家事動線とは?家事が楽になる間取りのメリットやポイントを解説!【実例つき】

最終更新日 2025年03月25日
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【間取り実例つき】家事動線とは?家事が楽になる間取りのメリットやポイントを解説!

住まいの家事動線によって、料理、洗濯、そうじなど、暮らしに不可欠な家事の効率は大きく変わるものです。どんな間取りが家事ラクにつながるのか、生活デザイン設計室サンクの古屋茂子さんに伺いました。

家事動線とは?

動線とは?

動線とは都市や建物、部屋などの空間の中で、人や物の動きを表す道筋のことです。例えば店の中で従業員が通る道筋は従業員動線、客が通る道筋は客動線といいます。住宅の中には生活動線や家事動線があります。動線は短くシンプルな方が動きも少なくスムーズなので、設計の際にはよく留意する必要があります。

家事動線と生活動線との違い

家事動線とは、料理や洗濯など家事を行うために家の中を移動する道筋のこと。生活動線は、リビングやキッチン、トイレなど家の中で生活している人が移動する道筋を示したもの。家事動線は生活動線の一部といえます。

家事が楽になる家事動線のよい間取りのメリットとは?

最短最小の動きで、誰でも家事を遂行しやすい動線

家事がラクになる家事動線とは、家事をする際に無駄な動きが少なく、ストレスフリーに家事を遂行できる動線といえます。また、それに加え、“誰でも”家事を行いやすいということも、これからの時代の“家事ラク”という視点では重要なポイントになると古屋さんは指摘します。

「最近はライフスタイルによっては、ホームヘルパーや家事代行スタッフなど、家族以外の人に家事を頼む機会も少なくありません。家族の誰もが家事をしやすい動線になっているというのはもちろんですが、家族以外の人でも、誰でもどこに何があるのかわかりやすく、家事をしやすい動線上に収納などが設けてあると、家事ラクを助ける外部のサービスを利用する際も、ストレスが軽減できます」(古屋さん、以下同)

つまり、最短距離でスムーズに家事を行うことができる動線で、その動線上の適材適所にちょうどいい収納が設けられているという間取りが、家事ラクを実現できる間取りといえるのかもしれません。

キッチンカウンター下収納のイメージ
誰でもわかりやすく使いやすい収納が設けてあるなど、スムーズに動きやすい間取りが家事ラクにつながる

キッチンから見た家事動線が良い間取りのポイント

暮らす人の家族構成や生活スタイル、家事で重視するポイントなどで、最適な家事ラク間取りは違うものです。家事ラクをかなえる間取りの工夫はさまざまありますが、まずは、料理の場合について、家事ラク間取りの工夫ポイントを見てみましょう。

<キッチン間取りのポイント1> 回遊性と収納

アイランドキッチンとパントリーのある間取り
アイランドキッチンは回遊性が高く、作業がしやすい。収納を確保するために、十分な広さのパントリーがあると便利

最近ではオープンな対面式のカウンターキッチンが多くなっていますが、中でも、壁に設置する部分がないアイランドキッチンは回遊性が高く、調理、配膳、片付けの流れがスムーズです。

「壁付けタイプのカウンターキッチンでも、別の空間として設けられる壁に囲まれたクローズドタイプのキッチンに比べたら随分作業はしやすいと思いますが、夫妻で調理したり、子どもに手伝ってもらったり、友人たちとホームパーティーをしたりなど、複数人でキッチンに立つことが多いような場合、アイランドキッチンは作業がしやすく、とても便利です。

一方、クローズドタイプであれば人の目に触れない部分も、アイランドキッチンの場合は見えてしまうので十分な収納スペースを確保することがストレスフリーに使用するポイントになります。パントリーなど、2~3畳の大型の収納も併せてつくるのが理想。アイランドキッチンはキッチンを設置するのに、ほかのタイプのものよりもスペースが必要になるので、収納庫と併せ、ある程度キッチンに面積がとれる場合はオススメです」

アイランドキッチン以外のケースでも、パントリーなど、すぐには使わなくてもストックしておきたいものなどをしまう大きな収納がキッチンのそばにあると、キッチンが片付き、日常のお手入れもしやすくなります。

<キッチン間取りのポイント2>洗面・浴室への動線を工夫して家事を楽に

キッチンから洗面、廊下への動線がある間取り
キッチンから洗面室や廊下への動線が確保されていると、家事の同時進行をしやすい

家事はマルチタスクを流れで行うことが多いもの。回遊性の高さは、作業効率UPにつながりますが、キッチン単体の回遊性だけでなく、キッチンから洗面、そして廊下への動線が確保されていると、料理をしながら、ほかの家事も同時進行をしやすくなります。

