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中古マンションを探すときは、いくつかのコツがあります。リフォームの有無やマンションの管理状況など、リサーチをせずに即決してしまうと後悔に繋がる可能性があるので注意が必要です。
らくだ不動産の山本直彌さんと村田洋一さんのお話をもとに、中古マンションの上手な探し方や流れ、チェックすべきポイントなどをまとめました。リフォーム前の物件の探し方も紹介します。
インターネットを活用して中古マンションを探すことは最も手軽な方法です。SUUMOをはじめとする不動産検索サイトにアクセスし、エリアや築年数などの諸条件を入力することで物件情報を見ることができます。
不動産会社(仲介会社)を介して物件情報を入手する方法もあります。地域の不動産会社を訪問すると、希望を伝えた上で候補物件を紹介してもらうことができます。
「インターネットで物件を探していても、相場の妥当性やマンションの管理状況など、分析困難なポイントがあります。そのため、情報を客観視してくれる不動産会社の担当者が必要となります。信頼できる担当者から得た情報を参考に、改めてインターネットで物件を探してみることもおすすめです」(山本さん)

また、リフォーム前の中古マンションを探したい場合は、検索サイトで条件を絞って探してみてください。「リフォーム済み」と表記がある場合でも、リフォームの時期や程度はさまざまです。確認する際のポイントは後述します。
不動産会社についてもっと詳しく
→管理会社と仲介会社、不動産屋さんの違いは? 賃貸の仲介手数料や管理費は必要?
中古マンションの探し方のおおまかな流れは以下になります。
それぞれの工程について詳しく解説していきます。
マンションを探し始める前に、エリアや予算、築年数、広さ、間取り、リフォームの有無、駅からの距離、ペットの飼育可否、駐車場や駐輪場の有無といった条件を決めます。予算を決める上であらかじめ資金計画をしっかりと立てておくことも大切です。
「物件の購入費用以外にも、管理費や修繕積立金、固定資産税といったランニングコストがかかります。諸費用を含めて毎月いくらまでなら支払いが可能か検討しましょう」(山本さん)

「条件が出揃ったら、次は優先順位を整理しましょう。すべての条件を満たす物件と巡り合える可能性は低いため、これだけは譲れないという条件を絞っていきます」(村田さん)

優先順位が明確になったら、インターネットを活用したり、不動産会社に依頼して物件を探します。
「不動産会社の担当者にも優先順位を共有すると、条件に合う物件を紹介してもらうことができます。
ここでの注意点は、担当者に物件探しを丸投げしないこと。担当者が探しきれていない物件や、条件は満たしていなくても理想に合う物件が見つかる可能性があります。不動産会社に依頼した場合でも、インターネットを活用し、ぜひ自力での物件探しを並行してください」(山本さん)

「気に入った物件があったら見学に行きます。このとき、大量の物件を見学しすぎないように注意しましょう。居住中の物件もあるため、見学日の調整に時間がかかるものです。見学日を待っている間に第一候補の物件が売れてしまったというケースも珍しくありません。できれば見学する物件の数は3~5件に絞り、購入申し込みまでスピーディーに進めていくのが理想です」(山本さん)

物件の販売元に買付証明書を提出して購入申し込みをします。買付証明書には購入価格や手付金の額、引き渡し時期などの希望を記載します。買付証明書は購入の意志を伝えるものであり、契約書とは異なります。

ホームインスペクションとは、建築士などの専門家が、住宅のコンディションについて調査を行うこと。瑕疵の有無や補修が必要な場所等を診断するため、住宅の状態を明確にした上でマンションを購入できます。契約前に実施するのが一般的です。
ホームインスペクションについてもっと詳しく
→ホームインスペクションの費用は? 中古戸建や新築戸建購入を後悔しないための住宅診断とは
「ライフスタイルや家族構成に合った間取りであるかを確認しましょう。また、リフォームのときに壁を取り払って他の間取りに変更できるかなど、間取りの可変性についても見ておくとよいでしょう」(山本さん)
リフォームの有無に関しては、検索サイトでも確認することができますが、より詳しい内容を知りたい場合は担当者に資料を取り寄せてもらいましょう。
「リフォーム済みの物件の場合、リフォームの範囲や程度についてはきちんと把握しておいたほうがよいです。例えば、クロスや水まわりの設備を変えただけなのか、配管まで含めてすべてリフォームしてあるのかによって、将来的にかかる修繕コストが変わってきます」(山本さん)

マンションのリフォームについてもっと詳しく
→リフォームの常識【マンション編】
「専有部だけでなく共用部もチェックしましょう。どんな共用施設を使うことができるのか、管理状況はどうかなど、見学に行った際に実際に見てみることをおすすめします」(山本さん)
築年数が古いマンションの場合は耐震基準にも注意が必要です。1981年6月以降に建築確認が完了したマンションには「新耐震基準」が適用され、震度6~7の地震にも耐えられる構造になっていますが、それ以前のマンションは「旧耐震基準」が適用されているため地震の際のリスクが高くなります。
旧耐震基準の中古マンションの購入を検討している人は、強度の高い構造の物件や耐震補強工事がされている物件を選ぶとよいでしょう。
マンションの耐震基準についてもっと詳しく
→「旧耐震」の中古マンションって危ないの? それでも住みたいならどう選ぶ?
駐車場や駐輪場の有無だけでなく空き状況まで確認することが大切です。
「電動自転車(電動アシスト自転車)の場合、タイヤや車体が大きいため駐輪スペースに入らなかったり、上段に駐輪するのが大変だったという困りごとが発生する可能性があります。所有する自転車のサイズがマンションの駐輪スペースに合っているか、無理なく駐輪できそうかなど、事前に現地を見て確認したほうがよいでしょう」(村田さん)

