一戸建てからマンションへの住み替え。どんな理由なら後悔しない?住宅ローンが残っている時の対処法も紹介

最終更新日 2025年01月16日

一戸建てからマンションへの住み替え。どんな理由なら後悔しない?住宅ローンが残っている時の対処法も紹介

一戸建てからマンションへ住み替えは、どのようなタイミングで考えるケースが多いのでしょうか。一戸建てからマンションに住み替えるメリットや注意点は? また、返済中の住宅ローンがある場合、住み替えは可能なのでしょうか。住み替えで後悔や失敗しないためのノウハウを、らくだ不動産の不動産エージェント、八巻侑司さんに聞きました。

一戸建てからマンションへの住み替え。どんな理由でみんな住み替えているの?

利便性の良いところに住みたいことが住み替えで多い理由

持ち家の一戸建てからマンションに住み替える理由はさまざま。新築から数十年が経過すると、建物や設備の老朽化、気密性や断熱性、セキュリティなど気になる点が出てくるものです。なかでも住み替えの理由になるのは立地や利便性。

「圧倒的に多いのは立地や利便性をより良くしたいという思いです。都心部から離れた郊外の分譲地に建てられた駅から遠い一戸建てに住んでいる方が、将来の生活のしやすさを考えて利便性のいいマンションに住み替えるというケースが多く見られます」(八巻さん、以下同)

建物の老朽化や住宅設備の古さは、リフォームやリノベーションで対処できますが、立地については自分の力で変更することができません。駅から徒歩15~20分や、バス便でアクセスするエリアの分譲地は、敷地面積が50~60坪など広さにゆとりがある一戸建てが見られ、子育ての時期にはとても良い環境です。しかし、子どもたちが実家を離れ、夫婦二人暮らしになったときに、将来を考えると不便さが気になり始めます。また、通勤や通学に不便、車を所有していないので郊外は暮らしにくいなども、世代を問わず住み替えを検討する理由になります。

マンションの選択理由の上位は「新築」と「立地」

実際に住み替え先に新築分譲マンションを選択した人たちは、どのような視点でその物件を選んでいるのでしょうか。2024年7月に国土交通省が発表した「令和5年度 住宅市場動向調査」によれば、2022年4月~2023年3月に三大都市圏で分譲マンションに住み替えた人の、住宅の選択理由(複数回答)は下のようになっています。

新築住宅だから 69.4%
住宅の立地環境が良かったから 54.0%
マンションだから 48.0%
交通の利便性が良かったから 46.8%
価格が適切だったから 36.3%
住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから  33.9%
信頼できる住宅メーカーだったから  25.4%
将来、売却した場合の価格が期待できるから 23.0%
昔から住んでいる地域だったから 17.7%
災害発生リスクの低い地域だったから 15.3%
親・子供などと同居・または近くに住んでいたから 15.3%
適切な維持管理が見込めるから 13.7%
子育てに適した環境だったから 13.3%
職場から近かったから 12.9%
その他  1.6 %、無回答 0.8%

最も多かったのは「新築住宅だから」という理由。そして、「住宅の立地環境」(54.0%)や「交通の利便性」(46.8%)といった利便性を求めて物件選びをしている人がやはり多くいます。

マンションのリビングにいる夫婦のイメージ
(画像/PIXTA)

戸建からマンションに住み替えるメリットは?

一戸建てからマンションへの住み替えにはさまざまなメリットがあります。主なものを紹介しましょう。

一戸建てからマンションへ住み替えると利便性が良くなる

マンションは多くの一戸建てに比べて、都心での供給が多く最寄駅からも近い傾向にあります。利便性アップを求めて一戸建てからマンションへの住み替えを検討しているなら、選ぶ物件は駅近物件一択。通勤・通学にかかる時間が短くなり、交通費が抑えられるほか、駅周辺に買い物施設や金融機関、病院などがあれば日常生活も便利になります。

現在のライフスタイルに合う広さで暮らせる

「4LDKの一戸建てに住んでいたけれど、子どもたちが独立してしまい使っていない部屋が2部屋もある、といった方も多いでしょう。住み替えることで今の自分たちに適した広さで暮らすことができます」

分譲マンションの主流は3LDK、2LDK。一般的な一戸建てに比べて部屋数や床面積は減るかもしれませんが、供給数が多いため、さまざまな間取りから自分たちの暮らしに合ったタイプを選ぶことができます。

