マンションの値段、一室いくら?マンション購入のお金事情、知っておきたいことまとめ

最終更新日 2024年06月04日
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マンションの値段、どう考える?マンション購入のお金事情、知っておきたいことまとめ

マンション購入を検討している人にとって、最も気になるのは値段ではないでしょうか。「マンションの相場は?」「これから値段は下がるの?」「マンション購入の予算は?」「わが家の年収でマンションが買えるの?」といったさまざまな不安や疑問があるはず。昨今のマンション市場、わが家が買えるマンションの値段をどう計算するかなど、プロに教えてもらいました。

マンションの値段は今後どうなるの?

新築マンションの価格は2013年から上昇傾向

まずは近年の、新築・中古マンションの価格の推移を見てみましょう。新築マンション、中古マンションともに2013年から価格が上昇し続けています。

2019~2023年の5年間における新築マンション、中古マンションそれぞれの価格の推移をご紹介すると、新築マンション(首都圏)の平均価格は、5,980万円から8,101万円へ、中古マンションは70m2あたりの価格で見ると3,710万円から4,675万円へ上昇しました。

新築マンション平均価格の推移(首都圏)
首都圏新築マンションの平均価格の推移(株)不動産経済研究所調べ
中古マンション70平米あたりの平均価格(首都圏)
東京23区の中古マンションの値段も上昇。2023年は7,185万円を記録した(東京カンテイ 市場調査部)

マンションの価格が上昇した背景

では、なぜマンションの価格は上昇を続けているのでしょうか。マンション価格高騰の背景と昨今のトレンドについて、個人向け不動産コンサルティング会社、さくら事務所の会長の長嶋修さんに聞きました。

住宅価格のイメージ
(画像提供/PIXTA)

「2008年ごろにリーマンショックがあり、主に中小のマンションデベロッパーが次々と破綻して、その前に大量の投げ売りがあったため、大幅に価格が下落したんです。数年で持ち直すかな、と思ったとき、2011年に東日本大震災が起きて、結果的に株価や不動産価格を下げる政策が取られました。そんな二重苦、三重苦があって、不動産市場は低迷しましたが、2012年12月の民主党から自民党への政権交代の後、アベノミクス、黒田バズーカといった市場に流通するお金の量を増やす金融・財政政策が取られたことにより、2013年初頭ぐらいから株価や不動産の価格が徐々に上向きになってきました」。

マンションの価格が上昇し続けてきた理由には、建築材料の高騰や建設業界の人手不足、地価の上昇なども挙げられますが、国の政策や市況、社会情勢が大きく影響するため、予測ができない部分が多くあります。

コロナ禍以降の住宅需要は?販売戸数は減っても価格は下がらず

不動産経済研究所によると、2023年の新築マンション供給数(首都圏)は26,886戸で前年比 9.1%減となりました。一方、平均価格は28.8%上昇の8,101万円と、7年連続の価格上昇を記録しています。

「緊急事態宣言が明けた2020年7月ごろから、抑えられていた需要を取り戻すように再び住宅ブームが起き、マンション・一戸建て共に販売状況が活発になりました。一時は『住宅バブルは崩壊か』なんて声もあがりましたが、結果的にほぼすべての住宅の需要が増したわけです。新築マンションの供給数が圧倒的に少ないこともあり、必然的に中古市場も盛り上がりを見せていますね。一方、リモートワークの浸透で火がついた一戸建て市場については、2023年後半ごろまでに一通りの需要が落ち着きました」。

新築マンションの供給数はここ20年で約3分の1にまで落ち込んでいます。これは大規模タワーや駅近などの条件を満たすマンション用地が少ないうえ、観光需要の再燃からホテル用地の仕入れが活発になっているため。ライバルが増えることで原価も上がり、今後さらに新築マンション用地を供給しにくい状況になると長嶋さんは予想しています。