「洗面室からキッチンと廊下へそれぞれ出られる扉があると2つの動線を確保できます。食事をつくりながら洗濯機を回したり、お風呂掃除をしたり、廊下側から洗濯物を干しにいったり、キッチンと洗面が近接しているだけでなく、複数の動線が確保されることで、家事の同時進行をしやすくなります」

ほかにも、料理をしながら調べものができたり、子どもの宿題を見てあげたりしやすいということで、キッチンにパソコンなどがおけるワークスペースを設けたり、キッチンカウンターの前に、作業もできる大きな机を設けたりする人も少なくないようです。

<キッチン間取りのポイント3>コンセントの数と配置

最近では、便利なキッチン家電が増えていますが、キッチンで意外と重要なのが、コンセントの数と位置。どんな家電を使用するのかなど、使い勝手を考えて配線計画を立てることが家事ラクにつながります。

「正確に細かく考える必要はありませんが、4口のコンセントをカウンターの左右に各1カ所程度はつけておくといいと思います。また、物を置いてしまうとコンセントが見えなくなってしまうことがあるので、家電などに隠れてしまわないような位置につけるということも必要です。時々使うような家電を使用する際、コンセントが隠れていたり、ホコリがたまっていたりして使いにくいということがあります。使いたいときに、使いにくいというのはストレスにつながるポイントなので、例えば、もし、つり戸棚をつけるのであれば、つり戸棚の下など、見える高い位置にコンセントをつけておくと、隠れてしまうことがないので便利です」

見えやすい高い位置のコンセント
戸棚の下や、壁の高い位置など見えやすい位置にコンセントを設置する方法も

洗濯、そうじ、片付けをするときの家事動線が良い間取りのポイント

次は、洗濯、そうじ、片付けの場合について、家事ラク間取りの工夫ポイントを見てみましょう。

<洗濯の間取りポイント>洗う場所から干す場所(ランドリールーム)を考えた動線

サンルームがある間取り
洗面室から洗濯物を干す場所までの動線が短いと作業の流れがスムーズ

洗ってから干すという家事動線をいかに効率的なものにするかが洗濯をラクにするポイント。洗濯スペース(洗面室)の近くに洗濯物を干せる場所を確保しておくと、流れ作業がスムーズになります。

「バルコニーと洗面室を近くにする以外にも、洗面室のすぐ横にサンルームを設けるという方法もあります。日当たりや風通しが気になる場合は、サンルームに天窓をつけて、風や光を取り込むというのもいいでしょう」

2階のバルコニーに干すという動線を短くするために、キッチンは1階でも浴室や洗面を2階に配置するということもあります。

「キッチン、洗面室、バルコニーやサンルームがすべてつながるような間取りにできればとても便利ですが、その分ワンフロアの面積が必要になります。料理と洗濯の同時進行よりも、洗濯の動線を重視する人であれば、キッチンと浴室洗面を離して、別のフロアにするという間取りも、洗濯の流れ作業を効率よく進めることはできるので便利だと思います」

<洗濯~片付けのポイント>使う場所で収納する、動線を良くして効率が上がった洗面室

壁面収納がある洗面室の間取り
洗濯乾燥機で乾燥までしたタオルや下着を、そのままたたんでしまえる収納が洗面室にあると、洗う~しまうまでを1カ所で済ませることができる

洗濯物は乾かした後、たたんでしまう作業もあります。衣類を乾かす場所の近くに、たたんだり、しまったりできる場所があると、作業の流れが遮られることなく、ストレスが軽減されます。

「例えば、洗面室に家族の下着やタオルなどを収納できるように壁面に収納棚などを設けておくと、洗濯乾燥機で乾かしてしまうような下着やタオル類は、そのまま洗面室でたたんでしまえるので、家事動線が短く、効率的です。来客時に人の目に触れる不安があるようでしたら、洗面室のドアに鍵を設置したり、おしゃれな収納ケースなどをそろえて中身が見えない工夫をしたりすれば安心です。

ただし、洗面室は湿気が気になる場所でもあるので、洗面室にそのまますべての衣類をしまうようなことは避けた方がいいでしょう。また、洗面室やサンルームに、アイロン掛けのスペースを設けておくのも便利です」

