一戸建て・マンション用のユニットバスのポイントとは

ユニットバスをリフォームする場合、どのような点に注意すればいいのでしょうか。リフォーム工程での注意点はもちろん、気になるメリット・デメリットなどをまとめてみました。一戸建てとマンションでは、リフォームの際に注意するポイントも違ってきます。ぜひリフォームの際の参考にしてくださいね。

 

知ってた? マンション専用のユニットバス

ユニットバスとひとくちにいっても、さまざまな種類の商品があります。最近では、マンション専用のユニットバスもあるって知ってましたか? 通常のユニットバスとどう違うのか、JS日本総合住生活株式会社リフォームセンターの北田さんに聞き、メリット・デメリットなどをまとめてみました。

 

「マンションリフォーム専用のユニットバスは、さまざまなマンションの規格に合わせられるよう、一戸建て用のユニットバスよりサイズバリエーションが豊富。また、比較すると床下が低く、天井の高さが低くつくられているという特徴があります。機能や清掃性については、一戸建て用とほぼ同じといえます」(北田さん)

このように、マンションの平均的なサイズに合わせ、一戸建てに比べて床下や天井が低く設定されているのがマンション用のユニットバスの大きな特徴です。

 

マンションリモデルバスルーム、サイズバリエーションが豊富

【画像1】マンションリモデルバスルーム、サイズバリエーションが豊富(画像提供:TOTO株式会社)

 

マンション専用のユニットバスのメリット・デメリット

マンション専用に開発されたユニットバスのメリット・デメリットについて紹介します。

 

<メリット>
メーカーごとに異なりますが次のような点がメリットとして挙げられます。

・床と浴槽を分割した構造で壁を壊さずに搬入できる商品がある

・壁裏配管を薄型にすることで、浴室のサイズは変えずに浴槽を広くできる設計の工夫

・浴室内を広く感じさせる、デザインや備品の設置

 

限られたスペースのマンションだからこそ、設計やデザインで空間を広く感じられるのはうれしい工夫ですね。TOTOやLIXILでは、浴槽10cm、洗い場5cmの拡大ができるそうです。

 

<デメリット>

・浴槽の形状が、一戸建て用に比べて種類が少ない

・メーカーによっては、マンション専用ユニットバスの商品が少ない

・天井が斜めになっている場合、合う商品がない

・浴室暖房乾燥機を新たに設置する場合、換気ダクトの材質によってはダクトごと交換しなければならない場合がある

 

メリット・デメリットを踏まえ、自宅の浴室がより快適になるユニットバス商品を選びたいものですね。

 

マンションリフォーム用ユニットバス

【画像2】マンションリフォーム用ユニットバス(画像提供:JS日本総合住生活株式会社リフォームセンター)

 

一戸建てとマンション、ユニットバスリフォームの工程の違い

一戸建てとマンションのユニットバスリフォームについて、それぞれ工程は異なるのでしょうか。北田さんによると、現在のお風呂の状態が在来工法かユニットバスかによって変わってくるそうです。では、それぞれの違いを見ていきましょう。

 

一戸建てのユニットバスリフォームについて(在来工法→ユニットバス)

<プラス面>

暖かくなる

床がタイルだとひんやりしているが、最近のユニットバスはひんやりしない床を取り入れているものも。冬の入浴で、床がヒヤッとして体がブルブルッと震えることも少なくなりそうです。また、お湯が冷めにくいよう、断熱材で保温する浴槽などもあります。

 

掃除がしやすくなる

ユニットバスは壁や床と浴槽が一体化しているため、隙間が少ないのが特徴。その分、在来工法のお風呂より掃除がしやすいと言えます。また、防カビ、抗菌、水あかがつきにくい、パッキンレスドアなど掃除がラクになる工夫のあるユニットバスもあります。(→ カビが発生しにくいってホント? 防カビお風呂の最新情報 )

 

入り口の段差をなくせる(少なくできる)

在来工法のお風呂は、脱衣室よりも浴室が一段高い(または低い)設計のものがありますが、最近のユニットバスは段差をなくしたフラット仕様の商品が増えてきています。年齢が高くなると、少しの段差も気になりますので、これを理由にリフォームを検討する方もいらっしゃるそうです。

 

浴槽のまたぎを低くできる可能性がある

在来工法のお風呂は床の上に浴槽を置く仕様になっており、年齢が高くなると、浴槽をまたぐ動作が体にこたえることも。現在のユニットバスの構造は、床よりも浴槽面が下がっており、またぎを低くできる商品が増えてきています。

 

<マイナス面>

解体時に騒音とほこりが大量に出る

特にタイル張りの浴室を解体する場合は、タイルの下地はパネルの下地と異なる工法のため、ドリルやハンマーなどで叩き割るような解体方法となります。想像以上にご近所への騒音になる可能性が高いため、ご挨拶などのケアは必ずしておきたいもの。また、解体時にほこりが多く出るため、解体中は外出などを検討してもよいかもしれません。

 

工期が1週間ほどかかる

工事中は、自宅のお風呂に入ることはできません。近所の銭湯やお風呂を借りられる親戚や知人など、事前に調査や相談をしておきましょう。

 

工事を始めてから土台・柱などが腐っていることが判明した場合、工期延長と追加費用が発生する場合がある

お風呂のリフォームの場合、工事後に土台・柱などの木材に水がしみ込んで、腐っているケースが考えられます。その場合は、腐食部分の木材をカットして、新しい木材と接合するなどの処置を行いますが、追加工事になることも。洗面所の床がブヨブヨしていたら土台が腐食している可能性が考えられます。