新築マンションの発売戸数減少は首都圏に限らず、全国の発売総数は前年比 10.8%減となる 65,075 戸となりました。首都圏で9.1%減、近畿圏で13.8%減、東海・中京圏で3.3%減と供給数が落ち込む中、平均価格とm2単価は記録的高値を更新し続けています。2024年は発売戸数の上昇も予想されていますが、ここで気になるのが日銀のマイナス金利政策解除の影響です。政策変更がどのような影響を与えるのか、住宅ローン金利上昇の可能性について長嶋さんに聞きました。

「一部金融機関が基準金利の引き上げを発表しましたが、基準金利と適用金利は別ものですし、今後その他の金融機関が追随して金利を上げるとは考えづらいです。0.5%程度の金利変動はあるかもしれませんが、この程度の政策変更では1~2%を超える変動は考えにくく、現在の優遇金利に大きな影響はないと見てよいでしょう」。

マンションの値下がりを待つべき?買い時を見極めるポイントは?

狙い目は資産価値が落ちない『駅近、タワー、大規模』

今は買いどきといえるのか、買いどきを見極めるポイントを聞きました。

「まずは、自分の狙ったマンションがある駅・エリアの資産性についてチェックしてみましょう。例えば東京都でいう都心3区のように、立地や利便性の良いエリアに関しては今後下がる要素がないため、待つメリットはありません。自分の求めていた物件があり、支払いに無理がなければ低金利かつ住宅ローン減税があるうちに決断して良いと思います。反対に資産性の低いエリアのマンション価格については現状維持、もしくはだらだらと下落する可能性が高いでしょう」。

資産性の低いエリアにあるマンションについては、経済合理的に考えると焦って決断する必要はないそう。これは首都圏に限らず、全国的に見ても同じような構図になっているといいます。

「なにより重要なのは、価格が値下がりするのを待つのではなく、資産価値が落ちない物件を選ぶことです。マンションは一にも二にも三にも立地です。駅近・駅前に限らず、通勤や買い物の利便性、子育てのしやすい立地などにこだわったほうがいいでしょう。共働き世帯の増加を受けて、利便性の高い『駅近・駅前、タワー、大規模』マンションは引き続き高い人気を誇っています。コロナ禍の緊急事態宣言下で郊外への分散が見られましたが、再び対面での働き方が求められている昨今は、“徒歩25分の100平米”よりも“徒歩10分の60平米”のほうが需要が高いのです」。

大都市のイメージ
(画像提供/PIXTA)

「災害対応力」と「自治体経営力」もマンションの資産性に影響する要素

マンションを選ぶ基準として、近年は「災害対応力」も重視されています。

「2020年以降、ほぼすべての損害保険会社が水災可能性の有無で保険料に格差をつけるようになりました。保険料だけで考えると数万円の差ですが、今後は間違いなく金融機関の担保評価にも影響するでしょう。さらに適用金利にも差がついた場合は、そのマンション自体の資産性にも大きく影響します。これからマンション購入を検討する場合は、国土交通省が運営する『ハザードマップポータルサイト』を参考に、該当エリアの災害リスクを確認してみてください」。

同じく、マンションの資産性に影響する要素として「自治体経営力」が挙げられます。ここ数年“消滅可能性都市”というワードがよく取り上げられていますが、これは若年女性人口の減少によって最終的に消滅する可能性がある街を指す言葉です。

「自治体の政策によって、DINKSや子育て世代などの若い世代が流入すると財政状況が良くなり、行政サービスも充実します。つまり自治体の政策や経営力は、その街の30年後、50年後を左右する重要な要素なのです。マンションの資産性を考えるのであれば、その街の政策や人口増減率、税収増減率などもチェックしてみてください」

「市場の動向に左右されるよりは、家族のタイミングに合わせて、無理なく買えるかどうか。周囲の意見ばかりを参考にするのではなく、¬自分や家族が心から愛せる街を選ぶのが一番だと思います。物件の立地と資産価値が落ちにくい品質を重視して、ほしい物件の価格が相場から見て価格が妥当といえるかどうかを調べて選ぶのがいいのではないでしょうか」

購入を検討している場合は、普段からマンションの相場についてアンテナを張っておくことはもちろん、家族の予算やタイミングなどを見極めて情報を集めておくといいでしょう。

マンション購入予算、マネープランのポイントは?