<片付け・そうじのポイント1>適材適所の収納

廊下収納のある間取り
使いやすい大きさのストックルームを1カ所設けておけば、管理しやすく片付けやすい

収納は家事ラクの重要なポイントですが、収納量が多ければ良いというものではなく、使いたい場所の近くに、適量の収納を設けておくことが大事です。

「大きな納戸の中に、とりあえず何でもしまってしまうという収納方法は、管理している人にしか物の場所がわからなくなり不便です。普段目に入るリビングなどが片付いたとしても、納戸の中の掃除や片付けが大変ですし、必要なものの補充なども、その納戸を管理している人がせざるを得なくなってしまいます。

収納は使う場所に適量が収まるものをそれぞれ設けておけば、使いやすさに加え、ものをストックしておくような収納もそれほど大きなスペースは必要なくなります。例えば廊下などに90cm程度の幅で床から天井まで高さの収納庫があれば、保管庫として十分機能すると思います。家の中のものがすべて見やすくそこにストックされていて、だれでも必要なときに必要な場所に補充できるようしておくのが、家の中にものが散らからない秘訣だと思います」

また、最近では家族共用の大容量のファミリークロゼットをつくるプランも人気ですが、ファミリークロゼットをつくる場合は、使い方をよく考えて計画するのが大事だと古屋さんは言います。

「例えば、子どもが小さく、家族の誰か1人が家族全員の衣類などを管理している場合などは、各部屋にウォークインクロゼットを設けるのではなく、家族共用のファミリークロゼットをリビングの近くなどに設けるケースもありますが、大型の収納をつくる場合は物置きのようになってしまう可能性もあるので、誰が管理するのか、どのように使うのか、使い方を考え、使いやすいように棚などをつけておきましょう。

ある程度子どもが大きかったり、大人同士が暮らすような場合に共用のファミリークロゼットを設ける場合は、前述した洗面室の下着などの収納であったり、玄関の近くにコートなどを置けたり、部屋着に着替えられるようなスペースとしてつくるのがオススメです」

<片付け・そうじのポイント2>玄関スペースのゆとり

土間のある間取り
ゆとりのある土間があると、玄関がすっきり

靴や上着を脱いだり、傘やベビーカー、子どもの外遊び道具などを置いたりと、意外と散らかる玄関スペース。玄関に土間のような広いスペースがあると玄関が片付く上、玄関から家の中にいろいろと持ち込まないで済むので、家の中のそうじストレスも減ります。また、土間以外にも玄関にシューズクロゼットなど、容量のある収納を設ける家も増えています。

「そうじのときに、一番面倒に感じるのは、“片付けながら”という動作です。そうじする場所が散らかっていなければ、そうじがすごくラクになります。土間のような広いスペースがあれば、車椅子やベビーカー、ショッピングカートを使う人も置き場所に困らずとても便利だと思います。

また、土間にちょっとした手洗い場があったり、靴のままコートを脱いでかけられるクロゼットがあったりすると、外からの花粉や埃、嫌なウイルスなどを家の中に持ちこまずに済んで良いですね」

30坪の家事楽動線の間取り例

M邸1階
M邸2階
小屋裏収納庫
(間取図提供/TAINN DESIGN 一級建築士事務所)

収納は1階に集約!家事&生活動線を考慮した大容量のFCLとSIC

1階の寝室と廊下の両方からアクセスできるところに、家族の衣類をすべて収納できるウォークスルータイプの大型ファミリークローゼット(FCL)を設けたプラン。洗濯後の衣類をまとめて収納できて、それぞれの個室に運ぶ手間が省けます。
また、大容量のシューズインクローク(SIC)にすることで、家族の靴を別の場所に収納する必要もありません。使う場所にたっぷり収納を設けることで、最小限の動線を実現しています。

居室の間に設けたファミリークローゼット
ファミリークローゼット内はハンガー収納をメインに。洗濯物が乾いたらそのまま収納することができるので、衣類をたたむ手間が省ける(画像提供/TAINN DESIGN 一級建築士事務所)

2階に水まわりをまとめて家事がラクになるコンパクトな動線

2階に水まわりを集約し、洗濯スペースからインナーバルコニーへはダイレクトアクセスが可能に。洗濯物を取り込んでからすぐに階段で1階のファミリークローゼットに運ぶことができます。
キッチンカウンターの下にはたっぷりの収納スペースを設けて、リビングで使う細々とした日用品を収納。使う場所の近くに収納できるので、動線もコンパクトになります。

ワーク&スタディースペースは妻と子どもが活用

キッチン横につくった小さなワーク&スタディースペースでは、キッチンで料理や片付けをしながらちょっとした空き時間にサッと作業ができる。ここで宿題をする子どもの様子を見ながら夕飯の支度を同時並行可能に。

キッチン横のワーク&スタディースペース
ワーク&スタディースペースは少しおこもり感のある空間にすることで集中できる場所に。シンク下スペースをゴミ箱にすることで動線もスムーズ(画像提供/TAINN DESIGN 一級建築士事務所)

備蓄倉庫や小屋裏収納で大きな荷物もまとめてスッキリ!

