地上権とは? 借地権や賃借権・所有権とは何が違う? メリット・デメリットや地上権付きの土地売買の注意点、登記をわかりやすく解説

最終更新日 2025年10月07日
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地上権とは? 借地権や賃借権・所有権とは何が違う? メリット・デメリットや地上権付きの土地売買の注意点、登記をわかりやすく解説

土地や家を探しているときに「地上権」と記載されているのを見かけたことはありませんか?

さらに、土地に関連する権利には所有者から土地を借りる「借地権」、賃貸借契約に基づいた「賃借権」などもあります。それぞれ意味が異なり、正しく理解しておく必要があります。

そこでこの記事では、土地や建物の権利に詳しい司法書士の清水さんにお話を伺い、地上権と他の権利との違い、メリットやデメリットについて解説します。地上権付きの土地を売買する際の注意点なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

地上権とは

地上権とは、他人が所有する土地を一定の目的で利用できる権利のことを指します。民法では「物権」として定められており、建物や道路、鉄道、あるいは竹木を所有するために土地を使う場合に設定されます。

この権利を持っている人は、土地の所有者に都度許可を取らなくても、第三者へ土地を貸し出したり、土地上の建物を譲渡したりすることが可能です。つまり、土地利用の自由度が高いのが特徴といえます。

一見すると、土地を借りて使用する賃借権と似ているように思われるかもしれません。しかし両者には本質的な違いがあります。地上権は「物権」として土地そのものに直接効力を及ぼすのに対し、賃借権は「債権」として契約相手に対してのみ効力を持つ点が大きな相違点です。賃借権では地主に賃料を支払い使用の権利を得ますが、地上権はより強い立場で土地を利用できる制度といえます。

土地の「所有権」と「借地権」とは?

土地に関する権利には、代表的なものとして所有権と借地権があります。

まず「所有権」とは、土地や建物などを自分のものとして全面的に支配できる権利を指します。利用したり収益化したり、売却や譲渡といった処分まで自由に行うことが可能です。また、所有する土地や建物を他人が無断で使用した場合には、損害賠償を求めることもできます。

一方、「借地権」は土地を借りて利用するための権利です。例えば、借地に建物を建てた場合、その建物は借地人の所有物になりますが、土地そのものは地主の所有のままです。借地権は契約形態によって存続期間や利用条件が異なり、毎月地代を支払う義務が発生します。ただし、土地を購入せずに低コストで活用できる点は大きなメリットといえるでしょう。

「地上権」とは「借地権」の一種

土地に関する権利にはいくつかの種類があります。その1つである「地上権」は、借地権に含まれる形態で、主に建物を建てて所有することを目的としています。似た立場にある権利として「賃借権」がありますが、両者は土地に対する権利の強さが異なります。

地上権を持つ場合、借地人は地主の許可を得ずに土地を直接支配できます。これに対して賃借権は、地主の承諾を得て土地を利用するため、より制約の多い権利です。そのため、地上権のほうが強い効力を持つといえます。

さらに、借地権には「普通借地権」と「定期借地権」があり、普通借地権では契約期間が30年以上と定められています。また「建物譲渡特約付き借地権」という形式もあり、この場合は契約満了時に建物の所有権が地主に移転します。

地上権と賃借権との違いは?

地上権と賃借権、どちらも借地権の一種で、借りた土地に建物などを建てることはできますが、簡単にいうと下記のような違いがあります。

地上権と賃借権の違い
地上権 他人の所有している土地を使う権利。土地の所有者の許諾がなくても、原則的には貸したり、建物の売却や担保の設定をしたりすることが可能
賃借権 他人の所有している土地を使う権利だが、土地の所有者の許諾を得ないと、原則的には建て替え、建物の売却はできない
2つの権利に共通する事項 (1)建物所有を目的とする場合は借地借家法の適用があり、借主の権利が保護されるようになっている
(2)建て替え等の諸条件は、いずれも合意によって定められる

「地上権は“物権”といって、物や権利を直接に支配する権利の一種です。一方の賃借権は“債権”といって、ある特定の人(この場合は土地を借りる人)が他の特定の人(土地の所有者)に対して、ある特定の行為をなすこと(住居を建てて住むこと)を請求できる権利です」(司法書士の清水さん、以下同)

