SRC造とは何か、RC造や木造、鉄骨造とどう違う?

最終更新日 2025年12月05日
SRC造とは何か、RC造や木造、鉄骨造とどう違う?

マンションの広告を見ていると構造欄にSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)やRC造(鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)などと記載されていることがあります。
これらの構造の違いや木造と比べるとどのような違いがあるのでしょうか?

マンションを購入したり、賃貸するときに気になる建物の構造について、建築家の井上恵子さんに教えてもらいました。

SRC造とは?S造、RC造、SRC造、木造は柱と梁の構造が違う

まず、S造、RC造、SRC造、さらに木造の違いがどこにあるのかを説明しましょう。

木造

木造はご存知のように、木材の柱や梁で建物を支える構造です。
平屋や2階建てなどの低層の住宅に多く用いられています。

S造、RC造、SRC造

S造、RC造、SRC造ともにコンクリートおよび鉄骨を柱や梁に用いる構造です。
では、S造やRC造、SRC造はどこが大きく違うのでしょうか?

S造

「S造の柱や梁は鉄骨だけでできています。
一方、RC造は鉄筋を入れたコンクリートで柱や梁、床、壁をつくります。鉄筋を組んでその周囲に型枠を設置し、そこにコンクリートを流し込んで構造体をつくります。SRC造は鉄筋コンクリートの芯に鉄骨が入った形で、ちょうどS造とRC造を合体したような形になっています」(住まいのアトリエ井上一級建築士事務所 井上恵子さん、以下同)

建築で用いられる鉄骨には厚さ6mm未満の軽量鉄骨と厚さ6mm以上の重量鉄骨があります。
軽量鉄骨を使った構造は一般の住居や小規模な店舗などで用いられ、重量鉄骨はビルや高層マンションなどの大きな建物に用いられます。

RC造

RC造は「鉄筋コンクリート造」のことで、低層建築から中高層建築まで幅広く用いられる構造です。
RC造は比較的自由に形をつくることができるため、住宅にも個性的なデザインのものが多いのが特徴です。

SRC造

SRC造は別名「鉄骨鉄筋コンクリート造」で、主に高層建築や大スパン(柱や梁間が広い)の建築物に用いられます。
SRC造とRC造は、鉄筋コンクリートの柱や梁の中に鉄骨が入るかどうかが大きく異なる点です。

「SRC造の柱や梁は、中に鉄骨を入れてさらに鉄筋コンクリートで覆っていますから、RC造とS造のよさを併せ持つ構造となります。比較的小さな断面で耐震性に優れた構造ができるので、高層建築物や大スパンの建築物に適しているといえるのです」

構造 柱や梁の材料 特徴
S造 鉄骨
  • コンクリートを使わないため全体の軽量化が図れる
  • 工期が短い
RC造 鉄筋とコンクリート
  • 低層建築から中高層建築まで幅広く用いられる
  • 耐火性、耐久性に優れる
  • 自由な形の建物ができる
SRC造 鉄筋コンクリートの芯に鉄骨が入ったもの
  • 主に中高層建築に用いられる
  • 他の構造に比べ、柱・梁などが小さくなるので空間上のロスが少ない
  • 高層建築物や大スパンの建築物に向く

3つの構造の違いは下図で押さえておきましょう。

SRC造、RC造、S造の構造の違いの説明イラスト
SRC造、RC造、S造の構造の違い(イラスト/長岡伸行)

耐火性はRC造、SRC造がともに優れている

都市部の密集地では、都市計画法によって、防火地域および準防火地域、屋根不燃区域などのエリア分けがされています。
それらの地域では建物に一定の耐火措置を行わなければなりません。
法律で規定された耐火措置を行えば、都市の密集地でも構造にかかわらず建築ができます。

鉄は熱に弱いといわれます。重量鉄骨を用いたS造の建物では柱・梁・床・壁など主要構造部を耐火構造にするために、不燃材を鉄骨に吹き付けるなどの耐火被覆が必要です。木造でも耐火構造にすることは可能ですが、さまざまな制約があります。

一方、SRC造、RC造は主要構造部がコンクリートでつくられているため耐火性に優れます。

「やはり耐火性の点ではR C造やSRC造が一歩、優れているといえるのではないしょうか」

いずれの構造も耐火建築物になりますが、厚いコンクリートで覆われたRC造、SRC造は耐火性の点で一定の信頼がおけるようです。

遮音性と耐震性

ここでSRC造など各構造の遮音性と耐震性について見ていきましょう。

遮音性はコンクリートの厚さで決まる

住み始めて気になるのは、外部から伝わる騒音、集合住宅の場合は上下左右の住戸間の騒音です。
遮音性について各構造でどのような違いがあるのでしょうか?

