【マンションで犬を飼うなら】獣医師が教える!飼いやすい犬種・騒音対策・マナーなど知っておくべきポイント

最終更新日 2025年12月05日
【マンションで犬を飼うなら】獣医師が教える!飼いやすい犬種・騒音対策・マナーなど知っておくべきポイント

「マンションで犬と暮らしたい」なら、どのような犬をどのような部屋でどうやって飼えばいい?ペット可マンションでも注意すべき点は?「犬がうるさい」と苦情が来たらどうする?犬と飼い主、ほかの入居者が皆快適に暮らすためのコツはある?

今回は、獣医師であり、ペット共生住宅を取り扱う旭化成不動産レジデンスの佐々木亜子さんに、犬と飼い主が幸せなマンションライフを送るコツやおすすめの犬種、獣医師としての立場からのアドバイスをお聞きしました。

マンションで犬を飼うときに守るべきルール

在宅ワークの普及でペットの癒やし効果に注目が集まり、さらなるペットブームが到来しています。

ただし、大勢の人が同じ敷地で暮らし、共有スペースも多いマンションでは、たとえ「ペット可」でも守るべき決まりやマナーがあります。

犬を飼うことを考え始めたら、まずそこを押さえておきましょう。

事前にマンションの管理規約を確認する

最近は分譲だけでなく、賃貸でも「ペット可マンション」「ペット共生型マンション」が増えてきています。

そういったマンションでも、「どのようなペットを何頭でも飼える」わけではなく、飼い方の決まりがそれぞれの管理規約によって定められています。

例えば以下のような規約があります。

  • 管理組合や管理会社(賃貸の場合)に申請手続きが必要
  • 頭数の上限がある
  • サイズの上限がある(小型犬限定など)
  • エレベーター内や廊下などの共用部分では必ず抱いて移動すること(もしくはキャリーバッグに入れる)
  • ベランダや専用庭では飼育やブラッシングなどは禁止
  • 予防接種やワクチン接種、不妊・去勢手術について
  • 一定のしつけを行うこと

「ほとんどの決まりが『トラブル回避』のためのものになります。

例えば、ベランダでのブラッシングは抜け毛で近隣住戸に迷惑をかけることがありますし、抱いていないと犬が廊下で出合い頭に飛びかかったり吠えたり、建物にマーキングしたりする可能性があるからです。

ただし、ワクチン接種は証明書の提示までは求められない場合が多いようですね」(旭化成不動産レジデンス 佐々木亜子さん 以下同)

規約は各マンションの管理組合が決めるものなので、マンションによって千差万別です。また、あとから内容が変わることもあります。入居する際はもちろん、犬を飼う前にもしっかり確認しておきましょう。

狭いマンションでも、大好きな飼い主と一緒なら犬は幸せ
リビングにつくられたペットスペースの写真
マンションの規約を守りながら、飼い主と犬のどちらにとっても快適な暮らしを送ろう(画像提供/PIXTA)

マンションで犬を飼うときの注意点を把握する

ペットを飼うことは、命を預かることです。もちろんそれだけの覚悟を持って飼い始める人がほとんどですが、マンションだから必要になる覚悟もあります。
飼い始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、どのような覚悟が必要なのか、先に知っておきましょう。

□気密性が高い分、留守中も冷暖房を入れっぱなしにする必要がある
□敷地内ではずっと抱いておくかキャリーバッグに入れるなど、散歩に出るための手間がかかる
□トイレや抜け毛の処理が戸建てよりも面倒になる
□気密性が高いので、ニオイがこもりやすい
□家具や壁紙が破損されがち
□ペットの健康や足音等の騒音対策のために、カーペットなどの床材が必要になることがある
□近所から苦情が届くことがある
□観葉植物を置く際には注意が必要
□飼育のためのグッズや食費、医療費などでお金がかかる

「マンションは近隣住民と距離が近い分、吠え声やにおいに対するクレームには一層気を付ける必要があります。ただし、飼い主と犬の関係性がうまくいっていて、きちんと対策を講じていればそれほど心配することはありません。

