賃貸は新築が狙い目?やめた方がいい?メリット・デメリットを徹底解説

公開日 2023年10月23日
賃貸は新築が狙い目?やめた方がいい?メリット・デメリットを徹底解説

新築の賃貸物件はきれいで清潔感があり、最新の設備をそなえているという点が魅力的です。しかし一方で、新築の賃貸物件ならではのデメリットもあります。後悔のない住まい選びのために、今回は借りる前に知っておきたい新築賃貸のメリット・デメリットや新築の賃貸物件の探し方のポイントをSIRE代表取締役の木津雄二さんに伺いました。

新築の賃貸は借りない方がいい?デメリットは?

新築の賃貸物件というと魅力的ですが、いざ契約するとなると、新築物件ならではのデメリットがないか気になりますよね。

どんな物件にもメリット・デメリットがあるものですが、自分が新築の賃貸物件に感じるメリット以上に新築ならではのデメリットが気になるのであれば、あえて新築にこだわる必要もありません。

まずは、新築賃貸のデメリットから先にご紹介します。どんな点が挙げられるのでしょうか。

デメリット1 賃料が高い

新築の賃貸物件は、築年数の経った物件よりも人気が高い分、賃料も高く設定される傾向があります。例えば、東京23区の1R、1K、1DKの賃料の平均を見てみると、新築の賃貸物件の賃料の平均が10万9000円であるのに対し、築5年以内の物件の賃料の平均は10万1000円です。築10年、築20年など築年数が経った物件よりも新築の賃料が高くなるのはもとより、築浅物件と比較しても、新築の方が賃料は高くなるのが一般的です。

築年数別・東京23区・1R/1K/1DKの賃料平均(万円)のグラフ
SUUMO調べ(データ抽出期間:2023年6月)

毎月かかる賃料以外にも、住まいを借りる際には敷金、礼金、仲介手数料などの初期費用も必要になります。

敷金・礼金についてはそれぞれ賃料の1カ月分程度が一般的で、礼金なしというケースも少なくありません。また、入居者を早く獲得したい物件の場合は、敷金・礼金共にゼロということもありますが、人気の高い新築物件の場合、敷金・礼金の相場事情は異なります。

「新築賃貸の場合は築年数の経った物件よりも人気が高いため、礼金が必要だったり、敷金が高めに設定されていたりすることがあります」(木津さん、以下同)

初期費用を抑えなくても入居を希望する人がいる可能性が高い新築賃貸の場合は、契約時に相場程度かそれ以上の初期費用はかかるものと考えておきましょう。

デメリット2 完成前の物件は内見ができない

新築の賃貸物件の場合は、建築途中で入居者を募集することは珍しくありません。ポータルサイトなどに掲載される画像が間取図と外観のみなどで、部屋の写真が少ない傾向があります。また、完成前の物件の場合は実際に部屋の中を確認することができないため、入居してから「思っていたのと違った……」ということもありえます。

「現在の入居者が退居前の物件など、契約前に内見ができないケースは新築以外でもあるため、新築ならではのデメリットとはいえませんが、新築の賃貸物件の場合、契約前に内見ができないというケースは少なくありません。

入居後の後悔を防ぐためにも、内見できない場合も、現地に足を運び、建物のグレードや周辺環境などを確認しておくのは大事です。階数や部屋の向きなどの情報をもとに、日当たりなども想定することができます」

また、自分で足を運ぶのもいいですが、仲介会社の営業担当者に相談して現地に同行してもらうこともできます。通常の内見のように部屋に入れなくても、一緒に現地を確認しておくと安心です。

周辺環境を確認するイメージ
(画像/PIXTA)

デメリット3 予定していたタイミングで入居できないことがある

建築途中で契約した場合、工期が遅れてしまうと、予定していたタイミングで入居できないこともあります。

「工期が遅れてしまうこともままあることなので、工期が遅れる可能性やその場合の補償内容などについては、契約時に確認しておいた方がよいでしょう。工期が遅れてしまった場合は、トランクルームなどに荷物を預け、しばらくホテル住まいになるということもあります。このような場合に備え、完成前の新築賃貸物件を契約するのであれば、今住んでいる部屋の契約期間を残しておくと安心です」

