実例でよくわかる!土地を買って注文住宅を建てる[第3回]

最終更新日 2023年03月09日
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家を建てるなら、オーダーメイドの「注文住宅」でと思う人も多いだろう。
その一方で、土地の購入と住宅の建築それぞれに費用がかかり、予算の考え方や見積もりのチェックの仕方など難しい点も多くて、大変そうと思うこともあるのでは。
実際に土地を買って注文住宅を建てた「平賀邸※」の事例で解説するシリーズの第3回は、注文住宅の費用について詳しく説明しよう。

※平賀邸は、79歳と76歳(要支援2)の高齢の夫婦が住むために、東京都杉並区の自宅近所の土地を買って、地元の工務店に建築を依頼した注文住宅。
※介護認定には、要支援1~2、要介護1~5の7区分があり、要支援は日常生活の一部に何らかの支援や部分的な介護が必要な状態をいう。

実例でよくわかる!土地を買って注文住宅を建てる

予算はどこで変わる?

まず、費用について確認しておこう。
平賀邸を建てる費用は、土地価格4200万円、建築費用約2300万円、合計で約6500万円になる。(土地面積:94.39m2、延床面積:75.28m2

また、土地の価格は、購入するエリアや土地の面積・形状などによって大きく変わる。平賀邸の場合は、建築条件付き土地の条件を解除して、+200万円で土地を購入をした(詳細は第1回の記事を参照)。土地を買って注文住宅を建てる場合は、土地の入手が大きなポイントになる。更地だけでなく、古家付きや建築条件付きも選択肢に加えて、探してみるとよいだろう。

一方、建築費用については、多くのハウスメーカーや工務店が、広告などに坪単価(1坪=3.3m2当たりの費用の目安)を出しているので、建物の広さで決まると思われがちだが、実際には設計や間取りの複雑さや設備の有無、仕様のグレードなどで費用が大きく変わってくる。

坪単価とは?

一般的に坪単価は、建築費用の本体価格を「延床面積」(各階の床面積を合計した面積)で割って算出したもの。ただし、「施工床面積」で算出している場合などもある。施工床面積とは実際に施工した面積のことで、延床面積に含まないロフトやベランダなども含むため、延床面積よりも広くなる。さらに、施工床面積にどこまで含むか、その考え方も施工会社などによっても異なる。このように、算出方法が異なる場合があるので、ハウスメーカーや工務店が広告などで表示している、坪単価だけで比較するのは危険。
坪単価については、次の記事で詳しく説明されているので参考に。
→[参考]SUUMO「知っ得 坪単価レッスン」
http://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_money/h0wp11329/

諸費用を忘れない

自己資金として用意できる金額と住宅ローンで借りる金額が「総予算」となるが、土地価格+建築費用=総予算ではないことに注意しよう。土地を購入する際には、不動産会社の仲介手数料、土地の売買契約時の印紙税、土地の登記費用などの諸費用がかかり、建築工事では、工事請負契約時の印紙税や建築確認申請費用、建物の登記費用などの諸費用がかかる。さらに住宅ローンを借りるには、ローンの融資手数料や保証料、ローン契約の印紙税などの諸費用もかかる。こうした諸費用を総予算の1割程度は見込んでおかないと、予算オーバーになってしまう。
なお、平賀邸の場合は土地の購入に関して約50万円、建物の建築に関して約18万円、計約68万円の諸費用がかかったという。ただし、住宅ローンは利用していないので、その分の諸費用はかかっていない。
→[参考]SUUMO住活マニュアル内「土地を買う・家を建てる手続きと費用」
http://suumo.jp/article/jukatsu/money/ready/1813/

建築費用はどこで大きな違いが生じる?

建築費用には、どういった工事内容が含まれているのか?平賀邸で具体的に見ていこう。

建築費用の見方

まず、建築費用の基本的な見方を紹介しよう。
建築費用は主に、建築工事、付帯工事、その他工事に分けられる。ただし、項目の内容は施工会社によって多少の違いがある。ここでは、平賀邸の施工会社の施工事例を参考に、説明していこう。

本体工事とは、住宅を建てるために必要となる基本的な工事で構成される。一般的に、建築費用の70~80%を占めると言われている。本体工事は、設計の複雑さや設備・仕様のグレードなどで変わってくるが、設計が決まったら概算が予測できる部分だ。

費用に大きな違いが出てくるのが、オプション工事(施主の希望による追加注文工事)と付帯工事、その他工事。付帯工事やその他工事では、古家の解体工事の有無、地盤の強度や形状による地盤改良や盛土・整地の仕方で違いが出る。

