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重量鉄骨造の家って、木造やコンクリート造とどこがどう違うの? どんな家づくりに適している? 構造は家を建てることを考えたときに、気になることのひとつではないでしょうか。
重量鉄骨の特徴や耐用年数、遮音性やメリット・デメリットについて、建築家の柏崎文昭さんに伺いました。
まず重量鉄骨造の家がどのような仕組みなのか、木造や軽量鉄骨造、コンクリート造とどのように違うのか、構造的な特徴を見ていきましょう。
重量鉄骨造は重量鉄骨の柱と梁(はり)で骨組みをつくる建物です。
柱や梁、筋交いなどの部材で建物をつくる木造、鉄筋コンクリートで建物の構造をつくるコンクリート造(RC造)とは、その点が大きな違いとなります。
なおコンクリート造にはRC造のほかにSRC造があり、SRC造は柱や梁の芯に鉄骨が入っている構造です。
重量鉄骨とは厚さ6mm以上の鉄骨のことをいい、それ以下の厚さだと軽量鉄骨になります。
「重量鉄骨造は厚い鉄骨の柱と梁だけで建物を支える仕組み。単純な構造ですが、耐震性や耐火性に優れた、しっかりした建物ができます。また、柱と梁を剛接合するラーメン構造なので、筋交いや耐力壁(構造を支える壁)もいりません」(甚五郎設計企画 柏崎さん、以下同)
その結果、重量鉄骨造では仕切りのない広い空間がとれるのが特徴になっています。
また、窓も大きくとれるので明るく開放的な空間ができます。
「ロードサイドなどの店舗には重量鉄骨造が多いですね。広い空間がとれるのが理由の一つです」
また、建物の高さも木造のように構造的な制限がないといいます。
「平屋はもちろん、3階建て、4階建て以上の建物ができるので、中層の賃貸住宅や店舗・賃貸併用住宅などに向いています。また、1階を親世帯の、2、3階を子世帯の住まいにするなど、二世帯住宅にも向くでしょう。そればかりか重量鉄骨造は高層ビルもできるんです。それだけ強い構造といえますね」
こうした構造の特徴を活かして大手の住宅メーカーも重量鉄骨造の併用住宅をラインナップに加えていることが多いので、チェックしてみましょう。

軽量鉄骨造は重量鉄骨造より薄く細い軽量鉄骨を用いて構造体を組み立てる構造です。
大手住宅メーカーの工業化住宅(一定の型式に沿って工場でパーツをつくり現場で組み立てる住宅)に多く採用されています。
工業化住宅は3、4階建てとなると重量鉄骨造になりますが、2階建てでは主に軽量鉄骨が採用されています。
軽量鉄骨造は重量鉄骨造と異なり、耐震性を確保するために壁にブレース(木造住宅の筋交いに相当)を入れた耐力壁および床にもブレースが必要で、その配置が厳密なルールによって定められています。
工業化住宅は「型式適合認定」を取得して建てられていて、重量鉄骨造に比べると設計の制約が多くなります。
将来の間取り変更も耐力壁などに変更を加えない範囲であれば可能ですが、重量鉄骨造に比べるとリフォーム時に制約が多いといえるでしょう。
では、重量鉄骨造で建てるとどのようなメリットがあるのでしょうか。
3階建てや4階建てにはコンクリート造(RC造)も多く見られますが、比較すると重量鉄骨造にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
「RC造の建物は重いので、建てる前に杭打ちなどをして地盤対策をするケースが多いのです。しかし重量鉄骨造はコンクリート造と比較すると構造体が軽く、杭打ちなどはしなくてよいことが多いため、それだけ工事の手間とコストが省けます」
さらに建築の過程でも、RC造は重量鉄骨造に比べると手間がかかるといいます。
「鉄筋コンクリートで床、壁を一体化してつくるのがRC造ですが、ミキサー車でコンクリートを練り、鉄筋を組んで型枠をはめ、そこにコンクリートを流し込むという工程が必要です。
コンクリートは現場施工なので、すぐには固まりません。1階ごとに固まるまで、次の工程には移れず、他の構造のように一気に組み立てるというわけにはいきません。
この点、重量鉄骨造の構造体はシンプルに鉄骨の柱と梁を組んでいくだけ。大きさにもよりますが、3階建てくらいなら構造体の組み立ては短期で出来上がります」
ただ構造体ができてから後の内装や設備工事など工程はどの構造も変わらないといいます。
「トータルとしては重量鉄骨造の工期は、コンクリート造に比べて3分の2くらいとみておけばいいでしょう」
工期が短ければそれだけ人件費なども省けます。
重量鉄骨造はRC造よりも低コストになると思っていいでしょう。