地上権と賃借権、どちらにするかは、土地の所有者と土地を借りる人の合意の上で決められます。「土地を借りて家を建てる場合は、ほとんどのケースで“賃借権”が設定されています」。下記のメリット・デメリットで見ても土地の所有者にとっては賃借権のほうが有利な場合が多いため、住宅で地上権が設定されることはほとんどありません。

借地権(地上権や賃借権)と、地役権の違い

地上権も賃借権も借地権の一種ですが、借地権と似たような言葉に「地役権」というものもあります。これは一定の目的のために他人の土地を利用する権利を指します。例えば隣接する他人の土地を通ったほうが駅に出やすいなど、通行のために他人の土地を利用する場合に設定します。詳しくは下記を参考にしてください。

地上権が設定されるケースは限られている

先述の通り、他人の土地を借りて建てる住宅に「地上権」が設定されることは多くありません。では、主にどのような場合に「地上権」が設定されるのでしょうか。

「最近特に多いのは、太陽光発電パネルを設置するために地上権を設定するケースです。広い土地に太陽光発電を設営するのは投機目的が多く、太陽光発電の所有者が変わることがあります。地上権は自由に譲渡することができるため、比較的多くの場面で地上権が使われています。

太陽光発電パネル
(画像/PIXTA)

その他には地下鉄のトンネル(地上権という名前ながら、土地の地下を使用する権利でもある)や、鉄道の高架を設営する場合などに、地上権を設定するケースがありますが最近は路線を拡張するという事業自体が減っていますから、あまりありません」

地上権の種類1:区分地上権

地上権には、「区分地上権」というものがあります。区分地上権は、送電線、トンネル、地下鉄などの工作物を所有するために他の人の土地の上空や地下を使用する権利です。区分地上権は、他人の持つ土地そのものの権利を持つのではなく、他人の土地の地下や上空を使える権利となります。

他人の土地の地下や上空を使いたい場合、土地の所有者が「区分地上設定契約」を結ぶことで他人の土地の地下や上空を使いたい希望者が取得する流れです。例えば、地下鉄工事をしたい鉄道会社、トンネル工事をしたい国や都道府県、高圧電線を架設したい電力会社などが取得することになります。

地上権の種類2:法定地上権

もう1つの地上権が法定地上権です。少々ややこしいので、下記図で説明します。

(1)Aさんが銀行からお金を借りて、土地を買い、家を建てた。購入の際、銀行は土地と建物に抵当権を設定

イラスト

(2)Aさんが銀行に返済できなくなり、銀行が建物を競売にかける

イラスト

(3)その結果、建物(家)だけが売れたので、土地の所有者はAさん、建物はBさんとなる

イラスト

「このままでは、建物だけを購入したBさんは、建物の所有権は手に入っても土地を利用する権利は得ていません。これでは建物を所有しても使えない、つまり“社会経済上の不利益”になるので、このような売買が行われたときは、法律でBさんにその土地を利用できる権利が認められます。これを法定地上権といいます」

法定地上権が認められるためには、

  • 抵当権設定時に土地上に建物が存在すること
  • その土地と建物の所有者が抵当権設定時に同一人物であること(図の例ではAさん)
  • 土地と建物、両方またはどちらか1つが銀行によって抵当権が設定されること
  • 債務不履行により、競売の手続きが開始され結果的に土地と建物の所有者が別々になること

といった細かな要件を満たす必要があります。

地上権の登記は誰が行う?

物権である地上権は、第三者に支配する権利を主張することができる「登記」を行います。逆に登記をしていないと、第三者に対して権利を主張できませんから、第三者が先に地上権を登記してしまう、なんてこともあり得ます。
※建物所有の借地権(賃借権、地上権)は、建物の登記(所有者がXである)をしておけば、土地に対する登記(地上権者や賃借権者がXである)をしていなくても、借地権を対抗できる