観葉植物をおすすめしないのは、ユリやスイセン、シクラメンのような球根植物など、犬にとって毒になる植物があるから。どうしても観葉植物を置きたい場合は、問題がないかその都度調べていただいたほうが安心です。

また、マンションに限りませんが、幼犬の間はそれほどではなくても、年齢を重ねるほど医療費そのほかでお金がかかります。その覚悟も必要です」

もちろん、ペット不可のマンションでこっそり犬を飼うのもNGです。

過去には、ペット不可のマンションで犬を飼ったことがばれ、転居を迫られたり、裁判に発展したりした例もあります。

「ばれないだろう」とたかをくくっていても、同じ建物に住んでいる以上、鳴き声や足音、臭いなど、いつかのタイミングでばれてしまうものです。絶対にやめましょう。

まだ幼い間は、悪気はなくても壁紙や家具を破損しがち
壁紙を破いてしまう犬の写真
「ケージに入れたまま長時間お留守番させていると、退屈した犬がケージ側の壁紙を剥がしてしまうことがあります。ケージと接している壁に、猫の爪とぎ防止シートなどを貼っておくのがおすすめです」(画像提供/PIXTA)

共用部分を利用するときは入居者に配慮する

ペット可能なマンションといえども、すべての人が犬好きとは限りません。

なかには犬が苦手な人や、動物アレルギーの人もいます。廊下などの共用部分ではキャリーバッグに入れるか抱っこして移動し、ほかの入居者とすれ違うときは相手から犬をなるべく遠ざけるようにしましょう。

なるべく非常階段を使うようにし、もしエレベーターに乗るのであれば、必ず一緒に乗ってもよいか相手に確認を取ってください。

エレベーター内で犬がほかの入居者に興奮して吠えることがないよう、キャリーバッグを閉める、犬の顔を壁側に向けるなどの配慮も必要です。

また、居住スペースでペットを飼えるマンションでも、敷地内の散歩はNGとされている場合があります。管理規約や契約書をよく読み、もし記載がない場合は管理会社に確認を取ってください。

敷地内での散歩が認められていない場合は、敷地を出るまで抱っこやキャリーバッグで移動し、公道に出てから地面に降ろしてあげるようにしましょう。

マンションの共用部分や敷地内で犬を歩かせない理由は、排泄トラブルを防ぐためでもあります。共用部分におしっこをしてしまうと、水で流してもその場所ににおいが残ってしまいます。

犬は一度でもおしっこがかかった場所にマーキングする習性があるため、ほかの犬がその場所に繰り返しおしっこをしてしまい、トラブルにつながるのです。

そもそも、最近の犬は室内で排泄するよう、しつけられていることがほとんどで、外で排泄するために散歩に行きません。

マンションの共有部分や敷地内で排泄するのを防ぐのはもちろん、散歩で立ち寄る公園やドッグカフェなども汚してしまわないよう、出かける前に排尿を済ませておくことをおすすめします。

ベランダに犬を出さない

暖かく晴れた日に、犬をベランダに出して日向ぼっこや毛づくろいをさせてあげたいと考えている人もいるでしょう。しかし、ほとんどのマンションにおいて、犬をベランダに出す行為は禁止されています。

ベランダは部屋の中と同じ専有部分だと勘違いされがちですが、実は廊下と同じ共用部分に該当します。そのため、自由に使っていいわけではなく、規約によって禁止されている事項を守らなければなりません。

ブラッシングや犬用マットの掃除など、犬の毛が舞い散るような行為をベランダで行うのは特にNGです。ペットの毛が隣や階下のベランダに落ち、干してある洗濯物に付着して迷惑がかかります。

