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希望通りの家が建てられる「注文住宅」に憧れる人も多いだろう。
完成した形で取引する分譲住宅と違って、注文住宅は建築中のチェックも大切。そのためには、注文住宅がどういう工程で建てられるか知っておく必要がある。
実際に土地を買って注文住宅を建てた「平賀邸※」の事例で解説する、シリーズの第2回は、注文住宅の工事に着手してから竣工して引き渡されるまでを取り上げる。(第1回目記事はこちらから)
※平賀邸は、79歳と76歳(要支援2)の高齢の夫婦が住むために、東京都杉並区の自宅近所の土地を買って、地元の工務店に建築を依頼した注文住宅。介護認定には、要支援1~2、要介護1~5の7区分があり、要支援は日常生活の一部に何らかの支援や部分的な介護が必要な状態をいう。


最初に行うのが「地縄張り」。建物の外周を縄で張って、建物の位置を確認するためのもの。施主によってはこの段階で、「地鎮祭」を行う場合もある。

平賀邸の場合は地盤改良を行う必要があったので、基礎工事に入る前に、「ソイルセメントコラム(柱状改良)工法」による地盤改良を行った。(→詳しくは下部コラムで解説)
ソイルセメントコラム工法による地盤改良。土の中にコンクリートの柱型の杭をつくる。

まず、砕石を敷いて圧力をかけ、基礎の下地造りを行った後、防湿フィルムを敷き、外周部にコンクリートを流し込んで、平らな面をつくる。次に外枠を組み、床一面を鉄筋コンクリートにするために、鉄筋を組んでコンクリートを流し込む。コンクリートが固まったら、型枠を組み上げて、コンクリートを流し込み、基礎の「立ち上がり」をつくる。固まったら型枠を外してベタ基礎が完成。
基礎部分はまず、床の「耐圧盤」(左)をつくる。コンクリートから突き出ている配管は、「さや管」といって排水管を通すためのもので、この工法を取るとメンテナンスがしやすくなる。耐圧盤が固まったら、「立ち上がり」(右)をつくる。

基礎が完成したら、主要な構造材を組み上げる上棟工事に入る。平賀邸では、立ち上がりと土台の間に基礎パッキンを入れて、湿気対策などを施している。1階床は、立ち上がりの上に土台、立ち上がりのない部分には鋼製の床束で支える大引き(おおびき)、間をつなぐ根太(ねだ)などの木材を配置し、その上に床材を敷く。
1階の床組みが終わると、それぞれに決められた太さの柱を建てていき、柱と柱を横につなぐ梁(はり)や桁(けた)、斜めにつなぐ筋交い(すじかい)を入れることで強度をもたせる。基礎と柱、柱と梁、筋交いなどの接合部分は、耐震金物でしっかり固定することがポイント。2階も1階と同じように建てていき、最後に屋根の骨組みを建てて、上棟工事が完成する。この際、平賀邸では、外部の合板張りとサッシの取り付けも合わせて行い、雨が入らないようにしている。
施主によっては、上棟時に「上棟式」を行う場合もある。
1階の木工事。土台、大引き、根太の上に床を敷く。床下には上棟工事前に、給湯給水で使うヘッダーが配管されている。

柱や梁(はり)、桁(けた)、筋交い(すじかい) を組み上げて、金物で固定する。2階ができたら、屋根を組み上げて上棟工事が終わる。

工事の種類は多様だが、ここでは主に「断熱」「防水」「外装」工事について紹介する。
構造と同様に重要になるのが、断熱工事と防水工事。壁や天井に断熱材(高性能グラスウール)を隙間なく全面に入れるのがポイント。
また、雨漏りを防ぐためには、外壁や窓まわりの防水対策をしっかり施すこと。サッシの周りは防水テープや防水シートを張り、バルコニー側の掃き出しのサッシでは取り付け下部に塗膜防水などが行われる。外壁は、合板の上に防水紙を全面に張る。
断熱材を隙間なく敷き詰めたところ。サッシの周りに防水シート跡、バルコニーに面するサッシ下部にFRP(繊維強化プラスチック)防水※の跡が見える。
※FRP防水とは、液状の不飽和ポリエステル樹脂に硬化剤を加えて混合し、この混合物をガラス繊維などの補強材と組み合わせて一体にした塗膜防水。

外壁はモルタル仕上げ。その下には防水紙を全面に張り、モルタルを固定する金網(ラス)を張る。窓まわりや配管まわりは、防水対策を強化する。

外壁の構造を示したサンプル。右はその裏側で断熱材はこのように入る(施工会社提供)

施工会社による社内検査(設計工事監理者による)は、基礎や上棟、竣工時の要所要所で行われる。設備工事や電気工事、内外装工事などが終わって家が完成すると、まず社内検査で外観仕上げや内装仕上げ、設備の動作確認などの竣工検査が行われる。検査で指摘された箇所を手直ししてから、施主による竣工検査が行われる。
施工会社や施主の検査のほかに、建築確認に基づく役所による中間検査(上棟工事完了時)と完了検査(竣工時)があり、申請した通りに建築されているかについて検査される。
設計工事監理者による社内検査(左)。平賀邸の施工会社では、設備・電気、防水、断熱材など多くの工程において、工事担当者による社内検査に加え、品質管理担当者による検査も行われる(右)。青いテープで修正箇所を示し、一覧に記録していく。

検査が終わり、施主の承認がおりれば、いよいよ引き渡し。念願のわが家が手に入る。
左から高齢者用に手すりを多く設けている玄関ホール、小柄な身長に合わせて80cmの高さにしたキッチン、スキップロフト付きの居室、小屋裏収納

土地が軟弱地盤の場合は、地盤の強度を補強する工事が必要。地盤調査の結果によって、軟弱地盤の層が地表から浅い場合は、軟弱地盤の土とセメントを混ぜて締め固めて地盤を改良する方法もあるが、軟弱地盤の層が深い場合は、土の中にコンクリートの柱をつくる「柱状改良」などを行う必要がある。平賀邸では、土を削りながらセメントミルクを注入して、攪拌しながら土を締め固めるとともに、基礎の下に柱上の杭をつくる「ソイルセメントコラム工法」を採用した。改良の深さは5m、直径50cmの杭を約1.8m間隔で23本施工した。

(注)注文住宅の契約までの工程は、施工会社や構造・仕様等によって異なります。ここでは、平賀邸の実例の工程で説明しています。