「お風呂 リフォーム中 どうする?」リフォーム中の入浴問題、工事期間の乗り切り方とストレス対策

1日の疲れを流す癒やしの空間、お風呂。ただ、長年使っていれば汚れが落ちにくくなり、設備が故障する心配も出てきます。それを解決する方法のひとつがお風呂のリフォーム。終了後には、最新設備を備え、快適なバスタイムが楽しめる一方、工事期間中の入浴はどうすれば…?と不安に思う方も多いはず。
この記事では、住みながらお風呂をリフォームする間の入浴方法、工事期間中のストレスを最小限に抑えるコツ、お子さんやご高齢の方がいるご家庭が気を付けるべきことなどを、住宅リフォームコンサルタント、一級建築士の尾間 紫(Yuu)さんのアドバイスを交えながら解説します。

「お風呂 リフォーム中 どうする?」リフォーム中の入浴問題、工事期間の乗り切り方とストレス対策

記事の目次

お風呂リフォーム中の「どこで入浴する?」問題。よくある選択肢を比較【SUUMO編集部調べ】

まずは、お風呂リフォーム中はどこで入浴すればいいか?という問題から。「リフォームの内容によって、2日程度~3~4週間など工事期間は変わります。その長さによって次の代替手段を検討すると良いでしょう」(尾間さん。以下コメントはすべて同じ) リフォーム中の入浴場所について、よくある選択肢を編集部でピックアップしてみました。

銭湯、スーパー銭湯

手軽な方法ですが、おむつが外れていない乳幼児がいる場合、行こうとしている銭湯、スーパー銭湯が、そうした乳幼児が湯船に入っても大丈夫かを事前に確認する必要があります。施設によっては、専用のベビーバスが用意されているなどのケースもあります。費用は銭湯(一般公衆浴場)なら550円(東京都の場合 2024年8月1日改訂)。スーパー銭湯や温泉施設の場合は1000円台~です。

スポーツジム、フィットネスクラブ

会員になっているジム、クラブのシャワーを使うのは手軽な方法です。最近では24時間営業している施設も増えています。

友人、知人、親せきなどの家

友人、知人は関係性によってどのくらい頼ってよいのかが変わります。相手が不快に思わないように配慮したいもの。親せき宅は友人、知人よりは気を使わずに済むかもしれませんが、やはり配慮は必要でしょう。

ホテル、旅館など

普段あまり利用する機会がない自宅から比較的近いホテルは、小旅行的な気分も味わえます。2日程度の工事期間なら、その間ホテルに滞在する、工事が長期におよぶ場合は気分転換を兼ねて週末のみホテル宿泊などの手も。

仮設風呂、簡易シャワーの設置

庭付き一戸建ての方は、仮設風呂や簡易シャワーをレンタルする選択肢もあります。出入りや着替えのスペースも含めて最小で一坪(約3.3m2)ほどの広さが必要で、浴槽なしシャワーのみ、浴槽・シャワー付きがあります。費用は、組み立て、給排水、プロパンガス、電源など設置工事費込みで15万円程度からが目安です。ただ、すぐに用意できるものではありませんし、工事も必要ですので、契約前にしっかり検討し、見積もり金額に加えてもらう必要があります。

防災グッズ

上記のほか、災害発生時、お風呂が使えなくなった場合などに便利な大判・厚手の使い捨てウェットシートや、水を使わず頭皮や髪の汚れを取る効果があるドライシャンプーなどもおすすめです。リフォーム工事を行う季節やその人の感覚にもよりますが、2~3日から1週間程度は、これらで代用できるかもしれません。

お風呂リフォームの「工事期間」は?