もし、ペットの毛にアレルギーを持つ居住者がいた場合、さらに大きなトラブルにつながることもあります。決して犬をベランダに出さないよう注意してください。

犬特有のにおいを防ぐために清潔を保つ

マンションで犬を飼う場合、犬特有のにおいには十分に気を遣うようにしましょう。

犬のにおいに慣れている飼い主にとっては気にならない程度のにおいでも、ほかの居住者は不快を感じている場合があります。

犬には特有のにおいがあることを前提に行動し、ほかの人に迷惑をかけないよう清潔に保つことを心がけましょう。

体臭対策として、犬をこまめに入浴させてあげるとよいでしょう。口臭が周りに不快感を与える場合もあるので、定期的な歯磨きも忘れずに行ってください。

決まった場所で排泄するようにトイレのしつけを行い、排泄物はなるべく早く片付けましょう。

先述したようにベランダは共用部分のため、ベランダに犬用のトイレを置くことや、ベランダで犬に排泄させることはマナー違反です。

悪臭トラブルでほかの居住者に迷惑をかけることになります。

マンションで飼いやすいおすすめ犬種ベスト5は?

犬には一匹ずつの個性がありますが、犬種ごとに体質や性格の傾向があり、必要なお手入れも違ってきます。マンションで飼いやすいのは、以下3つの特徴を持った犬種といわれています。

  • 体重の軽い小型犬
  • 抜け毛の少ない犬種
  • 無駄吠えの少ない犬種

「体重が軽い小型犬は、抱っこやケージに入れて共有スペースを移動しやすいためおすすめです。飼育スペースが小さくて済むことや、大型犬ほどの運動量が不要という点でも、小型犬はマンション飼いに適しているといえるでしょう。

抜け毛の少ない犬種については、短毛種のほうが抜け毛は少ない、ということはなく、短い分だけ早いサイクルで生え変わるので要注意。また、無駄吠えの少ない犬種のほうが飼いやすいでしょう」

これらを踏まえたうえで、おすすめの5種類をご紹介します。

不動の第1位は?小さくて賢い「トイプードル」

マンションだけでなく、どこで飼うにも人気が高いのがトイプードルです。

日本では、テディベアカットが流行した2000年あたりから人気が爆発、2008年からは人気犬種第1位をキープしています。成犬でも体高は24~28cm程度と小さく、抱っこも楽々です。

犬特有のにおいも少なく、飼いやすいでしょう。

「抜け毛が少なく、個体差はありますが、愛嬌があり、賢くてしつけが入りやすいのが特徴です」

運動することが大好きで非常にアクティブですが、身体が小さいので広いスペースを用意する必要はありません。マンションでも十分楽しく遊べます。

トイプードルの写真
ふわふわの毛並みと真っ黒な目のトイプードルは、まるでぬいぐるみのようなかわいらしさ(画像提供/PIXTA)

おとなしくて無駄吠えが少ない「シーズー」

チベット原産で、中国では皇帝の宮廷内で愛玩されたという気高さを持つシーズー。トイプードルと同じくらいの小ささで、ふさふさの長い毛並みが特徴的です。

人懐っこくて甘え上手で、初めて会う人や犬ともすぐに仲良くなります。

さまざまな毛色が認められており、日本では特にパーティーカラーと呼ばれるゴールド&ホワイトやブラック&ホワイトが有名ですが、そのほかグレーやシルバーが入ることもあります。

「ふさふさですが抜け毛が少なく、賢くて吠えも少なくおとなしいところが、マンションでの飼育に向いているといえます」

シーズーの写真
豪華な毛並みを美しく保つためには、こまめなブラッシングでもつれを防ぎ、抜け毛を取り除くと同時に、定期的なトリミングが必要(画像提供/PIXTA)

室内を走り回るだけで運動量が足りる「チワワ」

世界で最小の純血種といわれるチワワは、小さいながらもがっしりとした体つきで動きが機敏な犬種です。

すっきりした短い毛が特徴のスムースコートチワワと、耳の下の長めの毛が特徴のロングコートチワワがいます。

「体重が軽く、多少家の中を走り回っても足音がそこまでうるさくならないので、マンションでは特に飼いやすいでしょう。ただし、臆病な性格なので、物音や来客の都度吠えてしまうことがあります。無駄吠えをしないトレーニングをしておきましょう」

