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せっかく買った住まいでも、住み替えが必要になる場合が少なくない。でも、家を売却しても住宅ローンを返しきれないと住み替えも難しい。そんなときに利用したいのが「住み替えローン」だ。どんなローンなのか、住宅ローンを返済中でも住み替えできるのか、審査は厳しいのか、メリット・デメリットや注意点を解説しよう。
住宅ローンを借りて念願のマイホームを買っても、何年か経って住み替えの検討が必要になる場合は少なくない。持ち家を住み替える場合、通常は今の家を売却して新しい家を購入することになるが、問題は今の家に住宅ローンが残っているケースだ。
住宅ローンが残っていても、売却して得た代金でローンを完済できれば問題ない。もしローンを完済してもなお手元にお金が残るのであれば、その残金を新居の購入に充てることもできる。だが、売却代金よりも住宅ローンの残高(残債)が多く、売ってもローンを返済しきれない「オーバーローン」の場合は、なんらかの対策を講じる必要がある。そこで検討したいのが「住み替えローン」の利用だ。
住み替えローンとは、買い替え先の新居を購入するための住宅ローンに加えて、今の家に残っているローンを完済するための資金を併せて借りられるローンのこと。住み替えローンを使えば、オーバーローンのケースでも買い替えを実現することができる。そのため、住み替えローンを「買い替えローン」と呼ぶ銀行もある。

住み替えローンは住宅ローンの一種といえるが、通常の住宅ローンとは異なる点がある。通常の住宅ローンで借りられるのは住宅の価格(担保評価額)が限度だが、住み替えローンでは住み替え前に残ったオーバーローン分も上乗せして借りられるという点だ。また、後に述べるように住み替えローンと住宅ローンでは金利などにも違いがある。
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住み替えローンと住宅ローンの借り換えも似た用語だが、借り換えは住宅ローンの借入先である銀行を変えるという意味だ。高めの金利で借りている住宅ローンを、別の銀行の低い金利のローンに借り換えることで、返済額を減らすことができる。
住み替えローンも住宅ローンと年齢制限は基本的に変わらない。銀行によって異なるが、借り入れ時の年齢は70歳までとしているケースが一般的だ。
注意したいのは、住宅ローンと同様に完済時の年齢を80歳までとしている銀行が多い点だ。住み替えローンを利用する人は、初めて住宅ローンを利用する人より年齢が高いケースが多いだろう。例えば50歳で住み替えローンを利用する場合、80歳までの30年間が返済期間の上限となる計算だ。
住み替えローンで借りられる額の上限は、買い替え先の住宅の価格(担保評価額)に、住み替え前の住宅のオーバーローン分を加えた額となる。実際にいくら借りられるかは銀行の融資基準や借りる人の返済能力などによって決まる。

住み替えローンの第一のメリットは、オーバーローンの状態でも住み替えができるという点だ。通常の住宅ローンではオーバーローン分まで借りられないので、住み替え前の住宅を売却しても返済しきれないローンは自己資金などで完済しなければならない。だが、住み替えローンなら自己資金を手元に残しておけるので、売買に必要な仲介手数料や税金などの諸費用を現金で支払う資金に充てることもできる。
住み替えローンを利用すれば、今の住宅の売却と住み替え先の住宅の購入を同時期にできる点もメリットだ。売却と購入の時期がずれると、それだけ住み替えにかかる費用負担が増えてしまう。
今の住宅を先に売却し、その後に住み替え先の住宅を購入する場合(売り先行)は、売却から購入までの間は賃貸住宅などに仮住まいする必要があり、家賃負担が生じることになる。逆に住み替え先の住宅を購入してから今の住宅を売却するケース(買い先行)では、今の住宅ローンを返済しながら住み替え先の住宅ローンも返済する「二重ローン」状態になってしまう。住み替えローンを利用すれば、こうした費用負担を避けることができるのだ。

