも少なくありません。
「パートナーがいれば互いに助け合えますが、シングルだとできません。そのため共働きよりは、資金計画に対して少しシビアに考える必要があります」

管理体制や住環境の問題で後悔するケースもあります。修繕積立金の急な値上がりや、管理組合の運営がうまくいかずに建物の維持管理に支障をきたすような物件を選んでしまうと、住み続けるのが困難になることも。
また生活音のトラブルや近隣住民との人間関係といった住環境の問題も、一人で対処しなければならない独身者には大きなストレスとなり得ます。
前章で見てきたような後悔を避けるためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。独身でマンションを購入する際の重要なポイントを、8つの鉄則としてまとめました。
「万が一働けなくなったり、もしくはリストラも含めて収入が減ってしまったりすることは、当然誰でもあり得ます。その際、収入源が限られる独身者は、より慎重な資金計画が必要です。
具体的には頭金は入れすぎず、手元資金がなくならないよう注意が必要です。また、就業不能保険などでリスクに備えることも検討の余地があるでしょう」
住宅ローンは長期にわたる契約のため、金利タイプや返済方法、各種制度について事前にしっかりと理解しておきましょう。
「独身者の場合、万が一のことがあった際に相続人に迷惑をかけないよう、団体信用生命保険(団信)への加入は特に重要です。基本的な死亡保障に加えて、三大疾病特約なども検討するとよいでしょう。
また、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の適用要件も確認が必要です。中古マンションの場合、耐震性能によっては控除が受けられない場合があるため、購入前に必ずチェックしましょう」
「ファミリー世帯の場合、子どもの教育などを考えて長期間同じ場所に住むことを前提とした物件選びになることが多くなります。一方、独身者の場合は、住むエリアが変わるようなライフプランの変更は珍しくありません。そのため資産価値を意識した、売却しやすい物件選びが大事です」
駅からの距離や周辺環境、築年数など、将来的な需要を左右する条件もあわせて検討しましょう。
結婚や親との同居など将来的な家族構成の変化に対し、どういった間取りで備えるかは、予算との兼ね合いで判断することが大切です。
「返済額がその人の収入的に予算内であれば、例えば3LDKや広めの2LDKなどにしておくと安心です。ただし、将来へ備えたいがために広いマンションを購入し、住宅ローンの返済が家計を圧迫してしまっては本末転倒になってしまいます。
独身者は将来の選択の幅が広いので、予算的に厳しいのであれば無理をせずに、まずはコンパクトなマンションを購入し、『実際に必要になったら、売却して住み替える』と割り切るのもよいでしょう」

独身者、特に女性の場合は、セキュリティー面での安全性を重視することが大切です。オートロックや防犯カメラなどの設置状況、管理人常駐の有無などを確認しましょう。
さらに周辺環境や夜間の帰宅時の安全性なども含め、総合的に判断することが重要です。
「管理組合の運営状況や修繕積立金の計画について事前にしっかりと確認するのも大切です。管理が悪ければ物件の資産価値が落ち、将来の売却価格にも影響してしまいます」
中古物件の場合は、管理組合の運営状況や修繕積立金の計画、これまでの修繕履歴などから、管理状況を把握できます。修繕積立金の値上げリスクや、今後予定されている大規模修繕なども重要なチェックポイントです。新築物件の場合は、管理会社の実績や信頼性、デベロッパーの過去の管理体制などを参考にしましょう。
物件の詳細情報だけでなく、周辺環境や将来の開発計画、災害リスクなども含めて総合的に調査しておくと安心です。不動産会社任せにせず、自分でも役所で用途地域や都市計画を確認したり、平日と休日、昼と夜など異なる時間帯に現地を訪れたりすることで、より正確な判断ができます。
「将来的に実家へ戻ったり親を引き取り一緒に暮らしたりする可能性がどの程度あるのか、実家を相続し持ち家が増えたときはどうするのか。あるいは自分が亡くなったときに、マンションをどうしてほしいのかなどについても、事前に親やきょうだいと話しあっておくと安心です。自分がどうしたいかという希望を明確にするのは前提として、親世代にもきょうだいにもそれぞれ希望や事情があります。家族が集まる機会に少しずつ話し合っておくとよいでしょう」