毛が2層構造(ダブルコート)のため、抜け毛が多く、注意が必要です。

マンションの共有部分に毛を落とさないよう、定期的にブラッシングしてきれいにしてあげましょう。

チワワの写真
潤んだ大きな瞳と立ち耳、短めの鼻が特徴的。初対面の人には懐きにくく、家族だけに心を許す愛情深さも魅力かも(画像提供/PIXTA)

真っ白な毛並みが優雅でかわいい「マルチーズ」

イソップ物語にも登場するほど大昔からの愛玩犬。純白で長いふさふさの毛を床まで垂らしている姿でも有名です。

紀元前から船員のペットとして世界中を旅してきた犬種なので、順応性が高く、性格は朗らか。

アクティブな性格なので、毎日散歩して、遊んであげましょう。ドッグランやドッグカフェなどにお出かけするのもおすすめです。

真っ白な毛は汚れやすいので、汚れが気になりだしたらシャンプーしてあげてください。

「抜け毛が少ない犬種。賢い性格で吠えも少ないので飼いやすいですね」

マルチーズの写真
真っ白の毛並みと真っ黒な大きな瞳で、日本では1968年から1984年まで登録犬のトップの座を守り続けた、今も昔も人気の犬種(画像提供/PIXTA)

見かけによらずおとなしく吠えない「パグ」

愛嬌のあるコケティッシュな表情が魅力のパグは、1500年代にオランダで人気の犬種となり、王室のシンボルにもなっているほどの伝統ある犬種です。

中型犬のフレンチブルドッグにも似た外観ですが、パグのほうがひと回り小さく、小型犬に分類されます。ペタンとされ下がった耳と、くるんとした丸いしっぽがトレードマークです。

「ほとんど吠えないおとなしい犬種です。短毛ですが短いだけに抜け変わりのペースが速く、気が付けば小さい抜け毛がたくさん落ちている……ということになりがち。

また、鼻が短い犬種特有の温度調整の苦手さがあります。気温調節に気を配ってあげましょう」

パグの写真
クシャッとした鼻ぺチャのしわしわ顔に、うるうるの大きな瞳が特徴的。トコトコと歩く姿も愛嬌たっぷり(画像提供/PIXTA)

マンションに向いていない犬種は?

マンションでの飼育が難しいのは、基本的には上記「おすすめ犬種」の反対の体質・性格を持つ犬、といえるでしょう。

抱っこでの敷地内移動が大変になることから、まず体が大きい犬はマンションでの飼育に向いていないといえます。

実際、多くのマンションで中型犬や大型犬は飼育不可とされています。

また、抜け毛が多く、よく吠えて鳴き声が大きい犬や、活発な性格で運動量が必要になる犬は、マンションで飼うにはかなりの覚悟が求められます。

「ボーダーコリーなどの牧羊犬や狩猟犬は、室内で運動させるだけでは運動量が不足しがち。

マンションで飼う場合は、毎日たっぷり外に連れ出して散歩させてあげるなどのケアが必要になります。

柴犬は一般的には中型犬と判断されます。また、家族には心を開きますが、他人には警戒心が強いので、共用部分で吠えてしまうことがあります。

さらに、シニアになると認知症を患うことが多く、そうなると夜間の遠吠えもしつけでどうこうできません。そうなった場合はどうするのか、といった覚悟をしたうえで飼うようにしたいですね」

ボーダーコリーの写真
活動的な犬種は、毎日外に連れ出して長時間運動させることが必要になる(画像提供/PIXTA)

気になる犬の騒音問題!うるさいといわれたときの対処法

マンションで犬を飼う際の一番の心配ごとが「音」の問題。犬の鳴き声や犬の足音は、どのように対策をすればよいでしょうか?

犬の鳴き声の大きさはどれくらい?

