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マンション購入に際し、同じ部屋を希望する人が複数いるときには抽選がおこなわれます。しかし実際どのように抽選がおこなわれるのかよく分から新築マンションの購入にかかる費用のイメージ
新築マンションの購入には最低でも物件価格ず、不安に感じている人も多いのではないでしょうか? そこで今回は、マンションの抽選方法や当選した場合・外れた場合にどう対応すべきなのか、優遇してもらう方法はあるのかなどを、マンショントレンド評論家の日下部理絵さんに伺いました。
マンションの抽選とは、主に新築マンションで、各住戸の購入者を抽選で決めることを意味します。マンションで抽選がおこなわれる理由や抽選になると何が起こるのでしょうか。
「基本的に抽選は、一つの住戸に対して複数の購入希望者が出たときにおこなわれます。同じマンション内の似たような間取りであっても、階数や方角、角部屋か否かなどによって人気の部屋が集中する傾向があるため、同じ住戸を複数の人が希望するケースは少なくありません。そのような場合に公平に購入者を決めるために抽選が実施されます」(日下部さん/以下同)
「10年前と比較して、近年は新築マンションの供給戸数が半減しています。とくに立地がよい場所にはすでに建物が建っているケースが多いので、好立地の新築マンションは需要に対して供給が不足しており購入希望者が殺到しがちです。そのため人気の新築マンションで、かつ割安感のある住戸は、抽選倍率が数百倍になることもあるほどです」
「抽選がおこなわれるマンションは『人気が高い』と感じ、購買意欲が高まります。とくに販売価格が低い『目玉物件』は多くの人が興味・関心を持つため抽選倍率が高くなりやすく、ニュースになれば宣伝効果も得られます」
「購入希望者が複数になりそうな場合、『ご希望の部屋だと抽選になるのでこちらはいかがですか』と別の住戸を促されることもあります。確実に購入できる部屋を希望する人にとってはメリットとなりますし、販売会社としても早期完売につなげられます」

マンションが抽選となるときには、どのような流れで進むのでしょうか?
「購入に際しては、まずは担当者とのヒアリングがおこなわれ、購入の意思の強さや資力などが確認されます。自身がどの程度の住宅ローンを借りられるのか、現実的に返済していける価格なのかはあらかじめ調べておきましょう」
新築マンションの購入に際しては、購入要望書に第一希望から第三希望までを記入し提出するのが一般的です。申込期限までに第一希望の住戸にほかの購入希望者が現れ抽選となった場合、抽選に挑むか第二希望や第三希望で空きがある部屋を購入するかを選べます。人気物件だと、すべての部屋で抽選になるケースもあります。
「抽選会はモデルルームで公開抽選されるのが一般的です。参加しやすい週末に実施されるケースが比較的多いですが、平日におこなわれることもあります。
抽選会への参加は必須ではなく、参加・不参加が抽選結果に影響することもありません。ただ、抽選会に参加していれば、外れたときでもすぐに担当者に相談できるのはメリットです。またなかには、抽選後に空き住戸が出た場合、抽選会に参加した人に優先権があるマンションもあります」
「抽選は、ガラガラを回して振り出された玉に書かれた番号が当選となる、よく見るくじ引き方法でおこなわれるのが一般的です。あらかじめ購入希望者に割り当てられた番号が書かれた玉を回転式の抽選機に入れ、抽選がおこなわれます。くじ引きは参加している購入希望者ではなく、販売会社の担当者がおこないます。
なお部屋数が多いマンションでは、時間短縮のため『同倍率同時抽選』でおこなわれることが多いです。同倍率同時抽選とは、同じ倍率の住戸をまとめて抽選する方法です。例えば抽選倍率3倍の部屋の場合、それぞれの購入希望者に1~3番の抽選番号が振り分けられます。そして抽選倍率3倍の部屋が10室ある場合には、その10室を1回の抽選で決めます。
具体的には、3つの玉を入れて抽選し、1番が出たらそれら10部屋はすべて1番の人が当選者となり購入資格を得ます」