階段のないバリアフリーの住空間で暮らせる

マンションの多くは、床などに段差がないバリアフリー仕様。階段の上り下りもありません。掃除機をかけるときもスムーズですし、段差につまずく心配もありません。

一戸建てからマンションへの住み替えの際に、無駄な荷物を整理できる

「部屋数が多い一戸建ては、使わなくなった部屋が収納部屋になってしまうなど、ものが増えがちです。使わないものなのに収納する場所があるとなかかなか捨てられないものです。マンションは一戸建てに比べて収納スペースが限られていますから、不要なものを整理できるメリットがあります」

セキュリティ面での安心感が高い

外部からの侵入に対して安心感が高いのがマンションのメリット。オートロックや録画機能の付いたインターホン、敷地や建物内の防犯カメラ、24時間有人管理などの防犯対策で住まいの安心が守られています。

下は警察庁がまとめた侵入窃盗の発生場所別認知件数のグラフです。マンションへの侵入窃盗はゼロではありませんが、一戸建ての割合が31%なのに対し、共同住宅(マンション)は3階建て以下で7.3%、4階建以上で3.8%と低くなっています。

「マンションによっては、エントランスのオートロックや玄関の鍵に加えて、エレベーターが行き先の階にしか停止しないトリプルセキュリティが採用されています。物件価格の高いマンションにはなりますが、安心感はアップします」

侵入窃盗の発生場所別認知件数(2023年)
侵入窃盗の発生場所別認知件数のグラフ
出所:2023年 警察庁資料(グラフ作成/SUUMO編集部)

建物の維持管理を自分だけでやらなくていい

マンションの場合、敷地内の植栽の手入れやエントランス、共用廊下などの掃除は専門の清掃会社が担当するのが一般的。専有部分以外の共用部分や、エレベーターなどの共用設備の維持管理、大規模修繕の計画なども管理組合が委託した管理会社が担当するのが一般的です。庭の手入れや清掃、リフォームの計画や実施など全てを自分で行う一戸建てよりも、マンションのほうが建物の維持管理に関しては気楽だといえそう。ただし、マンションを購入して区分所有者になると自分も管理組合の一員です。建物の性能や住環境を良い状態で維持するためには、管理組合がしっかり機能していることが必要ですから、積極的に管理組合活動に参加することが望ましいといえます。

共用施設を利用できる

「大規模マンションになると、共用施設が充実しているマンションが見られます。それらを利用できる点は、一戸建てにはないマンションのメリットです」

パーティーなどができるラウンジや宿泊できるゲストルーム、トレーニングジムやコワーキングスペース、キッズルームなど共用施設の充実度はマンションによって異なります。物件を探す際には、どんな施設があるのかチェックしておくといいでしょう。

利便性の良い駅近のマンションで暮らす夫婦のイラスト
(イラスト/もり谷ゆみ)

一戸建てからの住み替え後、後悔しないようマンションの注意点をチェック

一戸建てでの暮らしに慣れている人、マンションで暮らした経験がない人にとっては、暮らしのなかで驚くことや戸惑うこともあるかもしれません。住み替えを後悔しないよう、マンションの注意点を知っておきましょう。

管理費や修繕積立金などランニングコストがかかる

マンションを所有すると、管理費や修繕積立金が毎月かかります。また、人や物件によって駐車場代や駐輪場代、トランクルーム代、専用庭・ルーフバルコニー使用料などの出費もあります。

「管理費や修繕積立金は将来的に値上がりの可能性があります。どれくらいのスパンで値上がりが予定されているかなど、不動産仲介会社を通して管理会社に確認しておきましょう」

管理規約や構造などでリフォームの自由度が異なる

一戸建ての場合、構造上の問題がなく法令に違反しなければ、自由に増築や間取り変更など大がかりなリフォーム、リノベーションができます。しかし、マンションの場合は、管理規約などのルールの範囲でリフォームをすることが必要。中古マンションなどでは、カーペットからフローリングへの変更ができないケース、変更する場合は一定の遮音性能をクリアすることが条件のケースも。構造によっては間取り変更に制約があるマンションもあります。購入時にはリフォームの必要性を感じていなくても、暮らしていくうちに間取りを変えたい、水まわりを移動させたいなど、リフォームへの希望が生まれることがあります。事前に、管理規約や使用細則でどのようなルールがあるのか、リフォームの自由度はどれくらいの構造なのかなどを確認しておきましょう。