犬を飼ううえで最も気になるのが「鳴き声」です。「ペット可のマンションなら防音性が高いはず」と考えがちですが、本当にうるさい犬の鳴き声や、深夜の遠吠えなどは鉄筋コンクリートの建物でも完全に防ぐことはできません。

小さいように思えても、小型犬のキャンキャンとした甲高い鳴き声が苦手という人もいます。どのような建物でも、どのような犬種でも、「鳴き声は聞こえるもの」と考えておいたほうがよいでしょう。

犬の鳴き声は、具体的にはどれくらいの大きさなのでしょうか?

音の大きさを表す単位の一つに、デシベル(db)があります。犬種ごとの犬の鳴き声のデシベル目安は、下記のグラフのとおりです。

犬の鳴き声は80db以上、特にラブラドールレトリバーやミニチュアダックスは90dbを超えていることがわかります。

犬の鳴き声は意外に大きい
環境省調べによる、犬の鳴き声の騒音レベル比較グラフ
犬の鳴き声は、自動車普通車(測定距離5m)に負けないほどの大きさ。小型犬の声は甲高く、耳障りに感じる人も(環境省調べ)(グラフ作成/SUUMO編集部)

環境省が定めた基準によると、「専ら住居用の地域」および「主として住居の用に供される地域」における騒音レベルは、以下のとおりです。

  • 昼間(6時~22時):55db以下
  • 夜間(22時~6時):45db以下

これを超えるデシベルの音は、騒音となる可能性が高いです。

90db以上ある犬の鳴き声は、明らかに騒音とみなされてしまうでしょう。犬の鳴き声が、生活のなかで聞く音のなかでどのくらいの大きさに位置するのか、下記の表にまとめました。

デシベル 生活のなかで聞く音
40db 閑静な昼の住宅街
50db 換気扇や室外機の音
60db 洗濯機やテレビ、トイレの音
70db セミの鳴き声、騒々しい事務所内、街頭の声
80db 電車の車内、ピアノの音
90db 犬の鳴き声、カラオケ店内、ブルドーザーから5メートルの位置
100db 電車が通るときのガード下
110db 自動車のクラクションから2メートルの位置
120db ジェットエンジン(飛行機)付近
(日本騒音調査「ソーチョー」ホームページをもとに作成/SUUMO編集部)

犬の鳴き声は、電車の車内やピアノの音より大きく、カラオケ店内やブルドーザーほどの音量があります。こうしてみると、「犬の鳴き声は意外と大きい」と感じる人が多いでしょう。

犬が吠えて近隣とのトラブルにならないように、十分気を付ける必要がありそうです。

また、鳴き声だけでなく足音も気になります。マンションで子どもの足音がトラブルになる話はよく耳にしますが、犬の足音はどうなのでしょうか。

「犬は一日のうち20時間は寝ている生き物なので、日常の足音などはそれほど気にしなくても大丈夫です。

ただし、室内で遊ばせるだけでは足音が響き、近隣住戸の方へ迷惑をかけてしまう可能性があるので、基本的には毎日散歩に連れ出して、しっかり外で運動させてあげましょう」

犬の鳴き声で苦情をいわれたときはどうすればいい?

ペット可のマンションだからといって、入居者全員が他人の飼い犬の鳴き声を我慢しなければいけないわけではありません。

鳴き声をうるさく感じればストレスになるのは当然のこと。苦情をいわれる可能性ももちろんあります。

「留守中に吠えているようなら、まずは飼っている犬が留守中になぜ吠えているか、ペットカメラで原因を確認してみましょう。

インターホンが鳴るたびに吠えているなら、留守中はインターホンの音量を小さくするか、電源を切っておくといいでしょう。

空腹で吠える犬には自動給餌機を用意してあげることも有効ですし、鳴き声を外に聞こえにくくするために、窓を閉めるのはもちろん、防音性のあるカーテンを閉めておくといった対処もおすすめです。窓や壁を塞ぐ防音ボードを取り付け、鳴き声を聞こえにくくすることもできます。

