システムバス・浴室関連機器の基礎知識

浴室は、バスタブだけではなく、シャワーや水栓、換気などさまざまな機器の機能を知っておくことも大切。浴室のサイズや種類、安全面への配慮や手入れのしやすさなどの基本性能、デザインバリエーションの豊富さなどを知って、わが家流のバスルームを実現しよう。

 

■システムバスの基礎知識

内装パーツや設備がユニット化され現場で組み立てる

システムバスは、床、バスタブ、天井、壁などのパーツをあらかじめ工場で成型してユニット化し、それを現場に運んで組み立ててつくる浴室のこと。職人の手と技術でつくる在来工法の浴室と違い、工場生産品なので品質や仕上がりが均一で安定し、工事期間は3日前後で完成する。保温性や防水性も高く、階上に浴室をつくる場合にも適している。

 

【選び方のポイント1】規格サイズの中からわが家にふさわしいタイプを決める

システムバスのサイズは床面積のことをさし、戸建住宅用の製品は主に0.75坪、1坪、1.25坪の3種類がある。1坪タイプが主流だが、1.25坪タイプを取り入れる家庭も増えてきている。2方向にドアを設けられるプランもあり、2部屋または屋外テラスなどとも行き来できる。

システムバスのサイズ

 

サイズは上の図のとおりで、室内の有効寸法は、1坪タイプが160cm×160cm〜、1.25坪タイプが200cm×160cm〜。つまり1.25坪タイプは1坪タイプと比べ、バスタブの幅は変わらないが、洗い場が40cmほど広くなる。子どもと一緒に並んで座ったり、入浴介助が必要な家族のいる家庭では、1.25坪のほうが入りやすい。1坪タイプでも出窓や高さのあるドーム型天井を採用すれば、広々した感じが得られる。

予算や浴室にあてられるスペースはもちろん、わが家はどんな入浴スタイルなのか、好みの色調やデザインはどんなものかを考えて、選ぶようにしたい。

システムバスは防水性に優れた構造をもつため、水漏れによって土台や柱を傷める心配がなく、2階以上の階に浴室をつくる場合にも適している。その際は、階層用の商品を利用する。

 

【選び方のポイント2】安全性や手入れのしやすさなどの基本性能をチェックしておく

浴室は高齢者だけでなく、家族のだれにとっても安全なつくりになっていることが大切。最近のシステムバスはバリアフリー仕様が一般的になっているが、その基本的な内容をチェックしておきたい。

例えば、洗面室との床面の段差は小さく、床面には滑りにくい加工を施し、周辺には握りバーの手すりを設置。バスタブのまたぎの高さは42cm前後と低めで、いったん座ってから出入りできるように縁が広くとられている。半身浴のために、内部に一段高い座れる部分を設けたバスタブも。また洗い場にベンチを設けたプランもあり、入浴がしやすい。温度差を解消するため冷たさを感じにくい床材を採用したり、専用の床暖房を設置できる商品もある。

掃除の手間を考えると、清掃性もポイントだ。排水口は1カ所で髪の毛などを除きやすい構造をもち、床は特殊な表面形状により水はけがよく乾きやすい。壁はパネル状で、スポンジで拭くだけできれいになる、というのが標準的な仕様になっている。

 

【選び方のポイント3】好みの空間ができるか、デザイン性もポイント

デザイン性も気になるところ。色や柄などをどの程度選べ、好みの空間がつくれるのかを確認したい。一般的には、浴室全体は白かグレー、ベージュ系の色調がベースで、壁は無地か石目柄、木調、あるいは無地と柄のコンビネーションなどのバリエーションがある。

バスタブは人造大理石やFRPなどの樹脂素材で、ピンクやグレー、グリーンなどのきれいな色が用意されている。天井はフラット型のほかに高さのあるドーム型も。窓は出窓や、テラスや庭に面し大きな開口部をとれるものもあり、開放感を重視したい人向け。

 

【選び方のポイント4】価格設定のシステムを知り、予算に応じた選択を

これまで述べた内容を備え、各社とも1坪タイプでは約100万円弱の価格設定になっている。これをベースに、内装パーツやバスタブの素材をグレードアップしたり、浴室暖房乾燥機やジェット噴流バスなどをオプションとして加えるなどの変更も可能。その際の価格差はカタログに明記されており、予算を踏まえて選ぼう。

 

■バスタブ・水栓の基礎知識

システムバスのバスタブは幅160cmが標準的なサイズ

システムバスを選ぶ場合は、バスタブのサイズは決まっており、1坪、1.25坪ともに幅160cmサイズが備えられている。在来工法で浴室をつくる場合には、バスタブを単独で選択。幅110cmから160cmまでの各サイズがある。快適なバスタイムを楽しめるとして、ジェット噴流バスも人気だ。また水栓金具は、洗い場側とバスタブ側の両側に設置しておくと便利だ。

 

【選び方のポイント】浴室の広さに応じたサイズ、好みの素材を選択

バスタブは140cm以上のサイズだとゆったり入浴できる。背もたれやアームレストの形状もチェックを。素材は樹脂のFRP、ホーロー、人造大理石。FRPは安価だが、質感はホーローや人造大理石が上。幅140cmの人造大理石のバスタブは20万円前後から。水栓は洗い場側はサーモスタット機能付きが便利。手元でお湯の出し止めのできるシャワーもある。

 

■浴室暖房乾燥機の基礎知識

浴室の暖房、衣類乾燥、ミストサウナなどの機能が充実

浴室は湯気で湿気が多く結露が発生しやすい場所なので、換気扇を稼動させることが大切。換気機能単体のもの、1台で暖房や乾燥機能も兼ねるタイプ、ミストサウナなども楽しめる多機能タイプなどがある。システムバスでも各タイプがラインナップされ、変更可能なアイテムとなっている。

 

【選び方のポイント】どこまでの機能性を求めるか判断を

人気が高いのは、1台で換気と乾燥、暖房ができ、涼風も出るタイプ。冬場、浴室を暖めておいたり、夏は扇風機がわりになったりと快適。また乾燥機能は洗濯物の乾燥に重宝する。最近はさらに、ミストサウナ機能をプラスしたタイプもある。浴室内の温度を40℃前後に保ちながら、ミストが発汗を促し健康増進につながるというもの。価格は換気扇単体は2万円台〜、浴室暖房乾燥機は7万円台〜、ミストサウナ機能付きでは12万円台〜といったところだ。

 

住まいの設備を選ぶ本(2016年春 1月26日発行)掲載

 

文/川成亜紀