返済負担率から考えるマンションの購入価格の目安は?

それでは、わが家がマンションを購入する場合、いくらのマンションが買えるのでしょうか。また、住宅ローンはいくら借りられるのでしょうか。住宅金融支援機構の長期固定金利の住宅ローン【フラット35】の利用条件の一つに、返済負担率があります。

返済負担率とは、すべての借入れの年間合計返済額の、年収に占める割合のことです。すべての借入れとは、住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、クレジットカードを含むカードローンなどを含みます。

返済負担率(%)=借入額÷年収×100

【フラット35】の利用条件の返済負担率 ※年収は世帯年収、総支給額(税込)
年収 総返済負担率の基準
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下

2つの世帯年収を例に【フラット35】借入可能額を計算します。ここでは、住宅ローン以外の借入額がないこととして計算します。

例1 世帯年収390万円の場合 の【フラット35】借入可能額

(世帯年収)390万円×(返済負担率)0.3=(年間返済額上限)117万円、
年間返済額117万円を12カ月で割った額
117万円÷12カ月=9.75万円 が毎月の支払額(ボーナス分を含む)の上限です。

SUUMO住宅ローンシミュレーション(「月々の支払額を調べる」を選択)

返済負担率 30%
金利 1.90%(2024年2月~)
月々のローン返済 9.75万円
返済期間 35年(元利均等返済)
月々の返済額(上限) 9.75万円
借入可能額(概算) 2,989万円

例2 世帯年収が600万円の場合 の【フラット35】借入可能額

(世帯年収)600万円×(返済負担率)0.35=(年間返済額上限)210万円、
年間返済額が210万円を12カ月で割った額
210万円÷12カ月=17.5万円 が毎月の支払額(ボーナス分を含む)の上限です。
毎月の返済額から借入可能額を計算します。
SUUMO住宅ローンシミュレーション(「月々の支払額を調べる」を選択)

返済負担率 35%
金利 1.90%(2024年2月~)
月々のローン返済 17.5万円
返済期間 35年(元利均等返済)
月々の返済額(上限) 17.5万円
借入可能額(概算)  5,366万円

例3 世帯年収が800万円の場合の【フラット35】借入可能額

(世帯年収)800万円×(返済負担率)0.35=(年間返済額上限)280万円、
年間返済額280万円を12カ月で割った額
280万円÷12カ月=約23.3万円 が毎月の支払額(ボーナス分を含む)の上限です。
毎月の返済額から借入可能額を計算します。
SUUMO住宅ローンシミュレーション(「月々の支払額を調べる」を選択)

返済負担率 35%
金利 1.90%(2024年2月~)
月々のローン返済 約23.3万円
返済期間 35年(元利均等返済)
月々の返済額(上限) 約23.3万円
借入可能額(概算)  7,145万円

フラット35の場合、借入れの上限額は8,000万円となっています。年収が高い場合でも8,000万円以上の借入れはできません。また、利用できるのは「建設費または購入価額」までです。

※元利均等返済とは、毎月支払う返済額が一定となる返済方法です

返済負担率は、金融機関ごとに異なります。また返済負担額は上限でシミュレーションしていますが、上限ギリギリまで借りると家計を圧迫し、低いほど家計に余裕が生まれます。無理のない返済額は20~25%以下といわれています。

住宅ローンについて相談する夫婦のイメージ
(画像提供/PIXTA)

返済負担率よりわが家の家計・お金の使い方が大事

返済負担率は住宅ローンの審査項目の一つで、実際は審査により融資額が決まります。 前項目では返済負担から住宅ローンの借入可能額を概算しましたが、これでマンションの購入額は予測できるのでしょうか。