「当選者が決まったら、抽選会から数時間後におこなわれる重要事項説明会へ参加します。抽選会に参加していない人も、当選した場合には担当者から連絡が入り、基本的には参加を促されます。参加できない場合は、別の日に設定される説明会の案内があるのが一般的です。
落選した人にも連絡はありますが、当選者への連絡が優先されます。『当選者には○時までに連絡があります』とあらかじめ伝えられ、その時間までに連絡がないことで落選を知る場合もあるようです」
「抽選に外れてもキャンセルが出る可能性があるので、一定期間様子を見る人もいます。『近隣のマンションにも申し込んでいた』『申し込んではみたけれども購入に踏み切れない』などの理由で、抽選に当たったにもかかわらずキャンセルする人や、買う気はあるもののローンの審査に落ちる人がいるためです。
その間、販売会社の担当者から、購入申込がなかった部屋やキャンセルが出た部屋を提案されることもあるので検討してもよいでしょう。ほかに気に入る部屋がなかったり、完売していた場合は、次期販売を待つかまったく別の物件を探すのも選択肢の一つです。
抽選に外れたときにどうするのかについても、あらかじめ考えておくとスムーズに次のアクションをおこせます」

「抽選会が終わったあとには、当日に重要事項説明会が開かれるのが一般的です。重要事項説明会とは、マンション購入の意思決定に影響を与えるような、重要な事項についてあらかじめ説明する会を指します。
当日どうしても参加できない人に対しては別の日に説明したり、近年はオンラインで参加できるケースもあります」
「当日に重要事項の説明を受けたら、そのまま売買契約の締結へと進むのが一般的です。売買契約の内容の説明を受け、売買契約書に署名捺印します。売買契約に際しては、物件価格の5~10%程度の手付金が必要です。抽選会が週末におこなわれ、当日銀行が休みで手付金の振り込みができないような場合には、『○日までに振り込んでください』などの案内があるので従います」

「当選を辞退したいのであれば、売買契約を締結するまでにおこないましょう。売買契約を締結し手付金を支払ったあとでも辞退はできますが、その場合は『契約解除』となり手付金を放棄しなければなりません。
また迷って保留にする場合でも長期間待ってもらえるのはまれで、2~3日後には返事を求められるのが一般的です」
「抽選に関しては、まったく優遇しないとしている会社もあれば、優遇条件を定めている会社もあります。例えばモデルルームへの訪問回数が多い人や販売会社の会員になっている人に対して抽選での優遇条件を定め、それを公表したうえで販売しているマンションもありました。
また落選した人に対し、次期販売で倍率を優遇しているケースもあるので、何か条件が設定されていないか担当者に確認してみるとよいでしょう」

マンションの抽選に当選して購入を決断した場合、スピーディーに売買契約まで進むのが一般的です。手付金を払ったあとも、引き渡しまでにさまざまな費用が必要になるので、マンション購入を決めたときには、以下のような費用を用意しておきましょう。
「先にお伝えしたとおり、マンションの売買契約締結時には5~10%程度の手付金が必要です。物件価格が5000万円の場合だと250万円~500万円程度になります。手付金は原則として現金払いで、支払った手付金はあとでマンション代金の一部に充当されるのが一般的です。購入予算にあった手付金の見込み額は、いつでも払えるよう蓄えておきましょう」
頭金は、物件価格から住宅ローンの借入額を引いた金額のことです。近年は低金利を背景に、頭金を入れずにフルローンにする人も増えています。しかし返済負担を考えると、物件価格の15~20%程度の頭金を入れるのが理想的です。
「新築マンションの購入に際しては、以下のような諸費用も必要になります。諸費用は、物件価格の3~5%程度見込んでおくとよいでしょう」
購入する新築マンションの物件価格が5000万円だとしたら、諸費用には150万円~250万円程度が必要です。ほかにも引越し費用や新居に入れる家具や家電、当面の生活費なども手元に残るよう、資金計画を立てましょう。

マンション購入費用についてもっと詳しく
→マンション購入の初期費用はいくら?どんな諸費用が必要なの?
最後にあらためて日下部さんに、抽選が予見されるような人気の新築マンションの購入を検討している人に向けてのアドバイスを伺いました。
「マンションの購入に際しては、担当者とのヒアリングでどれだけ自分が確度の高い購入希望者であるかをアピールできるかが重要です。直接的に抽選が優遇されない場合でも、『購入意欲が高い』と思ってもらえれば、ほかの部屋の提案や次期販売の情報提供をより真剣に、早めにしてもらえる可能性があるためです。
そのためには、無理なく返済できる資金計画を立てることが大切です。マンションとの出会いは一期一会なので、マンション購入を計画しているのであれば、最低限必要になる費用はいつでも払えるように用意しておきましょう」
マンションの抽選は購入者を公平に決めるためにおこなわれる
抽選に当たったら売買契約締結までスピーディーに進む
抽選の優遇条件がないか担当者に確認してみる