住み替えローンを使えば今の住宅の売却と住み替え先の住宅の購入を同時に行うことができるが、裏を返せば「売り」と「買い」を同時に進める必要があるということでもある。今の住宅が高く売れるまでじっくり待ったり、時間をかけて住み替え先を探すといったことが難しくなるだろう。また売却と購入を同時に進めるには、売買の仲介を依頼する不動産会社との綿密な連携も求められる。なお、実際には「売り」と「買い」は数日ずれるケースが多く、その場合は旧居の買主に引き渡しを待ってもらうなどの調整が必要だ。
住み替えローンは通常の住宅ローンに比べて金利が高めになる。というのも、住み替え前の住宅のオーバーローン分は、住み替え後の住宅の土地や建物を担保とすることができないからだ。こうした「無担保ローン」は万が一返済が滞った場合に銀行が土地・建物を差し押さえることができず、銀行にとってリスクが高くなるため、金利が高めに設定されるケースが多くなる。
また、住み替えローンはオーバーローン分を上乗せして借りるため、通常の住宅ローンより借入額が多めになる。そのため銀行側が融資の焦付きを避けるため、どうしても審査は厳しくなりがちだ。他のローンの借り入れや年収、勤続年数などを厳しくチェックされることになるだろう。

住み替えローンを利用して住宅を買い替える場合、まずすべきなのは今借りている住宅ローンがいくら残っているか、残債を調べることだ。住宅ローンの現在の残債は、銀行から送られてくる「ローン返済予定表」を見れば金額が書いてある。あるいはスマートフォンに銀行のアプリが入っていれば、マイページなどから確認することもできるだろう。
住宅ローンの残債が分かったら、続いて今の住宅がいくらで売れるのか、不動産会社に査定を依頼する。査定は物件の住所や広さなどのデータで算出する簡易査定と、実際に物件を現地調査して算定する詳細査定があり、いずれも複数の不動産会社に依頼して比較するのが一般的だ。
査定額が判明したら、住宅ローンの残債との金額を比較する。査定額より残債が少なければ、売却代金でローンを完済できるので住み替えローンを利用する必要はなさそうだ。逆に査定額より残債が多ければ、オーバーローン分も含めて住み替えローンでの借り入れを検討する必要があるだろう。
買い替えの資金繰りにメドがついたら、査定を依頼した不動産会社の中から売却を依頼する会社を選び、媒介契約を結ぶ。不動産会社が広告を出したり、オープンハウスを実施するなど買主を探す活動をする一方で、住み替え先の住宅探しもスタートさせる。
売買を仲介する不動産会社についてもっと詳しく
→不動産仲介とは?手数料相場や仕組み、メリットなどを解説
住み替え先の新居を探すのと並行して、住み替えローンを借り入れる銀行を探すことになる。住宅ローンを扱っている銀行ならどこでも住み替えローンを扱っているというわけではないからだ。
住み替えローンを扱っているのは、主に下の表に挙げた都市銀行のほか、地方銀行などだ。「買い替えローン」や「住み替えローン」として扱っている銀行が多いが、三菱UFJ銀行のように住宅ローンの資金使途として既存住宅ローンの返済資金を含めているケースもある。
| 銀行・ローン名 | 特徴 | 金利※ |
|---|---|---|
| みずほ銀行 みずほ買い替えローン |
満18歳以上満71歳未満で、最終返済時の年齢が満81歳未満の人が利用できる | 変動金利:2.475% 10年固定金利:3.55% |
| 三井住友銀行 WEB申込専用住み替えローン |
夫婦共有の場合、どちらかが死亡した場合に残高がゼロになる団信がある | 変動金利:2.475% 10年固定金利:4.15% |
| 三菱UFJ銀行 住宅ローン |
住み替えの際の既存住宅売却に伴う既存住宅ローンの返済資金も借りられる | 変動金利:2.475% 10年固定金利:4.05% |
| りそな銀行 りそな住みかえローン |
完済しきれない住宅ローン残債を1000万円まで借り入れできる | 変動金利:2.475% 10年固定金利:3.99% |
後で述べるように住み替えローンは通常の住宅ローンよりも審査が厳しめになるので、利用を検討したい銀行が見つかったら、実際に申し込む前に窓口などで相談してみるのがおすすめだ。借りられる金額や返済額の目安などを判断する参考にもなるだろう。現在住宅ローンを借りている銀行であれば、今の借り入れ状況やこれまでの返済の実績なども確認しながら相談に応じてくれるはずだ。
今の住宅を売却する買主が見つかり、住み替え先の新居も決まったら、銀行に住み替えローンを申し込み、審査を受ける。まず仮審査が行われ、仮審査に通れば本審査に進むという手順だ。仮審査に通れば本審査も通るケースが多いが、仮審査から本審査までの間に事情が変わったりすると本審査が通らない場合もあり得る。審査に必要な書類を事前に用意し、スムーズに手続きが進むようにしたい。借り入れに必要な手数料や登記費用なども確認しておこう。
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住み替えローンの本審査に通ったら、ローンを借りる契約(金銭消費貸借契約)を銀行と結ぶ。契約の時点で借入額や借入期間(返済期間)、金利の種類などが決められるが、実際に何%の金利が適用されるかは融資実行の時点で決まるのが通常だ。
住み替え前の住宅を売却する売買契約と、住み替え後の住宅を購入する売買契約は、ローンの契約より前に行う。すべての契約が済んだら、住み替え前の住宅を買主に引き渡して売却代金を受け取り、住み替えローンの融資実行を受け、住み替え後の住宅の購入代金を支払って引き渡しを受ける。引き渡しと融資実行は同時に行う「同時決済」が原則となるので、融資を受ける銀行に関係者が集まって手続きするケースが一般的だ。