「大きな結論として、返済負担率から購入予算額を考えない方がいいです」と話すのは、ファイナンシャル・プランナーの菱田雅生さん。

「生活の仕方、お金の使い方は人それぞれなので、年収が同じで、住宅ローンを同じ金額で組んでも、返せるかどうかは違います。返済負担率が20%でも返済が厳しくなる人、逆に返済負担率が30%でも返済が余裕でできる人はいるので、一律に考えないで自分のお金の使い方、家計と向き合うことが大切です」

「わが家にとって無理なく買えるマンションの価格を算出するには、現在支払っている住居費、家賃と駐車場代、住宅購入用に貯めているお金などを足した金額、つまり住居にかかっている金額から逆算するとわかります」と菱田さん。

住宅とお金のイメージ
(画像提供/PIXTA)

「マンションを購入した場合、住宅ローンのほかにかかる諸経費も計算に入れる必要があります。たとえば、現在支払っている毎月の住居費が家賃と駐車場代を足して10万円だった場合、そこから管理費、修繕積立金、税金、保険料といったランニングコストを差し引いて、住宅ローンの返済に充てられるのは概算ですが、月々7万円くらいになってくるでしょう。そして、住宅ローンを借りる人がたとえば30歳で、60歳のときに返済を終えるとしたら、30年間支払うことになります」。

「(毎月)7万円×12カ月×30年=2,520万円で、トータル2,500万円くらい支払うと考えると、住宅ローンを借りるのは2,100万~2,200万円くらいにしておいた方がいい、という計算になるわけです」(菱田さん)。

(毎月)7万円×12カ月×30年=2520万円で、トータル2500万円位支払うと考えると、住宅ローンを借りるのは2100万円~2200万円位にしておいた方がいい、という計算になるわけです」(菱田さん)

・現在、毎月支払っている住居費
家賃+駐車場代+管理費+(住宅購入用の貯蓄)

・住宅ローン以外にマンション購入後にかかるランニングコスト(維持費)
・毎月かかる費用…管理費、修繕積立金、駐車場代、駐輪場代
・毎年かかる税金等…固定資産税、都市計画税、火災保険料、地震保険料(任意)

今支払っている住居費-購入後のランニングコスト=毎月の住宅ローン返済額の上限額

毎月の住宅ローン返済額×12カ月×住宅ローン支払い年数=住宅ローンの総返済額の限度額

このようになります。

マンション購入価格以外にかかる諸費用と頭金も準備

マンションを購入するときには、物件価格以外に諸費用がかかることを忘れてはいけません。新築マンションの購入諸費用は、一般に物件価格の5~10%といわれていますが、物件の条件や住宅ローンの借入額などによって異なります。

■新築マンション購入時にかかる諸費用は?
売買契約時にかかるお金 印紙税 売買契約書に貼る印紙代。売買金額により異なります。
住宅ローンを借入時にかかるお金 ローン借入費用 ローン事務手数料、ローン保証料など。ローンの種類や金融機関によって内容や金額が異なります。(【フラット35】や一部民間ローンは、ローン保証料がかかりません)
印紙税 ローン契約書に貼る印紙代。借入金額により異なります。
団体信用生命保険 ローン借入れ者が返済中に死亡・高度障害状態になった場合、残債が0になる保険です。加入が借入時の条件になっていることが多くあります。
火災保険料 ローンを利用する場合、加入が必要
物件引渡し時にかかるお金 登録免許税 不動産登記をする際にかかる税金
登記費用 登記手続きに係る司法書士への報酬など
入居時にかかるお金 修繕積立基金 毎月払う修繕積立金のもとになる一時金
入居後にかかるお金 不動産取得税 引渡し後半年~1年半後に通知がくる