一戸建てに比べて狭く、暗く感じることがある

「初めてマンションで暮らす方が、『マンションは狭い、暗い』と感じてしまうことがあります。特に、窓が多くとられていない中住戸の場合は暗く感じてしまうようです」

住み始めてから後悔しないためには、一戸建てに比べて床面積や収納スペースが少ないことを事前に理解して、不要なものを整理してから入居すること。開放感や自然光を感じられる眺望の良い物件や、角部屋で窓の多い住戸を選ぶのがいいでしょう。

聞こえる音、自分が出す音が気になる

壁1枚を隔てて上下や隣にも住戸があるのがマンション。壁や床などの躯体(くたい)を伝って、配管などから空気を伝って音は聞こえてしまいます。マンションは近隣からの音は避けられないと考えておきましょう。自分が出す音が、ご近所に迷惑にならないかが気になる場合は、周囲が静かになる深夜に大きな音を出さないなど、生活スタイルに気をつける習慣を。小さな子どもがいる世帯は、階下への気兼ねをしなくて済む1階住戸か、共用施設の上にある住戸を選ぶのが安心です。

マンションで大音量で映画を見ている夫と注意する妻のイラスト
(イラスト/もり谷ゆみ)

一戸建てからマンションへの住み替え、物件選びのポイントは?

資産性を重視するなら駅近物件やランドマーク的な物件を買う

将来的に、購入したマンションの売却や子どもに残すことなどを想定すると、資産性を維持しやすい物件かどうかは気になるところです。

「基本的に、資産価値が高いといわれているのは『都心、駅近、大規模』の物件です。それは今後も変わらないのではないかと考えています。ただし、同じ駅近でも各駅停車の電車しか停まらない駅の徒歩3分より、人が多く乗降するターミナル駅の徒歩10分の方が資産性を維持しやすいなど、物件の力は要件によって異なりますから個別に見ていくことになります。

また、一戸建てからマンションへ住み替える方は、住み慣れた同じエリアでマンションを探す傾向が見られます。エリアに、その街のランドマークになっているシンボル的なマンションから探すのもいいでしょう」

中古マンションは管理の状態をチェック。プロの手を借りることも検討

一戸建てからの住み替えを検討しているマンションが中古物件の場合、管理状態をチェックするのも住みやすい物件に出合う方法の一つ。

「エントランスの掲示板に、敷地内での喫煙ルールやゴミ出しルールなどについて掲示されていることがあります。そのマンションで、どんなことが問題になっているのか、ルールを守る人が多いマンションなのかを知る手がかりになります。そのほか、廊下や駐輪場など共用部分の使い方のマナーや、人の出入りが多い夕方ごろに内見をさせてもらって、住人のかたが挨拶を返してくれるかなども確認することが大切です」

管理状況が行き届きているのか、今後の長期修繕計画や修繕積立金の状況などは、一定以上の知見のあるマンション管理のコンサルタントに確認してもらうなど専門家のサポートを受けることも一案です。

「らくだ不動産のグループ会社でも行っていますが、中古マンションの建物の状況や管理状況などをワンストップで調べられるサービスを利用するのもよいでしょう」

一戸建てからマンションへ引っ越すイメージのイラスト
(イラスト/もり谷ゆみ)

マンションから一戸建てへの住み替えのメリット、デメリットは?

マンションとは違う一戸建てのメリットは?

一戸建てからマンションへのメリットはさまざまですが、逆にマンションから一戸建てへの住み替えにもメリットがあります。ここでは、主な一戸建てのメリットを挙げていきましょう。

庭づくりが楽しめる
敷地の広さにもよりますが、庭がもてるのが一戸建ての良さ。ガーデニングや家庭菜園を楽しんだり、ドッグランを設けたりもできます。

複数台の駐車スペースが確保しやすい
敷地内であれば駐車場台がかからず、家族で複数の車を持ちやすいのが一戸建てのメリット。敷地に余裕があれば来客用の駐車スペースが確保できます。月極駐車場にニーズのあるエリアなら、敷地の一部を貸すことで収益を得ることも可能です。

リフォームがしやすい
マンションよりもリフォームの自由度が高く、増築や減築も可能なのが一戸建ての良さ。将来、ライフスタイルに合わせて間取りや家のサイズを変更することもできます。

メンテナンスは自分のペースでできる
一戸建ても外壁や屋根の塗り直しや、老朽化した設備機器の交換など、定期的なメンテナンスが必要です。一戸建ての場合、自分の都合でメンテナンスの時期をずらすことができる点がメリット。至急のメンテナンスが必要でなければ、資金が工面できる時期に施工を依頼したり、子どもの受験期は避けるようにするなど、自分の都合を優先できます。

注意したい一戸建てのデメリットは?