建築費用の工事項目(平賀邸の場合)

意外に思うのが、土地に面する道路幅が狭いと、運搬するトラックの大きさが小さくなって効率性に違いが出たり、安全のために誘導員が必要になったりで費用が上がるということ。
また、地盤改良工事は、地盤調査をしてみないとどういった工事が必要かわからないし、ガスや水道の本管が敷地から遠い距離にあると敷地まで引き込む工事が必要になるので、これも調べてみないとわからない。したがって、通常見積もりの段階では別途費用と記載されることが多い。

つまりは、坪単価からの概算や建築工事の見積もり額だけでは、家は建たないということだ。

建築費用の見積もりのチェックポイント

建築費用には、どういった工事内容が含まれているのか?平賀邸で具体的に見ていこう。

建築費用の見方

正式に施工会社と建築請負契約を交わす前に、必ずやることが施工費用の見積もりを取ること。

見積もりの方法などは施工会社によって異なるが、見積もりをチェックするときは、各工事の項目ごとに仕様や単価、数量、金額が書かれているか、使用する建築部材等の名称や品番が明示されているか、一式など明細が不明確なものがないかなどを確認する。合わせて、見積もりの工事範囲や別途工事の対象、見積もりに含まないものなどを確認することも忘れないようにしよう。

ただ、専門知識のない一般の人には、内容を詳しくチェックすることが難しいだろう。施工会社に見積もりの内容を詳しく聞く一方で、下図の内訳の目安(平賀邸の施工会社の施工実績の平均的な割合)を参考にして、チェックするとよいだろう。

建築費用の内訳(平賀邸の場合)

平賀邸の場合の建築費用は?

平賀邸の場合の実際にかかった建築費用を見てみよう。

平賀邸の場合の契約時の見積もり

建築費用の内訳(平賀邸の場合)

本体工事には、一般的な耐震構造ではなく、鋼材製の制振装置を採用した制振工法にした約60万円分が含まれる。オプションには、ロフトの設置のほか、2階の床の遮音性能を上げたこと、玄関錠を遠隔操作システムにしたことに加え、エアコン3台の設置も含まれている。

また、地盤調査の結果から軟弱地盤であることがわかったため、地盤改良工事に約74万円かかっているほか、道路幅が狭いことから特殊仮設工事も一般よりアップしている。

平賀邸に4カ所設置された制振装置
平賀邸に4カ所設置された制振装置

建築費用の支払い方

平賀邸の場合の実際にかかった建築費用を見てみよう。

建築費用の支払いは、施工会社などによっても異なるが、一般的には契約時、着工時、上棟時、完成時などに分割して支払う。平賀邸の場合は、契約時10%、着工時30%、上棟時30%、完成時30%となっている。分割して支払うのは、施工会社が工事のために発注した設備や建築部材が納品される際に、それぞれ支払いをするため、その費用としてまとまった額が必要となるからだ。

また、設計費用については、施工会社によって異なるが、平賀邸の場合は詳細設計を注文する際と完成時に半金ずつ支払っている。
このほか、契約時に建築請負工事契約書の印紙税、建築確認申請費用などが必要で、完成時には登記費用や火災保険料、住宅ローンを借りる場合はその諸費用も必要となる。

※【実例でよくわかる!土地を買って注文住宅を建てる】は今回で終わります。
バリアフリー住宅の間取り・プラン、設備などについては、平賀邸の実例を元にこちらの記事で詳しく説明します。平賀さんに伺った完成した家の感想も併せて紹介します。

家を建てた後も費用がかかる!

家が建った後もいくつか税金がかかるので、その点も忘れてはならない。家が建って登記を終えると「不動産取得税」がかかる。新築住宅の場合は、固定資産税評価額から1200万円(長期優良住宅の場合は1300万円)を控除した額の3%(2024年3月まで)。

また、土地や家の所有者には毎年、固定資産税と都市計画税がかかる。固定資産税評価額に対して一定の税率がかかるが、固定資産税評価額は3年ごとに見直され、家の評価額は年数につれて低くなっていく。また、新築住宅の場合は、建築後3年間(3階建て以上の耐火建物・準耐火建物の場合、長期優良住宅の場合はそれぞれ2年間延長)は固定資産税が半額になる特例(2024年3月まで)がある。

(注)注文住宅の契約までの工程は、施工会社や構造・仕様等によって異なります。ここでは、平賀邸の実例の工程で説明しています。

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構成・取材・文/山本久美子(住宅ジャーナリスト) 画像提供/施主(平賀さん)及び施工会社
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