■頭金、自己資金はどのくらい必要?
マンションを購入する際に準備しておきたい金額(自己資金)は、以下のとおりです。自己資金は基本的に現金で支払いますが、諸費用の一部を借入れに含めることができる場合、諸費用ローンもあります。事前に諸費用がいくらかかるかを把握して予算に組み込み、現金を準備しておく必要があるでしょう。マンションを買うときの総予算は、「自己資金+住宅ローン借入額」となります。

自己資金の内訳
頭金 + 諸費用 + 入居費用
物件価格の10%~20%程度 物件価格の5%~10% 引越し費用、家具・家電、カーテンなど

自己資金には、頭金、諸費用、入居費用がありますが、頭金を用意しなくても、購入金額を100%借入れる場合もあります。ただし、総支払額は「借入額+利息」で、利息はローン残高に対してかかってきます。頭金を多く、借入額を抑えた方が、利息は減り、総支払額は少なくなり長い目で見てお得です。

ケーススタディー:わが家のマンション購入の予算と注意点

子ども2人・30代後半夫婦のマンションの買替え計画

ケーススタディー1

4人家族のAさんは、自己所有のマンションを売却して買替えを考えています。夫婦共働きで世帯年収は1,300万円。貯蓄は1,800万円あり。5,200万円のマンション購入を希望しています。Aさんは現在住んでいるマンションを売り、その一部を頭金にして、約4,000万円のローンを組むことを検討しています。

【住宅ローン】

家族構成 (30代後半夫婦+子ども2人)  世帯年収1,300万円
夫38歳 年収800万円 (50歳までは年1.5万円/月増加、50歳以降は増減なし)
妻38歳 年収500万円
第一子 8歳
第二子 5歳
家計【支出】
支出項目 年額 備考
基本生活費 360万円 (年1.0%で増加)
住居費 192万円 (6年前に5,000万円で購入した23区内のマンション・ローン残高約4,200万円)
教育費 60万円 子どもの習い事4万円/月
保険料 35万円
その他の出費 170万円 (年1.0%で増加)
マネープラン
備考
・子どもの進学は私立中学受験を考えている
・実家が遠方のため正月/盆の帰省に交通費がかかる

【貯蓄】
預貯金 1,800万円
年間貯蓄180万円

Aさんの住宅ローンの毎月の返済額は?(菱田さん試算)

■Aさんの資金計画
物件価格 5,200万円
購入時の諸費用 300万円
頭金 1,500万円
ローン借入額 4,000万円
返済期間 25年
■返済額(元利均等返済で試算)
毎月の返済額 年間返済額 金利
当初10年間 16万7,601円 201万円 1.90%
11年目以降25年目まで 16万7,601円 201万円 1.90%

この条件で4,000万円の住宅ローンを組んだ場合の毎月の返済額を試算すると、毎月16.7万円になります。Aさん宅の収入・支出バランスから見て、返済額は妥当なのでしょうか。ローンの借入額を考えるときは、現段階での手取り収入の金額だけでなく、子どもの教育や車の有無などライフスタイルやライフイベントもかかわってきます。

■FP菱田さんのワンポイントアドバイス

世帯年収が高いので余裕を持って暮らされている感じがありますが、2人のお子さまを中学から私立に通わせたいとなると、進学塾の費用、そして入学後の学費など負担は大きくなるでしょう。塾に通いはじめるまでに、どれだけ貯蓄を増やせるかが重要になります。ご希望の物件であれば、住居費負担はそれほど増加しないので、なんとかなるとは思いますが、2人のお子さまが中学・高校に通われるころには、年間収支がマイナスになり、貯蓄を切り崩す期間が続きます。定期的に家計の見直しをして、無駄な出費をしないように気をつけながら、教育費準備を頑張ってください。

家族のイメージ
(画像提供/PIXTA)

子ども1人・30代前半夫婦のはじめてのマンション購入計画

ケーススタディー2

賃貸マンションに住んでいるBさんは、子どもが生まれて将来のためにマンション購入を検討中です。夫婦共働きで世帯年収は800万円。物件価格3,500万円(諸費用+200万円)のマンションを希望しています。貯蓄は500万円ありますが、貯蓄はそのままキープしておき、頭金なしで購入を考えています。