マンションの購入と賃貸、どちらが得かという比較は多くの人が気になるポイントではないでしょうか。ここでは、1LDKのマンションを6000万円の35年ローンで購入する場合と、家賃15万円の賃貸に住み続ける場合とで、ローン完済までの35年間にかかる費用を試算してみました。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 頭金 | 12,000,000円 |
| 住宅ローンの総返済額(借入金額48,000,000円) | 65,752,467円 |
| 初期費用※ | 2,274,200円 |
| 不動産取得税 | 365,000円 |
| 固定資産税・都市計画税(目安) | 9,700,000円 |
| 管理費・修繕積立金(3万円/月) | 12,600,000円 |
| リフォーム(15年ごとに200万円×2回) | 4,000,000円 |
| 合計 | 106,691,667円 |
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 家賃15万円(1~10年目) | 18,000,000円 |
| 敷金・礼金 | 300,000円 |
| 引越し代 | 500,000円 |
| 家賃18.2万円(11~20年目) | 21,840,000円 |
| 敷金・礼金 | 364,000円 |
| 引越し代 | 609,000円 |
| 家賃22.2万円(21~30年目) | 26,640,000円 |
| 敷金・礼金 | 444,000円 |
| 引越し代 | 742,000円 |
| 家賃27万円(31~35年目) | 16,200,000円 |
| 敷金・礼金 | 660,000円 |
| 合計 | 86,299,000円 |
この条件で試算した場合、住宅ローンを完済し終えた35年目の時点では、支払総額は賃貸のほうが約
2039万円低くなります。しかしその後、マンションを購入した人は住宅ローンの返済に充てていた支出がなくなるため、試算では42年目の時点で収支が逆転します。
また、マンションを購入した人は「マンション」という資産が手元に残りますが、賃貸に住み続けた人には何も残りません。築古となったマンションの価値はそのときにならなければわかりませんが、老後資金に不安があるときに「住む家がある」「いざとなれば売却できる」と思える資産があることは、独身であればなおさら心強く思う人も多いでしょう。

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中古マンションを選ぶもっとも大きなメリットは、築年数によっては新築よりも購入価格を抑えられることです。場所にもよりますが、築20年前後であれば、新築の8割程度の価格で購入できる可能性があります。
「また、実際の管理状況や修繕履歴、近隣住民の様子などを事前に確認できるのも大きな利点です。新築では入居後にならないとわからないそういった住環境も、中古なら購入前に把握できます」
都心など人気エリアでは築20年を過ぎても価格が大きく下がらない場合もあり、中古だからといって必ずしも安く買えるわけではありません。また、物件自体が安く買えても、設備メンテナンスに費用がかかることも考えられます。
それでも物件の管理状況や修繕履歴を確認のうえ購入できるのは、安心材料と感じる方も多いでしょう。
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中古物件では、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の適用要件が厳しくなります。築年数によっては控除が受けられない場合があるため、事前の確認が必須です。
「具体的には、築年数や耐火建築物かどうかなども関わってくるため、住宅ローン控除が受けられるかどうかの確認は購入前に必ずチェックすべきポイントです」
修繕積立金の未納の有無や値上げリスク、大規模修繕の時期についても確認しておきましょう。
「大規模修繕が予定されている場合、高額な一時金が必要になることもあります。こうした修繕費用の支出計画を事前にしっかりと確認しておくことが重要です。管理組合の議事録や長期修繕計画は、不動産会社を通じて開示してもらえるので、確認のうえ適切に運営されている物件を選びましょう」

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最後にあらためて鈴木さんに、独身者のマンション購入で後悔しないためのポイントを伺いました。
「独身での購入は、収入やライフスタイルの変化に一人で対応しなければならない点が特徴です。ローン完済時期や万一のリスクを踏まえた資金計画、将来の売却や住み替えも想定した物件選びが大切です。
新築が難しければ、築20年程度の中古マンションを選ぶのも方法の一つです。いずれにしても管理体制や立地、災害リスクなども事前に確認し、長く安心して住めるかを見極めることが、『こんなはずじゃなかった』という後悔を防ぐ近道です」
独身でのマンション購入は、将来のライフスタイルの変化や収入減に備えたより慎重な計画が必要
管理体制・立地・災害リスクを事前に確認し、長期的に安心して住めるかをチェック
資金計画に不安があるなら、築20年程度の中古を選択肢に入れるのもおすすめ