また、騒音問題は、周辺住民とのコミュニケーションを良好にしておくことが何よりも大切です。

築年数が経って入居者が減ったマンションが、途中から『ペット可』にする場合がありますが、その場合はもともとの入居者は『ペット可』だと了解して入居しているわけではありません。

ペット飼育に対して好意的ではない人やペットが苦手な人の割合は、最初から『ペット可』のマンションより多い傾向があり、それだけトラブルになる可能性が高くなります。

一般的に、犬を飼っている住戸が多いマンションほど、『お互い様』と思ってもらいやすくなりますよ」

犬を飼うためのマンションを選ぶ際には、いつからペット可になったのか、また実際にペットを飼っている入居者はどれくらいいるのか、確認することをおすすめします。

無駄吠えなどを防ぐ方法とは?

犬が吠えるのは、犬のコミュニケーション手段です。ただ、鳴き声を聞いている側がうるさいほどの頻度と大きさであれば、それは「無駄吠え」になってしまいます。無駄吠えを防ぐにはどうすればよいでしょうか。

「まずはしつけをしっかりと行うこと。自分でできなければ、トレーナーに相談してみましょう。

基本的には、飼い主と犬の関係性がうまくいっていれば、問題になるほどの無駄吠えはしないはずです。また、吠える理由を考えることも大切です。

例えば、飼い主の帰宅が遅くなって『いつも同じ時間にごはんをくれているのに、まだもらえていない』と吠える場合は、自動給餌機を使うのもいいでしょう。

運動不足によるストレスも無駄吠えの原因となりますので、毎日のお散歩でしっかりと体力を使ってあげるように心がけましょう」

無駄吠えの理由がわかれば、しつけの仕方や対処の方法もわかってくるはずです。

例えば、インターホンが鳴ると毎回吠えるのは、音に驚いて警戒し、本能で吠えているのかもしれません。これは、インターホンの音量を下げたり、穏やかな音に変えたりすることで改善できる場合があります。

ハウスに入れると吠える犬は、閉じ込められる恐怖を感じている可能性があります。最初は様子を見ながら無理なく短時間のみ入れるようにし、鍵は開けておくようにしましょう。

また、「もっと遊びたい」と訴えたくて吠えている場合もあります。事情がない限り、満足するまで遊んであげるようにしましょう。

犬は本来群れで生活する生き物なので、留守番は苦手です。飼い主が留守のときに吠える犬は、不安や警戒心を感じている場合があります。

留守の時間を短く調整したり、ペットシッターに預けたりしながら、少しずつ吠えずに留守番できるようにトレーニングしていきましょう。

なお、無駄吠えを防止するさまざまなアイテムが販売されていますが、吠えると電流が流れる首輪など、犬に恐怖を与え、嫌な思いをさせるようなアイテムは使用してはいけません。

飼い主と犬の関係性が壊れ、逆効果となるだけです。

まずは犬との信頼関係を確立させておくことが大切
犬と飼い主のイメージ写真
犬が鳴いたり吠えたりすることには理由があるもの。まずはそれを理解してあげよう(画像提供/PIXTA)

人と犬が快適に暮らせるコツとおすすめの間取り

マンション暮らしに癒やしを与えてくれる可愛い犬たち。犬たちにとっても快適な住環境を整えてあげるにはどうすればよいでしょうか。

犬にとって快適な部屋をつくるコツは?

小型犬は暑さ寒さに弱いので、まずは冷暖房で常に快適な室温に保つことが大切です。それ以外に必要な条件にはどのようなものがあるでしょうか。

「つるつる滑るフローリングはたしかに犬の足腰によくないのですが、滑り止め加工をすると、ホコリが付きやすくなったり、水拭きしようとしても引っかかったりして、扱いにくくなります。

