防火戸(防火扉)とは?種類や乙種防火戸の役割、防火戸が必要は地域とは?

最終更新日 2024年05月07日
防火戸(防火扉)とは?乙種防火戸の役割、防火戸が必要は地域とは?

防火扉、防火戸、乙種防火戸などと呼ばれる防火設備には、どのような役割・種類があるのでしょうか。火災時に備えたメンテナンスの必要性などを一級建築士の佐川旭さんに教えていただきました。

防火扉とは?乙種防火戸との違い、種類と役割について

防火扉とは、防火性能を持つ扉のことです。防火扉には、防火設備にあたるものと特定防火設備にあたるものがあります。そのほかには、乙種防火戸や甲種防火戸、防火戸、防火ドアなどと呼ばれているものがあります。それぞれ、定義はどのようなものなのでしょうか。

「乙種防火戸」は建築基準法改正前の名称

「2000年(平成12年)に建築基準法が改正されて、『乙種防火戸』は『防火設備』という名前になりました。防火設備には、防火シャッターや網入りガラスも含まれます。ちなみに、『甲種防火戸』は『特定防火設備』に変わりました。また、防火扉の法律的に正しい呼び方は防火戸(ぼうかど)です。防火扉(ぼうかとびら)や防火ドアと呼ばれることもあるようですが、厳密には防火戸です。防火戸も防火扉も防火ドアもさすものは同じです」(佐川旭建築研究所 佐川旭さん、以下同)。

防火設備(旧乙種防火戸)と、特定防火設備(旧甲種防火戸)の違いは、建築基準法で細かく決まっており、簡潔にいうと火災に耐えられる時間によって区別されます。

「防火設備は20分火に耐えられるもの。特定防火設備は1時間火に耐えられるものと設定されています」。

防火設備(旧乙種防火戸)と特定防火設備(旧甲種防火戸)
建築基準法改正前の名称※1 乙種防火戸 甲種防火戸
建築基準法改正後の名称※1※2 防火設備 特定防火設備
使用箇所 ・外壁の開口部
・防火区画の一部
など
・防火壁や防火区画の開口部
・外壁の開口部
・避難階段の出入口部分
など
設備の例 ・防火戸
・網入りガラス
・袖壁
・防火戸
・防火シャッター
遮炎時間 20分 1時間
※1 2000年(平成12年)の改正。
※2 建築基準法改正以降、建物の防火に関わる設備は、遮炎性能によって防火設備と特定防火設備にわけられました。20分間の遮炎性能があるものは防火設備、1時間の遮炎性能があるものは特定防火設備です。防火設備には、旧乙種防火戸以外に網入りガラスなども含まれます。

防火戸の役割は火災時に火が回るのを防ぐこと

防火戸の役割は、建物のなかで火災が広がるのを防いだり、隣接する建物への延焼を防いだりすることです。
防火設備としての防火戸は、政令で定めた技術的な基準に合格していなければなりません。また、国土交通省が定めた構造で作られているか、国土交通省の認可を受けていることも必要です。

防火戸の構造

防火戸の形状には「シャッタータイプ」「扉タイプ」「シャッター+くぐり戸タイプ」などがありますが、特定防火設備の場合、防火戸の構造は次の2つの種類のみです。

常時閉鎖式 常に扉が閉められており、開く際は手動
随時閉鎖式 火災を感知すると自動で閉鎖する

また、防火施設・特定防火設備の構造は、国土交通省の告示により、以下のいずれかに準拠したものと定められています。

【防火設備】

  • 鉄製で鉄板の厚さが0.8mm以上1.5mm未満のもの
  • 鉄骨コンクリート製または鉄筋コンクリート製で厚さが3.5cm未満のもの
  • 土蔵造の戸で厚さが15cm未満のもの
  • 鉄および網入りガラスで作られたもの
  • 骨組を防火塗料を塗布した木材製とし、屋内面に厚さが1.2cm以上の木毛セメント板または厚さが0.9cm以上の石膏ボードを張り、屋外面に亜鉛鉄板を張ったもの

参考:国土交通省告示「防火設備の構造方法を定める件」

【特定防火設備】

  • 骨組を鉄製とし、両面にそれぞれ厚さが0.5mm以上の鉄板を張った防火戸
  • 鉄製で鉄板の厚さが1.5mm以上の防火戸または防火ダンパー
  • 鉄骨コンクリート製または鉄筋コンクリート製で厚さが3.5cm以上の戸
  • 土蔵造で厚さが15cm以上の防火戸 など