デメリット4 立地にこだわると、選択肢が少なくなる

住まいを探す際、建物の立地は大事なポイントです。しかし、「〇〇駅の徒歩5分以内」など、立地にこだわり過ぎてしまうと、必然的に新築の賃貸物件は限られます。「新築」という条件を優先して物件探しをする場合は、立地などほかの条件を見直す必要がある場合もでてきます。

「新築の賃貸物件よりも、築年数の経った賃貸物件の方が圧倒的に選択肢は多くなります。特に立地については、駅近くの好立地にはすでに建物が立っていることが多く、立地にこだわりながら新築の賃貸物件を探すとなると、物件の数は限られるでしょう」

新築の賃貸のメリットは?

いろいろなデメリットもある新築賃貸物件ですが、やはり新築でしか享受できないメリットもあります。

メリット1 新しくきれいで、建物の性能が高い

新築以外の物件では得られないメリットは、なんといってもその新しさ。清潔感があり、何もかも新しいというのは、新築以外では得られない魅力です。

そして、新築の賃貸物件は見た目がきれいというだけでなく、築年数の経った賃貸物件と比べると、建物自体の性能が高く、よりよい住環境を享受できる可能性が高いでしょう。

「最近ではZEH(ゼッチ)(※)仕様の賃貸物件も増えており、特に省エネ性や断熱性といった建物の性能については、新築物件の方がグレードの高いものが多くなっています」

快適性がアップすることに加え、省エネ性能の高い住まいなら、光熱費などのランニングコストを抑えることができるのも、うれしいポイントです。

※ZEH(ゼッチ)とはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。生活で消費するエネルギーよりも、創出するエネルギーの方が大きい省エネ住宅

メリット2 設備も最新

新築の賃貸物件には設備も新しいものが採用されています。必ずしもグレードの高い最新機種が導入されているという訳ではありませんが、需要のある人気の設備が整っていたりするのも、新築賃貸ならではのメリットです。

「新築であれば防犯カメラなどが設置されている所も多く、住戸の鍵も、ピッキングに強いとされているディンプルキーなどが採用されている所がほとんどです。

共用部の設備などについても、人気のある設備の一つとして挙げられる24時間出せるゴミ置き場は、賃貸の場合でも新築の物件では採用されることも多くなってきています。

また、前出のZEH賃貸の場合は、太陽光パネルを搭載して自家発電システム導入していたり、蓄電池を備えていたりするので、防災時の安心にもつながります」

賃貸住宅入居者に聞いた「設備に対する満足度」TOP5
出典:SUUMO 2022年度賃貸契約者動向調査(首都圏)
賃貸住宅入居者に聞いた「魅力を感じるコンセプト賃貸住宅」TOP5
出典:SUUMO 2022年度賃貸契約者動向調査(首都圏)

メリット3 同じ物件の中での選択肢が豊富

築年数の経った物件の場合は、気に入った物件に空室があっても、間取りや広さ、住戸位置や賃料などの条件が合わないということがあります。

一方、新築の賃貸物件は、建物内の住戸の入居者を一斉に募集するため、1つの建物の中での住戸の選択肢が豊富です。

「新築の場合は同じ建物の中の住戸の選択肢は多くなります。同じ物件でも、間取りや階数が違えば自分の条件に合うものが見つかる可能性もあるので、物件を探す際には確認するようにしましょう」

メリット4 同時期に入居する安心感

新築の賃貸物件の場合、同時に募集があるということは、入居者の入居するタイミングも同じです。築年数が経った物件に新参者として入居する場合とは違い、一斉に同じ場所で新生活をスタートする居心地の良さがあります。

「築年数の経った物件は独自のルールやトラブルなどがすでに発生している可能性もありますが、新築の場合はそのような心配がありません。同時期に同じようなライフスタイルの人が入居することになるので、安心感があるという点も新築の魅力です」

新居への引っ越しのイメージ
(画像/PIXTA)

新築の賃貸物件を探す時のポイントは?