登記するためには土地の所有者と、建物の所有者との合意(地上権設定契約)がまず必要です。合意できたら法務局へ申請手続きを行いますが、申請者は双方となり、司法書士に任せるのが一般的です。「たまに地上権の申請は義務だとする意見を見かけることがありますが、正確には申請の義務はありません。地上権設定契約の中で地主に登記手続きに協力してもらうことを定めることにより地上権設定登記手続きを行うことが「できる」というだけで、申請をしなかったからといって法務局から過料等の制裁があるわけではありません。あくまで、登記をしないと地上権という権利を第三者に主張できないため、登記申請をするのです」

登記申請書イメージ
(画像/PIXTA)

地上権付きの土地のメリット・デメリット

地上権付きの土地は近年も設定されている権利ですが、この権利を設定した場合にどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?ここでは、地上権付きの土地のメリットとデメリットを見ていきましょう。

土地・建物の所有者それぞれでメリットが異なる

建物を所有する人からすれば、売買などの度に土地の所有者の承認を得て、その都度承諾料を支払う「賃借権」よりも、原則的に自由に譲渡や担保設定までできる「地上権」のほうがメリットはあります。

一方で土地の所有者からすれば、先述したように、契約で制限しなければ知らない人が自分の土地に住む可能性のある「地上権」は好ましくありません。加えて土地の所有者としては、建物の所有者が自由に売買できる地上権ではなく、賃借権を設定しておけば、建物の売買が行われる度に承諾料が入るので、賃借権のほうがメリットはあります。

なお土地の所有者の場合、地下鉄を通すなどするために地上権を設定する場合、たいてい補償金を得ることができます。

いずれにせよ、土地を借りて建物を建てる場合は、土地所有者と「賃借権」のある借地契約を結ぶのが一般的で、「地上権」を設定する例は多くありません。とはいえすでに「地上権」が設定されている中古住宅なら、購入後も土地所有者の承諾や承諾料不要で、原則的には自由に売買や転貸できるというメリットがありますから、もし家を探しているときに見つけたのなら、検討してみてはいかがでしょうか。

地上権付きの不動産を取得したい場合は、地上権抹消登記が必要

珍しいケースではありますが、地上権が設定されている不動産を購入したいというケースは注意が必要です。

不動産売買では、他人の権利が登記されている場合、当該登記を抹消してから所有権移転の登記をするのが通常です。地上権者がいる土地の場合、所有者であってもその土地を自由に利用することはできないため、売買の対象にはなりません。売買するためには、土地の所有者と地上権者が共同で、地上権抹消登記を管轄の登記所に申請する必要があります。地上権者が死亡している場合、地上権はその相続人に引き継がれます。

地上権者の協力が得られない場合

地上権者(またはその相続人)が、地上権抹消登記の申請に協力してくれない場合は、裁判所に地上権者等を被告として「地上権抹消登記請求訴訟」を提起することになります。この訴訟で勝訴すると、土地の所有者は単独で地上権抹消登記を申請することができます。

地上権者の所在が不明な場合

地上権者の所在が不明な場合、「公示送達」による地上権抹消登記請求訴訟を起こすか、もしくは「除権決定」を得ることにより地上権抹消登記申請を行うことができます。

「公示送達」による方法

公示送達とは相手方の住所、居所が不明で、通常の方法では訴状等を送達することができない場合に認められる特別な送達方法です。裁判所の掲示板に訴状等を掲示することにより、相手方に訴状等を送達したことになります。掲示板への掲示から2週間が経過すると、公示送達の効力が生じて訴訟を始められます。その後、判決が確定すれば、地上権抹消登記の申請が可能になります。

除権決定による方法

地上権者の所在が不明で共同申請ができない場合、裁判所に公示催告の申し立てをして地上権の除権決定を得る方法もあります。除権決定を得れば、土地所有者が地上権抹消登記を単独で申請することができます。

まとめ

「地上権」は借地権の一種

同じ借地権の「賃借権」と違い、原則的に建物を自由に貸す、建物の売却ができる

「借地権」は、登記をしていないと第三者に対して権利を主張できない

※本記事は2024年7月1日時点の情報を基に執筆しています
※記事内容等に関してなんらかの損害が生じた場合でも、弊社は一切の責任を負いかねます
※個別の案件につきましては、お近くの弁護士や司法書士、行政書士などの専門家にお尋ねください

※2021年3月24日 読者の方からのご指摘を受け、一部修正いたしました

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取材・文/SUUMO編集部(一部監修を含む)
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