「マンションを維持管理していく上で、修繕が必要になったり、それに伴い修繕費が値上がりすることはある程度予想ができることです。一般的には築30年を超えると、エレベーターや共用部の給排水管、サッシや玄関扉といったさまざまな場所の修繕が必要になってきます。しかし、適正な管理と修繕計画に基づいて費用の積立が行われていないと、数十万円から数百万円の一時金の支払いが必要になったり、修繕積立金が大幅に値上がりするおそれがあります」
そういったリスクを事前に調べるには、マンションの「重要事項調査報告書」を確認する方法があります。「重要事項調査報告書」には、マンションの管理体制や修繕の記録、積立金の金額や滞納状況などが記されています。滞納や積立金不足はマンションの資産性を大きく左右するため、ぜひ知っておきたいところです。
「重要事項調査報告書」を入手する場合、不動産会社の担当者がマンションの管理会社に発行を依頼するのが一般的です。

マンションの修繕についてもっと詳しく
→マンションの大規模修繕や改修に関する費用・期間・注意したいトラブルなどを解説
マンションの管理組合が火災保険や地震保険に入っているかどうかや、保証範囲について確認しましょう。
「専有部で漏水が起きて階下に被害が出た場合、管理組合が加入している保険によって補償範囲が異なるため、補償範囲を確認する必要があります。管理組合が加入している保険に、個人賠償責任保険特約(包括契約用)がついていない場合には、自分で個人賠償責任保険などに加入してリスクに備えておかなくてはいけません。また、配管のメンテナンスが適切にされていないマンションは漏水リスクが高いため、保険の加入ができないというケースもあります」(山本さん)

「マンションの資産価値を知りたい場合、現時点の販売価格と合わせて過去に成約した物件の価格まで確認し、総合的に判断することがポイントです。また、不動産会社の担当者に対して『もしもあなたがこの物件を売るとしたらいくらにしますか?』と聞いてみる方法もあります。例えば、3000万円で販売している物件に対して『私なら2800万円で値付けします』といった返答があった場合は、現時点の販売価格よりも安い値段を告げられたことから、この物件は相場よりも高いのだろうと判断できます」(山本さん)

物件の周辺環境は暮らしやすさに関わります。商業施設や病院、学校など生活に必要なものがどこにあるかはチェックしておきたいところです。また、低層階に住む場合は時間帯ごとの日照状況をチェックすることも大切です。
「周りに大きな建物の建設予定がないかをチェックしましょう。10階の部屋に住んだとしても、近くに15階建てのマンションができてしまったら眺望や日照が変わってしまいます。マンションの周辺を散策して建設予定の看板が立っていれば詳細を確認してみてください。また、空き地や駐車場には将来的に建物が建つ可能性もあります。不安な場合は各行政の建築指導課などの窓口に行くと、今後の建築計画を教えてもらえることがあります」(山本さん)

「マンションを購入する方にとって優先度が低くなりがちなハザードリスクですが、実は意外と影響があるので注意してください。1階や地下の電気室が水没するとマンション全体の電気系統が使用できなくなるおそれがあります。その際はエレベーターも使えなくなるため、高層階に住んでいる人は生活にも支障があると予想できます」(村田さん)
「命を守るためにもハザードマップの確認は重要です。もしもハザードリスクの高い場所にあるマンションを買う場合は、階数にも注意してください。高齢者や体の不自由な人がいる場合は、水災のリスクを考えて1、2階は避けたほうが安心かもしれません」(山本さん)

ハザードリスクについてもっと詳しく
→【防災・自然災害の備え】安心・安全な住まいのために知っておきたいこと
| 専有部に関すること | □間取り |
|---|---|
| □リフォームの状態 | |
| マンション全体のこと | □共用設備 |
| □耐震性 | |
| □駐車場と駐輪場の状況 | |
| □修繕積立金、修繕記録 | |
| □管理組合の保険加入状況 | |
| □資産価値 | |
| マンション周辺のこと | □周辺環境 |
| □ハザードリスク |
「中古マンションを探す上で最も大切なポイントともいえます。顧客のニーズを聞かずに多くの物件の見学を勧めてきたり、メリットばかり伝えてデメリットは教えてくれない担当者には要注意です。丁寧なヒアリングのもと物件を提案したり、デメリットについても正直に伝えてくれるのが信頼できる担当者といえます」(山本さん)

「マンションの管理が適正に行われているかを知ることも大切です。総会・理事会の議案書や議事録、長期修繕計画書を不動産会社の担当者を介して取り寄せてもらい、どのような検討事項があるかをはじめ、収支状況などもチェックできるといいですね。修繕積立金が不足する可能性や管理費の値上がりを予想するための判断材料になると思います」(山本さん)
「見学する物件に居住中の住人がいる場合は、気になることをヒアリングしてみましょう。上下左右の部屋に住んでいる人との関係性を尋ねると、騒音トラブルの有無などが明らかになるかもしれません。また、住んだ人にしか分からないメリットとデメリットもあるでしょう。特に問題のない物件であれば、売却の理由も正直に教えてくれるはずです」(山本さん)

中古マンション探しは一期一会。よりよい物件と巡り合うためには、専門的なアドバイスをしてくれるプロを味方につけることが大切です。
「中古マンションを探すときは、専有部だけでなく管理状況や周辺環境、ハザードリスクなどにも意識を向けることが大切です。信頼できる担当者に伴走してもらいながら、理想の住まいを探しましょう」(山本さん)
この記事で紹介したチェックリストなどをもとに、家族が幸せに暮らせる住まいを探してみてください。
インターネットと不動産会社の両方の情報をもとに物件を探す
信頼できる担当者を探す
専有部だけでなく、マンション全体のことやマンションの外の要素にも意識を向ける