【住宅ローン】

家族構成 (30代前半夫婦+子ども1人) 世帯年収800万円
夫34歳 年収500万円 (50歳までは年1.0%増加、50歳以降は増減なし、61歳から2割減)
妻31歳 年収300万円 時短中
第一子 1歳
家計【支出】
支出項目 年額 備考
基本生活費 240万円 (年1.0%で増加)
住居費 138万円 (賃貸・家賃10万円+駐車場1.5万円)
教育費 60万円 保育料月4万円
保険料 18万円
その他の出費 107万円 (年1.0%で増加)
マネープラン
備考
・旅行・フェス参加が趣味
・子どもは1人と思っている。2人目は考えていない。

【貯蓄】
預貯金 500万円
年間貯蓄70万円

Bさんの住宅ローンの毎月の返済額は?(菱田さん試算)

■Bさんの資金計画
物件価格 3,500万円
購入時の諸費用 200万円
頭金 0円
ローン借入額 3,700万円
返済期間 30年
■返済額(元利均等返済で試算)
毎月の返済額 年間返済額 金利
当初10年間 13万4,916円 162万円 1.90%
11年目以降30年目まで 13万4,916円 162万円 1.90%

この条件でBさんが3,700万円の住宅ローンを組んだ場合の毎月の返済額を試算すると、毎月13万4,916円になります。今まで支払ってきた家賃+駐車場代から月々およそ2万円のアップになりますが、マネープランに無理はないのでしょうか。

■FP菱田さんのワンポイントアドバイス

このまま共働きを続けることができるのであれば、希望の物件は大きな問題なく購入できるかと思います。教育費負担も一般的な水準であれば、老後資金準備にも支障をきたさないでしょう。ただ、人生は何があるかわかりません。きちんと貯蓄のできる家計を維持するようにしてください。なお、頭金を入れずに諸費用分もローンに頼ると、諸費用分は金利が高くなる可能性があります。諸費用は現金で支払い、頭金も少しは入れて、借入金額を少なくできれば、ローンの利息負担がそれだけ少なくなりますのでご検討ください。

家族のイメージ
(画像提供/PIXTA)

住宅ローンを賢く上手に借りるための基礎知識

住宅ローンは、同じ金額を借りても、金利タイプ、返済方法、返済期間によって総返済額が大きく変わります。住宅ローンをお得に上手に利用するために、基本を抑えておきましょう。

■金利タイプ

大きく全期間固定金利型、固定金利期間選択型、変動金利型の3つがあります。

全期間固定金利型 ・融資契約時に返済中の金利が確定し、返済終了までが変わりません。
・全期間金利が一定のものと、ある時期から変わる段階金利があります。
・契約時に返済計画が確定するので、安心。将来のマネープランが立てやすいといった利点があります。
固定金利期間選択型 ・返済期間のうち、当初一定期間の金利が固定されます。固定金利期間終了後、その時点の金利水準で再び固定期間を選択できます。 「10年後は子どもが独立して支払いが楽になる」といった将来のライフプランに合わせて選べます。
変動金利型 ・一般的に半年ごとに金利が見直されます。
・当初の金利が低く、当初の返済額が抑えられます。
・金利の見直しがあっても返済額は5年間変わらない、5年後の見直し時も見直し前の返済額の1.25倍を超えないといったルールを設けている銀行が多くあります。
・金利の見直しにより返済額が増える場合があります。
・金利を定期的にチェックして、金利上昇時に借り換えるなどの方法も可能です。

住宅ローンは大きく分けて、銀行などの金融機関独特のローンと、最長35年間固定金利の【フラット35】があります。住宅ローン商品は、金利だけでなく、手数料や保証料、団体信用生命保険の保険料など、それぞれ違います。