それよりは、汚れたところだけさっと水洗いできるジョイントマットがおすすめです。じゅうたんでもループタイプのものは犬の爪に引っかかりやすいので避けたいものです。

抜け毛が気になる人にはロボット型掃除機がおすすめです。

また、犬は囲われたところにいると落ち着くので、棚の下などに専用の居場所をつくってあげましょう。

犬はテリトリーが見えていないと不安になるので、寝室などの離れた場所ではなく、リビングの中につくってあげることが大切です。キッチンや、玄関に飛び出し防止のためのフェンスを用意するときは、赤ちゃん用のゲートでも対応できます」

●一般的なペット用品以外に用意したいもの
□ジョイントマット
□ペットスペース(ペットサークル)
□ペットフェンス

リビング内に囲われた「ペットスペース」があれば落ち着ける
ペットスペースの写真
自分のテリトリーを常に確認できる穴倉のような静かな場所が犬は大好き(画像提供/旭化成ホームズ(株))

ペット可マンションであれば便利な共有設備にはどのようなものがある?

最新のペット可マンションやペット共生型マンションでは、共有スペースにも犬を飼いやすくする設備が用意されている場合があります。そのなかの一例をご紹介します。

ヘーベルメゾンのペット共生型賃貸住宅「+わん+にゃん」に用意されている設備の一例

足洗い場
犬の足洗い場の写真
散歩のあと、屋内に入る前に足洗い場で汚れを落とすことができ、飼い主同士の何気ないコミュニケーションが生まれやすい場所。「洗面台や風呂場で足を洗うのが大変な中型犬・大型犬の場合は、特に共有スペースに足洗い場があると便利ですね」(画像提供/旭化成ホームズ(株))
アクセスコモン
マンション入り口で交流する、ペット連れ飼い主たちのイメージ写真
各住戸への共用アプローチ。開放的な空間で挨拶を交わしたり、ペット同士を遊ばせたりできる交流スペース(画像提供/旭化成ホームズ(株))
お出かけフック
リードをかけられるフック
鍵をかけるときや、荷物で手がふさがっているときに、一時的にリードをかけられる便利なフック。強い力が加わるとリードが外れる安全設計(画像提供/旭化成ホームズ(株))

犬を飼うときにおすすめの間取りは?

一般的な間取りでも犬を飼うことはできますが、犬と飼い主のどちらにもより快適で安心して暮らせるのはどのような間取りでしょうか?以下の5つの条件を満たしているかどうか、確認してみましょう。

  • 犬が安全であること
    例)玄関ドアを開けたときにすぐに出られない程度の距離がある
  • 飼い主にとって便利であること
    例)玄関の近くに、散歩帰りの犬の手足を洗える洗面台や浴室がある
  • 犬にとって快適であること
    例)気軽に外気に触れられる専用庭がある
  • 犬が安心できること
    例)リビングの中にペットサークルやペットスペースを確保できる
  • 犬と飼い主が上手に共存できること
    例)寝室やキッチンや浴室に、犬が自由には入れないようにできる

「専用庭のある1階がおすすめです。専用庭でトイレや飼育をすることは基本的に禁止されていますが、どうしても散歩に出られない日でもちょっと専用庭に出るだけで、犬は気分転換することができますよ」

ヘーベルメゾンのペット共生型賃貸住宅「+わん+にゃん」の間取りの一例
マンション入り口で交流する、ペット連れ飼い主たちのイメージ写真
(画像提供/旭化成ホームズ(株))
ヘーベルメゾンのペット共生型賃貸住宅「+わん+にゃん」の一例
ヘーベルメゾンのペット共生型賃貸住宅「+わん+にゃん」の一例
一般的な間取りのように見えるが、犬を飼う際に便利な配慮がたくさん詰め込まれている(画像提供/旭化成ホームズ(株))

「ペット可」「ペット共生型」であっても、同じ敷地の同じ建物で多くの人と暮らすマンションでは、さまざまな配慮が必要です。ただ、犬がいることによって、居住者間で良好なコミュニケーションをつくれるといったメリットも期待できます。上記の内容を押さえつつ、犬との幸せなマンションライフを始めてみませんか?