セキュリティ面で不安がある
オートロックや有人管理、防犯カメラなど、セキュリティ対策がしっかりしたマンションに比べると、一戸建ての場合、自分で対策を取る必要があります。自動で録画される機能のあるインターホンや防犯カメラ、人感センサーによる照明など、コストはかかりますが安全には代えられません。自分でセキュリティ対策を行いましょう。

建物のメンテナンス計画を自分でする必要がある
管理組合が主導するマンションと違い、一戸建ての場合は建物のメンテナンスの計画を自分で行う必要があります。新築時の建築会社の定期点検の際に、今後のメンテナンス計画について相談するのもいいでしょう。

将来、売却が難しいケースがある
立地や築年数などによって、売却したくてもなかなか買い手があらわれないケースがあります。将来、住み替えを考えるなら、マンション以上に資産性を考えて選ぶ必要があります。

一戸建てと夫婦のイメージ
(画像/PIXTA)

一戸建ての住宅ローンが残っている。マンションに住み替えはできる?

住み替え前の一戸建ては売却した人が68.8%

一戸建てからマンションに住み替える際、住まなくなる一戸建てはどうするケースが多いのでしょうか。売却のほか、親や兄弟姉妹など親族が住む、取り壊す、他人に貸すなどさまざまな方法がありますが、「令和5年度 住宅市場動向調査」(国土交通省)によると、持ち家の一戸建てからの住み替えでは売却が最も多く、68.8%となっています。

住宅ローンが残っている一戸建ての場合、住み替えはできる?

売却する一戸建てに住宅ローンが残っていても、売却することでローンを完済できれば問題ありません。新たに、資金を住宅ローンなどで調達できればマンションへの住み替えができます。一戸建てがローンの残債よりも高く売れれば、その売却益を住み替え先のマンションの購入費用に充てることができ、住宅ローンの借入額を少なくすることもできます。

問題は、売却代金よりも住宅ローンの残高(残債)が多く、売ってもローンを返済しきれないオーバーローンのケースです。

住み替えローンで、住宅ローンの完済と新居の購入

現在の住まいを売却しても住宅ローンの完済ができず、それでも新居を購入したい場合に利用するのが住み替えローン。今の家のローンの完済資金と新居の購入資金を併せて借りる住宅ローンの一種です。住み替えローンを使えば所有している一戸建ての売却と住み替え先のマンションの購入を同時に行うことができますが、「売却」と「購入」を同時に進める必要があり、じっくり時間をかけて住み替え先を探すことができなくなります。また、金利が高めで審査が厳しい点も注意ポイントです。

住み替えローンのイメージ
(図作成/SUUMO編集部)

ダブルローンは現在のローンの他に、新たなローンを借りる

2本のローンを同時に利用するのがダブルローン。売却よりも購入を先行する住み替えの場合、住み替え前の住宅のローン返済を続けながら、新たなローンを借りて新居を購入することになります。住み替え前の住宅ローンは、売却後、残債を完済することが必要です。一時的に住宅ローンの返済額が大きくなるため、収入に余裕がある人や多額の資産がある人でなければ厳しい審査を通りにくいといえます。

ダブルローンのイメージ
(図作成/SUUMO編集部)

基本的には利用しないほうがいいのが住み替えローン

「住み替えローンは、新たに購入した物件の住宅ローンに住み替え前の住宅ローンの残債が上乗せされるということ。住み替え後のマンションの価値に対して借入額が大きいため、住み替え後のマンションを売却しにくくなります。どうしてもその物件を買わなければいけない理由や、いい物件が割安に買えたなどの特殊事情がない限り、基本的には避けたほうがよい方法です」

一方で、融資のための審査がより厳しいのがダブルローン。
「住み替え前の住宅が、ローンの残債よりも高い金額で問題なく売れると判断した上で、融資する金融機関が多いです。返済に無理がない年収や資産があり、計画的なダブルローンの利用であれば問題ないのではないかと思います」

一戸建てからマンションへの住み替えは、メリットや注意ポイントを把握し、資金計画にも注意しながら進めましょう。

まとめ

利便性を考えて一戸建てからマンションへの住み替えをするケースが多い

マンションには利便性やセキュリティなどメリットが多い

一戸建て住まいの頃にはなかった管理費や修繕積立金などが家計を圧迫しないよう注意

住み替え先の資産性を重視するなら都心、駅近、大規模 物件が有利

住み替えローンやダブルローンは返済が負担にならないよう細心の注意が必要

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取材・文/田方みき イラスト/もり谷ゆみ
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