一般的な木造住宅では筋交いなど耐震性を確保するために部材が入った壁を建物内にバランスよく配置しなければなりません。
またコンクリート造(RC造)でもラーメン構造のほかに壁式構造といわれる建物があり、これは壁で耐震性を確保する構造のため、撤去できないコンクリートの壁が適宜、内部に配置されます。
これらの耐震性を確保するための壁は「耐力壁(たいりょくへき)」といわれます。
重量鉄骨造の建物では、耐力壁が不要です。
つまり、剛接合した太い鉄骨の柱と梁だけで、十分に耐震性を確保できるということです。
「重量鉄骨造では耐力壁がいらないばかりか、柱と柱の間を10mくらい開けて配置できます。つまりそれだけ広い窓や空間がとれるというわけです。また、耐力壁がないということは間仕切りを容易にどこにでも移動できるということ。つまり間取り変更が簡単にできます」
店舗、あるいは工場などにも重量鉄骨造が多いのは、大空間が容易にできるばかりか、仕切りを移動して模様替えも簡単にできることも理由でしょう。
重量鉄骨造のデメリットはどのようなものでしょうか。気になるのはコンクリート造などに比べて遮音性がどうなのか、生活音が響いてうるさくないのか、という点です。とくに賃貸住宅では上階の音が響かないのか気になるものです。
「コンクリート造の建物は、柱や梁と床・壁が一体になっています。床の厚みは18cm~20cm程度が一般的です。それと比べると重量鉄骨造の床のつくりは一般的に鉄板を下地にしています。デッキプレートという凹凸型の鋼板上にコンクリートを打設したもので、木造や軽量鉄骨造の床より剛性も遮音性も高いです。しかし厚みなどからコンクリート造の床には及びません」
重量鉄骨造の音の問題が気になるのは、あくまでコンクリートと比べた場合。
コンクリートの床に比べれば遮音性は低いといわざるを得ない重量鉄骨造ですが、床のつくりによっては遮音性を向上させることができるようです。
「床材に軽量気泡コンクリートのALC板を用いる場合は鉄板よりも遮音性は上がりますし、仕上げのフローリングとの間に空間を設ける二重床にする場合も遮音性の向上が期待できます」
二世帯住宅や賃貸併用住宅で上下階の騒音がとくに気になる場合は、トラブルを避けるために床を遮音性の高いつくりにしてもらうのがいいでしょう。
外壁は重量鉄骨造の場合、一般的に軽量気泡コンクリート板(ALC)が使われますが、ALC板は木造の外壁より高い遮音性が特徴です。
ただ外からの音は窓から入る割合が高いので、騒音が気になる場合は複層ガラスを用いるなど窓の遮音性を高める工夫が必要です。
重量鉄骨造は狭小敷地にも向く敷地対応力の高い構造です。
ただ施工できない場合もあるそうです。
「重量鉄骨造は構造体を組み立てるときに、鉄骨を持ち上げるためクレーン車を使います。道幅が狭くてクレーン車を使えない場合は建てることができません」
構造を決める前に建築会社に敷地をみてもらって確認しておきましょう。
一方、「RC造はミキサー車が入ればいいので、道幅の問題はクリアしやすいです」
木造でも3階建ては可能なので、コストも比較しつつ検討するとよいでしょう。

重量鉄骨造の寿命は他の構造と比べて、どうなのでしょう?
公的な評価としては法定耐用年数というものがあります。
この法定耐用年数は必ずしも実際の寿命を反映したものではありません。
気になる重量鉄骨造の寿命はどのくらいなのでしょうか?
法定耐用年数とは、投資用不動産などの確定申告の際に減価償却費を計算する際に用いられるものです。
税制上ではその年数を超えると建物の価値がゼロとみなされます。
重量鉄骨造の住宅の法定耐用年数は34年。
ちなみに木造住宅は22年、コンクリート造(SRC造、RC造)の住宅は47年です。
どの構造も思ったより耐用年数は短い印象ですが、
「法定耐用年数は、実際の耐久性、建物の寿命とは一致しません。どの構造もそれより長くもつのが一般的です」
法定耐用年数は実際の建物の寿命とは違うと思ってよさそうです。
「鉄骨の敵はサビです。錆びなければ厚い重量鉄骨にはかなりの耐久性があります。50年や60年はふつうにもつ構造なんです。
サビの大敵は水分なので、屋根や外壁からの雨漏り対策が肝心。また天井裏や壁内の結露対策も重要です。屋根や外壁を定期的にチェックしてサビを早期に発見し、必要な対策を行えば100年以上もつ構造です」
ただ、長く住むうちには設備の老朽化に伴う機器交換や、家族構成の変化などに応じて間取り変更などのリフォームをする必要はあるでしょう。

坪単価は工事費を1坪(3.3m2)あたりに換算したものです。
したがって計算上、面積が広くなると安く、狭くなると高くなります。また、設備機器などの仕様によっても異なります。
したがって坪単価はあくまで目安にすぎませんが、構造ごとの費用を比較する場合の参考にはなるでしょう。
「重量鉄骨造の建築費用を坪単価に換算すると、80万円~100万円程度。これは木造よりやや高く、コンクリート造よりやや安いという水準です」
建物の用途や規模によって坪単価は変わるので、上記はあくまで参考にとどめ、実際にかかる費用は建築会社に見積もりをもらって検討しましょう。
重量鉄骨造は厚い鉄骨の柱と梁だけで建物を支える仕組みのため、耐震性や耐火性に優れている
短工期で建てることができ、コンクリート造に比べてコストが安い
コンクリートと比べると遮音性が低く、道路が狭くてクレーン車が使えないと建てられない場合もあることに注意を