 

換気扇がなく新たに換気扇を取り付ける場合、配線と外壁に穴をあける工事が発生する

在来工法の浴室は、窓だけで換気扇がないものも。その場合、別途工事が必要になります。

 

タイル好き、細かいデザインにこだわりたい方には向かない

ユニットバスは、カラーバリエーションや壁や床、浴槽とのカラーの組み合わせなども増えてきています。しかし、デザインが画一的なため、素材や細かい部分のデザインにこだわりの強い人には向いていないといえます。その場合は在来工法でのリフォームをオススメします。

 

一戸建てのユニットバスリフォームについて(ユニットバス→ユニットバス)

<プラス面>

清掃性がよくなる

最近のユニットバスは機能面でも優れているため、いまお使いのユニットバスより清掃性がよくなる可能性があります。床暖房完備のユニットバスでは浴槽エプロンがないものも出ており、面倒なエプロン内の清掃の必要もなくなります。

 

デザイン性に優れている

最近のユニットバスは、カラーバリエーションや壁や床、浴槽とのカラーの組み合わせなども増えてきており、選べるデザインも豊富です。いまお使いのユニットバスよりデザイン性に優れたものにリフォームすることができるでしょう。

 

浴槽のまたぎを低くできる可能性がある

現在のユニットバスの構造は、床よりも浴槽面が下がっており、またぎを低くできる商品が増えてきています。したがって、いまお使いのユニットバスより、またぎを低くできる可能性があります。

 

<注意点>

工法によっては、各メーカーのユニットバスのサイズが合わないこともある

住宅メーカーが独自に開発した工法でつくられた浴室の場合、国内主要メーカーのユニットバスが設置できない可能性があります。

 

設計のモジュールによっては、浴室が狭くなる可能性がある

メーターモジュールの家の場合、国内主要メーカーのユニットバスだと、今までより浴室が狭くなる可能性があります。

⇒「尺モジュール」と「メーターモジュール」(※)でつくられたユニットバスがあります。メーターモジュールの家の場合は、必ずメーターモジュールのユニットバスを選択してください。

 

※「尺モジュール」「メーターモジュール」について

住宅設計において、910mmを基本単位とするのが「尺モジュール」。

一方、1000mmを基本単位とするのが「メーターモジュール」です。

例えば、尺モジュールで5間×5間(910mm×910mm)の家をつくると、面積は82.81㎡の建物になります。同じ間取りをメーターモジュールでつくると、1000mm×1000mmの大きさになり、面積は100㎡の建物になります。

 

昔から日本で使われており、いまでも一般的なのは尺モジュールです。メーターモジュールは、ローコストなメーカーが取り入れていることが多いようですが、まだ歴史が浅いため、材料の選択肢が十分でないということも。 このように、基本単位が変わるだけで面積に違いも出てくるため、自分の家がどちらの単位でつくられているか把握しておくことが大切です。

 

マンションのユニットバスリフォームについて(在来工法→ユニットバス)

<プラス面>
一戸建ての場合と同じです。

 

<注意点>
基本は一戸建ての場合と同じですが、マンションの場合は下記にも注意が必要です。

 

タイル張りの浴室からユニットバスにした場合、構造の都合上現状より狭くなる

ユニットバスは壁や床がすべて一体になった、いわばキューブのような構造をしています。それを浴室に入れ込む形になるため、いまの浴室より狭くなります。

 

排水の接続によっては、下階への漏水の原因に

リフォームする際に排水の接続が悪いと漏水してしまいます。戸建てと違いマンションは階下の住人を考慮しなければならないため、漏水しないような工事が大切です。

 

マンションのユニットバスリフォームについて(ユニットバス→ユニットバス)

<プラス面>

現在より浴室を広くできる可能性がある

以前はマンションの梁(はり)が邪魔で小さなユニットバスしか設置できなかった場合でも、現在なら「梁欠き(※)」という技術で、最大限のスペースを活かした浴室にできます。いままで梁のせいで小さなユニットバスしか入らなかった……という場合でも、現場で梁欠き加工をすることで、大きいサイズのユニットバスも入る可能性があります。

 

梁欠きについて

マンションでは、天井と壁が接する部分に「梁」(柱と柱の間をつなぐ構造材)が出っ張っている部分があります。その梁を避けて家具をつくったり工事したりすることを「梁欠き」といいます。

 

<注意点>

場合によってはユニットバスの在庫がなく、納期がかかることがある

近年、ユニットバスは受注生産になっていることが多いため、手直しなどが発生した場合は納期がかかることも。

 

天井埋め込み型の照明が入らない場合がある

デザイン性を求め、天井埋め込み型の照明を採用している商品もあります。しかし、天井裏に換気ダクトや梁などがある場合、設置できないことも。

 

マンションの大規模修繕の時期に注意

大規模修繕で室内の配管更新が計画されている場合、大規模修繕より先にユニットバスを取り替えると、大規模修繕に合わせて再度ユニットバスを脱着しなければならない可能性があります。マンションの管理組合などに内容を確認しておくと安心です。

 

リフォーム工事の準備

【画像3】リフォーム工事の準備(画像:Fotolia)

 

まとめ

このように、ひとくちにユニットバスのリフォームといっても、一戸建てやマンションによって商品やリフォーム工程にも違いがあるもの。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、後悔のないユニットバスのリフォームを検討してくださいね。

 

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・取材協力:JS日本総合住生活株式会社リフォームセンター 北田さん

・画像提供:TOTO株式会社