マンションで犬を飼う際にあるといいアイテムを編集部が紹介

無駄吠えの防止や抜け毛対策など、マンションで犬を飼うためにはさまざまなことに気を付ける必要があります。

ここからは、日本最大級の情報サイトSUUMO(スーモ)編集部が独自で選んだ、マンションで犬を飼うときにあると便利なおすすめアイテムを紹介します。

今飼っている人はもちろん、今後犬を飼おうと考えている人にもおすすめです。

無駄吠え対策には専用おもちゃ

犬は周囲に何かを訴えようとして吠えます。犬が訴えたい内容はさまざまです。例えば、遊び足りず欲求不満で「もっと遊びたい!」という思いを伝えたかったり、自宅に誰もおらずさびしくて不安な気持ちを伝えたかったりします。

飼い主が自宅を空けているうちに犬がたくさん吠えており、マンションのほかの入居者から苦情がきてしまうと困りものです。

犬のストレスやさびしさを減らすために、自宅で遊べて、犬が夢中になれるようなおもちゃを用意してみてはいかがでしょうか。さまざまなしかけのある知育玩具の中にエサを隠して、しかけをクリアしたらエサを食べることができる仕組みです。

最初は簡単なしかけから始めて、それがクリアできたら難易度を上げていきましょう。

ワクワクしながら夢中になってエサを探すことで、いつの間にか犬の欲求不満や不安が減り、無駄吠えを抑えられるかもしれません。

抜け毛の防止には犬服

最近、可愛らしい服を着て散歩している犬が増えてきました。犬に服を着せる理由は、単なるオシャレのためだけではありません。体温調節やケガの防止など、さまざまなメリットがあります。

マンションの廊下やエレベーターなどの共有部分を通って散歩に行くときに、犬の毛がはらはらと落ちてしまうことがあります。

廊下やエレベーターをきれいに保つために、犬用の服を着せてあげるとよいでしょう。服を着せると抜けた毛が服の内側に付いて、床に散らばるのを防げます。

共有部分の移動の際はバッグを活用

ほかの入居者への配慮として、共有部分では犬用のキャリーバッグに入れて移動することをおすすめします。

「窮屈なキャリーバッグの中に犬を入れるのはかわいそう」と思う人もいるかもしれません。

しかし、犬はもともと巣穴で暮らしていた動物です。そのため、狭く暗い場所で安心をする特性があります。

広い空間は、逆に落ち着かなくてストレスになることもあり、キャリーバッグの中は犬にとって落ち着ける場所なのです。

犬用のキャリーバッグは、プラスチックでできた安定感のあるハードタイプと、布でできているやわらかいソフトタイプの2種類があります。

ハードタイプは丈夫で、災害時の避難用としても使えます。ソフトタイプは軽くて持ち運びに便利です。肩にかけるショルダー型もあります。

まとめ

「ペット可」マンションでも、飼える犬のサイズや頭数、マナーが決まっている

マンションなら「小型」「抜け毛が少ない」「無駄吠えが少ない」犬種がおすすめ

鳴き声トラブルを防ぐには、犬との信頼関係と近隣との良好なコミュニケーションが大切

適切な設備や道具、間取り次第で、マンションでも飼いやすくなる

新築マンションを探す
中古マンションを探す
新築一戸建てを探す
中古一戸建てを探す
賃貸物件を探す
土地を探す
注文住宅の会社を探す
売却査定する
リフォーム会社を探す
カウンターで相談する
ハウスメーカーを探す
工務店を探す
引越し見積もりをする
取材・文/伊東美佳 
関連する最新記事を見る
住みたいエリアや購入価格からマンション・一戸建てを探そう!
住まいの種類
住みたいエリア
  • エリア
  • 都道府県
  • 市区郡
購入価格

お役立ち講座・個別相談のご案内無料

住まい選びで「気になること」は、人それぞれ。スーモカウンターのアドバイザーは、新築マンション選びと会社選びをサポートします。講座や個別相談を通じて、よかった!と思える安心の住まい選びをお手伝いします。
カウンターアドバイザー

住み替えサポートサービス

ページトップへ戻る