新築という条件にこだわると選択肢も限られてしまいます。自分の条件に合う新築の賃貸物件を探すために、探し方のポイントを押さえておきましょう。

決断は早めに

新築に限ったことではありませんが、人気の賃貸物件はタッチの差で他の人に先に契約をされてしまうことがよくあります。

「新築の賃貸物件は、数が少ない上に人気があります。気になる新築物件を見つけても、ゆっくり検討していると他の人に先に申し込まれてしまうということもあるので、気に入ったものが見つかったら、早めに決断するのがオススメです」

コストが気になるなら、閑散期に探すのも手

新築の賃貸物件がいいと思っていても、家賃の割高感などに二の足を踏んでしまう人もいるでしょう。コストが気になる場合は閑散期といわれる時期に住まい探しをするのも一つの方法です。

「引越しをする人の多い3~4月に向けて、2~3月の時期に入居者の募集をする賃貸物件は多く、新築の賃貸物件もこの2~3月の繁忙期に入居者の募集をするものが多くなります。

繁忙期は物件の選択肢が多い時期ですが、新築の賃貸物件は人気があるので、賃料設定も割高なものが多くなります。繁忙期を過ぎて4~5月ごろになると、少し値頃感のある物件も見かけるようになり、7~8月の閑散期になると、引越しを検討する人も少なくなるため、家賃や初期費用などのコストを抑えられる可能性が高くなります。

値頃感のある新築物件を探したい場合は、閑散期に探すのが良いと思いますが、探す際には入居者の募集開始時期を確認するのがオススメです。不人気で余った部屋なのか、募集時期を逃した掘り出し物なのかを見定めることができます」

選択肢の多さを重視するのであれば、繁忙期の2~3月が物件探しに最適な時期かもしれませんが、値頃感を優先するのであれば、7~8月の閑散期がねらい目かもしれません。

繁忙期:2~3月
物件の選択肢は多いが、賃料設定は高め
閑散期:7~8月
物件の選択肢は多くないが、コスト面ではねらい目

“きれいな”賃貸に住みたいのなら、築浅やリノベーション物件、分譲賃貸なども検討の価値あり

新築でなくても、ある程度“きれいな”物件であればOKというのなら、築浅の物件も検討してみるとぐっと選択肢の幅は広がります。また、リノベーション物件や分譲賃貸なども視野に探してみると、さらに条件に合う住まいが見つかる可能性が高くなります。

「築20年などのタイミングで、設備を一新するような物件は少なくありません。新しい設備の住まいがいいということで新築の賃貸物件を探しているのであれば、リノベーション物件なども視野に入れて、条件に合うものを探すのもいいと思います。

ただし、建物自体の性能は築年数に左右されるものですし、住み心地を大きく左右するサッシなどは、賃貸の場合、リノベーションの際にあまり交換されることがありません。築古のリノベーション物件などを検討する場合は、新築物件に自分が求めているものはどんな住み心地なのかというところを考えて、選択することが大事になります。

また、賃貸の仕様と分譲の仕様というのは異なるものなので、賃貸の仕様で建てられた新築の賃貸物件よりも、築年数がある程度経過した分譲賃貸の方が設備などの満足感が高い場合もあります」

新築の賃貸物件は、賃料などに割高感はあっても、やはり人気があるものです。新築ということにこだわると数も限られているため、なかなか自分の条件にあうものが見つからない……ということもあるかもしれませんが、記事で紹介した探し方のポイントなども参考に、ぜひ自分にぴったりの住まいを見つけてみてください。

まとめ

新築賃貸はほかの築年数が経った物件よりも、賃料などの相場が高い傾向がある

建物自体の性能が高く、設備もすべて新しくきれいというのが新築賃貸のメリット

新築賃貸は、気に入ったものがあれば早めに決断するのが安心

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構成・取材・文/島田美那子 
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