続いて、お風呂リフォームにかかる期間の目安を見ていきましょう。工事の内容によって長短が変わります。

工事内容 期間の目安 備考
ユニットバスからユニットバスに交換 2日~5日 交換前後のユニットバスのサイズや配管位置が同じであれば、最短2日程度で完成するケースもあります。
タイル張りなどの在来工法からユニットバスに交換 1週間程度  
浴室+洗面脱衣室+トイレをリフォームする 10日~2週間  
浴室のサイズ拡張、場所の変更 3~4週間  

リフォーム工事期間で気になるのが、予期せぬトラブルで延長する可能性はないのか?ということです。

「例えば、築20年以上の一戸建ての浴室リフォームでは、古い浴室を解体してみたら、シロアリ被害が進行していた、土台が腐食していた、といったことが発覚することもあります。その場合、1~3日ほど延長する可能性はありますね。ただ、家の築年数や浴室内の状況から、工事を行う前に土台の腐食が進んでいるかもしれない、といった予測はある程度可能です。そういった意味では、施主からの聞き取りやスマホで撮った画像だけで短時間で見積もりを出すのではなく、しっかりと現地調査をしてくれるリフォーム会社を選ぶほうが安心です」

また、天候不良、台風や大雪などによる物流の遅れが、工事の遅れにつながる場合もあるとのこと。

「実際、台風による通行止めの影響で、浴槽の納品が1日遅れになったケースがありました。ただし、ならば1日遅れで工事に取り掛かれるかというと、そうならない場合は珍しくありません。一般的に職人さんは複数の現場を掛け持ちしており、翌日は別の現場の仕事が入っていて、工事再開まで2~3日から1週間かかった、といったこともあります」

そうしたトラブルに伴う工事の遅れに対して、金銭での補償はあるのでしょうか。

「一般的に、住まいの経年劣化によるトラブルで発生した費用は施主負担、リフォーム会社側のミスによるものはリフォーム会社負担、そして自然災害などは“不可抗力”であるため、施主・リフォーム会社ともに新たな負担はしない、という慣習になっています。ともあれ、契約前に『約款』をきちんと読み込み、追加工事の可能性と費用負担をどちらがするのか、しっかり確認、理解しておくことが大切です。最終的な取り扱いは契約書・約款の内容に準拠します」

不動産契約書にサインする男性

契約前にリフォーム会社とよく打ち合わせ、不安や疑問を解消しておくことがポイント(画像/PIXTA)

工事中のストレス軽減とプライバシーを守るポイント

自宅に住みながらお風呂のリフォームをする場合、内容や箇所によって工事エリアが広がったり、工期が長くなったりなど、住人にそれなりのストレスが生じると考えられます。想定される事態と対策を見ていきましょう。

騒音・振動・粉塵対策

「大きな音や振動が発生する日は、事前にリフォーム会社からその日程を明記した工程表をもらい、家族全員で共有しましょう。これによって、在宅ワークのスケジュールを調整したり、その時間帯だけ外出したりするなど、ストレスを減らす工夫ができます。
また、ご近所への配慮も大切です。事前に挨拶を済ませる際に、「○月○日の○時ごろに、大きな音が出る工事があります」などと伝えておくと、ご近所の方も心の準備ができ、トラブル防止につながります」

プライバシーの確保

「工事対象の浴室はもちろんですが、加えて職人さんの作業スペースも確認し、ご家族のプライベートスペースと明確に分けましょう。
リフォーム会社に、どこまで作業スペースになるのかを確認し、養生シートなどで仕切ってもらうことで、プライバシーを守ることができます」

鍵の管理

「ご家族が全員外出する予定がある場合は、工事中の鍵の管理方法を事前に決めておきましょう。鍵を預ける場合は、必ず“鍵の預かり証”を受け取ってください。また、工事中に職人を装った不審者が侵入したケースもあります。貴重品は自宅に置かず、トランクルームなどに預けるのがおすすめです」

水道の利用制限

「例えば給湯器の交換だとお湯が使えない、トイレの給排水管工事の際にトイレが使えなくなる、といった時間は発生します。工事内容にもよりますが、数時間~1日程度になることもありますので、工程表にいつ使えなくなるかと明記してもらい、その時間帯には外出するなど対策を考えておきましょう。また、キッチンの洗い物などは先に済ませておくと安心です。さらに洗面脱衣室も合わせてリフォームする場合、洗顔や歯磨きはキッチンで。洗濯はコインランドリー利用でしのぎましょう。トイレのリフォームが2~3日かかる場合でも、夜間は使えるように便器をセットしてもらうなどの対応が可能なケースもありますので、相談してみてください」

コインランドリーの洗濯機と100円硬貨のイラスト

コインランドリーは年々ニーズが高まり、店舗数が増えているだけに、近隣で見つけるのは難しくないかもしれません(画像/PIXTA)