住み替えローンでは新居の分の住宅ローンに加えて、住み替え前の住宅のオーバーローンの分も借り入れることになるので、通常の住宅ローンよりも借入額が多めになる。あまり借入額が多いと、返済額が増えて家計が苦しくなることも考えらえるので注意が必要だ。
もちろん、銀行は借りる人の返済能力も考慮して借入額を決めるのだが、「借りられる額」と「返せる額」は一致するとは限らない。子どもの教育費や老後の生活資金など、借りた後のライフプランも考えて無理のない借入額に抑えるようにしたい。
住み替えローンを利用する場合は、住み替え前の旧居の買い手が見つかってから、住み替える新居の購入を決めるのが無難だ。先に新居の購入を決めてしまうと、購入までに旧居を売却しなければならなくなり、売却価格を想定より大きく引き下げることにもなりかねない。ただし、買い手が見つかったら速やかに新居の購入を決められるよう、住み替え先の住宅探しは並行して進めることも重要だ。
住み替えローンは通常の住宅ローンに比べて借入額が多くなりやすいため、銀行による審査も厳しくなる傾向がある。銀行の審査では借りる人の返済能力が重視され、年収や勤続年数のほか、現在の借り入れ内容も細かくチェックされるので要注意だ。
借り入れ内容では、住宅ローン以外のローンも審査に含まれる。自動車ローンやカードローンはもちろん、携帯電話の分割払いや学生時代の奨学金なども対象だ。ローンの金額が多いと住み替えローンで借りられる額に影響することもあるので、住宅ローン以外の借り入れはできるだけ完済しておくといいだろう。
住宅ローンが残っている家を住み替えるときに便利な住み替えローンだが、利用するには注意すべき点も少なくない。低金利の今だからこそ、住み替えローンを賢く使って住み替えを成功させよう。
住み替えローンは、新居を購入するための住宅ローンに加え、家を売却したときに残るオーバーローン分も含めて借り入れできる
まず今のローン残高と売却価格の見込み額を調べて住み替えローンの利用を判断しよう
借入額が多くなり、審査が厳しくなりやすいので慎重な資金計画を立てることが大切