また、ストック品や季節物、大きな荷物などを収納できるよう、1階には玄関正面の備蓄倉庫、2階には小屋裏収納を設けて、各フロアに収納スペースを確保し、出し入れしやすいように工夫しています。

35坪の家事楽動線の間取り例

T邸1階
T邸2階
T邸ロフト
(間取図提供/TAINN DESIGN 一級建築士事務所)

2階キッチンはペニンシュラキッチンを採用して、作業をスムーズに

2階のキッチンを中心に家事のしやすさにこだわったプラン。キッチンはダイニングと直線でつながるペニンシュラ型を採用し、配膳や後片付けの動線をコンパクトに。フロアの真ん中にキッチンを配置することで、料理や片付けをしている間も子どもたちや愛犬の様子を見守ることができます。

ダイニングと一直線につながったペニンシュラキッチン
ペットがキッチンに入らないように設けたスタイリッシュなゲートは開閉しやすいスライドドアなので、人の行き来がしやすい(画像提供/TAINN DESIGN 一級建築士事務所)

バルコニーに隣接したランドリールームで行き来しやすく

バスルームは1階、ランドリールームは2階とあえて切り離したプランに。ランドリールームはバルコニーに隣接しているので、洗濯物を干したり取り込んだりする動線がスムーズになっています。

室内干しができる広々ランドリールーム
約3畳のランドリールームには、室内用物干しを完備。洗い終わった洗濯物をその場で干せるので便利。ガス乾燥機を併用して洗濯効率もアップ(画像提供/TAINN DESIGN 一級建築士事務所)

40坪以上の家事楽動線の間取り例

間取図
(間取図提供/サンク)

1階に水まわりを集約 40坪以上だと余裕のある空間に

1階に水まわりを集約したプラン。キッチンからランドリースペースのある洗面室にダイレクトにアクセスできることで、料理や後片付けをしながら洗濯を同時並行で進められます。

広々としたランドリースペースには、日常使いのタオルや下着などの収納スペースも設けて、「洗う→干す→しまう」が完結。

キッチンからリビングが見渡せるので、家事をしながら子どもの様子がわかり安心です。
帰宅時にすぐに手洗いできるよう、玄関脇に洗面室も設けています。

2階はプライベートなスペースでくつろぎの空間に

2階は寝室、子ども部屋、和室などプライベートスペースにして1階に家事スペースを集約することでコンパクトな家事動線を実現しています。2階で家事をすることが少ない分、ゆったりとくつろげる空間に。

失敗しない家事動線、注意すべきポイント

なるべく水まわりを1フロアに集約する

キッチンと洗面室・バスルームの水まわりを近くにレイアウトすることで、家事動線がコンパクトになり、家事の同時並行がしやすくなります。キッチンからバスルームまでをぐるりと回遊できるようにしたり、一直線につなげるなど、動線のつくり方はさまざま。家事を両立するための動きやすさが重要なポイントになるので、普段の家事をイメージしながらプランを検討しましょう。

家事動線を考慮して収納スペースを設ける

料理の際に食材や調理器具などを取り出しやすい場所にパントリーなどの収納スペースを設けたり、ランドリールーム横に家族全員分の衣類をまとめて収納できるファミリークローゼットを設けるなど、家事動線上で使う物の収納スペースをつくると家事効率がアップします。あらかじめしまうアイテムや収納量を考慮してプランニングしましょう。

家事のための専用スペースを設ける

キッチン横の家事コーナーやランドリールームなど、家事のための専用スペースを設けると、集中して作業ができるため作業効率が上がります。また、家事専用スペースに生活感のある物を置けるため、リビングなどのパブリックスペースをきれいで快適な状態にキープすることができます。

新居を建てる際は、自分の理想の暮らし方に合わせて、家事動線を考えて家事ラクがかなう間取りのポイントを取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

家事ラクな間取りのポイントは無駄な動きを省き、誰もがストレスフリーに動ける家事動線

回遊性の高い間取りは家事効率もUP

家事の流れが妨げられないよう、洗面、キッチン、収納などの配置もポイント

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取材・文/島田美那子、金井さとこ(家事ラク動線の間取り例注意すべきポイント) イラスト/青山京子
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