電気の利用制限

「お風呂のリフォームでは、一時的にブレーカーと落とすことがあります。回路が分けられていれば浴室周辺だけですが、古い住宅で分けられていない場合は、広い範囲で電源を止めることがあります。また、工事中の電気代に関しては、工事で電動器具を使う際、家の電源を使った場合、電気代は上がるかもしれませんが微々たるものです」

リフォーム会社担当者とのコミュニケーション

「工事の進捗度合いを定期的に報告してもらい、変更があったらすぐに連絡を入れてもらうよう依頼をしましょう。共働きで平日不在にすることが多い場合は、毎日連絡をしてもらうようにすると安心です。」

リフォーム工事の近隣挨拶、どうすればいい?

お風呂のリフォームでも、騒音や振動が発生し、近隣の方にご迷惑をおかけすることがあります。工事をスムーズに進め、ご近所との良好な関係を保つためにも、事前の挨拶はとても大切です。
ここでは、挨拶の範囲や伝え方のポイントを解説します。

一戸建ての場合

一般的には、「向こう三軒・両隣・裏三軒」の計8軒に加え、工事車両が出入りする場所に近いお宅にも挨拶をしましょう。
多くのリフォーム会社は、工事期間や騒音、問い合わせ先などを記載したチラシを作成し、挨拶回りを代行してくれます。しかし、できれば施主であるご自身も一緒に挨拶に回ると、より丁寧な印象を与えられます。
その際、500円程度の粗品(洗剤、タオル、ゴミ袋など)を用意すると、さらに好印象です。粗品はリフォーム会社が用意してくれることが多いので、事前に確認しておきましょう。

マンションの場合

まずは、管理会社や管理組合に確認し、工事の周知方法について相談しましょう。マンションのルールに沿って対応することが重要です。
一般的に、マンションではリフォーム会社が作成したチラシを掲示板に貼り出したり、同じフロアや上下のフロアの住人に配布したりすることが多いようです。

ポイント

  • 駐車代や手土産などの費用は施主負担
    工事車両の駐車代(コインパーキングなど)や、ご近所への手土産代は、基本的には施主の負担となります。念のため、契約前にリフォーム会社に確認しておきましょう。
  • 工事前に挨拶を済ませる
    工事が始まる数日前には、必ず挨拶を済ませておきましょう。

お風呂リフォームで注意すべきこと

お風呂のリフォーム中は、ご自宅の一部が「工事現場」になります。特に小さなお子さん、高齢の方、ペットがいるご家庭では、いつも以上に注意が必要です。安全に工事を進めるためにも、工事が始まる前に家族構成をしっかりと施工会社に伝えておきましょう。
主な注意点と対策をご紹介します。

小さなお子さんがいるご家庭

工事現場には、危険な工具や建材がたくさんあります。お子さんが興味本位で近づかないよう、絶対に目を離さないでください。命に関わる事故につながる恐れがあるため、細心の注意を払いましょう。

高齢の方がいるご家庭

リフォーム中は、資材や道具が置かれ、足元が悪くなることがあります。ご高齢の方がいらっしゃる場合は、玄関から居住スペースまでの動線に危険な場所がないか確認してください。車椅子や杖を使っている場合は、特に注意が必要です。施工会社も配慮してくれますが、ご家族でも一緒に安全な経路を確認しておきましょう。

ペットがいるご家庭

工事中は玄関を開けっ放しにする時間帯があります。その間にペットが外に飛び出してしまわないよう、必ずケージに入れるか、別の部屋に移動させておきましょう。また、工事の騒音や振動、粉塵はペットにとって大きなストレスになります。特に音が大きい時間帯は、お散歩に出かけるなど、一時的に家から離れることを検討してみてください。

二世帯家族のイメージイラスト

工事が始まる前に家族構成や気を付けてほしい点などをしっかり施工会社に伝えておきましょう(画像/PIXTA)

信頼できるリフォーム会社の選び方

お風呂リフォームを満足のいくものにするには、信頼できるリフォーム会社に依頼することがカギになります。見積もり段階での選び方のポイントを尾間さんにアドバイスしていただきました。

「リフォームしたい場所の施工例をインターネットでチェックし、良さそうと感じた会社、あるいは交換したいシステムバスのメーカーと提携している会社など複数に見積もりを依頼します。価格は確かに大切ですが、それ以上に気を付けたいのは、