国土交通省の民間ローンの実態に関する調査(民間金融機関対象、2020年3月発表)によると、新規貸出額における金利タイプ別割合は、変動金利型の割合が半数以上、2018年度は60.5%、過去5年間も50%を超えています。金利は1%違うだけでも20年後、30年後、総返済額が大きく変わります。家族のライフプラン、家計に合わせて選びましょう。

「近年、一般の会社員にとって、住宅ローンは非常に借りやすい時代になっています。何故なら、銀行にとって住宅ローンは中小企業に融資するより安全に貸せる、優良債権だからです。貸し出し競争や金利引き下げ競争が激化しています」(菱田さん)。

変動金利と固定金利型、どっちの金利のタイプを選ぶ?

住宅ローンのイメージ
(画像提供/PIXTA)

住宅ローンの審査条件は?審査は厳しい?

住宅ローンを借りるには、金融機関の審査を通る必要があり、融資額は審査で決定します。住宅ローンの審査は、2段階あり、まずは事前審査で、申込者の返済能力、融資可能額などを確認します。通過したら、正式に申込み、本審査を受けます。事前審査はインターネットで受付けている金融機関もあります。事前審査と本審査では、かかる時間も必要な書類も違います。

住宅ローンを借りるには、申込要件があるほか、審査を通る必要があります。申込要件はホームページなどで公開されているので確認しましょう。審査基準は正式には公表されていませんが、国土交通省の民間金融機関に対する調査(2019年度)によると、「完済時の年齢、健康状態、担保評価、借入時の年齢、年収、勤続年数、連帯保証」については、9割以上の金融機関が審査の際に考慮すると答えています。次に返済負担率、融資可能額(融資率)が続きます。

審査条件として「年齢、年収」は重要なポイントと考えていいでしょう。若いうちにマンションを購入するのは、「頭金が貯まっていない」「年収が上がるのはこれから」と思うかもしれませんが、定年退職までにローンを完済することを考えると、若いうちにローンを借りる方が返済期間を長く設定できるため月々の支払額を抑えることができます。

「一般の会社員は住宅ローンが借りやすいとお話ししたように、今、住宅ローンの審査は、それほど厳しくはありません。細かな審査条件は金融機関が公表していませんが、消費者金融やカードローンの返済を滞らせたなど、ブラックリスト入りしている(個人信用情報機関に登録されている)ような状態でなければ、さほど気にする必要はないと思います」(菱田さん)。

2024年、住宅ローンの減税措置はどう変わる?

子育て世帯への支援の必要性や昨今の急激な住宅価格上昇から、2024年度の税制改正で、住宅ローン減税の制度内容が変更されることになりました。主な変更点は「子育て世帯・若者夫婦世帯への住宅ローン減税上乗せ措置」、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置延長」、「既存住宅のリフォームに係る所得税の特例措置の延長と子育て世帯・若者夫婦世帯の対象追加」の3点です。詳しく見ていきましょう。

■住宅ローンの減税措置の拡充
概要 2024年度変更内容
住宅ローン控除(住宅ローン減税)の拡充 ・住宅ローンを借りて一般の新築住宅(床面積要件50m2)を購入する場合、13年間(2024年末までに入居の場合)は「毎年末の住宅ローン残高(上限2,000万円※)の0.7%」が所得税額から控除されます。
※長期優良住宅・低炭素住宅の場合は上限4,500万円、省エネ等一定基準に適する場合は3,000万~3,500万円
・所得税から控除しきれない額は翌年度の住民税からも控除されます(上限あり)。
・子育て世帯・若者夫婦世帯は長期優良住宅・低炭素住宅で上限5,000万円、省エネ等一定基準に適する場合は上限4,000万~4,500万円まで控除されます。
・新築の場合、2024年までの建築確認で床面積要件が40m2 (所得要件:1,000万円)となります。
贈与税非課税の拡大 18歳以上の人が親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、贈与税が非課税になる枠があります。基礎控除額110万円とは別枠で、非課税枠が2026年12月31日までは最大500万円(省エネ等住宅は最大1,000万円まで)となります。ただし、右の要件のいずれかに該当する必要があります。
※省エネ等住宅とは、省エネ性、耐震性、バリアフリー性のいずれかの基準を満たす住宅です。
<新築物件の要件>
・断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(2023年末までに建築確認を受けた住宅又は2024年6月30日までに建築された住宅は、断熱等性能等級4又は 一次エネルギー消費量等級4以上)。
・耐震等級2以上又は免震建築物 ・高齢者等配慮対策等級3以上
既存住宅 ・増改築。
<既存住宅・増改築>
1断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上 2耐震等級2以上又は免震建築物 3高齢者等配慮対策等級3以上
既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充・延長 耐震工事(限度額250万円)最大25万円、バリアフリー工事(限度額200万円)最大20万円など、対象工事ごとに控除が受けられます。 ・左の現行措置が2025年12月31日まで延長されます。
・2024年12月31日まで、子育て世帯等が子育てに対応した住宅へのリフォームを行う場合に限り、標準的な工事費用相当額の10%等が所得税から控除されます。