参考:国土交通省告示「特定防火設備の構造方法を定める件」

防火戸が必要な建物や場所

防火戸は、火災に気をつけたい人が自由に導入すればよい設備というものではありません。都市計画法で「準防火地域」「防火地域」に定められている地域に家を建てる場合、決められた防火の条件を満たさなければなりません。そのなかにドアを防火戸にする、壁や屋根の材料は耐火のものにする、などが定められています。

「一般的な木造建築の住まいで使うのは防火設備(旧乙種防火戸)になりますね。物件を建てる地域が防火地域であったり、耐火建築にしなくてはならない地域であったりすると、特定防火設備(旧甲種防火戸)を使う場合もあります。地域によって耐火基準が決められていて、それに基づいてどのような防火設備を使わなければならないかも決まってきます。扉や壁、屋根の材料などに対して定められています」。

建物の密集地や幹線道路沿いなど、防火地域に指定されている場所では、1時間耐火できる特定防火設備を使って家を建てなければなりません。

戸建てが並ぶ風景
(画像/PIXTA)

防火地域、準防火地域は防火設備にする必要がある

「これは防火戸に限ったことではありません。たとえばシャッター付きの車庫を用意したいとします。この場合、シャッターは普通のシャッターではなく、防火シャッターでなければなりません。普通のシャッターより厚く、火に耐えられます。ただ、やはり価格も割高です。防火地域に家を建てるとなると、そのほかの地域よりもどうしても値段が高くなります」。

実際に防火地域に指定されている地域は、各都道府県の公式サイトの都市計画情報などで調べることができます。家を建てる場合には、その土地が防火地域や準防火地域になるのか確認してみましょう。
※どの程度の耐火対策が必要かは、地域だけではなく、建てる物件の床面積や階数によっても変わります。

防火地域や準防火地域に家を建てる場合の注意点

住宅の多い都心や幹線道路の近くなど、防火地域に指定されている場所に家を建てる場合、きちんと防火設備を使っているかを役所にチェックしてもらう必要があります。

「どのような材料を使うか、その品番まで物件の図面に記入し、役所や民間の審査機関に提出して許可をもらいます。物件ができあがってからも、ちゃんと提出した通りに作られているかをチェックされます。申請については、基本的には建築会社が進めてくれます。一連のチェックが終わってはじめて、建物を使ってよいということになります」。

防火戸のメンテナンスはどうしたらよい?

「防火戸のメンテナンスはほとんど必要ありません。扉は10年くらいで色が退色してきたり、蝶番がきしんだりするので、それを直すことはあります。ですが、防火という観点でのメンテナンスは、20年30年と使っていても不要です」。

防火戸は普通の扉より重くなります。蝶番やドアクローザの負担が大きくなるので、定期的にチェックをしておきましょう。

ドアクローザ
ドアの上部についている装置。ドアが開きっぱなしになったり、急に閉まったりすることを防ぐ(画像/PIXTA)

防火戸はデザインの種類が少ない?

防火戸というと機能が優先され、デザインのバリエーションは少ないイメージがあるかもしれませんが、デザイン豊富で、最近は装飾性の高いものも増えてきています。普通のドアと比べると種類は少ないかもしれませんが、防火ガラスを組み込んだものなどおしゃれなものもあります。

シンプルなデザインの防火戸

庭と調和したデザインの防火戸。外壁や庭などと合わせて防火戸のデザインにも凝ってみると、より理想の住宅に近づきそうです。

断熱玄関ドアヴェナートD30防火ドアF11
断熱玄関ドア ヴェナート D30 防火ドア F11(画像提供/YKK AP株式会社)

装飾が入った防火戸

軽やか鋳物のアクセントが取付けられた防火戸。玄関回りがシンプルな家の場合、ドアの装飾で華やかさを足してもよいでしょう。また玄関先でガーデニングを楽しみたい方は、この防火戸のようなデザインを採用すれば統一感を出すことができます。

断熱玄関ドアヴェナートD30防火ドアN11
断熱玄関ドア ヴェナート D30 防火ドア N11(画像提供/YKK AP株式会社)

家を建てるときに、どこにどのような防火設備・特定防火設備が必要なのかは、建築会社が提案してくれます。
ですが、自分が暮らす家の地域が防火地域や準防火地域の場合に、どのような防火対策がされているか知っておくと、より安心して生活できるでしょう。これから家や土地を購入するときや今住んでいる方がリフォームするときなどに参考にしてみてください。

まとめ

防火扉は正式名称「防火戸」。遮炎時間が20分の防火設備と、1時間の特定防火設備にわけられる

自分が建てる物件にどの程度の耐火対策が必要かは、物件を建てる地域、物件の床面積、階数によって変わってくる

防火機能という面においては、特にメンテナンスや定期点検は必要ない

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取材・文/川上穂奈美
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