  • 見積もりの内容を丁寧に説明してくれる
  • 工事内容や範囲が明確にされている
  • こちらの話をよく聞き、適切な提案をしてくれる
  • 発生し得るトラブルがあった時の対処が明確である
  • アフターサービスや保証の内容が充実している

といったことです」

ただ、見積もりの内容に納得して、その会社に決めた後、早く契約しなきゃ…!と焦る必要はまったくありません。その前に重要なのが「約款」をしっかり読み込むこと。そして、工事内容、費用、納期、責任や権利についての詳細、トラブルが発生した際の解決方法や損害に対する保障を確認しましょう。約款の内容に納得できてから契約すればいいのです。

「追加要望の内容にもよりますが、契約前なら、施主のリクエストに対してリフォーム会社は比較的フレキシブルに対応してくれます。しかし、契約後の工事内容の変更はリスクを伴うことも。配管工事が必要なオプション追加や、やっぱり狭そうだからもうワンサイズ大きくする、といった変更は工期の長期化、コストアップを招く可能性が高くなります。また、システムバスは受注生産方式のため、発注してからの変更やキャンセルはできないので注意しましょう」

お風呂リフォーム、よくある質問

最後に改めて、お風呂リフォームにまつわる「よくある質問」をまとめます。

Q リフォーム中、シャワーだけでも使えますか?

A 「工事の内容や進捗にもよりますが、使えない期間が生じる可能性が高いです。システムバスの交換でも最後のコーキング(シリコンで床・壁・浴槽などのつなぎ目の隙間を埋める工法)が乾くまで2日程度かかるため、その間は使えないことになります。なお、工事日程の計画段階で、お風呂に入れなくなる期間を最短にしたいといった要望を出せば、工事内容を細かく調整して、入浴できない期間ができるだけ短くなるように配慮してもらえるケースもあります。リフォーム会社に相談してみましょう」

Q 工事費以外にはどんな出費がありますか?

A 「一般的なのは、工事車両用の駐車料金、近隣への挨拶の際の手土産、一時的に仮住まいをする場合の宿泊費、仮設風呂、簡易シャワーの設置費用、お風呂に入れない期間の銭湯などの料金などです。加えて大きいのが、施主の要望で発生する「追加費用」です。つまり、当初検討していたリフォーム内容よりも設備のグレードを上げる、新たなオプションを加える、といったものです。ちなみに「2024年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査報告書2025年2月」(一般社団法人住宅リフォーム推進協議会)によれば、住まいのリフォームを実施した人が、検討段階で考えていたリフォーム予算は平均291万。しかし、実際にかかった費用は平均434万円と前年度より上昇しています」

Q 工事期間中、電気代、水道代は増えますか?

A 「ほぼ変わりません。少なくとも水道代は入浴、シャワーが使えなくなる期間があるわけで、通常より減る可能性もあります」

まとめ

  • お風呂リフォームは、住みながらでも進めることが十分可能。工事中にはさまざまな代替の入浴方法もあるほか、居住スペースと工事スペースの区分け、セキュリティ対策なども立てられる
  • 信頼できるリフォーム会社を選ぶためには。契約前に話し合い、約款を読み込んで納得してから進めることが大切
  • 家族構成やリフォーム期間の長短によって、ストレス対策や快適に過ごすための工夫は異なる。できるだけ契約前に、要望をしっかりリフォーム会社に伝えておこう
Yuuさん

●取材協力
尾間 紫(Yuu)さん

一級建築士事務所Office Yuu代表。 長年リフォーム業界の第一線で数多くの相談、設計、工事に携わってきた。その経験を活かし、住宅リフォームコンサルタントとして幸せなリフォームを実現するためのノウハウを自身のwebサイト「リフォームのホント・裏話」で発信するほか、セミナー講演や執筆、人材育成研修などで活躍中

●執筆/保倉 勝巳
約20年にわたって住宅情報誌、webなどの制作に携わり、住まいとそこに暮らす人々を取材。近年は特に、マンションの間取り研究、東京都心部の街や歴史の魅力紹介、資産価値維持に注力するマンション管理組合の活動取材にも力を注いでいる。