「外壁や戸境壁から伝わる音に対してはSRC造もRC造も基本的には違いはありません。
壁を通して伝わる音は、壁の構造や厚さによって違ってきます。
最近の中高層建築では、壁を現場打ちのコンクリートではなく、石膏ボードやケイ酸カルシウム板に吸音材や耐火材を組み合わせて使う乾式壁を使うことが多くなっています。その分、建物を軽量化できますが、コンクリートより音が伝わりやすくなります」

「外部からの音に対しては、窓に注目したほうがいいでしょう。周辺の環境に騒音が心配される地域では、防音サッシを用いるなどの対策が必要です」

中古マンションで遮音性が気になる場合は、内窓を付けて窓を二重にする方法もあります。断熱性もアップするので一石二鳥です。

上階の音が響いて気になる場合もある床についてはどうなのでしょうか?
「床についてはコンクリートスラブの厚さが影響します」

RC造、SRC造の床は、物件によってコンクリートの厚さが違います。古いマンションは床の厚さが15cm程度のものからあります。
床の仕様に注意して18cm、20cmとより厚いものを選べばそれだけ遮音性が期待できるとのことです。

マンションの床を人が歩くイメージ
(写真/PIXTA)

耐震性は現代の住宅はどの構造も高い

構造にかかわらず今建てられている住宅は、現行の耐震基準を守って建てられています。
新築であればどのような構造でも必要最低限の耐震性をもっていますが、プラスアルファとして免震構造、制震構造など、より耐震性の高い建物もあります。

「耐震基準は1981年に大きく改正され、それ以降に建てられたものは新耐震基準になりました。中古マンションを購入するときは、建築年に気を付けて選ぶか、旧耐震基準の建物でも耐震改修が済んでいるものを選ぶようにすると安心です」

SRC造のメリット

ここからはSRC造ならではのメリットを見ていきましょう。

柱や梁がRC造より小さくできるので空間が広々する

前述のようにSRC造はRC造とS造のメリットを併せ持つ構造となり、柱や梁などを比較的小さくすることができます。

「柱や梁が小さいということは、それだけ空間を有効に使えるということです。また、柱間の距離も広くできます。それだけ柱や梁の出っ張りが少ないすっきりした空間ができるということです」

RC造でも中層、高層となると柱と梁で建物を支えるラーメン構造が一般的ですが、柱や梁が空間を圧迫してしまい、家具を置きにくくなったり、空間を狭く感じたりすることがあります。柱や梁のサイズが小さければ、その分のスペースが有効に使えます。

SRC造の寿命は「長期優良住宅」の取得がカギに

税金の計算などに使われる法定耐用年数というものがあります。
それによると、S造(重量鉄骨造の場合)は34年、鉄筋コンクリート造(RC 、SRC)は47年です。
いずれも木造の22年よりは長いですが、法定耐用年数は実際の建物の寿命とは異なります。

木造でも今やメンテナンス次第で100年はもつといわれる時代です。コンクリート造もきちんと施工された物件で適切なメンテナンスを施していれば、上記の耐用年数を超えて長持ちする可能性があります。

では目安として寿命はどれくらいと考えればいいのでしょうか?

「SRC造もRC造もコンクリートと鉄骨や鉄筋との組み合わせなので、コンクリートだけでなく鉄部のサビなども建物の耐久性に影響します。適切なメンテナンスが行われることが建物を長く維持するのに大切。設備配管類の更新ができるかどうかも長持ちに関係します。こうした諸条件が影響するので何年もつかというのは一概にはいえません」

日本でRC造の集合住宅が建てられるようになってまだ100年くらいなのでわからないことも多いとのこと。
ただ、長持ちするマンションかどうかを見極める一つの指標として長期優良住宅の認定を受けているかどうかがある、といいます。

「長期優良住宅の認定を受けるには厳しい基準があり、3世代、概ね75年~90年にわたり住み続けることができる仕様にしなければなりません」

また、「構造躯体と設備配管類を分けてつくり、メンテナンスしやすくしてあるスケルトン・インフィル仕様のマンションを選ぶのも一つの方法」とのこと。

選ぶ際には、こうした長持ちする仕様に注意してみるのもいいでしょう。

長く住めるマンションで同居する3世代のイメージ
長期優良住宅の認定を受けていたりスケルトン・インフィル仕様のマンションなら、長く住める可能性が高くなる(写真/PIXTA)

SRC造のデメリット

構造的なデメリットはありませんが、SRC造は住宅着工が少ないという面があります。

コスト高などによりSRC造の住宅は少ない

SRC造の住宅に占める割合は多くはありません。
2022年度の住宅着工統計によると、RC造の約25万戸に対して、SRC 造は4951戸で、5000戸に達していません。
コンクリート造の住宅建築戸数では圧倒的にRC造が多くなっています。

「SRC造が住宅に少ない理由は、RC造に比べて建築コストが高いこと、工期も長くなることなどによります。マンションがRC造中心なのは、技術の進歩により、強高度コンクリートを使ってRC造でもタワーマンションのような高層建築が可能になったということも理由として挙げられるでしょう」

そもそもSRC造のマンションが少なければ、新築でも中古でも探すことが難しく、その点はデメリットといっていいでしょう。

逆にRC造のマンションは多いので選びやすいです。
「耐震性や耐火性の面では、SRC造もRC造も同じ。大切なのは使われているコンクリートの質や、どんな設計になっているか、竣工後のメンテナンスなどです。選ぶときに構造をあまり気にしなくてもいいと思います」

マンション選びは、利便性や環境など自分が気になる条件で選択し、SRC造かRC造かといった構造は気にする必要はなさそうです。

まとめ

SRC造の主な構造部(柱や梁)は鉄骨が芯に入っており、その周囲に鉄筋コンクリートを配し、コンクリートで被覆してつくられる

耐震性や耐火性に優れ、広い空間ができる

コスト高などによりSRC造の住宅は少なくなっている

マンション選びは性能がほぼ変わらないので、RC造、SRC造の違いを気にしなくてOK

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構成・取材・文/林直樹
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