このように、減税措置を受けるにはいずれも対象条件があるので事前の確認が必須です。なお、減税措置は申込まないと適用されないので注意しましょう。

無理なく返済するには住宅購入以外の出費も準備

マンションと家族のイメージ
(画像提供/PIXTA)

住宅ローンを借りる際は「いくら借りられるかではなく、無理なく返せる金額を借りること」が重要だと菱田さん。

「住宅だけにお金をかけることはできません。たとえば、子どもの教育費が1人あたり1,000万円とか、老後のお金の準備として2,000万円は必要など、長い目で考えて準備をしておかないと、どこかにしわ寄せがいきます。またマンションは、将来的に大規模修繕の追加費用、リフォーム費用などがかかる場合もあります」。

「マンションを買ったことで生活を切り詰めなければならないなら、何のためのマイホームかわからなくなります。目標とすべきなのは家を買うことではなく、家を買ってからのゆとりある生活です。マンションの購入予算を考える際は、自分の家計のなかで無理なく中る価格を冷静に見積もる必要があります。ローンの借入額はできるだけ少なくした方がいいです。そうしないと、夢のマイホームが悪夢のマイホームになってしまいますからね(笑)」。

マンションの買い時とライフプランの関係イメージ1
(イラスト/峰村友美)
家族のイメージ
(画像提供/PIXTA)

現在のマンション市場の状況やマンションの価格、マンション購入のお金について説明してきました。さて、マンションは今、買いどきなのでしょうか。さくら事務所の長嶋さん、FPの菱田さんにお話をうかがって、「市場の動向に左右されるよりは、家族のタイミングに合わせて、無理なく買えるかどうか。物件の立地と資産価値が落ちにくい品質を重視して、ほしい物件の価格が相場から見て妥当かどうかを調べて選ぶのがいいのではないでしょうか」という言葉が印象に残りました。

また住宅購入を考えることは、将来にわたるマネープランを考え、家計やお金の使い方を見直すきっかけにもなります。住宅ローンの最適な借り方を検討し、無理のない返済計画を立て、マンション購入をゴールと考えず、いかに「毎日が快適なマンションライフ」が実現できるかどうかを考えましょう。お金関係は苦手な人はFPや住宅ローンアドバイザー、金融機関の窓口などで、お金のプロに相談してみるのも一つの方法です。

まとめ

マンションの価格は上昇傾向が続いている。特に『駅近、大規模』物件は人気が高く値下がりする可能性が低い

マンションの買いどきは、市況より家族のライフサイクルと家計で見極める

わが家が買えるマンションは返済負担額より「住居に使えるお金」を基本に計算する

マンションを購入する際は、物件価格のほかに諸費用がかかり、購入後にかかる税金などのランニングコストも考えておく必要がある

住宅ローンは住宅以外にかかるお金を考えて無理なく払える範囲で借りよう

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取材・文/佐藤由紀子 
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